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“太もも”に心を奪われてイラストの勉強を始めたイラストレーターが、“太い太もも”に魅入られ、『勝利の女神:NIKKE』アートディレクターとなり、新作『MIRESI:視えない未来』でスレンダーとむっちりの両立に挑戦するまで

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太ももに魅了され、太ももに人生を捧げ、太ももを描き続ける──。

かつてSHIFT UPで『デスティニーチャイルド』『勝利の女神:NIKKE』のキャラクターデザインを務めた、ひとりのイラストレーターの人生を振り返るとこうなる。

10代後半、『勝利の女神:NIKKE』でも名の知られるキム・ヒョンテ氏のイラストブックに描かれたキャラの太ももに本能を刺激され、イラストの勉強を始める

イラストを描いてるうちに自然と太もものシルエットが太くなっていき、それを見た瞬間「これすごくいいじゃん……」と衝撃を受ける

「華奢なスタイルが美しい」とされている一般的な感覚を遵守すべきか、自分の本能を受け入れるべきか。葛藤を乗り越え、自身の本能を受け入れる

SHIFT UPに入社。『デスティニーチャイルド』や『勝利の女神:NIKKE』制作へ参加

新作『MIRESI:視えない未来』のアートディレクターを担当。スレンダーとむっちりの両立に挑戦

まさに、太ももとともに駆け抜けてきたと言っても過言ではない人生をおくるイラストレーターの名は血羅(ヒョルラ)。現在、同氏はスマイルゲートの手がける新作『MIRESI:視えない未来』(2026年リリース予定)のアートディレクターを務めている。

8月22日に公開された本作のキービジュアルからひと目でわかるように、変わらず”魅力的な太もも”を追及しているようだ。

『MIRESI:視えない未来』アートディレクター・ヒョルラ氏インタビュー。

これまでの担当タイトルを見ても、手がけるイラストを見ても、ヒョルラ氏が魅力的な太ももを描くことに対して、並々ならぬ情熱をお持ちなのは、想像に難くない。

そして、『MIRESI:視えない未来』のキャラクターデザインからして一目瞭然であるが、ヒョルラ氏の描く美少女キャラクターたちは、非常にボリューム感のあるスタイルをしている。歩くたびに「むちむち」という音が聞こえてくるようだ。

また、韓国ではこのようなスタイルを「肉德(ユットク)」と呼ぶのだという。ヒョルラ氏自身、この「肉德(ユットク)」をいかに表現できるかを追及しており、イラストを描く際にはしっくりくるまで何度も修正を重ねてしまうそうだ。

『MIRESI:視えない未来』アートディレクター・ヒョルラ氏インタビュー。
『MIRESI:視えない未来』開発のCONTROL9にて、同作のアートディレクターを務める血羅(ヒョルラ)氏(@hyulla_kot)。

『MIRESI:視えない未来』は、そんなヒョルラ氏がアートディレクターとして携わっている作品となっている。

となると、刺激的な衣装に身を包む美少女キャラクターたちが登場し、ダイナミックなビジュアルが魅力として押し出される……いわゆる紳士たちが大喜びするゲーム、というのが本作に抱いた第一印象だった。

実際、キャラクターたちのビジュアルが魅力の根幹としてあるのは事実なのだろう。ヒョルラ氏も、自身の描くキャラクターが日本ユーザーに喜んでもらえるとうれしい気持ちをインタビューのなかで明かしていた。

しかし、そんななか予想外の言葉が飛び出した。ヒョルラ氏個人としては、『MIRESI:視えない未来』においては「露骨な露出表現はしたくない」考えであり、「フェティシズムを刺激する」方向性を目指しているのだという。

その瞬間、本作のキービジュアルを二度見している自分がいた。

『MIRESI:視えない未来』アートディレクター・ヒョルラ氏インタビュー。
フェティシズムはとても感じるが、露出表現もかなり強めのような……?

どうやら、ヒョルラ氏の考えとしては、露出には「露骨な露出」と「いい露出」があるそうなのだが……いったいどういうことなのか? ヒョルラ氏の真意については、インタビュー本文にて確認いただきたい。

取材・文/竹中プレジデント

※この記事は『MIRESI:視えない未来』の魅力をもっと知ってもらいたいスマイルゲートさんと電ファミ編集部のタイアップ企画です。


後の『勝利の女神:NIKKE』アートディレクター、太ももに本能を刺激されてイラストの勉強を始める

──突然すいません。今回の取材にあたって、事前にヒョルラさんが描くイラストを拝見したのですが……もしかしてヒョルラさんは“太もも”がお好きなんでしょうか?

