本格的な『モンスターハンター』が、スマホで遊べる。
それが、新作アクションゲーム『モンスターハンターアウトランダーズ』(以下、アウトランダーズ)だ。
スマホタイトルでありながら、家庭用機の『モンスターハンター』(以下、モンハン)級のグラフィックと、本作独自のスタイリッシュなアクションを簡単操作で実現している。
さらに、『モンハン』らしい駆け引きや熱い攻防も基本無料で楽しめるというのだから贅沢なタイトルだ。
さて、株式会社カプコン(以下、カプコン)による監修のもと、本作を開発するのは数々のスマホゲームを手がけてきたTiMi Studio Group(以下、TiMi)だ。
国民的アクションゲーム『モンハン』の最新作が、シリーズを20年以上も育ててきたカプコン以外の手から世に送り出されようとしている。
……それって、けっこう勇気がいることなのでは?

その答えを探るべく、筆者は「東京ゲームショウ2026」で本作のプロデューサーを務めるTiMiの黄冬(ホァン・ドン)氏と、『モンスターハンター フロンティア』などでプロデューサーを務めていた砂野 元気氏(以下、砂野氏)に会いに行った。
「外部スタジオに”モンハン”というビッグな看板を任せられた理由」と、「なぜ、ここまで”モンハンらしさ”を担保できているのか」、その監修の仕方も含めて、率直にうかがってみた。
現場では、『モンハン』ファンであるTiMiの面々と、カプコンによる綿密な監修が実施されていたという。
毎日休まず、徹底的なほどに。
そして、今回の取材では本作オリジナルの新古龍「光稜龍ルガ・エアルダ」のクエストにも先行して挑ませてもらった。
モンスターとしては異例の“剣と盾”のようなものを操る。武器を想起させる攻撃を得意とし、まるで騎士のようなその姿は圧巻である。本稿では、先行試遊の様子とあわせて、本作の魅力を紹介させていただきたい。
※記事に掲載されているゲーム画面は開発中のものです。実際のゲームプレイ画面とは異なる場合がございます。
文/TsushimaHiro
編集/柳本マリエ
新古龍「光稜龍ルガ・エアルダ」と対決!剣&盾の騎士風な攻撃スタイル
先行して挑むことができたのは、新古龍「光稜龍ルガ・エアルダ」だ。さっそく挑んでみるが、対策を練らずに特攻したら即座に2回乙った。容赦ないねぇ、先行プレイなのにさ。
「ルガ・エアルダ」の武器は、翼から出現する光り輝く石の“剣”だ。すさまじい勢いで斬りかかってくる。かと思えば、翼を大きく広げて“盾”のように構え、こちらの攻撃を器用に受け止めてくる。
攻めるときは剣、守るときは盾。その暴れっぷりは、まるで中世の騎士のようだ。
……なんか、カッコいいな……。
一挙手一投足から、イケメンの気配を感じる。擬人化されたら確実にイケメンになる。俺にはわかる。
ここまでカッコいいと、こちらもそれに見合った立ち回りを披露しなければ何も釣り合わない。ただ蹂躙されるだけでは、終われなくなってしまったではないか。
とはいえ、用意された試遊時間はわずかだ。
しかも「ルガ・エアルダ」の一撃は強烈で、まともに食らえば、体力ゲージが一気に半分以下まで持っていかれることもある。明確に対策を練らねば、勝てる相手ではない。
『モンハン』でモンスターに勝つために重要なのは、動きや攻撃パターンを見極めて丁寧に対処することだ。必死に見極めてみた結果、この猛攻をしのぐ鍵はふたつであった。
ひとつは、タイミングを見切っての「回避」だ。
『アウトランダーズ』は従来の『モンハン』でいうところのスキル「回避性能」がデフォルトで備わっているような状態で、ある程度のタイミングであればしっかり回避して攻撃を避けられるようになっている。
「回避」が決まると操作キャラが\キラン/と光り、次の攻撃コンボにスムーズにつなげられる。もうひとつは、「ルガ・エアルダ」が“剣”で斬りかかってくる瞬間に攻撃をあわせ、その剣らしき部位を破壊することだ。
これがもう、決まったらハチャメチャに気持ちいいしカッコいい。
俺、今、カッコいいかも!
