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鍵盤に見立てたキーコンフィグ実装で、本格的なピアノ演奏が可能に!?グラフィック全般の強化に限らない、PC版『ファイナルファンタジーVII リバース』の見所と特色に迫る

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1月23日に発売を迎える『ファイナルファンタジーVII リバース』

『ファイナルファンタジーVII リバース』(以下、FFVIIリバース)と言えば、2024年2月にPlayStation 5(PS5)版が発売されたのち、「The Game Awards」を始めとするアワードで最多部門にノミネートおよび受賞を果たすなど、非常に高い評価を獲得したことが記憶に新しい。

また、ゲーム本編に関しても、オープンワールド風のフィールドを舞台にした膨大な探索要素多彩なミニゲームが異彩を放つ仕上がりとなっていた。

そんな『FFVIIリバース』が今度はPCで遊べるようになる。発売前の時点で明らかになっている情報では、PC版はグラフィック全般を大幅に強化。具体的には光の表現(ライティング)周りが大幅に調整され、より美しい映像が楽しめるという。それに関連したオプションも豊富に用意されているほか、キーボード+マウス操作によるプレイもサポートしているとのこと。

ただ、PS5版『FFVIIリバース』を一通り遊んだ人間としては、グラフィック以外の箇所が気になってしまう。中でもミニゲームの中には、明らかにゲームパッドによる操作を前提にしたものが存在した。それがPC版ではどうなっているのか?新たな操作を用意したことに伴うバランス調整などもされているのか?

今回はそんなPC版の気になる事柄から、PS5版発売後の今だからこそ訊いてみたいアレとかコレまで、『FFVIIリバース』のディレクターである浜口直樹氏、プロデューサーの北瀬佳範氏にうかがった。

『ファイナルファンタジーVII リバース』の浜口氏と北瀬氏にインタビュー。ミニゲームやどんぎつねについて聞いてみた_001
画像左:ディレクター・浜口直樹氏、画像右:プロデューサー・北瀬佳範氏

ちなみに訊いてみたいアレとコレには、あの“どんぎつね”も入っています。

聞き手・文/シェループ
編集/逆道


PC版ではミニゲーム専用のキーコンフィグ機能を特別に用意。「ピアノ」では各音階の鍵盤をキーボードにすべて割り当て可能!

──PC版『FFVIIリバース』は操作に関してもゲームパッドに限らず、キーボード+マウス操作に対応するとの情報が出ています。ただ、それによって本編に用意されているミニゲームの操作がどうなるのかが、PS5版を一通り遊んだ身としましては凄く気になっているんです。どのような感じになっているのでしょうか?

浜口氏:
すごくいい質問をありがとうございます!

そこは大きなポイントでして、PCゲームはやはりゲームパッドではなく、キーボードとマウスで遊びたいというユーザーが一定数いらっしゃるんですね。それを踏まえまして、ミニゲームに関しては専用のキーコンフィグ機能を特別に設けました。

『ファイナルファンタジーVII リバース』の浜口氏と北瀬氏にインタビュー。ミニゲームやどんぎつねについて聞いてみた_002
画像は『FINAL FANTASY VII REBIRTH』 PC版紹介トレーラーより

──ミニゲーム専用のキーコンフィグ機能があるのですか……!ミニゲームの中には「ピアノ」(ロイヤルコンサート)などのように、操作がゲームパッドを前提にしたものが一部ありましたが、「ピアノ」の場合、鍵盤の位置を細かく設定できるようになっているんでしょうか?

浜口氏:
はい、ドレミファソラシドの鍵盤すべてをキーボードにアサインできるオプションを用意しています。おっしゃる通り、一部のミニゲームは操作がキーボード+マウス操作だと厳しい感じになりますので、そこも踏まえて専用の機能を今回、用意するに至った感じですね。

『ファイナルファンタジーVII リバース』の浜口氏と北瀬氏にインタビュー。ミニゲームやどんぎつねについて聞いてみた_003
公式Xアカウントより、ミニゲーム「ピアノ」のイメージ。画像はPS5版のものです

──なるほど……。また、PC版でもDualSenseでプレイ可能とありますが、PS5版のハプティックフィードバックのほか、「ワールドレポート」にあったコントローラのスピーカーからチャドリー、MAIのボイスが流れるといった仕掛けも楽しめるのでしょうか?

浜口氏:
はい、その辺りもPC版では再現されています。Steam側の方でDualSenseに対応させる必要がありますが、Steamにコントローラーが認識されていればPS5と同じ機能をそのまま楽しめるようになっています。

──ちなみに操作スタイルがゲームパッド、キーボード+マウス操作とPS5版よりも増えることに合わせて、ミニゲームのゲームバランスを調整するようなことはあったのでしょうか?

