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『がんばれゴエモン大集合!』に『クライシスフォース』が収録されているってどういうこと? なぜファミコン後期の名作シューティングを『ゴエモン』に入れたのかを開発陣に聞く──開発者の“やりたい”を詰め込んだ結果、13本+αの驚異的なボリュームに

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名作タイトル『がんばれゴエモン!』シリーズを集めたコレクション『がんばれゴエモン大集合!』(以下、『ゴエモン大集合』)が、7月2日にKONAMIから発売となった。Nintendo Directで初めて発表された際にはファンから喜びの声が上がった本作だが、「ありえない事態」が判明し、さらなる注目が集まっている。

なんと本作には、1991年に発売されたファミリーコンピュータ用シューティングゲーム『クライシスフォース』【※】が隠しタイトルとして収録されていることが明らかとなったからである。

※『クライシスフォース』……1991年8月27日、KONAMIから発売されたファミリーコンピュータ用縦スクロールシューティングゲーム。「ファミコンの限界を越えたスーパーグラフィックス」とパッケージ裏に記載されているように、背景パターンの書き換えを利用した擬似多重スクロール表現や奥行きからの攻撃など、ファミコンとは思えないグラフィックが特徴。ふたり同時プレイも可能。

『がんばれゴエモン大集合!』開発者インタビュー|このゲームに『クライシスフォース』が収録されてるってどういうこと?_001

『クライシスフォース』はファミコン後期における名作シューティングで、ファミコンの性能を限界以上に引き出したタイトルとしてファンのあいだで高い評価を得ている。また、『クライシスフォース』はこれまで移植されたことがなく、まさかの『ゴエモン大集合』に収録されているというサプライズに、多くの人が度肝を抜かれている状況なのだ。

じつは、『クライシスフォース』が隠しタイトルとして収録されているという情報は、電ファミのスクープとして『ゴエモン大集合』発売後すぐに記事掲載を行う予定もあったのだが、『ゴエモン大集合』を購入した方の楽しみやSNSでの広がりを奪うことをよしとせず、KONAMIさんと協議のうえ、「発売後、『クライシスフォース』の存在が明らかになったら記事を公開しましょう」とお蔵入りにしていたのである。

ということで、電ファミ編集部は『ゴエモン大集合』開発陣へのインタビューを敢行。コナミデジタルエンタテインメントのプロデューサー 上野亮作氏、エムツー代表であり本作の開発プロデューサーの堀井直樹氏、そしてディレクターを務めるエムツーのセニョール河北氏にご登場いただき、『ゴエモン大集合』のタイトル選定に関する話題や、『クライシスフォース』収録の理由をうかがった。

ちなみに、上野氏とエムツーの組み合わせといえば、『グラディウス オリジン コレクション』でファンを唸らせたことが記憶に新しいだろう。

どうやら、この組み合わせが生み出すものには「狂気」と「熱意」が詰め込まれていなければならないようで、『ゴエモン大集合』もおそるべき熱量にて制作されている。その一端をインタビューから感じとっていただければ幸いだ。

ちなみに、『クライシスフォース』を遊ぶ条件は明確に記してはいないので、解放条件を知りたくない人も安心して記事を読んでいただきたい。

『がんばれゴエモン大集合!』開発者インタビュー|このゲームに『クライシスフォース』が収録されてるってどういうこと?_002
写真左から上野亮作氏、堀井直樹氏、セニョール河北氏。

聞き手・文/豊田恵吾
カメラマン/永山亘

シリーズ恒例のおまけシューティングは、まさかの『クライシスフォース』

──本日はよろしくお願いします。『ゴエモン大集合』のインタビュー取材に赴いていてこんなことを言うのはおかしな話なのですが、まず『クライシスフォース』についてお聞かせください(笑)。『がんばれゴエモン』シリーズのコレクションタイトルに『クライシスフォース』が隠しタイトルとして収録されている……。その事実を最初にうかがったとき、まったく理解ができませんでした(笑)。なぜこのような変化球を仕込もうと思われたのですか?

