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楽しむために始めたゲームが、なぜいつの間にかストレスになるのか──韓国セルラン1位を獲得したMMORPG『ヴァンピール』開発チームが語る、慣習への挑戦

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「シャッフリング」「ダイヤファーミング」「ケアポイント」──過去作の問題意識から生まれた主要システム

──『リネージュ2 レボリューション』や『二ノ国:Cross Worlds』の開発経験は本作にどのように活かされていますか。PvEとPvPの重点設計についても聞かせてください。

ハン氏:
ネットマーブルと開発チームは、『リネージュ2 レボリューション』を通じて、大規模MMORPGの開発とグローバルライブサービスの双方を経験しました。特に、大規模同時接続環境における安定的なサーバー運営、勢力間戦闘とコンテンツ設計、そして長期サービスの中で蓄積してきたユーザーデータ分析の経験は、『ヴァンピール』開発全般において重要な資産となりました。

ライブサービス運営の中で実感したユーザーの疲労要素、課金構造への反応、経済バランスの課題などを綿密に分析し、『ヴァンピール』の成長構造やBM設計に反映しています。「ケアポイント」構造、「ダイヤファーミング」、成長と競争空間の分離、「シャッフリング」【※】による競争構造の固定化防止など、『ヴァンピール』の主要システムは、こうした問題意識から生まれたものです。

※シャッフリング
強力なクランがサーバーを永続的に支配する「一強状態」を防ぐため、定期的に競争構造をリセット・再編成する仕組み。課金力が高いクランが固定的な強者になることを防ぎ、新規・中堅プレイヤーにも競争参加の余地を作る設計。過去作の運営経験から生まれた、長期サービスの健全性を保つためのシステム。

何より重要な資産は、長期間にわたるライブサービス運営を通じて、さまざまな課題を直接経験し、対応してきたことです。コンテンツアップデート周期の管理、コミュニティとのコミュニケーション方法、バランス調整のスピードや方向性の設定など、ライブ運営全般に関する実践的な経験が蓄積されています。

また、AIベースのシステムを活用し、業者や不正利用の要素を先回りして検知・遮断する対応体制も、こうしたノウハウの上に構築されています。

──PvEとPvPはどちらに重点を置いた設計ですか。

ハン氏:
『ヴァンピール』では、PvEとPvPのどちらか一方に比重を置いたわけではありません。私たちが重視したのは、両者が自然につながる「好循環の構造」を作ることでした。

まず成長段階では、PKが厳しく制限された成長エリアで、自分のペースでキャラクターを育てられる環境を保証しました。フィールド狩りやダンジョンプレイだけでもダイヤを獲得でき、プレイに投資した時間がそのまま成長資産になる構造です。

じゅうぶんに成長したユーザーは、自然と競争の舞台へ進んでいきます。そこで重要視したのは、「競争の結末をどのように設計するか」でした。勝者にはサーバー内での実質的な権限と明確な報酬が与えられ、敗者にも貢献度に応じた報酬と再挑戦の機会が提供されます。「敗北が離脱の理由ではなく、再挑戦の動機になるように」したのです。

そして、この競争の結果は再び成長の原動力につながります。「もっと強くなって、次は勝ちたい」という意志が、自然と次の成長サイクルを生み出します。つまり『ヴァンピール』において、PvEとPvPは互いに競合する要素ではなく、ひとつの大きな流れの中で互いを完成させる構造です。

『ヴァンピール』開発者インタビュー:楽しむために始めたゲームが、なぜいつの間にかストレスになるのか_010

──ソロプレイヤーとクランプレイヤー、それぞれにどのような遊び方を想定していますか。

ハン氏:
『ヴァンピール』は、どちらか一方のためだけのゲームではありません。ソロプレイヤーも、クラン中心のプレイヤーも、それぞれのスタイルで深く没入できる体験を設計することが私たちの目標でした。

ソロプレイヤーには、「自分だけの成長の旅」を提供します。PKが制限された成長エリアで妨げられることなく自分のペースでキャラクターを育てられ、「ブラッドラインダンジョン」を通じて、各クラスならではの物語や世界観を一人でも十分に体験できるストーリーコンテンツも用意しています。ソロプレイヤーにとって『ヴァンピール』は、自分だけの強力なヴァンパイアを作り上げていく過程そのものが、ひとつの完結した体験になります。

一方、クラン・コミュニティ中心のプレイヤーには、「仲間がいるからこそ可能になる体験」を提供します。「聖物防衛戦」ではクランメンバー全員が力を合わせてウェーブを防ぎ、「争奪戦」ではサーバー代表の座をかけて激しい戦いを繰り広げ、「クランチャンピオンシップ」では最強の座を目指して進んでいく。これらの体験は、ひとりでは決して味わえない感動です。

そして重要なのは、このふたつのプレイスタイルが断絶していないという点です。ソロでじゅうぶんに成長したユーザーが自然とクランの一員となり、クランの中でより大きな目標へ向かって進んでいく流れが、『ヴァンピール』の中に自然に設計されています。

韓国セルラン1位の要因は?「ジャンルの課題を解決しようとした」共感と、好評だった3つの要素

『ヴァンピール』開発者インタビュー:楽しむために始めたゲームが、なぜいつの間にかストレスになるのか_011

──韓国ではGoogle PlayおよびApp Storeの両ストアでセールスランキング1位を獲得し、長期間首位を維持しました。その要因と、ユーザーから好評だった要素、逆に改善した課題があれば教えてください。