浜口氏:
いえ、調整はしていません。これは私個人のゲームデザインの考え方でもあるのですが、プラットフォームが変わることを踏まえてゲームバランスや難易度の調整をするというのは、逆にクリアした時の達成感や難易度の感じが変わってしまうんですね。

ユーザー間のやり取りにおいても、変更されたものをクリアしたと言っても、別のプラットフォームで遊ばれたユーザーからすれば「それって難易度下がってるじゃん?」とズレが生まれてしまいますし、公式だから正しいみたいな議論にもなってしまう。

ですから、一度出したものは「プラットフォームが変わったから」と言って、難易度は変えないようにしようという考えなんです。それが良いと自分自身が思っていますので、特に調整はせずに触らないという判断としました。

──PS5版の時に「コンドルフォート」などのミニゲームに専用の難易度設定オプションが用意されたことがありましたので、何か手が加わっているのだろうかと気になったんですよね……。

浜口氏:
あれはアップデートの前の時点では、オプションの難易度設定がそのままミニゲームに反映される仕様になっていたんです。ただ、バトルはノーマルでやっている中で、ミニゲームの時に他の部分ごとイージーにするみたいなのは、ユーザーにとってハードルが高いのだろうなと発売後の反応を見ていて思いまして。それで別途、ミニゲームの難易度を設定できるようにオプションを追加した感じです。

PC版にもミニゲーム個別の難易度設定は引き継がれています。基本的にはPS5版のアップデートで入ったものはPC版の方にも全部入っていると認識いただいて大丈夫です。

──なるほど、ありがとうございます。しかし、ピアノの鍵盤を細かく設定可能になったという話を聞いて、PS5版当時にSNSで注目を集めた自由演奏が再び盛り上がるのでは、との期待をしてしまいますね。

浜口氏:
「ピアノ」については、「そんな大変なことをやるんですか!?」と、チームでも凄く議論になったんですよ。けど、そのようにしないとキーボード+マウス操作では難しすぎますよね(笑)。なので、やり通しました。

PS5版の時も、SNSに色んな楽曲を演奏する動画をユーザーが投稿されていましたけど、やっぱりスティック操作だと限界があって、複雑な曲を演奏するのが難しいんですよね。PC版はその辺りの限界が取り払われる形になりますので、発売後は期待しています(笑)。

──どんなことになるのでしょうね……(笑)。あと、先ほどのアップデートのことに関連することで、最近になって『ファイナルファンタジーVII リメイク』(以下、FFVIIリメイク)には「強くてニューゲーム」が、『FFVIIリバース』にはカットシーンの早送り機能が追加されることがありましたが、あれらが追加されたのはどんな背景からだったのでしょうか?

浜口氏:
「強くてニューゲーム」については、『FFVIIリバース』が発売されるというタイミングで、前作の『FFVIIリメイク』が途中で止まっていたり、新作のために前作をプレイするというユーザーの方々が、プレイしやすくなるようにしたかったのが一番の理由です。
早送りについては、最近の映像配信のサービスってだいたい倍速再生が付いていて、忙しいから倍速で見るっていう方も多いじゃないですか。元々、カットシーンのスキップ機能自体は存在していますけど、あれをやってしまうとストーリーがちょっと理解できなくなる側面があるんですね。

あと、私はあまり知らないのですが、近年のゲームで倍速再生をやっている例ってまだ少ない気がするんです。そういう機能を入れるのが今の時代じゃないのか、別に使わない方は使わなければいいだけの話なのではとなりまして、入れてほしいとお願いして追加されました。

数字的なお話はできないのですけど、アップデート後に『FFVIIリメイク』のPC版とPS5版を休眠されていたと思われるユーザーのプレイ数が上がっているんです。なので、一定の人数にアップデートが届いたというのは数字にも出ていましたね。

『ファイナルファンタジーVII リバース』の浜口氏と北瀬氏にインタビュー。ミニゲームやどんぎつねについて聞いてみた_004
画像は『FINAL FANTASY VII REBIRTH』PCアナウンストレーラーより

ライティング周りの向上を図ったのは、「PC版だからこそできること」とユーザーの分かりやすさを目指した狙いから

──今回のPC版『FFVIIリバース』では、グラフィック全般の強化とその調整オプションの充実化、そして幅広い操作スタイルへの対応などがセールスポイントとして挙げられています。前作の『FFVIIリメイク』のPC版では、こういったPC特有の仕様についてはあまりフォーカスされていなかった印象があるのですが、今回のPC版『FFVIIリバース 』でこのようにアピールされたのにはどのような背景があったのでしょうか。

