4月27日は『ファイナルファンタジーIII』が発売された日だ。
1990年4月27日にスクウェア(現・スクウェア・エニックス)から発売されたファミコン用ソフト『ファイナルファンタジーIII』は、2024年現在もなおシリーズが続いている超人気RPGの第3弾であり、ファミコンで最後に登場した『FF』でもある。
本作ではクリスタルに選ばれた4人の少年たちが、世界を覆う闇を振り払い、光を取り戻す冒険に旅立つことになる。
『FFIII』はシリーズで初めて、ジョブチェンジのシステムが導入された作品だ。ジョブ(職業)の概念は『FF』第1作目にも存在したが、ゲーム開始時に職業を選択した後は転職できなかった。一方、『FFIII』では物語を進めることで新たなジョブを入手でき、「キャパシティ」と呼ばれるポイントを使用することで自由に変更できる。これにより状況に応じて有利な攻撃や魔法、アビリティを使用できるジョブに切り替えていく戦略を楽しむことができる。
主人公たち4人の初期ジョブは「たまねぎ剣士」となっており、魔法も使えず成長もほとんどしない最弱クラスのジョブだが、じつはレベル99まで育てることで最強の性能となる。この「たまねぎ剣士」は、『FF』シリーズのスピンオフタイトルである『ディシディア ファイナルファンタジー』でオニオンナイトとして登場するなど、『FFIII』を象徴するジョブとしてさまざまな作品に引用されている。
さらに、召喚獣を呼び出して敵に強力な攻撃を行う召喚魔法が『FF』シリーズに導入されたのも、『FFIII』が初だ。シヴァやラムウ、イフリートといったシリーズでおなじみの召喚獣たちが、この『FFIII』の時点ですでに登場している。
なお『FFIII』は、強力な敵の登場するラストダンジョンが延々と続き、しかも途中にセーブポイントがないということも語りぐさになっている。この点はニンテンドーDS以降の3Dリメイク版『FFIII』や、ピクセルリマスター版『FFIII』では、中断セーブやオートセーブなどで緩和されている。
『FFIII』は発売当時、シリーズ初のミリオンセラーとなる高い人気を獲得した。ところが、ファミコンやスーパーファミコンで登場した『FFVI』以前のシリーズ作がワンダースワンや初代PlayStation、ゲームボーイアドバンスに移植されたのに対して、『FFIII』の他機種への移植は実現されず、一時はオリジナルのファミコン版だけでしかプレイできない作品となっていた。
ファミコン版の発売から16年後の2006年に、ついにニンテンドーDSで『FFIII』が登場。こちらは画面がフル3D表示となり、主人公4人に明確なキャラクター設定が行われるなど、大幅なリメイクが行われていた。
その後、2009年にWiiのバーチャルコンソール、2014年のWii Uとニンテンドー3DSのバーチャルコンソールでファミコン版『FFIII』が登場している。また2016年に発売された小型ゲーム機「ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータ」にも、『FFIII』が収録されている。
ファミコン版『FFIII』の移植がようやく実現した一方で、『ファイナルファンタジーIII (3D REMAKE)』も2011年にiOS、2012年にはAndroidやPSP、さらに後にはPC(Steam)と、幅広く移植されている。
また、『FF』シリーズ初期6作品を2Dドット絵でリメイクする「ファイナルファンタジー ピクセルリマスター」により、美しく生まれ変わった『FFIII』が2021年にスマートフォンやPC(Steam)で、2023年にPS4とSwitchで登場している。ピクセルリマスター版『FFIII』については、詳しくはこちらの記事でチェックしてほしい。
前述のとおり、一時は『FF』シリーズの中でも幻の名作となっていた『FFIII』だが、現在では2Dと3Dという2つのリメイクによって、その魅力を満喫することができる。興味のある方は自分の好みに応じて、ぜひプレイしてみてほしい。