上野亮作氏(以下、上野氏):
正直な話、『ゴエモン大集合』は当時スーパーファミコンを遊んでいた方々を中心に広く届けたいと考えているのですが、そうした方々にとっては「『クライシスフォース』が入ってるよ!」と言われても「ポカーン」となってしまうんじゃないかなという懸念があります(笑)。

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──(爆笑)。『クライシスフォース』を入れた張本人の上野さんがそう言うのはずるいです(笑)。真面目にお返しすると、『クライシスフォース』は初移植ですから、かなり話題になると予想しています。

上野氏:
いやいや、一部の方だけじゃないですかね(笑)。

──(笑)。

堀井直樹氏(以下、堀井氏):
一部の方にでも届けばそれでいいと僕は思っていますけどね。開発が始まる前に上野さんが「『クライシスフォース』をいれたい」とおっしゃったときには、ニヤリとした側ですので (笑)。

上野氏:
このタイミングを逃してしまうと『クライシスフォース』を遊べる環境は作れないんじゃないかな、という懸念があったんですよね。

堀井氏:
逆に『クライシスフォース』効果で『ゴエモン大集合』が売れるようなら、その先も考えられますもんね。

上野氏:
いや、それはそれでどうなんでしょう(笑)。

──本作の企画が立ち上がった経緯を確認したいのですが、『がんばれゴエモン』シリーズのコレクションを作る話がKONAMIさんの中で立ち上がったとき、エムツーさんと組まれることになったのは、『グラディウス オリジン コレクション』の手応えがあったからこそなのでしょうか?

上野氏:
そうですね。『グラディウス オリジン コレクション』より以前からエムツーさんとはいろいろとやり取りをしていたので、そのまま自然な流れで「じゃあつぎは……」と決まりました。

堀井氏:
流れるように「『がんばれゴエモン』のコレクションはどう?」というお話が来ましたね。

──エムツーさんとしても準備万端だったわけですね。

堀井氏:
「待ってました!」という感じです(笑)。すぐにどのタイトルを収録するのかを考え始めました。

上野氏:
『ゴエモン大集合』については、『グラディウス オリジン コレクション』よりも以前に、何人かのプロデューサーがいろいろと相談させてもらっていました。いろいろ揉んでいてなかなか形になることはなかったのですが、今回40周年のタイミングで実現できてよかったです。

堀井氏:
詳細は話せませんが、いろいろと紆余曲折ありましたね……。

上野氏:
多言語対応を行い、ワールドワイドで……とも考えたのですが、そもそも海外言語に対応している『がんばれゴエモン』シリーズのタイトルって、じつはそんなに多くないんですよ。それ以外をローカライズしようとすると、かなりたいへんになることがわかってしまって。

──収録されているのが13タイトルですから、とんでもない量の翻訳作業ですよね……。

堀井氏:
本作に収録しているタイトルは、おおむね16ビット機や8ビット機のころのゲームなのですが、その時代のタイトルですとソースコードはあったりなかったりで、もうバイナリしか残っていない、といったものもある状況だったんです。

つまりもとのソースコードに至るところまでに、暗号を解くような作業が必要なんですよね。だからとにかく時間がかかってしまう。この作業をもっと早く進めたかったんですが、なかなかうまくいきませんでした。

さらに言語を全部入れ替えるとなると、解析してメッセージデータをすべて出せたとしても、ゲーム内にある日本語の看板など「画像で表現されたテキスト」は判別できないんですね。

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上野氏:
テキストデータではないですから、プレイして人力で見つけ出す方法しかないんですね。

堀井氏:
他言語化はほかにもいろいろな問題というか、乗り越えなければいけない壁があるんです。たとえば日本語なら「おやすみ とちゅうさんかできます」とテキストが画面内に収まっていたとしても、ドイツ語にすると枠の中に収まらないよな……というものが絶対に出てくるんですよ(笑)。腰を据えてそれをなんとかしていくのも楽しい作業ではあるんですけど、やはりいろいろとたいへんで。

いったん完成させてもチェックするたびにまた同じような対処が必要だったりと、それを繰り返していくと、結局は膨大な作業になってしまうんですね。

ニンダイ初報でファン沸騰。待っていてくれたファンが予想以上にいた

──『がんばれゴエモン』シリーズは今年で40周年を迎えるわけですが、「周年に合わせて出そう」という構想が当初からあったのでしょうか?

