9月22日、全従業員の90%にも及ぶ200名以上の従業員を解雇したことを発表したアドベンチャーゲーム専門のスタジオTelltale Games。現在開発中の『The Walking Dead: The Final Season』への対応について、自社のツイッターアカウントで今後の対応を発表した。
— Telltale (@telltalegames) September 24, 2018
発表によると、いくつかのパートナーとなってくれそうな会社が、最終シーズン開発の援助に前向きな姿勢を見せているという。確実な約束はできないが、Telltale Gamesは何らかの形で残りのエピソード3と4をリリースできるように行動しているという。
日本時間で明日発売予定の『The Walking Dead: The Final Season』のエピソード2は予定通り発売される。
『The Walking Dead』シリーズ以外に、現在Telltale Gamesで制作が進行中だった『The Wolf Among Us: Season Two』や『Game of Thrones: Season Two』については、公式な発表はなされていない。
一方、Netflixと提携して制作していた『Stranger Things』のゲームとクラウドゲーム版『Minecraft: Story Mode』について、Netflixが海外メディアPolygonのインタビューに答えている。報道によれば『Stranger Things』は他の選択肢を検討しており、『Minecraft: Story Mode』は現在残っているTelltale Games社員の手によって開発が続けられているという。『Minecraft: Story Mode』は、うまく運べば予告どおり今秋にはリリースされるはずだ。
なお、大規模な解雇が発表された後、匿名の人物の手によって『Stranger Things』のものと思われる複数の動画がリークされる騒ぎも起きている。
ツイッターではハッシュタグ「#TelltaleJobs」にてTelltale Gamesを解雇された人々や、彼らを雇おうとするゲーム会社の書き込みが続いている。一部を紹介すると、Blizzard Entertainment、Gearbox Software、Zenimax Online Studiosなど、Telltale Gamesのこれまでの実績にふさわしい、そうそうたる顔ぶれが自社の求人ページを紹介している。
※明日発売予定の『The Walking Dead: The Final Season』エピソード2のトレイラー。
Telltale Gamesは2004年にアドベンチャーゲームの大家であるLucasArtsの元社員の手によって設立された。設立当初より『CSI: 3 Dimensions of Murder』のような他社IPのゲーム化や、『Sam & Max Beyond Time and Space』のようなエピソード形式のゲームをリリースしており、開発スタンスは当初から一貫していたと言える。
2012年には『The Walking Dead』が高い評価を受け、Spike Video Game Awardsなどのアワードでアドベンチャーゲームでは異例ともいえるゲーム・オブ・ザ・イヤーを受賞。その後はリリース事業規模も拡大し、2017年までに設立当初100人に満たなかった従業員は400人にまで増えていた。
しかし、2014年ごろから開発負荷の上昇により、通常の業務時間ではマイルストーンに到達できなくなり、長時間労働が続くいわゆる「クランチ」状態が常態化していたことが元従業員たちによってリークされている。告発によれば、『The Walking Dead』の成功から、この形式以外への挑戦を許さない経営者と開発者との関係も悪化していったという。
2017年にTelltale GamesのCEOがZyngaのPete Hawley氏へ交代し、全社員の約25%である90名を解雇した。スリム化して業績回復へと向かうはずだったが、2018年にリリース予定だった『The Wolf Among Us: Season Two』も来年へと延期が発表され、現在に至る。
先日の大規模解雇のあとに残った25名の従業員はNetflixと提携した『Minecraft: Story Mode』の開発にあたっているようだ。実質的な閉鎖と見る向きもあるが、現CEOのHawley氏のツイートによれば、残ったメンバーでゲームの開発は続けるという。
『The Walking Dead』の成功以降、『Batman: The Telltale Series』や『Guardians of the Galaxy: The Telltale Series』といった有名なIPとコラボした作品を矢継ぎ早にリリースし続けていたTelltale Games。かつての勢いを失っていたアドベンチャーゲームの復権の立役者とも言えるデベロッパーが、このような状態に陥ることは、青天の霹靂だった方も多いだろう。
今後同社の他の作品の進退についても発表が行われると予告されている。そちらの発表を待ちたい。
文/古嶋誉幸