2020年の初報から実に5年。カプコンの新作SFアクションアドベンチャー『プラグマタ』が、今年6月に長きにわたっての沈黙を破り、2026年の発売を発表した。
本誌でも先日先行プレイレポートしたが、その内容は「アンドロイド少女×まるでロボットのような宇宙服をまとったおじさん」とのバディもの。パズルとシューティングというまったく異なる要素を融合させた、独自のゲームプレイも注目ポイントだ。
そもそもおじさんの方に少女が乗ってふたりで戦う……っていう時点で、個人的にはもうだいぶ激熱だ。こんなにかわいいアンドロイド少女のディアナが、戦闘ではものすごく頼りになるし、彼女を守りながら、でも彼女なしでは戦えないおじさん・ヒューとの関係性もエモすぎる……
今回はgamescomの会場で改めて本作を試遊しつつ、プロデューサーである大山直人氏(以下、大山氏)にお話を伺ってきた。長期にわたった開発では、ヒュー&ディアナのバディもの、というコンセプトが初期から揺らがなかった一方で、それを表現するシステムは何度もリテイクを繰り返していたのだという。
本稿ではそうした話に加え、少女×おじさんのコンセプトがどのように生まれたのか、また試遊版から覗けた製品版への期待ポイントなどを伺ってきた。東京ゲームショウ2025での試遊出展も決定し、いよいよ発売が迫る本作。気になっている方はぜひ実際に触れてみて欲しい。

取材・執筆/恵那
「少女×おじさん」のバディアクションを表現するために苦心して辿り着いた「シューティング×パズル」
──本日はよろしくお願いいたします。早速ですが、本作は2020年に開発の初報が発表されてから何度か発売の延期を行い、結果として開発期間が長期間にわたっています。なぜこれほど時間がかかったのでしょうか?
大山:
ゲームのコンセプトを最大限に発揮できるシステムの模索に時間がかかってしまった、というのが大きな理由です。コンセプトを実際のゲームプレイに落とし込み、製品版の規模で長く遊んでもらえる面白さにするために、長い試行錯誤が必要でした。
2020年に最初のアナウンストレーラーを公開した時点でも、「ヒューとディアナというふたりのキャラクターがアクションとハッキングで協力する」という、ゲームのコンセプトは決まっていました。実際に短い範囲で遊べる形にもなっていたのですが、結果としてはそれを何度も作り直すことになったんです。
──コンセプトは最初期から変わっていないんですね。物語や設定などもそのころから既に決まっていたのでしょうか?
大山:
そうですね、大枠の展開もトレーラー発表時に決まっていて、変わらずに残っています。一方でそのコンセプトを「どうゲームプレイの形に落とし込むか?」がなかなか決めきれず、いまの形に落ち着くまでに何度もリテイクを繰り返しました。
今回プレイしていただいた試遊版では、ヒューのアクションとディアナのハッキングというコンセプトを「シューティングとパズル」という形で表現しています。これも何度も試行錯誤を経て生まれたもので、自然とスムーズにパズルが解けるようになっていくバランスに調整するのに、多くの時間をかけています。
──というと、以前はぜんぜん違う形だったんですか?
大山:
はい、以前のシステムでは、「ディアナのハッキング」をパズルとは全く別の形で表現していました。
出来上がった一部分だけ切り取って遊ぶ分には、すごく手応えを感じていたんですが、それを製品版として長く遊べるようにしようとすると、面白さが継続できなかった。ゲームとしての強度が足りていなかったんです。
──なるほど。時間をかけて納得できるまで作り直し続けたというわけですね。システム面以外だと、初期と比べて大きく変更されたポイントはありますか?
大山:技術的には進歩した点がいくつもありますね。一番分かりやすいところで言うと、ディアナの髪の毛のグラフィック表現でしょうか。これは2020年のアナウンストレーラーと比較いただくと、より顕著に分かるかなと思います。
──たしかに、めちゃくちゃ綺麗になってますよね!そういえば、アナウンストレーラーには都市の廃墟のような場所で、空が割れて人工衛星が降ってくる……というインパクトのあるシーンがありましたが、ああいった展開はゲーム内にも実際にあるんでしょうか?
大山:
ニューヨークのタイムズスクエア風の場所ですよね。今のゲーム本編にも、ああいったステージは残っています。ただ、ゲームもいろいろブラッシュアップしているので、以前の映像でお見せしたような感じとは、また少し変わっていると思います。詳しくはまだお話できないのですが、ぜひ今後の続報を楽しみにしていただけると。
守る・守られるではなく、お互いを「助け合う」バディ感を大切に
──先日弊誌でも試遊記事を公開しているのですが、本作では主人公となるヒューとディアナ、「おじさんと少女」というバディの組み合わせが非常に注目を集めていますよね。
大山:
まさしく「バディ」、ふたりが協力して困難を切り開いていくというのが、物語のコンセプトですね。一見すると、小さい女の子は守られる対象というイメージがあるじゃないですか。ただ『プラグマタ』ではそういう関係性にはなっていないんです。
試遊版の冒頭でも見ていただいた通り、ヒューがピンチになるとディアナが助けてくれる。逆にディアナのピンチにはもちろんヒューが助ける。この2人が「助け合う」というバディ感を非常に大切にしています。
──試遊版をプレイしていると、戦闘中にディアナが「もっとダメージを与えられる場所があるよ」といったアドバイスをくれることもありました。こうした会話によるサポートみたいなものも、ゲーム内ではたくさん入ってくるのでしょうか?