上野氏:
そうですね。『がんばれゴエモン』シリーズは、もともと移植されていないものが多かったんですよ。バーチャルコンソール(以下、VC)【※】で販売していたタイトルもありましたが、サービスも終了してしまい「現行機で遊べる環境を」というのは、VCのサービス終了前から話としてはあがっていたんですね。

※バーチャルコンソール……かつてWii、WiiU、ニンテンドー3DSに提供されていたサービス。過去に発売されたソフトを遊ぶことができた。バーチャルコンソールのソフトはすべてデジタル配信(ダウンロード販売)となっていた。

堀井氏:
KONAMIさんから僕らに「復刻をやってくれませんか?」という話をいただくこともありますが、話をいただくたびに「『がんばれゴエモン』はどうなんだろう?」とはずっと思ってはいたんですよ。ですので今回は本当にうれしく思っています。

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堀井氏:
初報がNintendo Directで流れたときに、たまたまYouTubeで『がんばれゴエモン』の実況を見ていたのですが、実況していた方がものすごくびっくりしていて「自分の放送はいいから、ちょっとお前らニンダイ見ろ!」と大騒ぎしてくれたんですよ(笑)

──自分の放送よりもニンダイの『ゴエモン大集合』発表のほうが大事だと(笑)。

堀井氏:
そうなんですよ。実況者の方が大喜びしてくれているのを見て「この仕事をしてよかったな」と(笑)。

上野氏:
『ゴエモン大集合』は発表後に、本当にいろんな人から「ありがとう」と言われましたね。

セニョール河北氏(以下、河北氏):
発表後、お湯が沸騰したみたいに、すごい量の反応が湧き上がったんですよね。『がんばれゴエモン』シリーズを心待ちにしてくれていた人がこんなにいるんだな、と驚きました。

上野氏:
反響を見るに、スーファミ時代の『がんばれゴエモン』シリーズを遊んでくれていた方々がとくに多かったみたいですね。想定を遥かに超える、すごい反応でした。

──『がんばれゴエモン』シリーズは、「子どものころに一度は触れているタイトル」というイメージがあります。自分が買ったことがなくても、友だちの誰かが持っていて、友人宅で遊んだことがあったり。

上野氏:
「小中高で放課後に友だちと遊んだ」といった人たちがたくさんいて、『ゆき姫救出絵巻』とか『奇天烈将軍マッギネス』以降に触れた方が多いみたいですね。

みなさんの反応がすごく素直で、こう言うのもアレですが、シューティング界隈とはまた違う反応だなと。

堀井氏:
あまり言いすぎると角が立ちそうですが、本当にそのとおりなんですよ(笑)。

僕とは違う、もっと日の光の当たるところを歩んできた人たちというイメージがありますね。言葉を選びたいですが、選べない(笑)。

──『グラディウス オリジン コレクション』ですと、どうしても「選ばれし民」が集まってくるような印象があります(笑)。

堀井氏:
そうそう、濃縮還元する前のオレンジジュースの原液みたいな感じですよね(笑)。

新作が出ることになったら「じゃあ見てやるか」と言って指をツーッとすべらせて、一応褒めてもくれるんだけど、「ここはホコリが残ってますね」みたいなことを言ったりして(笑)。

──みなさん「シューティング」に一家言持ってらっしゃいますから(笑)。

堀井氏:
自分なりの『グラディウス』観がちゃんとあるんですよね。だから、そこから「自分はどう思うか」という意見を立てられる方が多いんだと思います。

でも『がんばれゴエモン』シリーズのファンの方はちょっと違いますね。バスケでダンクシュートを決めたあとに、みんなが立ち上がって「ワーッ!」となるような、すごく素直な反応なんです。

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あれもこれもと欲張るうちに収録作は13本に。本数と価格は「『ゴエモン』ではこれが正解だった」

──『大集合』の収録タイトルの選定は、開発が決定したあとで決められていったのですか?

上野氏:
そうですね。ただ以前から話していたこともあって、いろいろとパターンは検討していました。堀井さんと話す前に考えていたのは、じつは4作くらいでコンパクトにまとめるやり方でした。

──それがふつうの数だと思います。1作に13タイトル+αを収録って、どうかしている数ですので(笑)。

上野氏:
なぜなんでしょうね(笑)。堀井さんは作っている最中に「13タイトルって多すぎない?」ってなりませんでしたか?