浜口氏:
やはり前作の『FFVIIリメイク』が出た当時に比べて、PC市場が世の中に広く認知されてきていることですね。あと、環境に合わせたオプションの設定でゲームを遊ばれるユーザーがPCでは多く、その要望が強いのも背景のひとつとしてありました。

元々の『FFVIIリバース』は、PS5をベースに作ってきたタイトルです。ただ、PC版は可能な限り設定できる部分はできるようにしていこうということで、その情報を広く公開したいというのが今回のポリシーとなっています。

──PC版『FFVIIリバース』は、光の表現……ライティング全般が大きく向上しているとのコメントを海外メディアさんのインタビューで浜口さんがされていたのを目にしたのですが、このあたりの強化を図った狙いはなんだったのでしょうか。

浜口氏:
私ももう『ファイナルファンタジー』シリーズは20年以上……PlayStation 2、PlayStation 3と作ってきているのですが、その当時と現在の絵作りの表現というのは全く違っているんですね。今の時代の作り方は、ライティングをいかにバランスよく取るかで、ユーザーに見えるところのグラフィックのクオリティが決まるんですよ。

PC版はリリースする上での当然のカスタマイズとして、テクスチャとポリゴンの密度が高くなっていて、よりリッチなゲームとして見えることには対応しています。ただ、そのプラスアルファで、「ユーザーに分かりやすい“PC版だからこそできること”がないだろうか?」と考えまして。

それで、ライティングを頑張るというのが一番、刺さりやすいなと判断しまして、今回のPC版の開発に当たってはライティング環境を整え直し、データも含めて全部調整するということに取り組みました。

実際にPC版を初めてお披露目したプロモーションビデオでも、「PC版は同じシーンでこう違う!」と、ユーザーが盛り上がってくれているんです。その意味でも、強化を図った効果は出たのかなと思っています。

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──ライティング以外に背景も強化されると同時に、その段階設定も可能になっているとのことですが……。

浜口氏:
PS5に限らず、コンシューマ機ってテクスチャにモデル、LOD【※】などの限界値がハードウェアのメモリなどの性能に応じて決まってしまうんです。ただ、PCであればスペックの高い機種を持っているユーザーであれば、その限界を超えたクオリティを出せます。それを最大限引き出せるようにしたいというのが、今回のPC版の狙いのひとつとしてありました。

※LOD:Level of Detailの略。カメラ距離に応じて3Dモデルのポリゴン数をコントロールし、場面ごとの計算負荷を軽減する手法。

浜口氏:
今回は描画の設計そのものをフレキシブルになるようにしているんです。例えば背景のLODですと、前作の『FFVIIリメイク』は1~2段階しか持っていなかったんですね。ただ、『FFVIIリバース』では13~14のLOD段階を持っていまして、「環境に応じて密度感をどの距離まで高くやるか?」みたいなことを自由に設計できる仕組みになっています。

PC版においてはそれぞれのユーザーの環境に合わせて、グラフィックを分かりやすく設定できるようにしました。この部分はとても上手くいったと言いますか、ユーザーに対して幅広い選択肢を提示できたかなと思っていますね。

『ファイナルファンタジーVII リバース』の浜口氏と北瀬氏にインタビュー。ミニゲームやどんぎつねについて聞いてみた_006
たくさんの兵士が集うシーンも、PCのスペックに合わせて最適な設定で楽しむことが可能に

──ちなみにPS5版にはグラフィック優先の「グラフィックモード」、フレームレート優先の「パフォーマンスモード」、そしてアップデートで追加されたPS5 Proで使用できる「エンハンスモード」のプリセットオプションがありましたが、PC版にもあるのでしょうか。「低」「中」「高」の3段階にセット可能、との情報を目にしたことがあるのですが。

浜口氏:
はい、それがPS5版で言うところの「グラフィックモード」などに近い感じになります。プリセットですので、選ぶと内部の細かなパラメーターが開発スタッフのおすすめする設定に変わるような感じですね。

「標準」の設定ですと、「RTX2070」では基本的にはPS5版と同等のグラフィック画質でプレイできます。最高品質で遊ぶ場合は「RT4080」が必要になってくるのですが、中間のスペックであれば、一部の設定だけを高くしたりもできるようになっています。なので、ユーザー側で細かくパラメーターを調整できる仕組みを持った作りになっている感じです。

Steam Deckでの動作保証は社内テストで確認済み。30fps安定でプレイ可能!

