初期の衣装は黒基調。そこから反転させた新衣装は【アルターメイデン】の問題が解決した「証」だった
──シナリオを手がけてきた立場から、第3部でいちばん思い入れのあるエピソードを挙げるとしたら、どのお話になりますか。
シナリオディレクター:
イベント扱いにはなっているのですが、今年の5月末に開催された【アルターメイデン】の「Re:birth maiden ‐再誕の乙女たち‐」というイベントです。実質的なメインストーリーにあたるお話です。
というのも、【アルターメイデン】は第3部の前から登場していて、「こういう結末にしよう」というのは、キャラクターができた当初から決めていたんです。それをなんとか着地させることができて、すごく感慨深いものがありました。
──長く温めてきた結末を、ついに描き切ったと。
シナリオディレクター:
さきほどシェフィの話が出ましたけど、彼女が第2部のヒロインとして最後まで駆け抜けたように、【アルターメイデン】も第2部の終わりから登場して、このイベントで彼女たちの物語がいったん収まった形になります。ユーザーさんからの反響もよくて、嬉しかったですね。
──ある種の「禊(みそぎ)」が済んだ、という解釈もできるんでしょうか。
シナリオディレクター:
彼女たち自身の「気持ちの問題」の解決ですね。
もちろん「懲役」という、あの世界における重要な問題が解決できたというのも同時並行で書いてはいるのですが。それを進めつつ、彼女たちが抱えていたさまざまなものも一緒に収束していくように描いたのですが、それまでにかなり厳しい状況を与えてしまったので……「乗り越えてくれてありがとう」という気持ちです。
──最初は敵側のキャラとして描かれ、第3部で後輩キャラ的なポジションになり、今回ひとつの結末を迎える。この一連の流れを描くうえで、大事にしていたことを教えてください。
シナリオディレクター:
「正統派、清純さ、女の子らしさを大事にした3人の集まり」というのを大前提としていました。第3部のメインギルドとして考えたときに、既存のキャラクターたちと属性が被らないようにしたいなと。
長期運営タイトルあるあるだと思うんですけど、年数が重なるうちに、どうしても突飛なキャラクターや、味の濃いキャラクターを出してしまいがちなんですよね。そこをぐっと我慢して、「清楚系の女の子たちを集めたギルド」を作ってみようと思ったんです。
そのうえで、彼女たちが成長していく過程を書いていきたかったんです。なので、初期の彼女たちの言動を読み直してもらえると、最近のイベントとはかなり違うことに気づいていただけると思います。
──彼女たちの新衣装はガラリと雰囲気が変わったものでした。あの衣装は、シナリオから指定があってデザインされたという形だったんですか。
シナリオディレクター:
はい。初期の衣装が黒を基調にしていたものだったので、そこから反転させたかったんです。彼女たちの抱えていた問題が解決した「証」としての衣装をどうしても用意したかったんですよね。
七冠の開発現場は、じつは『プリコネR』の現場に近いのかもしれない?
──では最後に、コンテンツディレクターの立場から見た「ベストオブ・レジェンドオブアストルム」なシーンをお聞かせください。
コンテンツディレクター:
個人的な思い入れも込みになりますが……「アストルム」という言葉があると、自分は7周年のイベント「ダイブ・アストルム 七つの願いと創世の残響」が思い浮かびます。プリコネフェスや生放送で流したアニメも含めて、周年イベントの諸々をひっくるめた施策全体が、すごく思い出深いところです。
あれは「レジェンドオブアストルム」というゲームの舞台ができるまでの物語、つまり前日譚だったんです。
我々もゲームクリエイターとして『プリコネR』を作っているなかで、日々のこだわりだったり苦労だったり、いろんな思いがあります。だからこそ、「ベストは?」と聞かれると、それが思い浮かびました。
──作中のゲームを作る物語だからこそ、現実の開発とも重なる部分があったのですね。
コンテンツディレクター:
イベント自体もかなりチャレンジングでした。ゲーム内のイベント本編があって、それと連動する形でアニメを展開する。片方だけ見ても楽しいし、あわせて見るとさらに楽しい。そういうものを目指しました。
シナリオチームやアニメチームと「ラストシーンはこんな感じが良いかな」とあれこれ議論しながら作り上げましたし、そこからのフィオ登場も含めて、ユーザー体験をすごく意識したんです。
エモーショナルな気持ちを極限まで高めていって、最後にフェスでフィオの登場を発表したときに「やった!」と思ってもらえるか。この全体の流れの組み立てを練りました。
──イベント本編やアニメ以外でも、なにか個人的に思い入れのある要素はありましたか?