チョン氏:
何よりも、多くのユーザーの皆さまが『ヴァンピール』の提示した新しい方向性に共感してくださった結果だと考えています。

リリース前から私たちは、単にもうひとつのMMORPGを作るのではなく、ジャンルが長年抱えてきた疲労感や限界を乗り越えるゲームを作りたいとお伝えしてきました。成長構造、競争方式、経済システム、そして世界観やアートスタイルまで、既存MMORPGとは異なる体験を提供するために努力しました。そうしたジャンルの課題を解決するための大胆な選択が、ユーザーの皆さまに前向きに評価されたのだと思います。

ユーザーの皆さまが最も好意的に評価してくださったのは、大きく3点です。

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ひとつ目は、「世界観とアートスタイル」です。ヴァンパイアを中心とした「ダークファンタジー」世界観によって、キャラクターデザインからスキル演出、装備やコスチュームに至るまで、既存MMORPGではなかなか見られなかった強烈で洗練されたビジュアルを体験できるという評価をいただきました。

ふたつ目は、「成長構造」です。反復的な日課や過度な成長負担に疲労を感じる方が多い中、『ヴァンピール』では成長の楽しさに集中できる設計を意識しました。多くのユーザーから、成長過程が比較的快適で負担が少ない点を好意的に評価していただいています。

3つ目は、「競争構造」です。単に戦闘力だけで結果が決まるのではなく、クラン単位の協力と戦略が重要な役割を果たすよう設計したため、より多くのユーザーが競争コンテンツを一緒に楽しめるという反応を得ています。

──逆に、運営を通じて改善した部分や課題はありましたか。

チョン氏:
サービス開始後に最も強く感じたのは、ユーザーの皆さまの「コンテンツ消費速度」が、私たちの予想をはるかに上回っていたという点です。

開発段階ではじゅうぶんだと判断していたコンテンツ量も、実際にサービスが始まると、ユーザーの皆さまが非常に速いスピードで攻略し、成長していきました。特に、MMORPGを長く遊んできたユーザーの皆さまのプレイスタイルや情報共有の速さは、私たちの想定を超える部分がありました。その結果、一部の区間では次の目標を待つ時間が発生することもあり、より多様な成長動機を継続的に提供する必要があるという課題を確認しました。

ただし、この経験は私たちにとって非常に貴重な資産となりました。韓国サービスを通じて蓄積したデータをもとに、コンテンツ供給の周期や成長導線、運営計画をより精緻に整えることができたからです。日本サービスでは、こうした経験を積極的に反映し、初期段階からより安定したコンテンツ運営計画を準備しています。

「韓国で成功したゲームをそのまま持ってくるのではない」──日本ユーザーの声が変えた3つの設計

『ヴァンピール』開発者インタビュー:楽しむために始めたゲームが、なぜいつの間にかストレスになるのか_013

──韓国版と比較して、日本版独自の要素はありますか。日本のMMORPGユーザーへのターゲット設計と、日本市場で目指すポジションも聞かせてください。

チョン氏:
コンテンツやシステムそのものを日本版だけのために別途作るというよりも、日本のユーザーの皆さまの声を反映し、サービスの進め方を細かく調整することに注力しました。

もっとも代表的なものが「サーバー構成」です。事前のコミュニケーションの中で、多くのユーザーの皆さまから共通して強く要望をいただいたのが、「日本ユーザー同士だけでプレイできる専用サーバー」でした。私たちはその意見を積極的に反映し、日本専用サーバーを別途用意しました。もちろん、韓国や台湾のユーザーと一緒に競争したい方のためのサーバーもあわせて準備しています。

「統合取引所」についても同様です。日本のユーザーの皆さまの意見を反映し、ローンチ時点からすべてのワールドを統合して運営することを決定しました。韓国サービス初期にはなかった要素を、日本ローンチでは最初から適用する形です。

また、事前段階からGvGコンテンツへの重要性を強く訴えていただいていたため、『ヴァンピール』のコンテンツロードマップの中心にはGvGコンテンツを据えています。つまり『ヴァンピール』日本版は、韓国で検証されたゲームをそのまま持ってくるのではなく、日本のユーザーの皆さまとのコミュニケーションを通じて、ともに作り上げてきた結果です。

ハン氏:
特定の年齢層やプレイスタイルにターゲットを狭く限定するのではなく、私たちはMMORPGの本質的な楽しさに共感してくださるすべての日本のユーザーを対象にしています。

私たちが事前に日本のインフルエンサーの皆さまと直接コミュニケーションを取り、日本のMMORPGユーザーの声を聞く中で強く感じたことがあります。それは、日本のユーザーの皆さまは、この本質的な楽しさに誰よりも真剣に反応してくださるという点です。クランというコミュニティの中でともに成長し、ほかのクランと競い合い、サーバーの中で自分の存在感を作っていく体験。その体験に深く没入するユーザー層が、日本には確かに存在することを確認しました。

チョン氏:
率直に申し上げると、私たちは「何位を達成する」「どのゲームを超える」といった目標を前面に掲げてはいません。私たちが集中していることは、ただひとつです。プレイヤーが『ヴァンピール』にログインしたとき、心から楽しかったと感じられるようにすることです。

日本のMMORPG市場は、ユーザーの目線が高く、ゲームを見る視点も非常に深い市場です。表面的な数値や順位よりも、長く一緒に遊びたいゲームかどうかを、はるかに冷静に判断されると考えています。

私たちの目標は、その判断において合格点をいただくことです。初めてログインしたユーザーが翌日も、1ヵ月後もログインしたいと思えるゲームクランメンバーに「このゲームを一緒にやろう」と自信を持って勧められるゲーム。それこそが、『ヴァンピール』が日本市場で本当に実現したい姿です。

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編集
幼少期からホラーゲームが好き。RPGは登場人物への感情移入が激しく的外れな考察をしがちで、レベル上げも怠るため終盤に苦しくなるタイプ。自著『デブからの脱却』(KADOKAWA)発売中
Twitter:@MarieYanamoto

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