──グラフィック周りの設定に関連して気になるのが、Steam Deckでの動作についてです。フレームレートなど、動作周りについてはどのような感じになるのでしょうか。

浜口氏:
Steam Deckの最適化につきましては、スクウェア・エニックス社内のQAチームによるテストも実施しまして、30fpsを安定して出せる状態で遊べるという動作保証が取れています。

あと、Steam Deckのレギュレーションでは、フォントのピクセルサイズが小さすぎると、NGになってしまうんですね。最適化においてはそのSteam Deckのレギュレーションを参照しながら、我々が取れる限りの対応をしました。

『ファイナルファンタジーVII リバース』の浜口氏と北瀬氏にインタビュー。ミニゲームやどんぎつねについて聞いてみた_007
画像は『FINAL FANTASY VII REBIRTH』ゲームプレイ紹介映像より、PS5版での画面の様子

──それはUIなどのフォントのサイズも適切な大きさに変更される感じになっているのですか?

浜口氏:
全部が全部……という訳ではないので、自信満々には言えないです。液晶サイズが小さいので、見えにくいと感じることはあるかもしれないです。

ただ、繰り返しになりますが、Steam Deckのレギュレーションは守って対応していて、社内テストでも動作保証は取れていますので、ちゃんと遊べるようになっています。

──(※本インタビューは1月9日に実施)今の時点で公式に出ている情報には「最適化を鋭意進行中」とありますが……?

浜口氏:
ええ、今の時点ではValveさんの連絡待ちなんです。テスト審査はもう既に出しているんですけど、まだ審査中のようでして、本日の時点ではその辺についてお伝え出来ないんですよ。

Steam Deckのレギュレーションは守りましたけど、公認を取れるかどうかを今、ドキドキしながら待っている感じです。なので、どうなるかは……運です!(笑)。

──まさしく「運を天に任せる」といったところでしょうか(笑)。

浜口氏:
そんなところです(笑)。

──よい結果が戻ってくることをお祈りしています……!【※】

※インタビュー後、1月16日にSteamストアページが更新され、Steam Deck互換性が「確認済み」となった。並行して『FFVII REMAKE』公式X(旧Twitter)にて、Steam Deck実機でのプレイ映像が初公開されている。

アワードへのノミネートおよび受賞で、大きく注目度が向上している『ファイナルファンタジーVII リバース』の今と未来

──PC版に関しては、前作がセットのツインパックも用意されていますが、その価格が事実上、前作がまるまる無料みたいな思い切ったキャンペーンがされているじゃないですか。それも新しいユーザーを狙う意図があったりとかしたのでしょうか。

浜口氏:
そうですね。ありがたいことに非常にいい数字でプレオーダーが入っていまして、ツインパックもとても好調な伸びを見せています。ちょうど昨年末の「The Game Awards」といったアワードが続いて、SNS上などで『FFVIIリバース』についての会話を目にする機会が非常に多くありましたので、ユーザーが期待してくれていたんだなと思いました。

そのようなところでもう一度、このタイミングで改めて前作の『FFVIIリメイク』を手に取らなかったユーザーの方々に向け、このいい機会に届けたいという思いがありました。

あと、PS5版の時にも前作がほぼ無料に近い形のツインパックのキャンペーンをやったのですが、あれは発売日直前までで、以降は通常価格に戻るようになっていたんです。ただ、今回のPC版は発売された後もキャンペーンが続くんです。

──発売された後も、ですか?

浜口氏:
はい、発売後も2週間程度、キャンペーンを継続するという判断をしました。発売された後が一番、情報が出て盛り上がるタイミングになるためです。ですので、いまこの瞬間も購入するか迷っていたり、発売後の評価を見て判断したいという方もぜひ、そこで改めて検討してみてほしいと思っています。

──PS5版は「The Game Awards」などのアワードでの受賞とノミネート、発売直前にもメタスコア92点という高得点を獲得するなど、非常に高い評価を獲得されると同時に、話題も呼びました。ここからはPC版の話から、『FFVIIリバース』の作品単体と、その中身についても、ネタバレにならない範囲で伺っていければと思うのですが……実際に発売後、一連の高い評価を見て、どのような思いを抱かれましたか。

浜口氏:
「The Game Awards」については正直、もう一歩欲しかった思いもありますが……最後の方は本当に運ですからね。ただ、メディアもユーザーも含めて評価いただきまして、そこは本当にありがたく、光栄に思っております。

『ファイナルファンタジーVII』って、やっぱり特殊なゲームだと思うんですよね。オリジナルはもちろんですけど、このプロジェクトではそれを三部作にするということをして。しかも、ユーザーに三部作であるとの情報を伝えた上で二部作目を作るのですから、考えて作らないといけないんです。