コンテンツディレクター:
ゲーム側のミニコンテンツ「アストルム開発録」も印象深いです。七冠(セブンクラウンズ)のメンバーたちが「レジェンドオブアストルム」を開発している最中のやりとりをドキュメンタリー風に描いたものでした。
たとえば、ある衣装をデザインするにあたって、「ああだ、こうだ」と意見をぶつけ合いながらフィックス(確定)させていく様子をストーリーに落とし込んでいます。
ああいうコンテンツを描くとなると、我々ゲームクリエイターとしては、すごくリアリティのあるものにしたくなるんですよ。「ひょっとしたら、これは『プリコネR』の実際の開発現場で起きた出来事かもしれないな」と思わせるぐらいのリアリティを土台に、七冠なりの誇張を交えて書いてみる。それがすごく楽しかったんですよね。
『プリコネR』を作るメンバーのひとりとして思い出深いですし、このイベントでのお話があったからこそ、物語の舞台である「アストルム」という世界ができたんだと。すべての始まりという意味でも重要なストーリーだったので、挙げさせてもらいました。
第3部で「現実世界」を本格的に扱えるようになり、施策の選択肢が一気に広がった
──第3部に入って、それまでできなかったことができるようになった部分はありますか。
コンテンツディレクター:
物語の舞台として「現実世界」を本格的に取り扱えるようになったことですね。
第2部までは、夢の中で見るような曖昧な異世界が彼女たちにとっての「現実」でした。でも第2部のラストで1度全員が現実へ還り、現実とアストルムの物語が並行して動く構造になった。これで一気に、現実側を深掘りする施策の選択肢が広がったんです。
──具体的には、どういった施策が可能になったのでしょうか。
コンテンツディレクター:
Xで連載中の井冬良先生による公式ショート漫画『プリコネ!Re:alive』や、現実側で誕生日をお祝いする「リアルサイド・バースデー」なんかは、まさにその恩恵ですね。
それに、この間の『ガールズ&パンツァー』さんとのコラボも、第3部を経て【美食殿】が「自分たちのいる現実世界」を正しく認識しているからこそ実現できたシナリオでした。
そういうことがいろいろとできるようになって、私としては本当に楽しかったんです。ユーザーさんからも「現実サイドの濃度が濃くなってきて楽しい!」という声をいただけて。それがなにより嬉しかったです。
【プリコネ!Re:alive】
— プリンセスコネクト!Re:Dive公式 (@priconne_redive) December 26, 2024
第1話「主さまと呼んでくれる少女にお世話される話」
井冬良(@ryoito_no_oka)先生が描く、プリンセスコネクト!Re:Diveの公式ショート漫画「プリコネ!Re:alive」をお届けします!
今回はこころのお話ですよ♪#プリコネR #プリコネリアライブ pic.twitter.com/lu1ljOFOUt
──最初に手応えを感じたのは、どのあたりでしたか?
コンテンツディレクター:
じつは、優衣の体育祭のアニメーションでした(笑)。「運動の秋だから、体育祭でパン食い競争をしている優衣の様子をお届けします」と出したんですが、予想外の反響がありまして。
──2024年10月19日に投稿されたものですね。こんな素晴らしいアニメーション、ユーザーとしては反応せざるを得ないですよ。
食欲の秋……読書の秋……皆さんはどんな秋をお過ごしでしょうか?
— プリンセスコネクト!Re:Dive公式 (@priconne_redive) October 19, 2024
椿ヶ丘高校の生徒たちは、体育祭で『スポーツの秋』を満喫中!
