発表会直後、任天堂の株価が下がってしまったのはナゼ?
ドリキン:
とは思ったけど、どうなんだろう。リスナーの皆さんは、印象はどうだったんだろう。なんか盛り上がってるけど、株価は下がっているじゃないですか。
松尾:
それはさっき言っていた価格の問題。29,980円っていうのが、25,000円を期待していたっていうことに対する、裏切りみたいなものと、ラインナップが十分じゃないということがあったみたいで。発表直後からダダ下がりでした。
西川:
少なくとも、売りとなる『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』が、結局「Wii U」版も出るわけでしょ。予告通りなので当たり前ですが。任天堂のゲーム機って、性能で買うんじゃなくて、コンテンツで買うっていうところなので、『ゼルダ』で売りたいとするならば、これはみんながすでに持っている「Wii U」でも遊べるということなので、確かに弱いよね。『スーパーマリオ オデッセイ』は冬で、『Splatoon2』は夏。それ以外の、『ベラボーマン』みたいな、腕が伸びるボクシングの『ARMS』とか、『1-2-Switch』っていう、画面を使わないパーティーゲームみたいな、ああいうのは比較的早く出てくるんだろうけど、コンテンツが弱いというのは確かにありますね。
「Nintendo Switch」のHD振動は、アルプス電子社製?
ドリキン:
HD振動はどうですか? “Apple脳”的には「ハプティックエンジン」【※】を想像するんですが。
※「iPhone」や「Macbook」などに搭載されている“触覚”を主とするユーザーインターフェース。微小なモーターを回転させて振動を発生し、フォースフィードバックを行う
西川:
あれはね、ボクが今回遊んだゲームは『Splatoon2』と『ARMS』、『ゼルダ』で、『ゼルダ』は1人20分くらい遊べるんですよ。なので、全部を遊ぶのは難しくて。
『マリオ』は遊べず、あとはクラシックアーケードみたいな『スーパーボンバーマン R』だったり、『ウルトラストリートファイターIIザ・ファイナルチャレンジャーズ』だったり。ああいうちょっと小ぶりのゲームコーナーでいくつか遊んだぐらいだったので、その中ではHD振動を効果的に使っていたタイトルはなくて、普通にアクションのフィードバック的な使い方しかなかったです。
なので、あまり“ハプティック”という、いわゆる触覚学的な応用例っていうのは、ボクは体験できませんでしたね。
ドリキン:
じゃあ、そこは乞うご期待、ということで。
西川:
デモンストレーションでは、水が入るような感覚、氷が当たるような感覚っていうのがあって。ボクの記事にも書いているんですけど、ハプティックというキーワードを出してきたのと、複数のオブジェクトが当たったりとか、疑似的な重さを感じるという表現を聞いた途端に、ボクはアルプス電子の「ハプティックリアクタ」というものを思い出したんです。それが、去年のCEATECで、突然アルプス電気が、ハプティック振動素子というものを、ブースをすごい広く割いてデモンストレーションしていたんですよ。その中で、今回「Nintendo Switch」がアピールしている表現と同じものが体験できたので、アルプス電気と任天堂って、「DS」の振動パックだとか、「ゲームキューブ」以前からの振動パックの振動素子は、すべてアルプス電気のものなので、もしかするとアルプス電気の「ハプティックリアクタ」が使われているのかな? と思って記事に書いたんですよ。
あの体験が「Nintendo Switch」のものだとすれば、相当なものですよ。
ドリキン:
それはスゴイですね。善司さんじゃないと書けないような情報ですね。
西川:
ボクがこれから話す体験はアルプス電気の「ハプティックリアクタ」の話なんですが、この「ハプティックリアクタ」の応用先にゲームコントローラーって書いてあるんですよ。なので、7割くらいの確率で正解なんじゃないかなと思っているんですけど、違ったらごめんなさい。
そのときの体験の話をすると、本当にね、水が注がれてくると、重さは変わってないのに、重くなってくるような感覚になるんですよ。これは人間の錯覚で、上下にしか振動しなかったとしても、1方向に不均等な振動を与えると、人間は触感として、疑似的な重さを感じるっていう現象があるんですけど、それを使ってるんです。
それが「ハプティックリアクタ」の機能の1つなんだけど、もう1つは、いままでの振動素子って、モーターに重りがついていて、それが偏心運動して、ブルブルするっていう。これが携帯電話などの振動ですよね。それがコントローラーに入っているのが、ゲーム機の振動で、いまの「Xbox One」の振動は、重りの大きさを変えた振動素子が複数入っているんですよ。だからステレオの表現ができるって言われているんですけど。振動が右に行ったり左に行ったり。それはモーターをいっぱい入れて実現しているんですが、今回の「ハプティックリアクタ」に関していうと、たった1個の素子で複数の周波数の振動が出せるんですよ。しかもミックスされたものが。ピアノでいうところの和音のようなものですね。それが特徴なんです。
