前野智昭、岡本信彦、小野友樹……豪華声優の声で案内してくれるATMが登場! お金を引き出すだけで推しに「ありがとう」と言ってもらえる世界が到来している

 公衆の面前で、濃密なひとときを過ごせるプライベートな空間といえば──そう、誰もが思い浮かべるのが現金自動預け払い機「ATM」ではないだろうか。

 2018年8月27日から、株式会社セブン銀行はゲームイラストや漫画などのコンテンツ制作および配信をおこなう株式会社フーモアと共同で、ATM取引をイケメンキャラクターが案内する「セブンコンシェルジュ」プロジェクトをスタートした。該当ATMは、首都圏に順次設置されている。
 オリジナルキャラクターは全部で7名で、それぞれに名前もついていれば、当然のごとく声優が起用されている。その顔ぶれは、前野智昭(海棠翔役)、小野友樹(日向威月役)、岡本信彦(燈野奏役)、木村良平(月白九十九役)、代永翼(神楽坂ニコ役)、小林裕介(鈴鳴杏樹役)、津田健次郎(氷室龍士役)と今をときめく豪華な配役だ。

 ATMにイケメンキャラクターとは、一見不思議な組み合わせかもしれないが、そこにはATMの機能についての洞察を感じられた。

文/しば三角


(画像はセブンコンシェルジュ – SEVEN CONCIERGE –より)

 「セブンコンシェルジュ」を見ると、ATMにキャラクターが描かれていることに驚いてしまうかもしれないが、実はお金の場にキャラクターが来ることはそんなに珍しいことではない。
 お金を扱う銀行のウェブサイトでは親しみやすさを出すためにスーツを着た人のイラストやマスコットキャラクターが描かれることも多いし、ディズニーやサンリオのキャラクターがデザインされたキャッシュカードやクレジットカードはすでに存在している。

 もちろん、この流れはアニメやゲーム業界も同様で、これまでには『新世紀エヴァンゲリオン』『弱虫ペダル』といったアニメ・漫画作品から、『ラブプラス』『アイドルマスター』などのゲーム作品。さらに、女性向け作品では『遙かなる時空の中で』『薄桜鬼』など、数えきれないほど起用されている。

(画像は薄桜鬼VISAカード|クレジットカードの三井住友VISAカードのスクリーンショット)

 とはいえ、重要なのはカードのデザインではなく、取引される中身だ。そこにキャラクターが描かれていようとなかろうと、お金を扱う機能さえしっかりしていれば、誰でもそれぞれ好きなカードを選べる。
 よく考えれば、お札にも野口英世福沢諭吉の肖像が描かれている【※】。これも一種のキャラクターと言えるのかもしれない。

※人の顔は、少し違うだけで違和感を覚えるので、肖像が描かれているとお札が偽造しづらくなるという理由もあり、お札には肖像が描かれている場合が多い。

 なら、キャラクター付きのATMができるのも当たり前なのか?というとなかなかそうはいかない。
 筆者が歌舞伎町で「セブンコンシェルジュ」のATMを見たときにまず覚えたのは、違和感からくる面白さだった。本来真面目な場であるはずのATMに、乙女ゲームのようなキャラクターの顔がどーんと描いてあるのは、痛快といえば痛快だ。

 キャッシュカードを入れると「あ! 来てくれたんだ!」「よっ、何の用だよ」「やぁ、待ってたよ」と歓迎される。これは、何となくテンションがあがってしまう……気がしないでもない。
 さらに、セブンコンシェルジュたちは「暗証番号くださいな」とプライベートなことに切り込んできたではないか!これまでに、あまたのイケメンキャラクターに出会ってきたけれど、誰にも教えてはいけない暗証番号を懇願されたのは、後にも先にも彼らが初めてである。

 どうやらこのサービスは、曜日や時間帯によって喋る内容が違うらしい。そして、この「セブンコンシェルジュ」はATMサービスだけにとどまらず、スマートスピーカーで残高照会をしてくれたり、企業と顧客、または顧客同士の新たな決済サービスなど、さまざまな分野にも乗り出してくるとか……。

 キャラクターや豪華声優によるイケボを目当てにキャッシュカードを作り、引き出しと振込みを続ける日も近くなってしまうのだろうか……。

 ちなみに、歌舞伎町店を訪れた人たちは、皆あまり気にせず、自然に受け入れていた。外国人観光客の中には、驚いて取引を中止し、一般のATMを利用し直す方も見えたが……。

アニメイトにはかなり馴染んでいた

 ATMはものを売る場所ではなく、お金を扱う場所だ。
 好きになってもらうことよりも、信頼できる場所であることのほうが重要なので、キャラクター性が強い必要性はないのかもしれない。誰もが乙女ゲーム化したATMを使いたいわけではないので、そのせいで銀行が嫌われてしまうことは避けたいはずだ。そう考えると、「セブンコンシェルジュ」は大冒険であるといえる。

 けれども逆に考えれば、ATMは最もプライベートな取引を扱う場所でもある。万人受けするデザインにしなくとも、取引する人に合わせたデザインになっていくのも、実はありなのかもしれない。スマートフォンやキャッシュカードが自分だけのものであるように、ATMもパーソナライズされた画面を映し、自分だけの体験をさせてくれるようになり始めているのかも……?

アニメイト以外の店舗には、通常のATMと「セブンコンシェルジュ」のATMの両方が設置されていたので、好みに合わせて好きなATMを選ぶことができた。

 考えてみてほしい。
 ATMは普段お客さんにどんなことを言っているのか。
 「暗証番号をどうぞ」「カードの取り忘れにご注意ください」
 ATMは要求するばかりに聞こえるかもしれない。けれども、きちんと最後には「ありがとうございました」と言ってくれるのだ。

 つまり、ATMがキャラクター化するということは、しにありがとうと言ってもらえる世界が近づいて来ているということだ。
 ATMはお金を出し入れする機械であるだけでなく、われわれ顧客に話しかけてくれる機械でもある。「セブンコンシェルジュ」とは、そのような発見に満ちた企画なのではないだろうか。

「セブンコンシェルジュ」の声優と、ATMの場所は以下の通り。2018年10月5日現在、歌舞伎町ならいま公開されている3人全員と会えるようだ。

【セブンコンシェルジュ 設置場所一覧】
(2018/10/05現在)

 

セブン銀行 新宿歌舞伎町コーナー 共同出張所
〒160-0021 東京都新宿区歌舞伎町1-5-4
海棠 翔(CV 前野智昭)
日向 威月(CV 小野友樹)
橙野 奏(CV 岡本信彦)

 

アニメイト 新宿店 共同出張所
〒160-0022 東京都新宿区新宿3−17−17 アニメイト新宿店1階
海棠 翔(CV 前野智昭)

 

アニメイト 池袋本店 共同出張所
〒170-0013 東京都豊島区東池袋1−20−7 アニメイト池袋本店2階
橙野 奏(CV 岡本信彦)

 

セブン銀行 丸の内 共同出張所
〒100-0005 東京都千代田区丸の内1−6−1 丸の内センタービルディング1階
日向 威月(CV 小野友樹)

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著者
しば三角
アプリのデザイナーを経て2017年11月に電ファミニコゲーマー編集部に。好きなインターネットはよく喋るインターネット。
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