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『がんばれゴエモン大集合!』に『クライシスフォース』が収録されているってどういうこと? なぜファミコン後期の名作シューティングを『ゴエモン』に入れたのかを開発陣に聞く──開発者の“やりたい”を詰め込んだ結果、13本+αの驚異的なボリュームに

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隠しコマンドは、あえてヒントを出さずに「お客さんに賭けてみた」

──今作のディレクターは河北さんが担当されていますが、エムツーさんとしてはどういった意図があって抜擢されたのでしょうか?

堀井氏:
河北さんはなんでもできるタイプなので、「ちょっとやってみてくれ」ぐらいの感じでしたね。『がんばれゴエモン』シリーズもそこそこプレイしていたというのもありますが。

──「13本+αを1作を収録します」と言われて、河北さん的にはどうだったのでしょうか?

河北氏:
「え!?」となりましたね(笑)。自分が開発に参加したときには収録タイトルはある程度固まっていて、「この13本で行くよ」と言われまして。生々しい話をすると、まずはメニュー画面の中に、この13本をどうやって1画面に収めるかを考えましたね。

このメニュー画面は私がすべて作ったのですが、画面左側にファミコンとゲームボーイタイトル、右側にスーパーファミコンタイトルとオプションを配置するとちょうど数がぴったりだったので「これでいけるな」と。

『がんばれゴエモン』は和風テイストが特徴ですので、画面に桜の花びらを散らしたり、画面中央に富士山を置きたいといったイメージもあり、上野さんとやり取りしながら決めていきました。

『がんばれゴエモン大集合!』開発者インタビュー|このゲームに『クライシスフォース』が収録されてるってどういうこと?_008

──たしかに、収録タイトルが13本もあると画面に配置するだけでもたいへんですよね。

河北氏:
ちゃんとロゴが見えないといけませんからね。背景の色もゲームボーイっぽく緑にしてみたり、スーパーファミコンタイトルは青っぽい色にしてみたりとか、いろいろ考えて決定しています。あとはオプションの「とらのまき」や「みゅうじっく」は和風らしく縦書きにしています。このあたりも上野さんと相談しつつ進めました。

堀井氏:
縦のレイアウトってめんどくさいから、なかなかやらないですよね。

上野氏:
ふつうはやらないレイアウトですね。

河北氏:
労力がすごくかかるのですが、雰囲気はばっちりなのでこだわったところですね。

──この流れで『クライシスフォース』の話をさせていただきたいのですが、隠されている仕様じゃないですか。当初から隠しタイトルにしようと考えていらっしゃったわけですよね。

上野氏:
「『ゴエモン大集合』に『クライシスフォース』が収録されています」という発売前プロモーションは混乱を生んでしまうかなと(笑)。

オプション画面の中から『クライシスフォース』が遊べるようになっているのですが、アンロックする必要があります。やり方は……読者さまご自身で見つけていただくか、もうXで話題になってたりするのかな。

『がんばれゴエモン大集合!』開発者インタビュー|このゲームに『クライシスフォース』が収録されてるってどういうこと?_009

河北氏:
気づく人が現れるのかは「神のみぞ知る」なんですよね(笑)。

上野氏:
まあ、この記事が掲載されたということは、見つけた人がいらっしゃるということで(笑)。

──『クライシスフォース』を出すときの入力ポイントとなる画面は、ふつうはコントローラーを置いて、操作から離れる方もいますよね。

堀井氏:
わかります。余韻に浸るというか。僕もそうです。

上野氏:
どこかに「匂わせ」のヒントを入れようかという話もあったのですが……。

河北氏:
最終的にヒントは入れていません。入れるかどうかの検討はあったのですが、「やっぱりここはお客さんに賭けてみよう」と(笑)。

──ちなみに、もうほかに隠し要素はないですよね?

堀井氏:
…………じつは、もうひとつあります。上野さんはデバッグ用の仕様だと思って忘れてましたが。もう見つけた人もいるのかな? お楽しみに。

おまけシューティングは当初『ガンサイト』も候補にあがっていた

──『クライシスフォース』を入れよう、というのはどのタイミングで決まったのでしょうか?

