ユーモアとシリアスが混在している強みがあるからこそ“どんぎつね”も実現した?
──『FFVIIリバース』をプレイして、もうひとつ感じたことにイベントやストーリーの温度差が激しいというのがありました。たとえば、オリジナルとは多少違っているイベントですが、ある凄くシリアスな会話のやり取りのあと、空気を読まない勢いで変なボスが乱入してくるとか……。あの辺りは最初から狙っていたのでしょうか。
浜口氏:
狙っている部分もありますけど、シナリオ担当の野島(一成)さん自身が緩急として作った部分が台本にあるんですね。それをゲームへと組み込んでいった結果、自然と緩急が出来上がったという所もあります。
ただ、ライターさんの書く台本はあくまでも文字ベースで、ゲームの体験やボリューム感があまり見えない状態で書かれるんですね。それを実際に繋げた時、全体的なメリハリのバランスが良くない場合も多々あったりするんですよ。そういう時はストーリーを足してもらったり、逆にカットしたり、少しズラしてもらうといったことをして調整するんです。
あと、ユーモアとシリアスが混在しているというのは、オリジナルの『ファイナルファンタジーVII』からの売りだと思うんですよね。先ほど「The Game Awards」の話がありましたけど、あそこで『ウィッチャー4』が発表されたじゃないですか。あの『ウィッチャー4』からすると、まずあり得ない演出だと思うんですよ(笑)。
──たしかに『ウィッチャー』だとあり得ない手法です(笑)。
浜口氏:
ただ、『ファイナルファンタジーVII』はそういう世界観や表現が認められていますので、緩急の中にそういったものを溶け込ませるというのはある意味、狙ってやっているんです。
たとえばゴールドソーサーにはシリアスな展開がありますけど、その前のコスタ・デル・ソルでは温泉街みたいなゲームをやったりとか。ある程度、ユルさを置いてシリアスを引き立てる、みたいなことはゲーム全体を見ながらバランスを取ってやっていますね。
コスタ~!✨🌺🌺🌺#海の日 を極上のリゾートで心ゆくまでお楽しみください🏖️🏝️🍹🏄#FF7R #FF7リバース pic.twitter.com/yV4ScPXecs
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──コスタ・デル・ソルのその辺のネタでは“パラソル”も印象的でしたね。
浜口氏:
あれは明確に『クライシス コア -ファイナルファンタジーVII-』のオマージュとして狙っています。ああいった細かいネタはディレクションする側からではなくて、現場のスタッフから出てくるんですよ。
パラソルもあの辺りを担当しているシナリオライターが「どうしてもパラソルを出したい!」って言って、「面白いからいいんじゃない?」となって、割とそのまま採用されてしまうんです。連携技でエアリスがサングラスを付けるというのもそうですね。
私は今、40代ですが、その辺りの世代のクリエイターやユーザーにとって『ファイナルファンタジーVII』は思い出として深く残っていて、知っているがゆえにファンベースで喜ばれることが分かった上でネタを結構出してくれるんです。そういう「面白ければ拾っていく」スタイルなのがパンチとして効いているのかなと思います。
──もしかして、そのスタイルだからこそ、PS5版の発売前に騒然となった「どん兵衛」のCMも実現されたのでしょうか(笑)。セフィロスがあのような姿になってしまって、スタッフの方々はどんな反応だったのかが凄く気になったのですが。
浜口氏:
現場のみんなは乗り気でしたよ(笑)。あの企画自体は日清さんが主導されていて、いくつかの案がプロットとしてあがってきた中で、セフィロスが選ばれました。
映像についてはゲーム内のカットシーンを作っている部隊が稼働しまして、ディレクターは日清さんの方に立ててもらっています。それで映像を作ってはチェックするという結構面白い体制で作っていきました。
──あれってデザイン担当の野村(哲也)さん的にもOKだったんですか……?