イケメンの「ルガ・エアルダ」と対等に渡り合えてる!!!……という気分を味わえた。狙いすまして相手の一撃をさばけたときの手ごたえは、まぎれもなく『モンハン』だ。
ここぞというタイミングで攻撃を待ち構え、ひるませ、一気に崩していく。
この読みあいの緊張感とたたみかける爽快感こそ『モンハン』の醍醐味のひとつと言える。
「ルガ・エアルダ」は、そういう『モンハン』らしい体験を楽しめる良いモンスターだった。
『モンハン』ファンである人こそ、正式リリースされた際にはぜひとも挑んでいただきたい。
カプコン徹底監修のもと作られた新作。TiMiの開発陣は『モンハン』好き
──まず、今回試遊させていただいた『アウトランダーズ』で『モンハン』らしさを実現するにあたってどのような工程があったのか、おうかがいさせていただきたいです。本作の開発・運営はTiMi、カプコンは監修ということなのですが、実際にカプコンからTiMiにはどれぐらいのデータやノウハウを共有しているのでしょうか。
砂野氏:
『アウトランダーズ』に関しては、もともと『モンハン』シリーズの『モンスターハンターワールド』のモンスターが登場するのですが、おもに「モデル」を提供しています。
そのうえでTiMiには「このグラフィックを、スマートフォンでどう成立させるか」を開発してもらいました。
──アクションに関してはいかがでしょうか。本作はこれまでの『モンハン』シリーズの蓄積が土台にあるように感じられました。特に『モンスターハンターワイルズ』や『モンスターハンター:ワールド』のテイストを強く感じています。
砂野氏:
そうですね。アクションの部分に関してはそのまま渡すというよりは、TiMiの方で「どういうアクションが良いか」というところをゼロベースから考えていただき、組み上げてもらいました。それを、我々がカプコンとして監修しております。
──ゼロベースから!? アクションに関しても「フルプライスの『モンハン』級」と言っても過言ではない出来栄えだったと感じました。
砂野氏:
我々の監修もそうですけど、まず第一にTiMiの方々が『モンハン』の熱烈なファンということもありますね。クオリティの高さを感じていただけるのも、作品そのものにリスペクトを抱いている方々が作ってくれている点が大きいと思います。
実際に仕上がったアクション性に関しては、彼らの熱意や作り方が影響を及ぼしているのではないでしょうか。
──黄冬さんは、いかがですか?
黄冬氏:
まず、我々はカプコンのサポートに大変感謝しています。『アウトランダーズ』は『モンハン』という非常に優秀で歴史のある狩猟体験とアクションをベースにして制作されています。
その過程において、カプコンからはゲームのデザイン・設定・美術の各方面にいたるまで非常に数えきれないほどの専門的な指導やアドバイスをいただきました。
──世界設定やデザインに関してもカプコンから監修を受けているのですね。
黄冬氏:
はい。私たちはカプコンから多くを学び、多くのものを得ることができました。そして、私たちの制作能力も大きく進歩しました。
現在のテスト環境で作られた製品が皆さんに気に入っていただけて、さらにクローズドベータテストでみなさまが我々の手がける『モンハン』を認めてくれたときは、私たちの努力が報われた瞬間であったと感じています。
ただの『モンハン』になったら意味がない。あたらしいことに挑戦する勇気
──初代から約21年が経ちビッグタイトルとなった『モンハン』ですが、その新作をほかのスタジオに任せるとなると、かなり勇気がいることだと思います。そんな『モンハン』の看板を「預けても大丈夫」とご判断されたいちばんの理由を聞かせていただけますでしょうか。
砂野氏:
そうですね。最初にTiMiさんから「モバイル版の『モンハン』を作らせていただきたい」とお話をいただいたのですが、まず前提としてTiMiさんがモバイル向けのタイトルで十分な実績とノウハウを持つスタジオであることが大きいです。
そのうえで、すごく情熱的なご提案をいただいたんです。その熱量と、もともと我々がTiMiさんに抱いた印象も合わさり、「じゃあ、まずはやってみましょうか」というところからはじまりました。
外部の開発会社にお願いするにあたっては、『モンハン』としての軸を合わせるために長い時間をかけましたね。いまも合わせている部分はありますし、調整はずっとつづけています。
──そのお話はいつごろからはじまったのでしょうか。
砂野氏:
開発が始まったのは2020年ごろですね。この2社で取り組んでいると正式に発表したのは、2022年です。
──『モンハン』の新作を外部の開発会社に任せるにあたって、方向性で揉めたことはございませんでしたか?
砂野氏:
揉めたこと、ですか(笑)。
とくにないですが、我々としては「『モンハン』では、これはやらないよね」という部分は世界設定でも、ゲームプレイやアクションでも違うときは都度「違うよ」とお伝えしてすり合わせていきました。
思い当たるのは、「せっかく作るのであれば、普段の『モンハン』ではできないことをやろう」という議題でしたね。
──普段の『モンハン』ではできないこと?
