最新ガジェットから話題のツール・サービスまで、一週間分のテック・ガジェットニュースを配信するポッドキャスト「backspace.fm」。テクノロジー系ブロガードリキンとITmedia NEWSチーフキュレーター@mazzoによるトーク、さらに多彩なゲストによる貴重なお話がたっぷりと聞けてしまうという番組だ。
この放送の中から、特に電ファミ読者に読んでほしいゲームに関する内容をピックアップ。テック系ジャーナリストたちによる深くて濃ゆいトークを、書き起こして皆さんにお届け!
2017年1月16日の放送では、テクニカル・ジャーナリストの西川善司氏をお迎えし、1月13日に詳細が発表された任天堂の新型ゲーム機「Nintendo Switch」についての話題が展開された。そのトークを抜粋して紹介しよう。
今回のネタ記事:
西川善司の3DGE:「Nintendo Switch」のプレゼンテーションと体験会で分かったこと,まとめ
(情報元:4Gamer.net)
フォースフィードバック技術
(情報元:アルプス電気)
Immersion v. Sony
(情報元:Wikipedia)
「Splatoon2」プレイレポート。Nintendo Switchでのプレイフィールと,新たなブキ「スプラマニューバー」やスペシャルウェポンをチェックしてきた
(情報元:4Gamer.net)
皆さんはNintendo Switch買いますか?
(情報元:Twitter)
1月13日に開催された「Nintendo Switch」発表会。会場の雰囲気は?
西川善司氏(以下、西川):
ボクは参加してきたので、参加してきたならではの“会場の雰囲気”などの話をすると──任天堂って、東京ゲームショウには絶対参加しないことが有名ですよね。これは任天堂とCESAが仲が悪いからですね。これまでも、任天堂は独自で発表会や体験会を開いてきました。たとえば3DSのときなんかは幕張メッセで、ホールを借り切ってやったりとか。
なので今回も「幕張メッセかな?」と思っていたんですが、オートサロンを幕張メッセでやっていて会場をおさえられないということで、今回は東京ビッグサイトでの開催でした。発表会はほぼ完全招待制で、業界のメディア以外の開発者系だったり、ミドルウェアの会社だったりとか、そういう人たちが集まっていましたね。日本のテレビ局なんかもけっこう来てました。ただボクは招待されないので。とは言いつつ中には入れるんですけど、事情を説明するとね……弱い立場のフリーランサーですから。
ドリキン:
そうなんだ。
西川:
ですから、一応入れますけれどもね。お前なんか知らないよと言われちゃいますから、任天堂さんから。
ドリキン:
反・任天堂派閥だと思われているんじゃないですか?
西川:
そんなことないですよ(笑)。任天堂の広報さんがボクのこと知らないだけなんですよ。たぶん。しばらくすると担当者変わっちゃいますからね。
とにかく、中には普通に入れました。盛り上がっていましたよ、もちろん。人もいっぱい来てましたし、海外の人、東洋人じゃないプレスの方もかなり来ていたので、注目度は世界的に高かったと思いますね。熱気も高かったし、群衆整理とかも非常によくできていて、優等生ならではのイベント運営だったと思います。
「スイッチ」じゃなくて「ミックス」のほうがよかった?
ドリキン:
リスナーさんはここらへん詳しいような気もするけど、「Nintendo Switch」というのは、任天堂の次世代です。これまた話し出すと細かいけど、一応据え置き機だけど、ポータブルでもあるという。3月3日に発売されて、値段が29,980円。税込み32,378円。これ「高っけぇ!」って思ったんだけど。任天堂にしては。
西川:
ですね。いままでの歴史で振り返ると、だいたいアメリカドルでいうところの、250ドルラインというので抑えてきていましたからね。「Wii」も250ドルでしたね。それで、「Wii U」が32GBモデルと8GBモデルの2つがあって、8GBモデルが確か250ドル付近でしたよね。で、32GBモデルが300ドルだったと思うので、その意味では、32GBモデルの「Wii U」と同じ初期設定価格ということですね。ただちょっと分が悪いのは、いま「PS4」が300ドルですから。
ドリキン:
そうですね。そうすると、ちょっと割高には感じてしまいますね。任天堂といえば、「一段安くお手軽に買えます」っていうイメージだったので。
ボクは直接見ていなくて、ストリーミングを見ているだけだから、善司さんと比べて的外れなことが多いかもしれないですけど──個人的には相変わらず、すごくよくできているんですけど、世の中の“ゲームしたい層”のバイオリズムってあるじゃないですか、好みが。ソーシャルゲームに行ったり、コンソールゲームに行ったり、すごいハイグラフィックスに行ったり、カジュアルゲームに行ったりという。ゲームをやる人たちの中にもそういうものがある中で、任天堂は、いままでそのバイオリズムの頂点をうまく見極めて、うまく当ててきた感じがしたんだけど、どこかでそのボタンをひとつ掛け違えたのか、今回はちょっとバイオリズムがズレているような感じがします。
これはボクの直感なので全然アテにならないんですけど──発表を見たらね、冒頭で過去の任天堂ハードを全部詰めてこの一個に凝縮しましたという、ミックスした、全部盛りみたいな。あれは松尾さんが言っていたんでしたっけ? 「Switchじゃなくてミックスにした方がいいんじゃないか?」みたいな話で我々は盛り上がっていたんですけど(笑)。
印象としてはそういう感じなんだけど、いまってけっこう、1つのことに尖ったデバイスの方がウケるのかな、と。全部盛りがウケる時代もあるんだけど、尖っているものがウケる時代もあって、いまは尖り気味のモードなんじゃないかな。と、ボク自身が感じていたから、そういう意味では、買わないかなとボクは思いました。
西川:
基本、買わないんだ。
西川氏が実際に触ってみた感想は?