ヒョルラ氏:
おっしゃる通り、太ももが大好きです。

──おお、よかったです。これでもし「別に……」という回答だったら、本日のインタビューで何をお聞きすればいいか、困ってしまうところでした。

ヒョルラ氏:
まさか。太ももに興味がないなんて、そんなわけがありません。

イラストを描く際も、足だけで数十回調整を入れることも珍しくありません。自分の中で「これだ」としっくりくるまで、何度も修正を重ねてしまいます。「少しやりすぎかも……?」と思うことがあるくらいには、太ももに執着してイラストを描いている自分がいます。

ただ、どの部分もそれぞれに魅力があるので、描くときに特別におろそかにしてしまう身体のパーツというのはまったくありません。

『MIRESI:視えない未来』アートディレクター・ヒョルラ氏インタビュー。
ヒョルラ氏の描くイラストは刺激が強いものが多いため、全身は電ファミという媒体が耐えられず、一部を掲載させていただいている。

──なるほど……。ヒョルラさんがそこまで太ももに魅入られたきっかけをお聞きしても?

ヒョルラ氏:
記憶が曖昧なのですが、10代後半のころだったかと思います。キム・ヒョンテさんがキャラクターデザインを担当された『創世記戦III PART.2』のイラストブックを見る機会があったんです。

そこで、なんというか……「女性の人体って、こんなふうにも表現できるんだ」と強い衝撃を受けたんです。それ以来、女性の身体表現に関心を持ち、本格的に学ぶようになりました。

──さらにツッコんだ質問になるのですが、ヒョルラさんがとくに惹かれるのは“太い太もも”……いわゆる“むちむち”な太ももということであっていますか?

ヒョルラ氏:
よくおわかりですね。「むちむち」というのは、みなさんがよく使う表現のひとつですが、私個人としては、その表現技法を、韓国語で「肉德(ユットク)」という言葉を使ってお話することが多いです。日本では馴染みがない言葉かもしれませんね。

──初めて聞く言葉です。その「肉德(ユットク)」というのは……?

ヒョルラ氏:
日本語としては「いい感じに肉がついていて、ボリューム感のある魅力的な身体」というのが、「肉德(ユットク)」の指す言葉の意味になるかと思います。

──なるほど。そうお聞きすると「肉德(ユットク)」と「むちむち」の意味は近い気がしますね。

ヒョルラ氏:
基本的にはほぼ同じ意味の言葉として通じると思います。少しニュアンスが違う点があるとすれば、「肉德(ユットク)」については「どの形態が好きか」が人によって異なることでしょうか。

──むむ、形態というのは?

ヒョルラ氏:
たとえば、「全身がほどよく肉づきがいい形態」が好きな方もいれば、「お腹の周辺だけ肉づきがいい形態」が好きな方もいます。

私の場合は、「肉がつくべきところにはついているが、そうでないところは引き締まっている」というスタイルが好きです。太くしっかりした太ももにすっと伸びていく脚線美、ふたつの相反したコントラストが、肉感を強調してくれる。イラストで描く際にも大事にしていることです。

『MIRESI:視えない未来』アートディレクター・ヒョルラ氏インタビュー。
ヒョルラ氏が描く足。

──なるほど。ヒョルラさん自身がその「肉德(ユットク)」に目覚めたのはなにかきっかけが?

ヒョルラ氏:
大きな契機はなく、自然と……だったと思います。

ひとつ覚えているのが、描いているうちに自然と太もものシルエットが太くなっていき、それを見た瞬間「これすごくいいじゃん……」と衝撃を受けました。

ただ、太ももを太く描くことは、それまで学んできた「スレンダーなスタイルがかわいい」という価値観とは真逆のものだったんです。

──それまでの教えを覆す発見だったわけですね。

ヒョルラ氏:
そうですね。10代後半のころは、一般的な感覚としては、華奢なスタイルが美しいとされているのでそれを遵守すべきか、自分の本能を受け入れるべきか、葛藤した時期もありました。

結果的に、本能を受け入れる選択をしました。今の私のイラストを見ていただければ一目瞭然かと思います。

──ヒョルラさんをそこまで惹きつける、太い太ももの魅力とは何なのでしょうか?