だから、ボクがアルプス電気で体験したデモは「持っている振動素子の中で、大きなボールと小さなボールがぶつかりあっている」という体験をしたんですけど、まるで中に生き物が住んで暴れているような感じが体験できたりして、それがそのまま「Nintendo Switch」に入っているものだと仮定すると、けっこう楽しいものですよ。
「Xbox One」のコントローラーもスゴイんです
ドリキン:
ちょっと前に言ったかもしれないんですけど、ボクは「Xbox One」のコントローラーですら、けっこう感動したんですよ。
西川:
あれスゴイよね。
ドリキン:
それで、この発表ではそこに一番惹かれたぐらいで、さらにその先になるんだったら、けっこう面白い表現ができるんじゃないかなと思いました。
西川:
ですね。
ドリキン:
「Xbox One」でも、いままでのコントローラーの“ただのブルブル”とは全然違った体験が実現できていたので。
西川:
「Xbox One」のコントローラーはナニ気にスゴイんだけど、日本で「Xbox One」が全然売れてないから、あのコントローラーのスゴさを誰も知らないっていうね。
ドリキン:
「Xbox」は昔からコントローラーがスゴくよくできているんだけど、まったく評価されていないですよね。
西川:
そうね、まぁね。
ドリキン:
「Xbox One」でアホみたいに高いコントローラーを出しているじゃないですか。
西川:
カスタマイズできるやつね。
ドリキン:
そうそう。あれが、マイクロソフトストアに行くたびに、ちょっと欲しいなと思うんだけど、すっげぇ重い(笑)。ボクの場合「Oculus」とかでも使えるから。ただ、さすがにゴツさと重さと値段に腰が引けて買わないんですけど。あれはけっこうスゴイから。それ以上だと考えると、そこはちょっとこのコントローラーが気にはなったけど。
コントローラーの振動に関する、パテント・トロール問題
西川:
まぁね。任天堂とアルプス電気の蜜月関係は、PS3の時代に深まったという俗説もあるよね。
PS3のデュアルショック3がさ、デュアルショック3って名前なのに振動が入ってなかったでしょ【※】。2006年の発売当初のコントローラーには。あれはイマージョンという会社との特許問題で、ソニーが訴えられて、特許違反の関係で振動が入れられなかったんだよね。そのあとに、アメリカのパテント・トロール裁判事件の定番だけど、イマージョンが勝訴して、強烈な賠償金をソニーが払うことになったんですよ。
で、同じ素子を使っている任天堂はどうなのさ? ということに関心が行ったんだけど、それはアルプス電気のものを使っていて、特許に触れなかったので、任天堂はなんともなかったんだよね。アルプス電気は特許を回避していたというよりは、特許料をちゃんと払っていたのか、契約時にイマージョンとの優位な契約をしていたのか、そこはわからないんだけど、とりあえず任天堂は裁判ではまったく蚊帳の外でいられたので、というのがあるんですよね。アルプス電気ありがとう。みたいなね。
※編集部注:
PS3用の振動機能がないコントローラーはSIXAXISであり、デュアルショック3には振動機能があります。(2月2日18:00追記)
ドリキン:
トリビアですね(笑)。
西川:
というわけで、今回もそうなのかな? というだけなんですけどね。その辺の話はアルプス電気も話してくれないし、任天堂も話してくれないので、豆知識的に記事に入れといたので、読んでくださいというところですね。
「Nintendo Switch」のテクスチャの解像度はちょっと低め?
ドリキン:
あとは善司記事というよりは、善司さんがプレイしている動画が張られている記事。
西川:
ガチでやっちゃいましたよ(笑)。
ドリキン:
プロゲーマー西川善司としてね(笑)。
西川:
『Splatoon』をやったのは半年ぶりだったんですけどね(笑)。リーダーボードで常にトップでしたね。ゲーマーだからね。
ドリキン:
この記事は『Splatoon2』で、善司さんの記事の中で『ゼルダ』について書いてるけど。
西川:
『ゼルダ』と『ARMS』をプレイ中の動画も4Gamerのスタッフは撮っていてくれたんだけど、もしかしたらこの後出てくるのかもしれないね。
ドリキン:
まぁ、スペック厨が任天堂を語るなと言われちゃえばそれまでなんだけど、さすがにこの『ゼルダ』がフルHDにも満たず、フレームレートも60フレームに満たずというのは、フラグシップ据え置き機としては、ちょっとどうなんだろう? と思ってしまうんですが、あまり気にならない感じでしたか?
