Summer Game Festの配信の中で、『FINAL FANTASY VII』リメイクシリーズ3部作の完結作、『FINAL FANTASY VII REVELATION』(以下、本文では『リベレーション』)の映像が公開。長きにわたったシリーズが、ついに最後の幕を開けようとしている。
飛空艇ハイウインドは序盤から解禁され、ワールドマップ上を自由に飛び回れる。これまでに登場したエリアも装いを変えつつ再登場。キャラクターの特徴を変化させる新たな「ウェア」システムは、全種類が一気に解放されて戦闘の多様性を大きく広げる。オリジナル版ではあまり触れられてこなかった場所についての、新たな物語が描かれる。
電ファミでは、今回の発表に合わせて本作のディレクター・浜口直樹氏にインタビューを実施。待望の最新作について、気になるところをまとめて伺ってきた。
またインタビューの中では「決意」という本作『リベレーション』のコンセプトや、選択によっては見れないストーリーや知ることができない出来事も起こりうるという、”選択の重み”を重視したゲーム設計など、開発の理念についての話も飛び出した。最後まで楽しんで読んでいただければ幸いだ。

3部作の完結編として、これまで覆われていたものが明かされる「リベレーション」というタイトルに
──今回の正式タイトルに決まった「リベレーション」について、名称に込められた意味と、決定に至るまでの経緯について聞かせてください。
浜口直樹氏(以下、浜口氏):
わかりやすく言えば、2作目まで付いてきてくださった方々が「どういう結末になるんだろう」と期待してきた、その想いに向き合うものです。オリジンから20年の節目で発表したリメイクシリーズの3部作ですが、いつのまにか30年目を迎えようとしています。
我々が今この時代でリメイクして、何をもう1回語りたいのか。その答えが──「覆われていたものが明かされる」というが「リベレーション」の意味です。
いつもこのリメイクシリーズは最後に野村(野村哲也氏)が決めてきました。今作でも彼に預けて任せた形で、3つぐらいの候補から最後まで悩んでいました。「どれがいい」と何度か聞かれたのですが、「もうここは野村さんが決めていいですよ。ズバッと言っちゃってください」という感じで決めてもらい、私も彼の決断を支持しました。
──海外のインタビューでは、すでに浜口さんが40回ほどプレイしているという話も出ていましたが、すでに全て遊べる状態にまで仕上がっているんでしょうか?
浜口氏:
そうですね。もうゲームは最初から最後まで、サイドコンテンツも含めて通して遊べる状態になっています。まだ3Dアセットなど仮のものも一部あって、それを差し替えている作業も続けています。
今はプレイしながらバランスを取っているという状況です。日々、最後の作り込みをしているという段階ですね。来年の春にマルチプラットフォームで全世界同時にリリースすることを予定して動いています。
──もうすでに通して遊べる状態なら、例えば東京ゲームショーなどのイベントでの試遊などに出展する可能性もあるのでしょうか?
浜口氏:
まだ具体的なプランはこれからですが、そのぐらいのタイミングで皆さんに触っていただけないかな、というのも検討しています。
──SGFで公開された映像はPlayStation 5版のものだったと思いますが、Nintendo Switch 2などでも既にプレイ出来ているのですか?
浜口氏:
Switch 2でも動いています。ただSwitch 2は最後に専用の最適化をかけてあげないと安定しない部分があるので、PS5やPC版の開発が落ち着いてからSwitch 2用の最適化も進めていく予定です。
ハイウインドを原作のように着陸させるのは難しい……じゃあ、着陸させずにパラシュートを使おう
──3作目に実装される内容で、ファンの間でもよく話題に出ていたのがハイウインドですよね。アルティマニア【※】のインタビューでは「着陸が問題になる」と野村さんが発言されていましたが、今回の映像でその答えが「パラシュート降下」だったことには驚きました。このあたりはスムーズに決まったのでしょうか?
※アルティマニア
『ファイナルファンタジーVII リバース アルティマニア』。スクウェア・エニックスが発行している公式ゲーム攻略本のシリーズ。
浜口氏:
ここは私の方でハンドリングしていたのですが、やはり原作同様にハイウインドで世界中を自由に飛ばすというのは、もう絶対実現するべき案件だと思っていたので、そこはブレることなく言い続けてきました。
ただ、おっしゃる通りハイウインドを地上に着陸させるところは難しかったです。ハイウインドってものすごくスケールが大きいんですよ。オリジナル版みたいに地面に着陸させようとすると、陸地と比べてハイウインドがめちゃくちゃでかいとか、平らなところじゃないと着陸できないとか、いろんな問題が出てきます。

──オリジナル版と比べて映像が奇麗になったことで、かえって難しくなってしまったポイントですね。
浜口氏:
だから、普通に着陸させて降ろすというのはそもそも無理だな、というのは『リベレーション』を開発する前、『リバース』の終わりごろには感じていて、ずっと私の中に課題としてあったんです。それでゲームのスケール感を体験してもらうために色々考えました。
そこで、いまの時代だとバトロワ系のタイトルなどでもパラシュートで降下して……というのはなじみがありますよね。そうした分かりやすいシンボルがあればユーザーさんもなじみやすいかなと思い、パラシュートで飛び降りるといういまの形を決めました。開発の本当に序盤の頃ですね。「これで行くから」とチームに伝え、そこからずっとブレることなく突き進んできました。
──降りるときはパラシュートですが、逆にハイウインドへ戻る場合はどうなるんでしょうか?