三部作で続く以上、二部作目でユーザーに限界を見せてしまうと、最後の三部作目に対するユーザーの関心が薄れる可能性がやっぱりあるんですよね。その一方で、一作目の時以上にユーザーに対して興味、注目を集める必要もあって。一作目も自分自身、素晴らしいゲームだと思っているのですが、あれと同じ文法で作ってしまうと、三部作の着地位置がユーザーに見えてしまって、興味を継続できなくなってしまうんです。

だからこそ、二部作目は今後の三部目への興味と注目を持続させるためにも、踏み切らなくてはならないゲームでもありました。そう覚悟を持って作品作りをしましたので、ある程度、ゲームが形になって来た時、自分が作っているゲームをこう言うのもアレなんですけど(笑)、結構、手応えはあったんです。

──自信を持って届けられるものが出来上がった、というような感じでしょうか。

浜口氏:
そうですね。ゲームとしても、ビジネス的な面でも一定の評価は得られるとの手応えがあった中で出せましたので、ある程度の結果は出るかもしれないなと、送り出した時には思いましたね。

『ファイナルファンタジーVII リバース』の浜口氏と北瀬氏にインタビュー。ミニゲームやどんぎつねについて聞いてみた_008
画像は『FINAL FANTASY VII REBIRTH』PCアナウンストレーラーより

──オリジナル版でディレクターをされた北瀬さんは『FFVIIリバース』発売後の評価とか、その仕上がりに関してどのような思いを抱かれたのでしょうか。

北瀬氏:
そうですね……原作の『ファイナルファンタジーVII』が出た当時のRPGって、ストーリーがあり、街があり、そしてワールドマップという広い世界があり、そこを冒険したり、探索するというのが当たり前の時代だったと思うんです。

『ファイナルファンタジーVII リバース』の浜口氏と北瀬氏にインタビュー。ミニゲームやどんぎつねについて聞いてみた_009
Nintendo Switch版『FINAL FANTASY VII』ストアページより

ただ、皮肉なことにですね……ハードの進化が進んでからキャラクターのポリゴンモデルが凄く細かく、密度も濃くなっていくのにつれて制作が大変になり、ワールドマップという概念が『ファイナルファンタジーX』以降は無くなってしまったんです。そこが私としては残念に思っていたんです。

それを今回の『FFVIIリバース』では、リアルスケールでワールドマップの広さを試すことができまして。原作の『ファイナルファンタジーVII』にあったワールドマップの広さを体感できる部分が蘇ったというのは、非常に嬉しかったですね。

──実際に『FFVIIリバース』をプレイして感じたのが、見た目はオープンワールドですけど、ストーリーの導線がハッキリ出ていて、それを広いマップ上で辿っていく感覚とか、周囲に膨大なコンテンツが設けられている密度が、スーパーファミコンや初代PlayStationの頃に発売されたRPGっぽくあったんです。

北瀬氏:
密度については、オープンワールドのゲームって現在もいろいろとありますけど、特に日本のユーザーの場合、もの凄く広い所にポンっと放り出されてしまうと、何をやっていいか分からなくて戸惑いやすいと思うんですよ。

リバースに関しては、オープンワールド形式でありながらも、ゲームデザインとしては迷うことなく進めていける誘導をハッキリと出しているんです。その辺が密度感と遊びやすさを両立して、そのような感覚が生まれることに繋がっているのかなと思いますね。

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──この『FFVIIリバース』のマップを体験して感じたのが、この仕組みで新しい『ファイナルファンタジー』を見てみたいというものだったんですよね。

浜口氏:
それは海外のメディアにも伝えたのですが、今回の『ファイナルファンタジーVII』のリメイクプロジェクトを通して、我々のチームにもノウハウが溜まってきているんですね。

『FFVIIリバース』は、これからの『ファイナルファンタジー』のブランディングとして、新しい遊び方を提示できていると感じています。ですので、溜まったノウハウはここで終わりとはせず、ちゃんと未来に繋げていきたいと強く思っています。

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ライター
新旧構わず、色々ゲームに手を伸ばしては積み上げるひよっこライター。アクションゲーム(特に『メトロイド』、『ロックマン』)とストラテジーが大好物。フリーゲーム、VRゲームの動向もひっそり追いかけ続けている。
Twitter:@shelloop
ライター
なんでも遊ぶ雑食ゲーマー。『ドラゴンクエスト』シリーズで育ち、『The Stanley Parable』でインディーゲームに目覚めた。作った人のやりたいことが滲み出るゲームが好きです。

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