上野氏:
まだ収録本数が決定していなかったときに、「隠しタイトルで『がんばれゴエモン』とはまったく違うファミコンタイトルを入れようか」という話はちょくちょくあったんですよね。じつは『ガンサイト』【※】も候補にあがっていたんですけど、本体の収録タイトルが増えてきたので、さきほどお話したように「もうおまけソフトをやってるヒマはないでしょ」という流れになって。

※ガンサイト……1991年に発売されたファミリーコンピュータ用シューティング。3D視点に特化したシューティングで、任天堂の「光線銃シリーズ」にも対応している。ヘリを操作しての空中戦、地上に降りてのガンシューティング、3Dダンジョン的な基地内部突入戦など、多彩なステージに挑む内容だった。

──(笑)。

上野氏:
ただ13本の目処が立ったくらいで、隠しタイトルの話が再燃したんですよね。「やっぱり『がんばれゴエモン』といえばシューティング【※】が入ってないとダメでしょ」となり。だから、ミニゲームとして入れるくらいならできるかなと。

※『がんばれゴエモン』といえばシューティングゲーム……『がんばれゴエモン ゆき姫救出絵巻』では「からくり遊園地」ステージにゲームセンターがあり、『グラディウス』をプレイ可能だった。また、『がんばれゴエモン2 奇天烈将軍マッギネス』でも同様に特定の場所で『ゼクセクス』を遊ぶことができた。

堀井氏:
最初はそんな流れでしたね。

上野氏:
謎ですよね、「『がんばれゴエモン』といえばシューティングが遊べないと」とか、意味がわからないというか(笑)。そういった流れで「じゃあ入れましょうか」となったのですが……なぜ『クライシスフォース』になったんでしたっけ。

堀井氏:
「ほかで移植する機会があまり出てこなさそうなタイトルですし、すごくいいタイミングだから」という話だったと思います。シューティングのシリーズものでまとめたとしても、『クライシスフォース』はなかなか候補には入らないじゃないですか。『クライシスフォース』も日本発売のみですし。

『グラディウス』『ツインビー』『沙羅曼蛇』のシリーズでまとめたとしても、その中に『クライシスフォース』は入らないんですよね。

上野氏:
社内の会議では、収録タイトルが13本になったときには何も言われなかったんですけど、『クライシスフォース』だけは「なんで『クライシスフォース』なの? 意味がわからないんだけど?」ってツッコミを入れた人がひとりだけいたんですね。

そのときに「『ゆき姫救出絵巻』に『グラディウス』、『奇天烈将軍マッギネス』には『ゼクセクス』が入ってるじゃないですか?」と説明したら「たしかに」と(笑)。

一同:
(笑)。

上野氏:
あとは『クライシスフォース』のVRC【※】『がんばれゴエモン外伝2 天下の財宝』といっしょだったので、解析もまとめてできるし、「『がんばれゴエモン2』や『ゆき姫救出絵巻』みたいにふたり同時プレイが可能なタイトルでコンセプトもあってるんです!」とか説明した気がします。

※VRC……Konami Virtual ROM Controllerの略。KONAMIが開発したファミコン用ROMバンクコントロールチップ。ファミリーコンピュータにはバンク切り換え機能はなかったのだが、VRCを搭載することでバンク切り換えを可能にし、大容量ROMカートリッジを扱う手法が確立された。また、VRC後期の『ラグランジュポイント』では、拡張音源によってファミコンソフトでありながらFM音源を再現している。KONAMIがVRCを搭載していたおもなタイトルは、『がんばれゴエモン!からくり道中』、『月風魔伝』、『魂斗羅』、『がんばれゴエモン2』、『沙羅曼蛇』、『グラディウスⅡ』、『クライシスフォース』、『悪魔城伝説』、『魍魎戦記MADARA』など。

河北氏:
『クライシスフォース』をふたりでプレイすると、ちょうど「ゴエモン」と「エビス丸」っぽい色合いですからね(笑)。

──ちなみに、『がんばれゴエモン』の初期作や『クライシスフォース』を開発されていた方がまだ社内にいらっしゃったり、当時の資料が残っていたりしたのでしょうか?

上野氏:
資料は大量にありますね。成り立ちなどを参考にするためにひととおり目を通しました。オリジナル版を手がけた方も、何人かは社内に残られていていろいろとお話をうかがいにいったりしていました。

『がんばれゴエモン大集合!』開発者インタビュー|このゲームに『クライシスフォース』が収録されてるってどういうこと?_010

──上野さんご自身としては、『クライシスフォース』に対しての思い入れがあったのでしょうか?