浜口氏:
その場合はファストトラベルですぐハイウインドに戻れます。飛行状態に戻れますし、探索できるような状態でハイウインドの中に戻ることもできますね。
移動についてはいまのゲームとして利便性もしっかり追求したいと思っていて、一度パラシュートで降りて目的地に着いたとして、その後は歩いて行ってもいいし、チョコボに乗ってもいいし、パラシュートでまた飛んでもいい──いろんな選択肢があります。ただ、それを強制してしまうと「またパラシュートか」と感じますよね。だから、一度行った場所はファストトラベルで普通に飛べるようにもしています。
大陸をまたぐ場合でも同じです。カームでもコスモキャニオンでも、行ったことがあれば飛べるけど、まだ行ったことがなければ、最初はパラシュートで降りる必要があります。エリアの中でも未探索の場所があれば、パラシュートで近くに降りてから探索する、という設計です。ユーザビリティは高くしつつ、パラシュートを使いたいよという人は、もちろんそれも可能です。
今作のハイウインドは序盤のうちに入手可能。早い段階から世界を自由に回れるように
──オリジナル版と同じように、ハイウインド内のマップもちゃんと用意されているんですね。
浜口氏:
もちろんです。ハイウインド内部はオリジナル版を遊んだ人たちには思い出に残っているでしょうから、そこは再現しています。ただ、それだけではなくて、ワールドマップを色々探索していると、その状況に応じてハイウインドの内部もアップデートされていきます。デコレーションされていったり、クルーの会話が変わっていったり。「これをやってきて」とオーダーしてくるクルーもいたりします。
ワールドマップの探索によってどんどん変わっていくので、「ゲームが少し進んだらハイウインドに戻ってみようか」という気持ちになると思います。物語の中でもひとつのストーリーが終わると、みんなハイウインドの上に集まって「次はどうしよう」という話をするシーンもあって、そういうポータル的なポジションになっています。
──オリジナル版ではハイウインドの解禁までそれなりに時間がかかりましたが、今作だとどうなのでしょう?
浜口氏:
あまり詳しくは語れませんが、入手自体は比較的ゲームの序盤です。ゲームの開始については、皆さんも「どういうところから始まるんだろう」とすごく期待されていると思うのですが、3作目らしい面白い始まり方をしているので、そこもご期待ください。
──『リバース』では行けなかったミッドガルやウータイも含めて、世界全部を巡れるのでしょうか?
浜口氏:
全部を自由に飛べる状態になっています。いろんな島に行って、そこから飛び降りて自由に探索可能です。行けないエリアも当然ありますが、基本的にはどこでも自由にハイウインドで飛べます。
あと、実は開発チームとずっと「これは絶対に譲れない」とやりとりしていたことがあるんですが、端まで行くといつのまにか逆方向にいっていて、「ちゃんと星は丸かったんだな」と感じられるようにもなってます(笑)。
──『ファイナルファンタジー』シリーズの他の作品にもそういうワールドマップはありましたよね。
浜口氏:
そうですね。そんな感じでワールドマップをハイウインドで自由に飛び回って、好きな場所で飛び降りてはエリアを探索する、という形になっています。
──前回出てきたエリアは、今回も出てくるんですか?
浜口氏:
そこは本当に悩ましいところではあったんですが、理由もなく大陸を削ったらすごく怒られるんだろうな、とも感じていました。「さすがにもうゴンガガとかは使わないよね」と思っても、何かよほどの理由がない限りは削れないよなと。例えば仮に、「メテオが降ってきてゴンガガが消滅しました」みたいな理由をつければどうにかなるかもしれないけど、さすがに強引だし、愛着のあるユーザーは怒りますよね。
だから、基本的には全エリアを残す方針でいきました。ただ全エリアを残すといっても、前作のままならそれはそれで「ただあるだけじゃん」という不満の声も出るだろうとも思いました。「リバース」とは違う空間を提供しないと、作品の魅力を落とすことになってしまうと。
──というと、旧エリアは今作ではちょっと違ったかたちになっているのですか?