西川:
大前提の話として、「1600×900って誰から聞いたんだ?」って話ですけど──ボクは全然知らなかったんですけど、噂レベルでリーク情報が流れていたんですってね。ぶっちゃけて言うと、ボクは任天堂関係者から聞きました。なので、間違いない情報だと思います。
で、それを大前提として言っておくと、1600×900の900pでしたね。こう言っちゃうとアレですけど、PS4のゲームでも900pくらいのやつとか、30fpsのやつあるよね。
ドリキン:
まぁ、そうですね。
西川:
たとえば『アンチャーテッド』とか。まぁ、グラフィックのクオリティが全然違うっていうのはあるので、『アンチャーテッド』と比べるなよっていう話かもしれないですけど。
だから、フレームレートと解像度だけで行ったら、「PS4」だって900pの30fpsはあるよっていうことなんだけど、そうはいっても、ボクはプレイ中、テレビとの距離が20cm、30cmくらいの近距離で遊んでたんです。テクスチャの品質とか、法線マップのハイライトの具合とかを観察するために。それで、テクスチャの解像度はちょっと低めかなとボクは思いましたね。
ドリキン:
これはメインメモリどのくらい積んでるのかとかって、出てないんですかね。
西川:
出てないね。ストレージだけ32GBっていう感じだね。
ドリキン:
でも、32GBに収まるようなゲームのテクスチャだと、その時点でテクスチャもそんなにね。
西川:
全部のゲームがイロイロ入って、32GBっていうことは、いわゆるタブレットとかと同じストレージ容量ってことだよね。
ドリキン:
「PS4」の『FF15』とか落としたら、ゲーム1個で30GBぐらい余裕であるわけじゃないですか。
西川:
そう。それで、「PS4」は500GBのハードディスクが入っているので、それはイロイロなコンテンツをダウンロードして、500GB。そこで「Nintendo Switch」はイロイロなコンテンツをダウンロードして32GBっていうことで、考え方からすると、自ずとメインメモリが……。
ドリキン:
見えてきますよね。
西川:
たとえば12GBのメインメモリがあるとは思えないよね。ありえないことから言っていくと。
ドリキン:
8GBもないんじゃないかなと思いますけどね。
西川:
鋭いですね。「PS4」は「Xbox One」を超えていることはないと思うので、そうなると、あのぐらいかな? という数字は見えてきますけど。ちょっといまは言わないでおきましょうかね。
ドリキン:
ともあれ、メモリはいいんですけど、『ゼルダ』であれば30fpsは気にならないとは思うんですけど。
西川:
ゲームプレイで、「あー、fps低いな」と感じたことはなかったです。ただ、法線マップとか、テクスチャの解像度はちょっと低く感じたのと、今回印象的なシーンで、膝くらいまでの短めの草がたくさん生えている草原を走ったりするところがあるんです。何が言いたいかと言えば、線分表現がけっこう多いわけですよ。あれのジャギー感がちょっと気になったかなってのがあるかなぁ。
ドリキン:
解像度の方がちょっと気になる。
西川:
そうですね、全体的に解像度が。アンチエイリアスが全然入ってないんですよ。あらゆる場所にアンチエイリアスが入ってなくて、そこが気になりました。さらに、画面でプレイすると720pになっちゃうし、さらに画面が6.2インチでしょ。ただ、そうすると、逆に携帯モードでプレイした方がキレイに見えるんですよ。
ドリキン:
それがまさに、この間のボクの“YouTube画質こだわり問題”。ボクはムダにこだわっているっていう話を議論したときも、結局「iPhone」とかで見てたら、いまどきのYouTubeの画質なんて、そうとうキレイなんですよ。720pとかを、40インチ以上のテレビで見たときは、やっぱりフルHDとの差が明らかなんですけど。
西川:
そうそう。同じ現象が起きてますよね。
ドリキン:
ですよね。でも720pを6インチとか、7インチ以下のモニターで見ても、もうわかんないじゃないですか。
西川:
むしろ画素密度が上がるので、キレイに見えるくらいですよね。人間の視覚細胞との密度の対比から考えてもね。
ドリキン:
そう考えると、ちょっと伸び代が……。だから、携帯ゲーム機だよって言った方がよかったんじゃないかっていう。
西川:
そこね。
ドリキン:
携帯ゲーム機だけどテレビにも出せるよ。って言った方が。