ヒョルラ氏:
大前提として、細い太ももでも魅力的なイラストは数多く存在します。私自身、細い太ももが嫌いというわけではまったくありません。細い太もも、太い太もも、普通の太もも、その形態に関わらず大好きです。

ただ、あくまで個人的な感覚になるのですが、細い太ももは見ただけで満足しちゃうんです。

逆に、太い太ももは、視覚的な満足感に加えて「柔らかそう」「むにむにしてそう」といった、触感への想像が膨らむんです。それこそ「肉德(ユットク)」の神髄であり、太い太ももの魅力だと考えています。

キム・ヒョンテさんとの食事会が転機に? SHIFT UP入社と『デスティニーチャイルド』や『勝利の女神:NIKKE』制作への参加

──ここからは、ヒョルラさんがイラストレーターとして歩んできた道のりについてお聞きしたいです。なぜゲーム業界でイラストレーターになろうと思ったのでしょうか?

ヒョルラ氏:
子どものころからイラストに加えて、ゲームも好きで、自身の描いたキャラクターがゲームの中で動くことに憧れのようなものを持っていました。

──その憧れを胸に、どのようにしてイラストの技術を学んでいったのでしょうか。

ヒョルラ氏:
10代でイラストに興味を持ってから、独学でイラストの勉強を続けていました。

転機が訪れたのは27歳のころです。当時は、自分のイラストは通用しないのではないかと思い悩んでいて、この先もイラストを描く仕事を続けていけるのか、将来について不安を抱えていました。

ちょうどその時期に、『Blade&Soul』というゲームで開催されたイラストコンテストに参加したのですが……結果は落選。今思い返しても人生のどん底とも言える日々を過ごしていました。そんなとき、信じられないことが起こったんです。

『MIRESI:視えない未来』アートディレクター・ヒョルラ氏インタビュー。

──信じられないこと……ですか?

ヒョルラ氏:
ええ。なんと『Blade&Soul』のキャラクターデザインを担当されていたキム・ヒョンテさんから、ダイレクトメッセージをいただいたんです。

そして、私のイラストに対して「すごくいいイラストだった。もし自分が審査員だったら受賞作として選んでいた」という、ありがたい言葉をかけていただきました。

──それはすごい……! 励みになりますね。

ヒョルラ氏:
さらに「機会があったら食事でもしよう」と言葉をかけてくださったので、私はこれは絶対に掴まなければいけないチャンスだと直感し、その場で食事会の約束を取り付けました。

──ヒョンテさんとの食事会ではどのようなお話をされたんですか?

ヒョルラ氏:
ヒョンテさんの仕事環境の話や、イラストを描くときに参考にしている秘密のフォルダの話など、イラストの話題を中心にさまざまなお話をさせていただきました。

そんななかで一番印象に残っているのが、私のイラストに対するアドバイスです。私の描くキャラクターの顔について「君が追求したい顔も素晴らしいけれど、より大衆に好まれる顔を意識してみてはどうか?」と。そのアドバイスはその後の私のイラストに大きな影響を与えました。

──たしかに、ヒョルラさんのイラストはリアルな質感で描かれる身体と、アニメ的でかわいらしさを持つ顔とのギャップを感じる気がします。

ヒョルラ氏:
顔の描きかたについて試行錯誤を重ねる過程で、身体の表現も顔にあわせて微調整を加えていきました。

その結果として、顔は少し2D寄りに、身体は3D寄りの表現になり、そういったギャップが生まれているのかもしれません。

『MIRESI:視えない未来』アートディレクター・ヒョルラ氏インタビュー。

──キム・ヒョンテさんとの出会いが、大きな転機になったのですね。

ヒョルラ氏:
はい。自分の中で「もう少しイラストをがんばってみよう」と、あらためて決意するきっかけになりました。

そして、この食事会が直接的な転機になったのかはわかりませんが、食事会の後に、ヒョンテさんが代表を務めるSHIFT UPに入社することになりました。

そこで『デスティニーチャイルド』に参加することになり、バリ、アネモネ、ケプリ、サンアなどを担当させていただきました。

──その後、『勝利の女神:NIKKE』でアートディレクターを担当されるようになるわけですね。

ヒョルラ氏:
ええ。ちょうどその頃、社内で新規プロジェクトのコンテストが開催されたんです。そこに参加したところ、採用されて、ゲーム化を進める話になりました。

その際に、プロデューサーから「アートディレクターとしてチームに入ってほしい」とお誘いいただき、『勝利の女神:NIKKE』のプロジェクトに参加することになったんです。

『勝利の女神:NIKKE』では、ラピ、ウンファ、エマ、ベスティーなどのデザインを担当しました。

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編集者
美少女ゲームとアニメが好きです。「課金額は食費以下」が人生の目標。 本サイトではおもにインタビュー記事や特集記事の編集を担当。
Twitter:@takepresident

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