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文/ishigenn
先週末となる2017年12月7日(現地時間)、アメリカ・ロサンゼルスで開催された今年を代表するゲームを称える祭典、“The Game Awards”にて、3月3日に任天堂から発売された『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』がGame of the Year(以下、GoTY)を受賞した。
GoTYとは、さまざまな団体や組織、そしてそれらが開催するアワードが、その年もっとも優れていたゲームへと贈る大賞のこと。
その中でも、今回の“The Game Awards”は、前身となる“Spike Video Game Awards”も含めると、2003年以来、毎年末に開催されている10余年の歴史を持つ著名かつ権威のあるアワードで、そのGoTYを獲得するのはかなりすごいことになる。
参考:
ファミ通: The Game Awards 2017 “Game of the Year”は『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』!【The Game Awards 2017】
受賞が発表され壇上に上がった同作のプロデューサー、任天堂・青沼英二氏は、
サンキューアメリカ! このゲームを作ったすべてのスタッフを代表して、このすばらしい栄誉に感謝します。
……あはっ、ごめん(カンペを見ながら笑う)。そしてノミネートされた他のすべてのゲームのみなさんも、おめでとうございます。
とコメント。同じくディレクターの藤林秀麿氏は、
いろいろ考えてきたんですけど、もうダメだ、忘れた(笑)。本当に、ゲームを作ってきてよかったです。このゲームは、すごい挑戦と冒険をしてきた末にできたゲームです。
でもいま、この挑戦と冒険がスタッフ全員を成長させてくれたなと思っています。チームのスタッフを代表して、本当にあらためて、お礼を言いたいと思います。ありがとうございます
と謝辞を伝えている。また青沼氏は最後に、
この賞をいただいた喜びを胸に、私たちはこれからも皆さんの期待に応えられるような、すばらしい、驚きに満ちた「ゼルダ」を作っていこうと思いますので、ご期待ください
と、続編への意欲を見せていた。
注目したいのは、この『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』が今年の海外のGoTYを総ナメにするという、日本産ゲームという観点ではかなりひさびさの事態が起きているということだ。
14年間にわたり毎年GoTYの獲得数をタイトル別に集計し公表している素敵な個人ブログ“Game of the Year Picks Blog”によれば、著名なものだけ見ても、イギリスで開催される30年以上も続くコンピューターゲームのアワード“Golden Joystick Awards”でもGoTYを獲得。
またアメリカのTIMEやThe Guardianといった有名メディアでもTOP10形式にて1位の座に輝いている。
このように現時点で集計されている41のアワードのうち30もの場でGoTYを獲得しており、ほかの作品を大きく引き離している状況だ(なおこの数値は読者投票部門や、TIMEなどのようなランキング形式で1位を取ったものも含んでいる)。
このサイトが集積したデータも示しているように、日本のゲームが海外のGoTYを席巻したのはカプコンが2005年にリリースした『バイオハザード4(Resident Evil 4)』が最後。じつに12年振りに日本のゲームが海外のショウレースの王者に君臨しつつあることになる。
冒頭で触れた“The Game Awards”の歴史の視点からだけでも、『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』はじつは同アワードにてGoTYを受賞した2本目の国産タイトルであり(1本目は『バイオ4』)、そして初の任天堂タイトルでもある。
「ゼルダの伝説」シリーズは2004年に『風のタクト』、2011年に『スカイウォードソード』がGoTY候補としてノミネートされてきたものの、受賞を逃してきた過去がある。
それを考慮すると、『風のタクト』から数えて10年越しでGoTYを獲得した任天堂制作スタッフたちの喜びは凄まじいものがあったはずで、上記の動画で青沼氏と藤林氏の2人が強い興奮をにじませていたことにも、納得がいくだろう。
ところで海外のゲームアワードには著名なものがいくつかある。“The Game Awards”とよく並べられるのが、ゲーム開発者が選ぶ“Game Developers Choice Awards”と、全米インタラクティブ芸術科学学会というアカデミックな団体の会員が選ぶ“D.I.C.E. Awards”がある。
これらの授賞式は来年に入ってから開催される予定で、そこでも『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』には大きな注目が集まることになるだろう。
ほかにも今年には『ペルソナ5』、『スーパーマリオ オデッセイ』、『NieR: Automata』など、海外でも高い評価を浴びた日本産タイトルが登場しており、これらの作品の動向にも期待したい。
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