浜口氏:
キャラクター的にいいかというのは、一番最初に野村に確認しました。元々、セフィロスもクラウドも野村デザインのキャラクターですからね。そこで「いいんじゃない?」と確認が取れれば、あとはもう現場の方で進めちゃうという感じです。
あのようなコマーシャルのような一般で使われる映像素材の制作というのは、ゲームの現場だと関わる機会がないんですよ。それもあって、担当していたチームは結構、喜んでやっていた感じはありますね。
──貴重な経験だったのですね……。あと、ちょっとだけストーリーにおけるオリジナルからの変更点について伺いたい部分があるのですが、後半にヴィンセント(ヴィンセント・ヴァレンタイン)がパーティに同行するじゃないですか。その参加の過程と彼自身が自称警備員を名乗るといった違いがありましたが、あの変更点はどんな狙いからだったのでしょうか。
浜口氏:
それに関してはユフィもですけど、オリジナルだと仲間にするのは任意だったじゃないですか。また、当時のストーリー的にも居なくてごまかせる表現ができるのですけど、今の時代の表現だと居る時と居ない時との整合性を取ることが難しいんです。
なので、今回はユフィもヴィンセントもちゃんとメインストーリーに組み込んで、必ず参加するキャラクターにしようというのが、このリメイクプロジェクトが走り始めた段階で決まっていました。その方が作りやすく、ユーザーにとってもいいものになるだろうと考えたからです。
あと、ヴィンセントについては設定を変えたというよりは、リアリティを持たせるため、納得感を出すための肉付けというイメージですね。
北瀬氏:
そうですね、特にオリジナルから変更されたという印象はないです。元タークスという設定はそのままに、肉付けをしたような感じとなります。
浜口氏:
設定が変わったというよりはリアリティを出すための補強なんです。我々としてはだいたい、そのような意味合いで捉えているんですよ。
ヴィンセントと神羅屋敷🏚️#FF7 #FF7R #FF7リバース pic.twitter.com/dSftACWSbk
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気になる膨大なミニゲームが作られた制作体制と、次回作におけるアプローチとは
──現場からさまざまなネタが出てくるとありましたが、本編にもの凄い量のミニゲームが用意されているじゃないですか。ミニゲームに関しては、どのような体制で制作されていたんでしょうか??
浜口氏:
ミニゲームに関しては専用のチームが組まれたりはせず、基本的にメイン作業を持つメンバーが1個ぐらいミニゲームも持とう、という感じで担当していたんです。
例えば、カードゲームの『クイーンズ・ブラッド』を担当したのはイベント班のボス戦を作っているプランナーなんですよ。中にはミニゲームに特化したプランナーも居たんですけど、ほとんどがメイン作業を持っていて、兼業としてミニゲームをやるという体制でやっていました。
【ミニゲーム】
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原作から大人気のあれも、今作から新たに追加されたこれも。 #FF7リバース で楽しめるミニゲームにご期待ください!
モーグリ・コープ💫モーグリの子供たちを家に帰すチャレンジ
ピアノ演奏🎹ピアノを弾いて遊べるリズムゲーム
クイーンズブラッド🃏戦略思考型カードゲーム#FF7R
──ちなみに、製品版に収録されずに終わったミニゲームはあったりしたのでしょうか。
浜口氏:
いえ、基本的にミニゲームって先行して作っていないんですよ。最初にここでメインストーリー、ここでミニゲームをやるというゲーム全体の構成と枠を決めて、そこにどんなミニゲームを当てはめるかといった感じで企画していったんです。なので、作ったけど入らなかったみたいなものは特にないんです。
当然、企画してみたけど面白くないから途中で方向性を変えたり、リセットしたものはありします。けど、基本的には作ったものは全部入れたという感じですので、その認識で間違ってはいないです。
──なるほど……。そのミニゲームでも特に評価の高い『クイーンズ・ブラッド』は、浜口さんご自身、拡張に前向きとのコメントが海外かどこかのインタビューでありましたが、何かアップデートが計画されていたりするのでしょうか。