浜口氏:
本作でもオリジナル版と同じくウェポンが登場しますが、それによって世界各地で地殻変動に近い自然現象が起きて、地形が色々変わっているんですよ。なので同じような雰囲気ではあるけど、地形は『リバース』とは全く違うものになっていて、探索の仕方も変わります。前作を知っているからこそ気づいてもらえる目新しさを入れています。
探索についてもうひとつ言うと、前作は各エリアの探索内容に適した能力のチョコボが、エリアごとに配置されているという設計でしたが、今作はピコという1頭のチョコボをずっと連れていくことになります。そのピコが成長することで探索が変わるようになっています。最後の方にはあらゆる場所を飛べるようになり、どこでも自由に行ける、というところまで成長するんです。
例えば前作のグラスランドエリアは、基本的には平面のワールドマップを探索するようなゲームデザインでしたが、今作はピコが成長していくことで、平面ではなく空間での探索ができるようになっているんです。グラスランドの中でも自由に飛べるし、滑空もできます。もちろんチョコボを使わずパラシュートで上から飛んでもいい。
──マップ探索が縦軸、横軸だけではなく、高さという軸も加えて行動できるようになったと。
浜口氏:
前作と同じマップでも、より空間的な探索が可能になっています。前作を知っているからこそ「グラスランドってこんな見え方をする場所もあったんだ」と改めて感じるはずです。そういう意味で、既存エリアも含めて新しい体験をユーザーに届けられるようにしています。
もちろん見た目や探索だけじゃなく、コンテンツもリニューアルしていて、クエストも新しいものが用意されているので、前作にあったエリアが「焼き直し」という感じにはならないところまで仕上がったかなと思っています。
今作の冒険は超「寄り道」仕様。序盤からさまざまな場所をつまみ食いしながら遊べるように
──ハイウインドで自由に動けるということは。今回はストーリーの進行も、ある程度プレイヤーに委ねられているのでしょうか?
浜口氏:
メインストーリーに関しては、あらかじめ決められた順番に沿っていく形です。ただ、サイド要素のコンテンツはその限りではありません。例えばストーリーに出てくるウェポンは、倒す順番がある程度決まっていますが、ストーリーに絡まないウェポンはどのタイミングでも挑めます。
ゲーム序盤にいきなり行ってボコボコにされて「無理だ!」となってもいい。今回はサイドコンテンツにメイン級に近いレベルのコンテンツをたくさん用意しているので、本編をにらみつつ、いつ遊ぶかはユーザーに選択してもらう狙いです。
──ある程度ストーリーには縛られつつ、自由に動ける場面もあると。
浜口氏:
そうですね。特定の場面でストーリーにすごくフォーカスしている時も、サイド要素のプレイはそんなに止めてはいません。ただ、「今はこの大陸でストーリーを追いかけてください」というフェーズはたびたび用意しているので、そこの文法は前作に近い感じです。
とはいえ、前作と明確に違う部分もあります。前作ではエリアがひとつずつ開いていって、エンディング近くになって「全部繋がってた空間だったんだ」となるような設計でしたが、今作では序盤にハイウインドを入手したら、もう全エリアをハイウインドで好きに自由にどうぞ、という感じなんです。
──ということは、序盤からかなり回れるエリアが多いんですね。
浜口氏:
そうですね。だから各エリアの難易度も混在していて、「簡単なエリアだと思っていたら、ちょっと隣に入るとめちゃくちゃ強い」、ということが起こり得ます。ひとつのエリアを一気に攻略するというよりは、あちこちのエリアでやりたいものをつまみながら進んでいくようなイメージです。
メインストーリーを進めて強くなったら「もう1回このコンテンツに挑み直そう」となったり、あちこち巡っているうちに新しいクエストが発生して「どうしよう」となったり。
コンテンツについては前作と同等以上の物量があるので、『リバース』と同じく、何から進めていくか悩みながらプレイするような感覚になると思います。
──寄り道が好きな人はなかなかメインが進まなくなりそうですね(笑)。
浜口氏:
本当にそう思います。几帳面な人だと、前作は「このエリアを全部コンプリートするまで次には行きません」という遊び方もできていたと思いますが、今回は無理だと思います。行けるエリアは多いし、すぐには立ち向かえないコンテンツも多いですから。「どこで一旦の区切りをつけるか」という感じになるのではないでしょうか。
開発の通しプレイでも、全コンテンツを見ようとすればかなりの時間が必要になるんですよ。だから「今回はメインだけ」とか、条件を決めてプレイするんですが、全部のサイド要素をやっていると一向にメインが進みません。
──オープンワールドとしての規模感がさらにスケールアップしているわけですね。
浜口氏:
「オープンワールド」という言葉はちょっと定義の曖昧なところもあるんですが、『リバース』と比べてもゲーム体験のスケール感が明らかに1段進化したな、という手応えは感じています。そういう意味では、『リバース』を経た新しいスタイルのオープンワールド作品として、ぜひ多くの方に見ていただきたいですね。



