さまざまな仕事が存在する現代社会。より良い職場環境は、就職先はと頭を悩ませている人も多いだろう。そんな人々への“答え”となる理想的な仕事場が2025年に発見された。
誰もがとにかく出勤したい、お金を払ってでも働きたいと思ってしまう。
その名は『たまごっちのプチプチおみせっち おまちど~さま!』である。
守りたいたまごっちの笑顔、理想的な職場はここにある
本作は2005年に第1作目が発売された「たまごっちのプチプチおみせっち」シリーズの完全新作。公称ジャンルは「おみせやさんごっこ」となっており、個性豊かな12種類のおみせやさんでたまごっちたちの注文に応えていくゲームである。ネットミームとなった「もう こないからねー」の元ネタのゲームだ。
もちろんおみせやさんでおてつだいをするゲームなのだが、この記事をご覧の方には「とにかく職場環境が良すぎる」という点を知ってもらいたい。
舞台となる街「たまひこタウン」でおみせやさんを開くことになるが、もちろんおきゃくさまも、共に働く仲間も愛らしさ極まりないたまごっちである。
そこには嫌な上司も厄介なクレーマーも存在しない、右を見ても左を見てもたまごっちのかわいさしか伝わってこない世界。当然ながら人間関係の悩みなど皆無である。後述するが、登場するたまごっちたちの性格面も非常に良く、彼らの街でおてつだいをすることにやりがいを感じない人類など存在しないだろう。
面白そうなおみせやさんが目白押し。たまごっちを笑顔にする──そこには、幸せしかない
たまひこタウンにはたくさんのおみせが用意されており、それぞれの個性際立つミニゲーム方式でおみせやさんごっこができる。今回は、はいしゃさん、めがねやさん、ガレットやさんを紹介していきたい。
まずは、はいしゃさん。ここではおきゃくさまの虫歯を治したり、差し歯をしたりといった治療をおこなう。
本邦の歯科医師免許を所持していないなどと野暮なことは言ってはいけない。ここはたまごっち星のたまひこタウン、いつもはキュイーンというドリル音におびえる我々も今日は使う側なのだ。
まめっち店長が見守る中、いざ治療開始!
各種治療器具を駆使することで虫歯を削る、だ液を吸引する・送風する、磨くなど複数の作業を進行していく。こうしてくれという細かい指示はあまりされないが、画面をみていればこうかなという予想はたてやすい。仮に間違っても即減点されるといったことはないので、試行錯誤を楽しみやすい仕様になっている。
私も最初は虫歯を歯ブラシで磨いていたが、それでは発生してしまった虫歯の根本的な解決にはならないと気づき、ドリルに持ち替えた。「虫歯が出来たらとっとと歯医者に行け
」というメッセージは幼年プレイヤーにも伝わるだろう。
おみせやさんでは、現実の作業に即したリアルな部分もあれば、ゲーム的な表現もある。虫歯の原因である「むしばっち」をピンセットでつまんで虫かごにバイバイするところなどは、思わず笑ってしまう。
そしておてつだい中もたまごっちが適度にコミュニケーションをとってくれる。今回は治療中「はいちょっとガマンしてください」とまめっちがおきゃくさまに声をかけるなど、自分が歯医者なら声をかけたかもというセリフを言ってくれるので、いっしょに働いている感が高まる。
なんて気の利くやつだ、まめっち、好きだ。
さらに治療がうまくいったこともあり、おきゃくさまは喜び、まめっちには褒められた。大人になってからこんなに素直に褒められたことがどれほどあっただろうか。これはぜひ実際に体験してほしいが、「がんばっておてつだいする、喜んでもらう、褒められる」という一連の流れは自己肯定感が爆上がりする。すごい多幸感で、もっと働いてやるぞ!という気になる。
人類もたまごっちを見習って、もっと褒めあった方がいい。
同僚もおきゃくさまも善人(善たまごっち)ばかり。なぜ私はたまごっちに生まれなかったのか
さて、次はめめっちが店長を務めるめがねやさんである。開店と同時におきゃくさまがやってきた。なお、すべてのおみせやさんに共通することだが、おきゃくさまはだまっていてもすぐにやってくる。待ってる時間が退屈ということにはならない。
ござるっちは星型のめがねを所望とのこと。視力検査の後に星型フレームを選び、さらにレンズは若干スモークが入ったものにする。
これで完成がみえた。
ギュイイイイイイイイイイイン!!!!
