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死にゲーにはしたくない。でも”歯ごたえ”は譲らない──『鬼武者 Way of the Sword』開発者が語る難易度設計の哲学

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ボス「羅掌願」と納得感の設計──予兆を見せ、何度かやられて見えてくる

──体験版のボス「羅掌願」に初見でやられた時、「次ならいけそう」という手応えがありました。実際2回目では受け流せて、HPが削れると新しい攻撃が来て、少しずつ上手くなっている実感があった。ああいう手触りはどのように設計されているんですか。

死にゲーじゃないけど歯ごたえはほしい。『鬼武者 Way of the Sword』が出した、難易度問題への20年越しのアンサー_013

二瓶氏:
羅掌願に関しては、1番最初は、もうキャラクター性をちゃんと作るというところで、たくさん手があるので、一見「どんな攻撃をしてくるんだろう」と複雑に感じるところもある。

そこはやっぱり、これまでの過去作の作り方の積み上げで、「わかりやすく予兆をちゃんと作ろう」と。けど、食らった時にはそれがあるおかげで、「納得いくやられ方をする」というのは、もうそれは羅掌願に限らず、いろんな敵で、それを思想として作っています。

だから何回かやられていると、攻撃パターンが見えてくる、という。

──投げの時に青い色がつくのは、「投げ」だと伝えるための記号ですか。

二瓶氏:
そうですね、なるべくそれも「投げ」が伝わるようにしないと、食らった時に「なんで今食らったんや」となるんで。記号として入れている。けど、あんまりゲームゲームしないような、このバランスを取りながら、ですね。

──投げだけジャスト回避が難しく感じました。意図的に難易度を上げている技はあるんですか。

二瓶氏:
そうですね、アクションの入力が全部簡単だと、やっぱり単調になっちゃうんで。ここはちょっと難しく、難しい技、その分うまくさばけたやりがい、というか。そういうのは、「受け流しの覚醒状態」とか、ゲージの溜まり具合とかも、難しいことをやるとより溜まりやすい、みたいな。そういう関係をつけていますかね。

──過去の鬼武者シリーズファンが、プレイしてニヤッとできる要素も含まれていますか。

二瓶氏:
そうですね、すでに公開している情報でも、過去に出てきた「幻魔」っぽいなってやつが出てきたりとか。過去作をプレイしているユーザーが多いので、そういうのは意識して入れています。

とはいえ、初めて触ったプレイヤーの方にも楽しんでほしいので、基本的には世界観などは新しく構築しながら、造形は「過去に見たことがある」ということで、ちょっと嬉しい、という要素を入れている感じですね。

死にゲーじゃないけど歯ごたえはほしい。『鬼武者 Way of the Sword』が出した、難易度問題への20年越しのアンサー_014

「カプコンだよね、せっかくやるなら」──ブランドの信頼度を守る難易度設計

──ライトなユーザーにも手応えがあって、上級者にも手応えがある。その両方を狙いに行ったこだわりはどこから来ているんですか。

門脇氏:
「狙わなくてはいけなかった」という思いはあんまりなくて。どちらかというと、やっぱり「アクションゲームのカプコン」が作ったアクションゲームで、よそさんと同じことをやっても、あんまり目立たないし。「やっぱりカプコンだよね、せっかくやるなら」と思ってもらいたいなというところがあります。

そのために、過去のアクションゲーム──皆さんも含めてなんですけど──幅広いレベルのお客さん、幅広いアクションゲームのお客さんに楽しんでもらえる、というのは僕自身そう思っているので、そこはやっぱり外せない。やっぱりカプコンというブランドの信頼度というところは、最大限売るために使っていきたいと、僕自身は思っていました。

「カプコンのアクションゲームだからやってみよう」と思ってくれたお客さんが、「カプコンのアクションゲームって手触りが面白いよね」と思ってもらえるようにするためには、じゃあどういった作りがいいか、となった時に──。

死にゲーじゃないけど歯ごたえはほしい。『鬼武者 Way of the Sword』が出した、難易度問題への20年越しのアンサー_015

二瓶氏:
ある意味、カプコンのブランドに信頼を置いて、「アクションが良さそうだから買ってみよう」と思った時に、めちゃくちゃ難易度が高すぎて合わない、となるとそこはなんとも。だから、なるべくいろんなお客さんに「カプコンのアクションいいよね」っていう、そのブランドの価値をちゃんと追求していた、という。

──「お金を払ってくれたユーザーに死にゲーでストレスを貯めさせたくない」というお話をかねてからおっしゃっていますが、その考えが根底にあるわけですね。

門脇氏:
たくさんのお客さんに、せっかく手に取ってもらった以上、挫けたり諦めたりということがなく、最大限楽しんでもらえるように、と考えると、やっぱりそこになっていくかな、と。最近、オンラインでクリア率とかも確認できたりしますし、今9000円とか1万円とかするじゃないですか。

その投資って、普通にさらっと買える商品じゃない。そう思うと、せっかく手に取ってもらったんだから、最大限楽しんでもらえるようにしなきゃいけないかな、と。

──ゲームを遊び始めて1時間ほどでやめてしまうプレイヤーが約50%いる、というデータを聞いたことがあります。難易度の壁がその一因になっているとすれば、設計の段階からそこを意識する必要がありますね。

門脇氏:
お客さんによって色々事情はあると思うんですよ。時間がなくなってしまったとか、強い敵が現れて、その敵にどうしても勝てる気がしなかったとか、いろんな理由があると思うんですけど、そんな中でも「もう1回やりたいな」と思ってもらえるようなバランスに対応できたかなと、思っています。

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「いい感じ」に落ち着いたかは、まだ分からない──多重レイヤーで諦めさせない難易度

