3月17日にNVIDIAが発表したAI超解像技術の最新版「DLSS 5」について、同社のジェンスン・フアンCEOは、ゲーマーなどコミュニティから寄せられている批判に対し反論を行った。
これは、GTC 2026のメディア向け質疑応答において、海外メディアTom’s Hardwareからの質問に答える形で語られたものであり、同メディアが報じている。
フアン氏は発言の中で、DLSS 5について「開発者が直接コントロールできる技術」であり、表現の主導権を奪うものではないと強調している。
「DLSS 5」は、生成AIを用いてゲーム内のグラフィックに光や質感をリアルタイムで解析・追加する技術。従来のDLSSが持っていたAIによる画像のアップスケーリングやフレーム生成といった機能にくわえ、衣服や髪の毛、肌といった複雑な要素に対して、より緻密で写実的な質感を付与する。
本技術はすでに『バイオハザード レクイエム』や『ホグワーツ・レガシー』など、多くの大型タイトルでの採用が決まっており、公式サイトでは対応タイトルにおける画質の違いを確認できる画像が公開されている。
🔦 NVIDIA DLSS 5 Spotlight 🔦
— NVIDIA GeForce (@NVIDIAGeForce) March 16, 2026
NVIDIA DLSS 5 is coming to Resident Evil Requiem. DLSS 5 infuses pixels with photorealistic lighting and materials to bridge the gap between rendering and reality in Raccoon City.
Learn more → https://t.co/yHON3nGyxE pic.twitter.com/2fZOG7sFKw
しかし、発表直後に公開された比較映像などを見た一部のユーザーからは、SNS上などで厳しい批判が相次いでいた。とくに『バイオハザード レクイエム』のグレースとレオンの容姿の変化などが非難の的となっているようだ。
多くの意見として挙がっているのは、クリエイターが手作業で細部まで作り込んだ3Dモデルに対し、生成AIが不要なディテールを書き足す行為への批判だ。元々の表現意図を無視するものであり、作品への冒涜にあたると受け取られている。
AIによるアップスケーリング技術そのものを否定するわけではないが、今回のように生成AIが独自の解釈でフィルターをかけ、ゲームの世界観や美術設定を勝手に改変してしまうようなアプローチは誰も求めていない、という指摘である。
こうした批判に対し、フアンCEOは「完全に間違っている」と反論した。同氏によれば、DLSS 5はできあがった画面全体にAIフィルターを被せるような単なる「後処理」ではなく、ゲームを構成する3Dモデル(ジオメトリ)やテクスチャの制御を、生成AIと融合させる技術だという。
つまり、AIが勝手にグラフィックを変えるのではなく、開発者自身が自分たちの目指すスタイルに合わせてAIの挙動を微調整できると、同氏は説明している。
さらにフアン氏は、開発者がこのツールを使って「トゥーンシェーダー(アニメ調)」のようにしたり、「すべてがガラスでできている」ような質感にしたりと自由に試すことができると例を挙げ、「すべてはゲーム開発者の直接的なコントロール下にある」と語った。そしてただの生成AIとは異なり、コンテンツの主導権を握れる生成AIであるからこそ、NVIDIAはこれを「ニューラルレンダリング」と呼んでいると説明している。
「DLSS 5」は今年の秋にリリースされる予定だ。開発者自身の手によって本技術がどのようにゲーム内へ落とし込まれていくのか、そしてユーザーの評価がどう変化していくのか、引き続き注目したい。