上野氏:
じつはオリジナル版の当時は知りませんでした。初めて触れたのは2010年ごろですね。僕はCD周りでもたまにプロデュースやディレクション、制作担当を務めることがあったのですが、ファミコンのCDボックスを出したときに『クライシスフォース』の曲を聞いて「遊んでみたい」と思ったんですね。ただ、秋葉原で探してみたら、ものすごく高かったことを覚えています(笑)。

『クライシスフォース』はファミコン期におけるKONAMIの技術力のひとつの到達点

──『クライシスフォース』はオリジナルのシューティングゲームですし、ふたり同時プレイが可能だったり、背景・グラフィック描写もすばらしく、さらに音楽の評価も高いですよね。お世辞ではなく、「これ本当にファミコン?」という出来栄えで。当時、KONAMIは職人技というか、技術力の高さがゲーマーに支持されていましたし、「KONAMIの技術ここにあり」的なタイトルというイメージがあります。

上野氏:
おっしゃるとおりだと思います。さきほど社内で「なんで『クライシスフォース』なの?」というツッコミがあったという話をしましたが、そもそも『クライシスフォース』自体を知らない人も多いんですよね。

堀井氏:
シューティングゲーム好きは知っていますけどね。

『がんばれゴエモン大集合!』開発者インタビュー|このゲームに『クライシスフォース』が収録されてるってどういうこと?_011

堀井氏:
でも、移植するにしても「これはいまやっとかなあかん」というものを選んでいるわけですから、いい選択だったと思いますよ。絶対にそうです(笑)。

──『クライシスフォース』が収録されていると知って購入される方もいらっしゃると思います。堀井さんは『クライシスフォース』をどう評価されていたのでしょうか?

堀井氏:
ファミコンにおけるKONAMI作品の「トップオブトップ」ですよね。やっぱりファミコン後期に発売しただけあって、「やれることは全部やろう」という気概に満ち溢れていると感じます。遊んでいると、「ファミコンでそれをやるか!」というシーンがたくさんあるんですよ。本当にすごい技術なんです。

上野氏:
もうスーパーファミコンが世に出ている時期にファミコンでこのクオリティを作っていたわけですからね。本当に「なんで?」ですよね。

堀井氏:
気概というか、気持ちで作ってるような感じがあって、それがすごく良かったんですよ。ファミコン本体も、脂汗をかきながらよろこんでいると思います(笑)。

河北氏:
じつは自分は、「『ゴエモン大集合』で『クライシスフォース』をやるよ」と聞いたちょうど1週間ぐらい前に、オリジナルを秋葉原で買っていたんですよ(笑)。

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──(笑)。またすごいタイミングですね。

河北氏:
保存状態のいいオリジナルはなかなか見つけられないので「やった、買えた!」とよろこんでいたら、「『ゴエモン大集合』で移植するよ」と言われて、「ええっ!」となりました(笑)。さっき上野さんが「これでよころぶ方が……」って言っていましたが、よろこんだうちのひとりが自分でしたね。私は『クライシスフォース』が遊べるというだけで買う派です(笑)。

──ということは、河北さん的には『クライシスフォース』を扱うことに高い熱量があったわけですね。

河北氏:
そうですね。ただ恥ずかしながら「こんなシューティングがあったんだ」ということに気づいたのが、1〜2年前ぐらいでして、急いでカートリッジを探したんですよね。

──河北さんは『クライシスフォース』をどう評価されているのでしょうか。

河北氏:
やっぱりグラフィックがすごく良いですね。2重スクロールに見えるような背景の処理がすばらしい。ファミコンでできることを極限まで考えていたんだろうと思います。自分も絵を描いていた経験があるので、「斜めに動くような絵を書いて、細かく切り替えをやっているんだろうな」など、プレイしているときにいろいろ考えちゃいますね。

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堀井氏:
プレイ中に処理が重くなったりすると、そのこと自体にうれしくなっちゃうんですよね。「やれることを全部やってるな!」とよろこんでしまうというか。

河北氏:
そう、うれしいんですよね。処理落ちしたら「おお、がんばってる、がんばってる」って(笑)。

──エムツーさんが開発しているということは、 処理落ちだったり、画面のちらつきみも含めて、すべて完全再現されているわけですよね?