──難易度調整の果てに、何か「見えたもの」はありましたか。

門脇氏:
まだ見えたかも分からない。それは多分、商品をちゃんと発売できて、お客さんの総合的な感想が見られたら、そこでやっと「正解だったんかな」とか、「ちょっと気持ちが強すぎたり弱すぎたな」みたいな感想を、抱くんだと思うんです。

今現時点では、「いい感じにできたんじゃなかろうか」という風には思っていますね。

──体験版のフィードバックも参考にしながら、ということですか。

二瓶氏:
そうですね、体験版は序盤なので、比較的入りやすくっていうところは意識していたんですけど、あのボスがきた時にどういう風な感情なんだか、というのは、僕らもあくまで信じてやっているだけで、本当に正解を見つけたわけではない、というか。

僕らは最大限、いろんなチーム内の意見などを聞いて、「この辺りがいいんじゃないか」というのを決めて、プレイヤーさんに、最後まで諦めることがなく、というところはやっぱり大事に思ったので。やっぱり倒せないような強敵が現れた時に、スキルだったり強化してから、もう1回臨むとか。

門脇氏:
あるいは、操作ガイドと言いますか、ボタンが出る・出ないという仕様も、剣撃モードだとデフォルトでは出ないんです。

死にゲーじゃないけど歯ごたえはほしい。『鬼武者 Way of the Sword』が出した、難易度問題への20年越しのアンサー_017

門脇氏:
剣撃モードでも、オプションでボタンガイドを出せるんですよ。だから、剣撃モードをやっていて倒せない、じゃあちょっとボタンガイドを出して、段階で出すと、ちょっと難易度が下がるんですね、段階的に。

<写真>

それでも勝てない、じゃあ活撃に変えようか、というのもできますし。活撃に変えてやってみる。それでも倒せなかったら、ちょっとスキルを強化してもう1回臨もうか、とか。いろんなパターンで攻略できるように作っていますので。

──難易度の段差を数字でガクッと変えるのではなく、なだらかなレイヤーで対応しているわけですね。

門脇氏:
いかにして、諦めずに最後までやっていただけるか、というところは気を使ってます。

「簡単」と言いたくない──「剣撃モード」と「活撃モード」という名前の哲学

──「剣撃モード」と「活撃モード」という名前が印象的でした。難易度を下げる時に「負けた気分」にならない配慮を感じましたが、このネーミングは意図的なものですか。

門脇氏:
僕自身も、宣伝する時に「簡単」という言葉は極力使わないようにしたいと思っているんです。だから、ゲームの中の表現でも「簡単」とは書いていない。

死にゲーじゃないけど歯ごたえはほしい。『鬼武者 Way of the Sword』が出した、難易度問題への20年越しのアンサー_018

──最近のゲームでは「イージー」を「ノーマル」と表記して、さらに下のモードを追加する手法も見られます。ネーミングひとつで受け取り方がまったく変わりますね。

門脇氏:
「簡単」って一言で言っても、人によって簡単の基準は違うんです。簡単なモードでクリアした人と、難しいモードでクリアした人で、体験が違うのかと言えば、多分同じ体験をしていると思うんですよ。そう思うと、あんまり「簡単」っていう言葉を使いたくない。

ボタンガイドのオン・オフもそうで、「このボスだけちょっとオンにしよう」という形で、自分を許せるラインで調整できる。しかも、いつでも剣撃と活撃を行き来できるんです。活撃をやっていて「ちょっと物足りない」と思ったら剣撃に変えることもできますし、剣撃でつまずいたら活撃に戻すこともできる。常に戻ることができる。

死にゲーじゃないけど歯ごたえはほしい。『鬼武者 Way of the Sword』が出した、難易度問題への20年越しのアンサー_019

20年以上のブランクを経たブランドが「追いかける側」になる──鬼武者の原体験と「歯ごたえ」の継承

──難易度設計へのアンサーをお聞きできた気がします。ただ、これは昔からゲーム業界が向き合ってきた永遠のテーマでもありますよね。

門脇氏:
そうですよね、高難度のゲームはね、それはそれで魅力的なゲームなので。とはいえ、僕らは、ブランドとしては鬼武者にしたって歴史があるんですけど、もう20年以上ブランクが空いている。どっちかと言ったら「追いかける側」なんです。

──鬼武者を原体験として持つプレイヤーが、今回の作品に「言葉では表しにくい鬼武者っぽさ」を感じた時、それは開発側が意識して作り込んだものなのでしょうか。

二瓶氏:
そうですね。僕もゲーム業界で働く前に鬼武者を遊んだ時に、実は結構殺されたというか、同じく死にゲーのように殺されたんですけど、理不尽には感じなくて、いつの間にかやっぱり同じようにクリアしていて、満足感はあった。

だから、そういう意識というのは、もしかしたら何か生理的な感情の部分が、入っているのかもしれないですね、どこかに。どこか、その「刷り込み」の部分が。

死にゲーじゃないけど歯ごたえはほしい。『鬼武者 Way of the Sword』が出した、難易度問題への20年越しのアンサー_020

やっぱり「歯ごたえ」というところが、立ち上げた時からずっと大事にしていたので。何も考えずにボスをクリアしちゃうと、そのボス自体が忘れちゃうこともあるんで、そこは意識しながら。あと「物語」というのも意識していく、という感じです。

──羅掌願も忘れられそうにありません。本日はありがとうございました。

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編集者
三度の飯よりゲームが好き。 HoN、LoL、Dota2におよそ1万時間費す。 きっとその時間でどんな資格も取れたけど、後悔はしていない。 なお下手の横好きの模様。

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