浜口氏:
現時点でそのような計画は予定していません。よくユーザーから言われるのが、「スマートフォンアプリとして出してくれませんか?」ということなんですけど、我々としては今は三部作目の制作に注力したいんですね。なので、『クイーンズ・ブラッド』というIPを使った別のアプリを作ることについては今の時点では考えていません。
ただ、三部作目に『クイーンズ・ブラッド』を組み込むことについては非常に前向きに考えています。ただ、前作のをそのまま組み込むのではなくて、三部作目ならではのアレンジが加わった組み込み方をしたいと思っていまして、その拡張に注力しているというのが実のところではありますね。
──なるほど、三部作目に新たな形で収録される可能性があると……。三部作目については、ミニゲームの総量についても見直しが入ると浜口さんがコメントされていたのを目にしたことがあるのですが。
浜口氏:
それについては、実は若干違ったニュアンスで伝わってしまっているんですよ。いい機会なので、ぜひコメントさせてください。
海外のインタビューで、「ミニゲームが多すぎるというネガティブな声に対してどう考えますか?」という質問で、答えとしては「ミニゲームが多くて大変でした」という声が出るのは致し方ない、と言ったんです。
オープンワールドのゲームは、比較的、ゲームシステムの中で完結する要素で構成されていることが結構多いんですね。拠点があったらステルスしながら近づいていき、制圧できればクリアみたいなルールが全編に渡って展開されるのが一般的ではあるんです。
ただ、『FFVIIリバース』に関しては、オープンワールドタイプだけど、ゲームの進行に応じてどんどんワールドマップが拡張されていくタイプなので、新しいエリアが開いたとき、さっき行ったエリアのミニゲームと同じものがあるだけだとワクワク感が出てこなくなるんですね。
だからこそ、新しいエリアに行くと、新しいミニゲームがあるという新鮮さをユーザーに届けたいことから、今回は色んなミニゲームが収録されたんです。なので、多すぎるとの声が出るのも含めて「狙った通りです」と。
──一部で不満の声があがるのは覚悟の上で詰め込んだ、ということなのですね。
浜口氏:
ただ、そこから先が違うニュアンスで伝わってしまっていて……。今回の『FFVIIリバース』として見た時に、ミニゲームを散りばめるというフォーマットは、ひとつのやり方として、私個人としてはいいやり方だったと思っているんです。
ところが、三部作目でまたそれをやってしまうと「同じ体験」になってしまって、ユーザーにとっての新鮮味がなくなってしまうんですね。では、どのような試みをするのかは、今、ゲームデザインをしている最中ですのでお待ちいただきたい、と。
ミニゲームが三部作目で著しく減るようなことは全く予定していません。二部作目とは同じ手法ではなくて、何かしら変化を入れるつもりです、ということをコメントしたんですが、それが翻訳の過程で「三部作目ではミニゲームは減る」みたいな変な伝わり方をしてしまったんです。
それもあって、ユーザーからも「減らさないで!」と言われたりしました。ですので、あくまでもアプローチが変わる可能性があると、ぜひこの機会に伝えさせてください。
──承知いたしました……!正直、三部作目でミニゲームが減るかもしれないとの情報を見た時、個人的に「ビンタのアレはどうなっちゃうんだ?」って心配になったんですよね。
浜口氏:
そこはユーザーの皆さんからも「残してほしい!」と、結構言われています(笑)。それについては、「非常にいいものが出来上がると思いますので、ご期待ください!」とお伝えしておきます!
──楽しみにしております(笑)。
今でしか味わえない三部作目への想像を膨らませる楽しみ方。そして、出る間に予定されている計画とは……?
──PC版のグラフィックの話に戻ってしまうのですが、今回、PS5版よりも綺麗な映像で遊べるということで、本編のさまざまなカットシーンなども演出面などでパワーアップがされていると思われます。浜口さん、北瀬さんから見て、PC版でぜひチェックしてほしいカットシーンなどはございますか?
