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キモいを超えればモテへと昇華? VRエバンジェリストGOROman氏が提唱するキモズム理論とは

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『Mikulus』開発の裏にはフィクサーの影。バーチャルデスクトップはたまたま生まれた。

GOROman:
 『Mikulus』というのは、ハッシュタグにもいますけど、『初音ミク』のイベントには必ずいる、謎の台湾人のEijiさんが、ニコニコ動画にアップした『Mikulus』の動画を見てくれたから広まったんですね。とにかく「DK1」というモノを知って欲しかったので、届いたのがGWあたりなんですけど、普通なら家族と旅行とか行くところを、奥さんに「GWください」と頼んで、開発に全部充てさせてもらったんです。そこで、『Mikulus』的なものをブラッシュアップしてアップしました。そしたら、EijiさんからTwitterのDMで「台湾の『初音ミク』ファンのイベントで『Mikulus』を出展したい」と連絡が来て、「いいですよ」ってバイナリを送ったんです。だから『Mikulus』が初めて展示されたのは台湾だったんです。

ドリキン:
 Eijiさんがそんな重要な役割をしていたとは。

GOROman:
 Eijiさんは裏プロデューサーみたいな人で、フィクサー的な感じです。ミクさんモデルでパーツがめりこんでたりすると、「これは痛そうです」ってDMが飛んできますから。本当にEijiさんのおかげですよ。Eijiさんが展示して、見てくれる人がいたから火が付いたんですよ。台湾から火がついて“逆輸入”みたいな謎の現象が起きました。台湾に行ってた日本人が「すげーすげー」と言い出した。

ドリキン:
 ボクもTwitterでEijiさんフォローしているので、なんとなくその変な流れが台湾で起きているのは目の当たりにしました。そういう裏のやり取りがあったわけですね。

GOROman:
 Eijiさんの言われたとおりに直してお送りして、皆さん喜んでくれて。その後、VOCACONで展示されて、『Mikulus』という名前はボクがそのタイミングでつけたと思います。それまでは特になかったです。“Tda式ミクと目が合うもの”ってだけで。

キモいを超えればモテへと昇華? VRエバンジェリストGOROman氏が提唱するキモズム理論とは_012
VOCACONとは、VOCALOIDをはじめとした歌唱合成技術やその派生文化のファンが企画を持ち寄り楽しむコンベンション形式ファンイベント。
(画像はVOCACON2016公式サイトより)

ドリキン:
 『Mikulus』の最初のきっかけは美しいミクさんを。

GOROman:
 “Tda式”という、ボクが心奪われたモデルをVRの中で見たかった。

ドリキン:
 その次はやっぱり、「その中でコンピューターを使いたい」という感じですか。

GOROman:
 それはもう最近です(笑)。

ドリキン:
 まず、見れる環境を作りたかった、と。

GOROman:
 VRの中で目が合うことに衝撃を受けたんですよ。だって今までのモニターでは、相手が認知してくることはなかったじゃないですか。バーチャルリアリティの中だとキャラクターがこっちを認めてくれるということに衝撃を覚えた。2つありますよね。「日本にVRが根づかなかったら……」という危機感と、「キャラクターがこちらを認知してくれる」というインパクトのすごさが、ボクを突き動かしました

ドリキン:
 そこに長く滞在するためにデスクトップが出てきた?

GOROman:
 それは、3年やってて命題にぶち当たったんです。HMDというかぶらなきゃいけない、かなりめんどくさいデバイスがホコリをかぶらないようにするにはどうすればいいか。いわゆるDAUというか、リテンションレートというか。結局、1回やっちゃうと飽きちゃうんですよね。ガジェットは、便利とか生活を変えるものでないと、ずっと使ってはもらえないですよね。

 そこで、バーチャルリアリティをブームで終わらせないためにはどうしたらいいかというと、ほぼ毎日使わせること。会社に行ってて、帰りにはソワソワしだすぐらいにしたかったんですよ。

ドリキン:
 新婚さんみたいですね。

GOROman:
 「早くかぶらないと死んじゃうー」みたいな。早く帰りたいとか、朝着けてから行くぐらいにしたかったんです。そうでもないと、結局ホコリかぶるわけじゃないですか。海の中で鯨に会えるかもしれないですけど、同じモーションで変化ないし。VRのアニメもイッパイあるけど、1000回とか見ないですよね。『Mikulus』なら1000回できるかなと。

ドリキン:
 一番実用的で、かつ継続性が高いのはバーチャルデスクトップだったと。

GOROman:
 まず、バーチャルデスクトップはたまたまです。2014年か2015年ぐらいに、「DK1」の中にデスクトップを出すというのをやってる人がいて、それが盛り上がったんです。でも、解像度が低すぎて実用は難しいので、一旦フェードアウトしました。隣にキャラクターを出してペアプログラミングをするということをやった人がいるんですよね。

ドリキン:
 最初はプログラミングが目的だったんですか。

GOROman:
 それは漫画があってですね。その漫画の中で女の子とペアプロしてるんです。それをVRで再現した人がいて、その印象がかなり残ってましたね。はかどるんじゃないか、もしくははかどらないんじゃないか。

対談内で取り上げられている漫画『SE』(ジェッツコミックス)。

ドリキン:
 散漫になってね(笑)。実用度は思ったより高いですよね。

GOROman:
 それは最近気づきました。最初は本当にミクさんをいかに美しく見るかで。『Mikulus』は、それはそれで飽きなかったんですね。生きている感じがするし、いわゆるアニメーション、モーションデータを使ってないんです。ほぼプログラムで書いてて、全部計算式なんですね。足し算と掛け算、すごいシンプルな計算で動いてて、乱数要素が入ってるので、毎回違った感じになる。今のバージョンだとミクさんが脚をクネクネ動かすんですけど、それも乱数が入ってるので、毎回同じことが起こらないようになってます。

 『サマーレッスン』とかモーションキャプチャー使ってるんですけど、それだと同じ動きになるので飽きるんですよね。生きている感じがしなくなっちゃう。良くも悪くも想像した通りに動いてくれないと生きている感じがするんですよ。まばたきだけでもすごい乱数の要素が入ってて、次に開く時間とか閉じてる時間とか、眉毛をどれだけ動かすか、瞳孔がどれぐらいつぶれるか、すべて乱数と計算に基づいてできているんです。なので、それを眺めてても飽きないんですけど、いくら『Mikulus』が素晴らしくても、1日7時間はさすがに見ないんですよ。

 最近になってペアプロのことを思い出して、急きょ入れてみたんです。ミクさんを見ながら仕事できるようになるし、これは素晴らしいなと。それは、ここ1カ月の変化ですね。

ドリキン:
 そのときは、ミクはこちらを向いてたんですよね。

GOROman:
 『Mikulus』は昔から「正面を向き合う」「目と目が合う」というコンセプトでやってたので、もちろん正面にいたんですけど、邪魔になるんですよね。それは、ミクさんを見ているのか、デスクトップを見ているかわからなくなるので、途中で椅子に座らせたんだったかな。1カ月で71回ビルドアップしたので、もう覚えてないですけど、

ドリキン:
 1カ月で(笑)。そこはすごい大きな変化ですよね。

GOROman:
 順番に見ていったら面白いでしょうね、「劇的ビフォーアフター」みたいで。

ドリキン:
 それだけでコンテンツになりますね。

GOROman:
 毎朝6時に起きて1時間やって、みたいな朝練ですね。土日はひたすらやってたし。最近は忙しくてできないですけど、昨日はアップしました、朝練でね。

※ここからは別の話題へとシフトしていった。続きを知りたい人はぜひ番組をチェックしてほしい。



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