堀井氏:
まあ、その前の『グラディウス オリジン コレクション』も大ボリュームだったので。

上野氏:
たしかに『グラディウス オリジン コレクション』でも7タイトル18バージョンを収録していましたから、それで感覚麻痺していたところはあるかもしれませんね(笑)。

一同:
(笑)。

堀井氏:
まあ感覚が麻痺していたのはそうなんですけど、「もう少し制作期間があったら『沙羅曼蛇Ⅲ』みたいに何か新しいタイトルを作れるよな」という気持ちもあるんですよね。現場のスタッフからは「勝手なことを言うな」と怒られそうですけど(笑)。

上野氏:
そんな感じなので、進めていくうちにどんどん増えていったんですよね。エムツーさんの中にすごく『がんばれゴエモン』を遊んでいる方がいらっしゃるのですが、「ゲームボーイのシリーズは入れないんですか?」、「外伝シリーズは入れないんですか?」とどんどん聞かれるから、「じゃあ、これもそれも入れましょうか」となり(笑)。

いったんは10本くらいでまとまりかけたのですが、そこから「これもついでに入れようか?」とやっているうちに、気づいたら13本になっていました。

試遊会でほかのメーカーの方から「うちなら絶対に分割してます」と言われたりして笑)。

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堀井氏:
本当なら機会の最大化をしたほうがいいはずですからね(笑)。

上野氏:
分割することも考えたんですけど、どういう分け方がいいのかな……とずっと悩んでしまって。どう切り分けてもなんだかしっくりこなくて。「ファミコン4本、スーファミ5本、GB集!」とかも何か違うよな……とか、「もしや年代?」……とかグルグルと(笑)。

発表後に「外伝2本をやりたかったから『ゴエモン大集合』は最高」と言ってくれる声が多くて、「もしかしたらこういう分け方もあったんじゃないかな……?」と考えたりしちゃいましたね。

堀井氏:
「やりたかった」という声は、いままで遊ぶ機会がなかったからなのか、当時遊んでいたものをまた遊べてうれしいからなのか、どちらの感覚なんですかね?

上野氏:
なんとなくですが、当時遊んでいたのでもう一度やりたかった、という人が多い印象ですね。バーチャルコンソール版で出ていたことは把握していなかった、という人たちも少なくないのかなと。

──1作で13本のゲームが入っているわけですから、とんでもなくコスパが良いですよね。価格がまさかの5480円(税込)ですから、1本で割ると500円を切っているわけで。

堀井氏:
コスパについては本当にそう思います。タイトルをつまみ食いしていただいて、お腹いっぱいになるところまでやってもらって、放置して、また思い出したようにやってもらえれば、僕は本望ですね。

上野氏:
正直、本数はちょっとやりすぎたかもしれません(笑)。とはいえ、やっぱり「こうだよな」とも思うんですよね。「がんばれゴエモン」ではこれが正解だったんだと。

──ただ一方で、ゲームボーイカラーの『もののけ道中 飛び出せ鍋奉行!』が収録されていないのは意外でした。このラインナップですと、『もののけ道中』を含む、ニンテンドウ64までのカセット時代のものが全部入っていてもおかしくない印象でしたから。

上野氏:
ゲームボーイ用ソフトの『もののけ道中』とニンテンドウ64用ソフトの『もののけ双六』は連動機能もありましたから、『もののけ道中』だけを収録するのは気が引けたんですよね。じつは、開発の後期に『黒船党の謎』『天狗党の逆襲』『星空士ダイナマイッツあらわる!!』を入れ込んだので、作業的にもすでにいっぱいいっぱいだったんです。

そんな中で「『もののけ道中』も足しましょう」とはさすがに言えなかったですね……。とはいえ、最後までことあるごとにエムツーさんからは「入れないんですか?」と言われてました(笑)。

堀井氏:
がんばればできるような気がしていたんですよね。

上野氏:
「できたかできないか」でいうならば、たぶん「できた」とは思うんですよ。でもどうしても「連動機能なしで収録するのはもったいない」という気持ちに勝てなくて。

──エムツーさんは本当に良い意味で狂気的ですよね(笑)。

堀井氏:
でも、もし上野さんが「ニンテンドウ64の『もののけ双六』も収録されていれば完璧なので入れましょう」と打診されてきたら、その瞬間に「すみませんでした」と詫びを入れなきゃいけなかったと思います。さすがに無理だったかなと(笑)。

ファミコンとスーパーファミコンとゲームボーイ系のアーキテクチャで揃えていたところに、新しくニンテンドウ64の専門家まで必要になると、もうこれ以上は難しいな、という感じでしたので。

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副編集長
電ファミニコゲーマー副編集長。元ファミ通.com編集長。1990年代からゲームメディアに所属しており、これまで500人以上のゲーム開発者、業界関係者、著名人インタビューを手がける。1970年代後半からアーケード、PC、コンシューマーゲームにのめり込み、『ウィザードリィ』のワイヤーフレームで深淵を覗き、現在に至る。
Twitter:@Famitsu_Toyoda

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