浜口氏:
基本的にほぼすべてに調整を入れていますので、全部を見てほしいですね。今でもPVのワンショットをユーザーがPS5版と並べて盛り上がっていたり、発売後にはもっと色々出てくると思いますので、その反応を見るのは楽しみですね。また、本作をプレイ済みでPC版も遊ばれるユーザーも一定数居ると思いますので、エアリスの祈りのシーンなど、思い出のイベントがよりリッチになったのをぜひ、もう一度体験してみてほしいですね。
細かいところですと、影に入った時のキャラクターの顔が怖いとユーザーから指摘されていたのですが、あの辺も今回、軽減されていますので、そこも一度見ていただけると嬉しいですね。
北瀬氏:
全体的にはどこも良くなっているんですが、画面の密度感がPCの魅力だと思うんですね。その密度感が特に味わえるロケーションであるとか、ワールドマップを隅々まで見てほしいとは思いますね。
──ありがとうございます。このPC版の『FFVIIリバース』が発売を迎えて、いよいよ三部作目の制作が本格化していくものと思われます。まだ、詳しいことはお答えいただくのが難しいと思うのですが、『FFVIIリバース』ではイベントキャラクターとしての立ち位置になっていたシド、ヴィンセントは直接操作できるようになったり、ワールドマップ上で同時に動かせるようになったりするのでしょうか?
浜口氏:
今の時点では明確にプレイアブルとなりますとは言いにくいのですが、そこは当然、ユーザーも期待している部分と思いますので、それに対する答えを出す形にはなると思います。
私と北瀬、そして野村もですが、このリメイクプロジェクトにおけるストーリーに関しては原作の流れにある程度準拠するということをずっと掲げています。ですので、三部作目の舞台になりそうなロケーション、それに付随した要素も出てきますので、今はいろいろ想像を膨らませながらお待ちいただければと思います。
──ただ、やはり三部作目の発売って何年か経った後になりそうで、それまでに隙間が生まれてしまうじゃないですか。三部作が出る間にも『ファイナルファンタジーVII』については何か新たな展開が計画されているのでしょうか。
浜口氏:
そうですね。それも現時点では詳しくお答えできないのですが、『ファイナルファンタジーVII』というフランチャイズをより多くのユーザーに体験してもらえる機会を増やしていく、というのは北瀬の方も掲げていまして。
それは今年もそうですし、来年以降も新しいファンベースに対して『ファイナルファンタジーVII』を知ってもらうことを考えています。何かしらのアクションはありますので、期待していただければと思います。
──……ということは、昨年12月に発売された『FANTASIAN Neo Dimension(ファンタジアン ネオ・ディメンション)』に『FF7リバース』の楽曲が入ったのも、ある意味ではその一環だったのでしょうか?
浜口氏:
すごい所をツッコんできたなぁ!(笑)。
北瀬氏:
まあ、あれもそうではありますね(笑)。私の方に坂口(博信)さんから直接オファーのメールが送られてきまして、ちょうどPC版の発売で盛り上がる時期でもありましたので、快諾したという流れでした。
『 #FANTASIAN Neo Dimension』発売おめでとうございます🎉
— FFVII REMAKE (@FFVIIR_CLOUD) December 5, 2024
ゲーム内でバトルのBGMを #ファイナルファンタジー シリーズとのコラボレーションBGMに変更することが可能!
『 #FF7リバース 』の楽曲にも変更可能です♪ https://t.co/1wS7NGdoOF
──実は私、昨年の東京ゲームショウでの『ファンタジアン』のステージイベントを配信で見ていたんですけど、そこで坂口さんが「北瀬、分かっているよな?」と、自分の中の悪が出たとコメントをされる一幕があって【※】、「え?北瀬さん、坂口さんから脅されたんですか?」って思ったのですが(笑)。
北瀬氏:
いやいやいや!(笑)。脅されてはいませんよ!ただ、坂口さんって普段は直接メールを送ってくることがないんですよ。それがある日、急に送られてきてビックリしたんです。
それで『ファンタジアン』を管轄している『ファイナルファンタジーXIV』と『ファイナルファンタジーXVI』のプロデューサーでもある吉田(直樹)さんに「坂口さんからこういう話が来ているよ」って伝えたら、「え!?オレ、聞いてねえよ!」ってなって(笑)。
そういうネゴもなく連絡してくるのは、なんと言いますか……坂口さんらしいなって思いましたね(笑)。