河北氏:
そうですね。オリジナルに忠実に再現しています。

──ちなみに、ふたり同時プレイも可能なのですか?

河北氏:
もちろん、ふたりでプレイできます。

堀井氏:
これを機に『がんばれゴエモン』ファンの方が、シューティングファンになってくれるとうれしいですね。

上野氏:
「『ゼクセクス』は『奇天烈将軍マッギネス』の中でしかやったことない」というプレイヤーさんもいますからね。

──今後は『クライシスフォース』が、そうやって語り継がれるかもしれません。

堀井氏:
『がんばれゴエモン』シリーズを遊ぶと、なぜかシューティングを1本やらされると(笑)。

上野氏:
それで言えば、『ゼクセクス』が『奇天烈将軍マッギネス』に入ったときには、もうゲーセンでは『ゼクセクス』を見かけない時代でしたから、遊ぶ方法がなかったらそういう存在になりますよね。

初代『がんばれゴエモン』は当時衝撃の「2メガ」

──『がんばれゴエモン』について深掘りさせていただきたいのですが、1作目の『がんばれゴエモン!からくり道中』が世に出たときに「2メガ」というボリュームに驚いた記憶があります。当時まだ小学生だったので「よくわからないけど、すごいものが出てきた」という感覚だったのですが、みなさんは『がんばれゴエモン』シリーズの特徴、エポックさをどのように捉えているのでしょうか?

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堀井氏:
要素がてんこ盛りでしたよね。モチーフが「和」ということにも驚いた覚えがあります。タイトルに「ゴエモン」とあるわけですからね。

──ただのアクションではなくRPG的な要素もあり、ステージ数も膨大で……。そのうえでレベルデザイン的にも、当時の水準からすると信じられないくらい複数の要素を、すごくいいバランスで仕上げていたと思います。

堀井氏:
いまの言葉で言えば「探索型」ですもんね。家庭用ゲーム機のタイトルとして出すという前提で、プレイ時間を担保するために「探索」という要素が入ったのだと思いますが、当時はかなり少なかったですよね。

河北氏:
3D迷路まで作っていますからね(笑)。

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──冷静に考えるとおかしいですよね(笑)。なくても成り立つはずの要素がこれでもかと入っているわけですから。

堀井氏:
スーパーファミコンになると、さらにすごい処理をやっていますよね。巨大ロボが戦ったりもするし。

上野氏:
3D迷路もそうですけど、本当に技術力と熱意のかたまりですよね(笑)。

堀井氏:
KONAMIの開発の方って、アーケード筐体でやるような技術的にすごいことも「別にそれ、ファミコンでもできますよ」と平気でやるんですよ。そういう人たちがいたからこそ、『がんばれゴエモン』の表現もどんどん高みに登っていったんだろうなと思いますね。

──みなさんも1作目で「2メガの衝撃」は受けましたか?

堀井氏:
僕らが中学とか高校のころですよね。当時はまず「メガってなんだ?」というところから入った気がします。これって要するに、当時持っていたパソコンのメモリーの4倍分だったりするわけですよ。当時はパソコン雑誌に載っていたプログラムリストを手打ちして、ゲームを遊べるようにしていた時代じゃないですか。

それがメインメモリーの4分の1程度でもパソコンが死んじゃうのに、メモリー全体のさらに4倍の容量がある。そうすると、「どれだけいっぱいデータが入ってるんだろう、どれだけ長い時間遊べるんだろう」と期待しちゃうところはありますよね。音声サンプリングで何やらしゃべっているし、マップも広いし。

上野氏:
僕らの世代だと、『がんばれゴエモン』といえばファミコンの印象が強いですよね。僕はスーファミの時期、アーケードの対戦格闘ゲームに夢中になっていたので……。

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副編集長
電ファミニコゲーマー副編集長。元ファミ通.com編集長。1990年代からゲームメディアに所属しており、これまで500人以上のゲーム開発者、業界関係者、著名人インタビューを手がける。1970年代後半からアーケード、PC、コンシューマーゲームにのめり込み、『ウィザードリィ』のワイヤーフレームで深淵を覗き、現在に至る。
Twitter:@Famitsu_Toyoda

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