大山:
戦闘も探索もこのふたりが協力して進める形になるので、必要に応じてディアナがそういったフォローをしてくれることもあります。試遊版でも体験してもらえた機能ですが、スキャンによってディアナが次の目的地を教えてくれる、といった機能もあります。
ディアナのハッキング能力と、ヒューの宇宙服での移動能力、両方を活かしながら、協力して進んでいくのがコンセプトになっています。
──こうしたバディのコンセプトは初期から決まっていたと伺いましたが、どのように生まれたのでしょうか。
大山:
もともと全く新しいタイトルのゲームを作ろう、っていうところが出発点ではありました。その前提のうえで、どんな物語が魅力的かを考えたのですが、そこで出てきたのが、いまの自分たちよりも少し先、憧れを身近に感じられるような近未来SF的な舞台設定でした。
そこからヒューとディアナというキャラクターを練り上げていったのですが、たとえばキーアートでも、一見するとヒューの方がロボットで、リアナの方が人間に見えるような感じになっていますよね。でもこれが実は逆っていうところに、驚きと面白さができていくかなと思ってます。
──そういえば、タイトルにもなっている「プラグマタ」は、公式サイトなどでは「ディアナのようなアンドロイドを指す言葉」とされていましたが、これはどんな意味があるんでしょうか?
大山:
これは英語の“pragmatic”「実用的」から来ている言葉で、人間にとって役に立つ、という意味がまず一つあります。
もう一つ、少し踏み込んだ話になりますが、「プラグマティズム(実用主義)」という哲学の考え方があります。過程ややり方よりも「結果」を重視するという考え方で、これが我々が描きたかったAIのイメージに近いのではないか、という風に考えているんです。
たとえばいま流行りの生成AIなんかをイメージしてみて頂きたいんですが、AIに何かを指示すると、どういう背景や考えがあるか……というのは全て無視されて、結果だけが返ってきますよね。それが非常にロボット的で、AIのイメージに近いな、というのも由来の一つになります。
──なるほど。ちなみに、物語の展開についてはお話頂けたりしますか……?
大山:
あまり先の展開をお話しするとネタバレになってしまうので、「ご期待ください」とだけ(笑)。
カジュアルカラコアゲーマーまで、広く遊んでもらえるバランスに
──ゲームに関して、スムーズなバランスに調整するのに苦労されたとさきほど伺いましたが、難易度的なバランス調整についてはどうなっているのでしょうか? 試遊版ではいわゆる難易度選択のようなものはありませんでしたが。
大山:
前提として、我々開発チームとしては、コアゲーマーでも歯ごたえのある遊びを楽しめる一方で、カジュアルゲーマーでも楽しくゲームを進めることができる、という点は大切にしています。
今回の試遊版は多くの方に遊んでいただくために、比較的優しめの設定になっていたのですが、これを製品版でどう扱うかは、現在もまだ調整中となっているので、もうしばらく発表をお待ちいただければと思います。
──本作の鍵となるディアナのハッキングですが、試遊版で見られたもの以外にも様々な種類があるのでしょうか?
大山:
今回の試遊版では、敵の種類に応じてハッキングパネルのサイズが変わるようになっています。空中に浮いている弱い敵だと3×3マス、強めの敵だと5×5マス、といった具合です。
製品版ではさらに多くの敵が出てくるので、敵の種類ごとにどんなパネルがあるのか、お楽しみにしていただければと思います。ビジュアル的にインパクトがあるものも用意していますね。
──今回の試遊版では、ヒューの武器は3種類から切り替えて使用する形式でしたが、これも製品版では増えるのでしょうか?
大山:
はい。武器は十字キーで切り替えて使用する形式なのですが、キーの方向ごとに使用できる武器の「タイプ」が決まっています。たとえば試遊版では、高火力の「ショックウェーブガン」が十字キーの左、足止めできる「ステーシスネット」が右に設定されていました。
今後ゲームが進むと、例えば高火力タイプの中で別の種類の武器が手に入った時に、ショックウェーブガンのスロットに別の武器を入れる、といったことができるようになります。
──なるほど、選択肢の中から何を持っていくかを選んでいく形ですね。
大山:
ただ、高火力の武器やトリッキー性能を持つ武器は使用回数に制限があります。それをどこで使うか、どのタイミングでどの武器を使うかというのも、探索でも戦闘でも頭を使う部分になってくるかと思います。
──最後に、本作の発売を心待ちにしている方へ、メッセージをお願いできるでしょうか。
大山:
まず、長らくお待たせしてしまって申し訳ありません。そして、お待ちいただいてありがとうございます。今回のgamescomでの出展に続き、今後も様々なイベントでプレイアブル出展をしていきたいと思っていますので、機会があればぜひ、まず触ってみてほしいです。
『プラグマタ』は、見るのと実際に触ってみるのとでは、印象が大きく違うゲームかなと思います。アクション部分の爽快感や、「パズルってこういう風に機能するんだ」という面白さを、ぜひお手元で感じてみていただきたいです。
また、直接触るのが難しい場合も、今後は各メディアさんの記事や、インフルエンサーさんのプレイ動画なども上がっていく形になりますので、そういったところもぜひチェックしてみてください。感想をSNSなどでコメントいただけると、開発陣にとっても励みになります。
いよいよ2026年に発売させていただきますので、もう少しだけ楽しみにお待ちいただけると嬉しいです。
──本日はありがとうございました。