ドリキン:
ボクはまだ欲しくはなってないですね。正直。まだ全部が出てきてはいないから何とも言えないけど。触ってみた善司さん的にはどうですか?
西川:
まず、重さに関していうと、そこそこ画面もデカいから、「わぁ、軽い!」ってことにはならないんだけど、ものが大きいから、全体の重量が重くても、サイズがあると重さ密度的に軽く感じるみたいな、そんな理論があるんですけど、画面が6.2インチもあるので、持ってみてあまり重くは感じなかったです。
ただ、これはヤバイと思ったことが1つだけあって。ボクは『Splatoon2』をやったんですけど──これは「3DS」のときにも同じことを思ったんですけど──あれはジャイロ対応しているじゃないですか。『Splatoon2』なんて、狙いを定めるために画面を動かさないといけないので、それを考えると、画面を持ったまま動かすと画面が見えなくなるんですよ、当たり前ですけど。
“超”動体視力が良くて、画面の動きに合わせて目を動かせる人はいいんですけど、そうじゃない限りは画面を動かすと画面がブレて見えなくなるんですよ。今回の展示版はジャイロを切れなかったので、もし切れるなら、プレイ感覚は“画面の大きいポータブル機”、という感じになりそうですね。
@mazzo:
それはウチで取材した記者が言っていましたね。
ドリキン:
子どもにやらせたら乱視になるんじゃない? これは根拠ないんですけど、ボクは視力は悪くないんですけど、乱視がすごく強いんですよ。一応お医者さんに「なんでですかね?」っていうことを聞いたときに、ボクはすごい小学校の頃から通学が遠くて、ずーっと歩きながらマンガ読んでたんですけど、「それがいけないんじゃないの?」って言われたんですよ(笑)。それからボクは、見ている対象物を揺れながら見ていると乱視になるんじゃないかっていう説を唱えてます。
なので、根拠はないけど心配になっちゃう。ちなみに、携帯モードにするときに、液晶の両端にコントローラーを付けますけど、これは簡単に取れたりはしないんですか?
西川:
カチッとロックされますね。
「Nintendo Switch」は子ども向きなのか、大人向きなのか?
ドリキン:
「3DS」の良いところって、チープな所もあるじゃないですか。チープっていうとネガティブな言い方になってしまいますけど。おもちゃっぽいというか、ちょっとぐらい投げても蹴っ飛ばしても大丈夫、みたいな。そこが子どもに渡しても安心できてウケている面があると思うんですけど、これは子どもが雑に扱ったら簡単に壊れるんじゃないかとか、コントローラーがなくなるんじゃないか? っていう心配が。最初のコンセプトを見たときから思っていて、子ども向きじゃないな、と。ただ、ボクら向けだとしたらスペックがなぁ。というようなことを考えていました。
西川:
コントローラーは、仮にそこだけ壊れちゃっても、そこは単品売りするでしょ。
ドリキン:
そうだけど、だから良いっていう問題ではないと思います。
西川:
もうちょっと頑丈にしてほしいってこと?
ドリキン:
そうそう。あまりこういう可動部分がない方が、子ども向けとしてはいいんじゃないかなと思います。
西川:
あー、脱着部分からダメになっていくだろうと。
ドリキン:
そうです。
西川:
なるほどね。
ドリキン:
絶対コントローラーをなくして、タンスの下とかから3年後に発掘されるでしょ(笑)。
西川:
たしかに小さいからね、今回のは。分割コントローラーみたいな感じなので。
十字キーがなくなってショック!だけど……
ドリキン:
あとは個人的に衝撃的だったのは、十字キーがなくなったことですね。
西川:
あぁ、左側は十字キーと同じような役割ではあるんだけど、独立ボタンになっちゃった感じですね。
ドリキン:
十字で操作するというよりは、十字のボタンアサインですよね。
西川:
8方向じゃなくて、4方向になっちゃった感じですよね。
ドリキン:
任天堂しかあの十字キーは作れないわけじゃないですか。ほかのメーカーは十字キーもどきで苦労してきたわけで。もう特許は終わったんでしたっけ?
@mazzo:
終わっていたような気がします。
ドリキン:
まぁいまどき、さすがにキー移動として使われないんだろうとは思いますけど。
西川:
多分そこに未練はなかったんでしょうね。アナログスティックがあるから、スティック操作はアナログでってことで。
ドリキン:
そうなんだけど、そうなるともうファミコンの要素を残してないじゃん。っていう心の中で意地悪なツッコミを入れてました(笑)。ただ、これは左右のコントローラーが対称になっていて、切り離すとちゃんとAコン、Bコンになって、片方ずつでも、さっき言った十字キーに相当する、ひし形に配置されたボタンがお互いにあるから、2つのコントローラーになるのは、これは会議室で盛り上がったんだろうなと(笑)。
@mazzo:
「Oculus Touch」っぽいですよね。
西川:
確かに。それぞれがモーションコントローラーになるっていうのはね。