砂野氏:
はい。「独自の遊びの部分を、磨きあげてほしい」と当初からお話ししていたので、そこをどう作り上げていくか。そこですね。「ただの『モンハン』になったら、意味がないよね」という議論です。
──TiMiの方から「こういうモンハンにしたい」と提案があったということですか?
砂野氏:
そうですね。いろいろとご提案いただくことはあるんですけど、もともと『モンハン』ファンの方もたくさんいらっしゃるなかで、アクションの部分はブラッシュアップしていただいています。
そこにクラフトやサバイバルのような部分をおざなりにせず、本作独自の強み・特徴として磨いていってほしいとお伝えし、その点がとくに議論になりましたね。
──カプコンの監修はどれくらいの細かさで入るのでしょうか。
砂野氏:
これに関しては、おそらくみなさんが思っていらっしゃるより、かなり高頻度に、綿密にやっています。打ち合わせや定例会議みたいなものだけでも、「週に何回やってるんだ」という回数です(笑)。
やり取り自体は、チャットやメールも含めると「打ち合わせしていない日はない」くらいですよ。各現場のメンバーやリーダークラスのメンバーも高頻度にやり取りしています。
黄冬氏:
カプコンに監修していただくなかで、多くのアドバイスをいただきました。多くの場合、彼らの『モンハン』に対する理解や状況に対する予測は正確です。
私たちは大部分において、カプコンの意見やアドバイスをより多く聞き入れる。という形で学ばせていただいています。
──そもそも本格的なアクションが搭載された『モンハン』がスマホで動くこと自体が驚きなのですが、開発する過程で壁などはありましたか?
黄冬氏:
最大の障壁は、まさにそこ一点ですね。「『モンハン』の狩猟体験を、いかにしてスマホで実現するか」です。
この部分については、設計に非常に多くの時間を費やし、何度も改善を行いました。現在の形にいたるまでに自分たちが完璧にできたとは言えませんが、今後もテストを行い、多くのカスタマイズオプションや機能を提供することでご満足いただけるものを提供できると感じています。
さらに、カプコンからの多くのアドバイスのもと、世界中のユーザーからの声も集まりました。引き続き、改善とバージョンアップを実施する予定です。
「ルガ・エアルダ」にはいつ会える?10月29日に本編リリースへ
──今回の試遊体験では古龍「光稜龍ルガ・エアルダ」に挑戦させていただきました。なんとか勝てましたが、容赦ない追撃を得意とする攻撃スタイルでしたね。
砂野氏:
勝てたんですか? すごい!
──本当に、制限時間ギリギリでした。「ルガ・エアルダ」には、実際に本作がリリースされた際にはプレイしたら会えるのでしょうか。
黄冬氏:
それに関しては、もったいぶらせていただきたいと思います(笑)。
一同:
(笑)。
黄冬氏:
というのも、『アウトランダーズ』はまもなく正式リリースの時期に入るからです。10月29日には、中国大陸を除く地域で『モンスターハンターアウトランダーズ』をグローバルに正式リリースします。その際に、プレイ内容もすべて公開されます。
何時間後に「光稜龍」に出会えるのかということも、みなさん自身で体験していただけると思います。
「ルガ・エアルダ」は“剣盾を使うパラディン”モチーフの新古龍

──「ルガ・エアルダ」に関してですが、率直に言うと“めちゃくちゃかっこいい”じゃないですか……。
砂野氏・黄冬氏:
(笑)。
──翼から剣のような突起物を構えて攻撃してくるシーンや、翼を大きく広げて盾のように身を護る姿は、まるで騎士のようにも見えました。イケメンすぎませんか?
砂野氏:
ありがとうございます、うれしいですね。「ルガ・エアルダ」は、まさに「聖騎士(パラディン)」がモチーフになっています。
──聖騎士ですか! そう聞いて、しっくりきました。このあらたな古龍はどのようにしてデザインされたのでしょうか?
