今年1月20日の就任以来、ニュースでその名を見ない日はないドナルド・トランプ米大統領。そんなトランプ氏が1989年、自身の名前を冠したボードゲームを発売していたのをご存知だろうか。その名も「トランプ・ザ・ゲーム」。
80年代といえばニューヨークの目抜き通りに「トランプタワー」を建てるなど、不動産王として栄華を誇っていた時期。しかし自身が出演するテレビCMを大々的に打ったにもかかわらず、販売予定の半分以下しか売れなかったようだ。米タイム誌の「トランプ氏の10の失敗」にも挙げられるなど、彼の経歴における「失敗事業」の一つとなってしまった。
約30年前のビンテージもののゲームのため現在はほとんど出回っておらず、大統領選当選とともにプレミア価格がつき、入手が困難になっている。
電ファミ編集部では、そんな日本に十数個しかないといわれる「トランプ・ザ・ゲーム」をどうにか入手した。勢い余ってルールブックのオリジナル日本語訳も作成したので、もし運良く遊ぶ機会があったらぜひ参考にしてほしい(記事の最後に日本語訳PDFを全文掲載)。
せっかくの機会なので、経済評論家、そしてボードゲーム好きが高じて昨年五反田にボードゲームカフェを開いた勝間和代氏と一緒にプレイすることにした。経済とボードゲームの両方に精通する勝間氏。トランプ氏の「幻のボードゲーム」をどう評価するのだろうか。
最もお金を持っていた人が「真のトランプ」
――今日はこちらの「トランプ・ザ・ゲーム」をぜひ一緒にプレイしようと、勝間さんのボードゲームカフェ「ウィンウィン」にやってきました。
勝間和代氏(以下、勝間氏):
あら、このトランプさんイケメンですね。当時まだ40代ですか。月日は残酷ですね。ジュリーも若い頃はかっこよかったんですけど……。
――勝利条件は単純明快です。最終的に現金を一番持っていた人が「真のトランプ」、つまりゲームの勝者となります。
勝間氏:
うわすごい、お札にトランプさんの顔が印刷されてますね。
――しかも最低単位が「10M$」(約11億円)です。
勝間氏:
いきなりスケールが壮大ですね。
――このゲームでは、8つある「資産」を売ったり買ったり交渉して、現金を増やしていきます。
勝間氏:
モノポリーみたいな感じですか。さすが不動産王だけありますね。
――このゲームで活躍するのが、さまざまな特殊効果がある「トランプカード」です。現金を増やしたり、奪ったり、他プレイヤーを妨害したり……。
――最初はサイコロを振って、すごろくのようにコマを盤面の上で移動させていきます。
勝間氏:
あ、今「T」の目が出ましたけど。これ何ですか?
――「T」が出ると、他プレイヤー1人からトランプカードを1枚奪うことができるんですよ。それでは失礼して……。
まずは各プレイヤーにトランプカード5枚と現金400M$を配り、ゲーム開始だ。
4人用ゲームなので、勝間さん、筆者、そして勝間さんのマネージャの内藤さん、カメラマンの雨宮さんにも参加してもらおう。
入札で資産を購入しよう
――それではゲーム開始です! ゲームは2つのフェイズに分かれています。第一の「購入フェイズ」ではサイコロを振ってコマを進めながら、場にある8つの資産を入札で購入していくことになります。
勝間氏:
資産はどうやって買うことができるんですか?
――盤面に「資産を売りに出す」と書かれているマスがあります。そのマスの上にコマが止まったら、そのプレイヤーが売り主となってオークションが開かれます。
勝間氏:
他の3人のプレイヤーが入札して競り落としていくわけですね。
――手持ちの現金と相談しながら、欲しい資産を手に入れましょう。
資産が売れてからが本番! 「取引フェイズ」
――8つの資産がすべて入札で買われ、誰かの所有物になりました。いよいよここからが本番です!
勝間氏:
今までのは前フリだったんですか!?
――その通りです。第二フェイズは「取引フェイズ」。どんな交渉でもできます。他プレイヤーと合意すれば、どんな条件でもかまいません。何でもありです。
資産やトランプカードを売ったり交換したりしてもいいし、「情報」を売ることさえできる。「この資産を一時的に貸すので50M$ください」「私の持っているカードの情報を30M$で売ります」というような取引も可能だ。
――私は「クルーズ」と「トロピカル・アイランド」を両方持っていれば100M$が手に入るカードを持ってるんですけど、勝間さん両方の資産を持ってますよね? このカードを80M$で買いませんか?
勝間氏:
うーん、80M$か……。
勝間氏:
でも今その2つの資産を持ってるのって私だけだから、そのカード私に売るしかないですよね? 40M$なら買いますよ。40M$でどうでしょう。
――足元見てきましたね……。うーん仕方ない、では40M$で売ります。
勝間氏:
交渉成立ですね。
――(次のターンで)では、私はこのカードを使わせてもらいます。「強制売却カード」。
――勝間さんが持っている「トロピカル・アイランド」を勝手に売りに出したいと思います。これでさっきのカードは使えなくなるわけです。
勝間氏:
な、なるほど……。
カードを使ったり、資産をやり取りしたり、現金を奪い合ったり。このような交渉を順番に続けていく。全てのプレイヤーがやることがなくなり連続してパスしたら、そこでゲームは終了だ。最後に手持ちの現金と、所有する資産の箱の中に入っている現金を足し合わせる。最も額の多い人が勝者となる。
最終結果
勝間: 940M$
雨宮: 890M$
新井: 760M$
内藤: 650M$
勝間:
やったー!
――おめでとうございます。あなたが「真のドナルド・トランプ」です!
ルールブックにはトランプ氏からのメッセージとして次のように書かれている。”Remember, it’s not whether you win or lose, but whether you win!”(勝つか負けるかではない。勝つ、それだけだ)と……。
――それでは勝間さんに経済評論家、そしてボードゲーム好きとしての観点から「トランプ・ザ・ゲーム」を評価していただきたいと思います!