画面内で研磨機がうなりを上げる。
…………は?
店員がその場でレンズを削るの?しかも星形という難易度の高い加工を?
いや、やるしかない。私はござるっちの笑顔をみたい。そう自分を奮い立たせてレンズ加工に挑んだ。
うぉぉ、いまこそ宿れ、世界三大眼鏡生産地と名高い福井県鯖江の眼鏡職人の魂!
加工に手こずる私に不安を感じたのか、ござるっちが声をかけてくる。この時にめめっちが「ちゃんと にあうフレームを えらんでるからだいじょうぶよ」という雑談から、完成はまだかという催促に対しても「あせらないで ゆっくりまっててね」、「ていねいにつくってるから」などとフォローしてくれるのがうれしい。
客と職人、双方のケアを怠らないめめっち、好きだ。
めめっち店長のフォローというバフ効果を得た私は無敵だ。注文品を見事完成させ、高評価を得ることに成功。おみせを出るとそこには評判を聞きつけたたまごっちたちによる行列ができており、ものすごく誇らしい気持ちになる。
この世界はどこまで私を喜ばせるのか。なぜ、私はたまごっちに生まれなかったのか。
「もう こないからねー」とは言わないで!くちぱっち店長のパーフェクト接客
ガレットやさんでは生地作りから焼き上げ、トッピングと調子よくおいしいガレットを量産していたが、気付いた時には生地の種類を間違えたうえに黒焦げにしていた。なにごとも、慢心は良くない。
試行錯誤しやすいと前述したが、ここでミスをカバーすべきだと考えた私は、焦げによって苦味が出るであろう生地をホイップクリームの甘味でカバー、さらにイチゴの酸味を加えることで味の調和がとれるのではと考えた。その後サラダガレットの注文だったことを思い出し、挽回のためにミニトマトを添えてみる。
この間待ちわびたおきゃくさまに対し、店長であるくちぱっちはもうすこし待ってと余裕があるように伝え、私にはスピードアップをやさしく促す。トラブルも冷静に処理する店長の見事な手腕だ。トラブルを起こしている張本人が、「店長イイ感じっスね」などと口には出せないが。
なお、この時のおきゃくさまはあの「もう こないからねー」でも有名なまるっちである。「オニオンサラダガレットって こーゆーのなの?」と至極まっとうな指摘がされるも、くちぱっちはこれがプレイヤー流のガレットなんだとフォローをしてくれる。
「もう こないからねー」とは言われなかったものの、失敗には違いない。店長はおきゃくさまが帰った後に注文通り作るようにやんわり注意してくれた。客前で叱らず、店側のゴタゴタを外部にさとらせない配慮。くちぱっちのプロの接客術には感服するばかりだ。
頼りになるぜ。好きだ、くちぱっち。
頼むからここで働かせてほしい、おみせっちで自己肯定感を爆上げしよう
本作ではこうしたおみせやさんごっこを繰り返すことで、おきゃくさまから報酬を受け取り、おみせを大きくしたりタウンを発展させることができる。がんばればおみせだけでなく、街のためにも役に立つという社会貢献性の高いおしごとなのだ。
理想的な街にするために一人でじっくりプレイするのももちろん良い。そして「たまごっち」は世代を超えて愛されている存在であり、「おみせっち」もシビアな勝敗を求めず楽しめるゲームなので、家族でわいわいプレイするのも楽しそうだ。
あこがれのおみせやさんをおてつだいしたり、たのしくおみせやさんごっこをしたい方はもちろん、現実世界の職場環境に疲弊した社会人のあなたにも是非プレイしてほしい。できれば働きたくないと常に考えていた私に、頼むからおてつだいさせてくれという人生で初めての衝動を芽生えさせた『たまごっちのプチプチおみせっち おまちど~さま!』は2025年6月26日発売だ。
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