黄冬氏:
「ルガ・エアルダ」のコンセプトデザインを設計する段階になったとき、カプコンは「モンスターを設計するときは明確なキーワードを持つべきだ」とおっしゃってくださいました。
そこで、我々は「鎧を身にまとった聖騎士(パラディン)」というコンセプトを選びました。
──光り輝いている点も含め、どこか気品すら漂うモンスターですよね。
黄冬氏:
はい。コンセプトが一度できあがると、「翼の剣」や「盾」、そして尾がモーニングスターのようなデザインになっている点など、多くの特徴が自然とできあがりました。
「聖騎士(パラディン)」というコンセプトは非常に優れており、かつ要点を捉えたカリスマ性のあるデザインだと感じましたし、モンスターを設計するにあたり、我々も多くを学ばせていただきました。
──ストーリーにはどのように関わってくるのでしょうか。
黄冬氏:
「ルガ・エアルダ」は本作の舞台である群島全体で起きている異変と関わっています。この古龍が島でどのような生態をもっているのか、それを探る一連のストーリーが私たちが最初に構築したシナリオです。
──主人公を含む「冒険者」が島の調査をするのですね。

コラボイベントは前向きに
──砂野さんはオンラインゲーム『モンスターハンター フロンティア』でピザハットやアイスの実をはじめ、著名な作品とのコラボレーションを実現したことでも知られていますが、『アウトランダーズ』でもコラボイベントを開催する意思はございますか?
黄冬氏:
現時点で公開できる情報は多くありませんが、「コラボ」は非常に良いアイデアだと思っています。砂野さんが過去に行った多くのコラボレーションの手法は我々が学ぶべき模範であり、真剣に検討していきたいと思っています。
砂野氏:
開発がTiMiなので、我々から「コラボをやろう」と提案するものではないと思うのですが、自身の経験も含めて「方法論としてはありだな」とは思います。
とはいえ、まずは正式リリースに向けてゲームを作ってる最中ですのでそちらを優先しつつ、何かいいものがあればと考えています。
──最後に、本作を楽しみにしている日本のプレイヤーに『アウトランダーズ』のどこに注目してもらいたいか、ぜひメッセージをお願いいたします。
黄冬氏:
『アウトランダーズ』は、まもなく公開されます。「冒険者」というあたらしいアプローチにくわえ、あたらしいエリア、モンスター、メインストーリー、そして新システム。ぜひ楽しんでいただきたいと思います。
本作が、みなさんに気に入っていただけることを願っています。
また『モンハン』は日本の国民的なIPです。だからこそ私たちは、日本のユーザーのみなさんからのフィードバックを、強く……本当に、強く、聞きたいと思っています。
──本当にフィードバックを望んでいることが伝わってきました。
黄冬氏:
はい。みなさんのフィードバックに対して、我々は真剣に向き合うことをお約束します。日本のユーザーのみなさんに『アウトランダーズ』を気に入っていただき、楽しんでいただけるようにしたいです。
砂野氏:
『アウトランダーズ』は、いよいよ正式リリースが近づいてきました。
これまでお話ししてきたとおり、本作は『モンハン』の名を冠する以上「まさにモンハンだ」とみなさんに感じてもらえる部分はしっかりと保っています。
そのうえで、「普段の『モンハン』ではできなかったよね」という部分も、きちんと作り込まれています。要所要所で「これは、あのときの『モンハン』の、あの要素だ」と気づいてもらいながら、それでも“あたらしい体験”になっている。
そういうものを、しっかりお届けできるものにしたいと思っています。これまで複数回のクローズドベータテストを重ねてきましたが、あたらしいことをやっている以上、実際に触られたユーザーさんがどう感じるかがすべてです。
──これからプレイしていただく方にも、ぜひフィードバックをいただきたいですね。
砂野氏:
はい。たくさんのフィードバックをいただいて、それにひとつずつ対応しながらいまに至っています。
正式リリース後もユーザーさんからの声にはしっかり対応していきます。まずは、まぎれもなく『モンハン』でありながら普段の『モンハン』では味わえない体験ができる。
そんな『アウトランダーズ』を、ぜひ試してみてください。(了)
TiMi Studio Groupの開発陣が手がけた『アウトランダーズ』は、従来の『モンハン』の手触りにあらたなアクション・モンスター・クラフト要素・そして新天地に降り立った冒険者のストーリーが楽しめる最新作だった。
これからはスマホで本格的な『モンハン』を楽しめる時代が来るのだと思うと、今から楽しみでならない。
かつて『モンスターハンターポータブル 2nd G』に4000時間以上ハマって遊んでしまった筆者(ハンマー使い)としては、手軽に遊べてしまう『アウトランダーズ』だといくら時間があっても足りないのではないだろうか?どう考えても足りない。
筆者は『モンハン』をこれからも遊びつづけるのだろう。初代『モンハン』に触れたときの感動や、協力プレイの楽しさを教えてくれた原体験はけっして失われることはないのだから。
※記事に掲載されているゲーム画面は開発中のものです。実際のゲームプレイ画面とは異なる場合がございます。