──そのような感じだったのですね(笑)。貴重なお話をありがとうございます。そろそろお時間が迫ってきましたので、最後に今回のPC版『FFVIIリバース』の発売を心待ちにされているユーザーの方々、シリーズファンの方々に向けたメッセージをいただければと思います。
北瀬氏:
よくネットで見かける声なのですが、三部作目が出てから全部やればいいみたいな待ちの姿勢になっている人がいるんですね。ただ、このリメイクプロジェクトは一定の期間が空くのをポジティブに捉えているんです。
期間が空く分、1作目と2作目のストーリーの考察であったりとか、次のゲームシステムがどうなるかといった部分をユーザーの間で想像したり、ファン同士でコミュニケーションを取ることを楽しんでもらえる時間が作れるんです。それで次回作への期待をいろいろ盛り上げていただきつつ、それを考えたりしながらゲームも楽しんでもらえればと思うんです。
ある意味、お祭りと言いますか、そのようなキャンペーンに乗っかってみるというのがこのプロジェクトの一番の楽しみ方でもあります。今まさにツインパックも出ていますので、ぜひ手に取っていただき、1作目と2作目を直接遊んでいただきつつ、次回作を待ち望むみたいな楽しみ方をしていただけたらと思います。
浜口氏:
『ファイナルファンタジーVII』って、ゲーム史においても皆さんの記憶に残っているタイトルで、『FFVIIリバース』はそんな思い出のシーンを再創作して、もういちど体験できるタイトルになっています。当時、オリジナル版を遊ばれた方も、今まで遊んだことがなかった方も、ぜひゲーム史に残る体験をしてもらいたいなと思っています。
今まで気になっていたけど手が出せていなかったという人がいましたら、ぜひこの機会にプレイしていただきたいです。プレイしたことが間違った選択にならないだけのクオリティになっていると思っていますので、よろしくお願いいたします。
──ありがとうございました!(了)
いよいよ『FFVIIリバース』もSteamでPC版が販売開始となる(ほかにEpic Games Storeでも販売開始となる)。PS5版プレイ勢(クリア済み)のコメントとしては、オリジナルの『ファイナルファンタジーVII』の経験がなくても、この作品で提示されているオープンワールド風のマップを舞台にした探索要素は、一度でもいいので体験してみてほしい。
たしかにストーリーもすべて楽しむとなれば、前作の『ファイナルファンタジーVII リメイク』は最低限プレイしておいた方がいいし、エンディングも三部作目が控えているがゆえのものになっている。三部作目が出るまで待つ、という気持ちも分からなくもない。
ただ、それを抜きにしても探索要素は体験してみてほしいのだ。インタビュー中にも出たが、見た目はオープンワールドでありながら、明確なストーリーラインがあって、ほとんど迷うことなくゲームを進めていける。それでいて、寄り道してみるとサブクエストを始めとする膨大なコンテンツが用意されていて、そこでちょっとしたショートストーリーを体験したりなどさまざまな遊びを楽しめるのである。
そして、本編が終盤に差し掛かる頃になると、人によっては初代『ファイナルファンタジー』の記憶を呼び覚ますような“拡張”も待っている。
そのようなストーリーを追いかける楽しみと探索が混在した作りは、ある意味でこれからの『ファイナルファンタジー』の姿を暗示しているかのようなもので、来たる三部作目に限らない興味を刺激させられるのである。同時に「ここまでのことをやったあとの三部作目はどうなってしまうんだ?大丈夫なの?」というちょっとした心配も加わる。ただ、それはゲーム部分の仕上がりが突き抜けているからこそのポジティブなもの。それがより一層、三部作への関心を高めるのである。
そして、そういった気持ちになれるのも、まだ三部作目が出ていないからこそだ。北瀬氏がコメントされていたように、この楽しみ方は本当に今でしか味わえないものであり、『ファイナルファンタジーVII』という作品全体への印象を一層濃いものにしてくれる。
まだ遊んでいないという方はぜひ、今回のPC版を機にその今ならではの体験をしてみていただきたい。ゆくゆくは『ファイナルファンタジーVII』という作品そのものにドップリと浸かってしまおう。
ちなみに余談になるが、戦闘曲を『FFVIIリバース』の楽曲に変更可能なオプションを備えた『ファンタジアン ネオ・ディメンション』も、PC版がSteamで2024年12月より販売中である。PC版『FFVIIリバース』を楽しんだ後に(楽曲変更を図った上で)触れてみるのも一興だ。