パン食い競走に参加した優衣の様子をお届けします♪
無事パンは食べられたのでしょうか…?#プリコネR pic.twitter.com/C6HHqH4nJj
コンテンツディレクター:
そう言っていただけると嬉しいです。
それまでの『プリコネR』では、現実側の要素はどこかデリケートというか、オブラートに包むような感覚で扱ってきたんですよね。だからユーザーさんからも「お、急にどうした!?」という反応が返ってきて。
ただ、結果として大好評だったので、「よし、この路線をどんどん攻めていこう」という大きなきっかけになりました。ちなみにこれ、社内のアニメチームのスタッフもすごくこだわりを持って作ってくれていて、じつは裏ではなかなかのリテイク数だったんですよね(笑)。
アートディレクター:
かなり試行錯誤しましたね(笑)。最初にコンテを出してもらったんですけど、そこからがっつり画角も変わっています。
コンテンツディレクター:
最初は、ユイがもっと小さく描かれていたんですよね。周りに学校のみんながいて、遠目にユイが見えるくらいの感じで。そこから、もうユイさえ描かれていればいいというくらいのアップの構図に変わりました。
ナーナの衝撃、フライングしたエイプリルフール、コッコロ大人化の真相。ユーザーの反響を振り返る
──ここまで制作側の話をうかがってきましたが、ユーザーの反応で印象に残っているものはありますか。
コンテンツディレクター:
カノンが斬られたシーンは想像以上の反響でした。あの画像(下記)が広まって、ナーナというキャラクターが勘違いされかねないぐらいの感じになってしまったのがちょっと心配だったんですけれど……。後になって、ちゃんとナーナのかわいい部分も浸透してくれたのでよかったなと。
シナリオディレクター:
執筆しているときは「アラクネという黒幕との因縁を作ろう」くらいの気持ちだったのですが、ナーナ役の黒沢ともよさんの演技がすごくよかったこともあって、想像以上のシーンになったのかなと思っています。
──シナリオ以外の施策では、いかがでしょうか。
コンテンツディレクター:
なんでしょうね……。昨年のエイプリルフール企画は、あえてフライングして正解でしたね。
エイプリルフールって、企業からするとものすごいプレッシャーとの戦いなんです。当日はSNSがお祭り騒ぎになって、各社が「うちが話題をかっさらうぞ!」としのぎを削っていますから。でも、だからといって手を抜いたら、ユーザーさんをがっかりさせてしまうじゃないですか。
だからこそ、「あえて先走っちゃうか」とか「予告で出したものと全然違うものを出しちゃうか」みたいに、あれこれ戦略を練りながら仕掛けていきました。
シナリオディレクター:
でもあれ、タイトル以外は予告どおり、本当のことなんですよね。
コンテンツディレクター:
ですよね。何も間違ったことは言っていない。予告したことは全部起きた、という。
──『グランブルーファンタジー』のエイプリルフール企画「エイプリルフール2日目」を連想したユーザーさんもいました。こうした茶目っ気は、Cygamesさんらしいところですよね(笑)。
コンテンツディレクター:
そうですね(笑)。『グラブル』チームがいつも先に道を作ってくれるので、この場を借りて「ありがとう」と伝えたいです。
03/22(土)に予告していた、ストーリーイベント「Bocchi Battle Brigade ~ぼっち最期の日~」の開催は、ランドソル王宮広報部の誤報であることが判明しました。
— プリンセスコネクト!Re:Dive公式 (@priconne_redive) March 31, 2025
現在、別の正しいストーリーイベントを開催中です。
"本当"の物語は、ゲーム内にてご自身の目でご確認ください!#プリコネR pic.twitter.com/bfwnwDZdoz
──個人的には、大人コッコロが登場した際の反響の大きさが記憶に残っています。長年愛されてきた姿だけに、ユーザーさんからのネガティブな反響を招くリスクもあったのではないでしょうか。
アートディレクター:
そうなんですよ。これまで親しまれてきた幼いキャラクターを大人の姿にするのは、要するに「別のものにする」ことと同義なので、かなりリスキーなんです。
イメージ自体はずっとありました。でも、それをユーザーさんがどう受け取るのか。挑戦としてはハードルが高くて、怖い部分もありましたね。ですので「これがコッコロの成長した姿なんだ」と受け入れてもらえたのは、安心しました。
──元の姿にも戻れる「可変式」でしたし、従来のコッコロの姿も並行して供給されていましたよね。
コンテンツディレクター:
そうですね。正直、大人に成長した姿を出す以上、「100パーセントの肯定」はまず実現不可能だろうと最初から予想はしていました。
とはいえ、コッコロの成長を描くうえで、大人姿はどうしても描きたかった。だったら、覚悟を決めてこちら側がベストだと思う大人コッコロを出す。そのうえで、今までみんなが慣れ親しんだ、コッコロのかわいさもちゃんと供給していく。そう腹を決めて出したのがあの大人コッコロの姿でした。
──以前、大人コッコロが初登場したタイミングでのインタビューでも「設定的には、必ずしもコッコロの将来の姿を正確に再現したものではない」とおっしゃっていましたよね
コンテンツディレクター:
そうなんです。コッコロの姿については以前の記事でお答えしたコメントもぜひご覧ください。
慣れ親しんだコッコロと大人コッコロ、どちらのかわいさも供給していくという点でいうと、ショート動画で投稿したふたりのコッコロによるボイス動画も「どちらの姿もちゃんと大事にしているんだよ」という、我々からのメッセージのひとつだったりします。
──あのボイス動画には、そういう意図があったんですね。ちなみにコッコロの「ママ化」は、どこかの段階で方向転換があったのでしょうか。第1部ではそこまで強くなかったママ要素が、第2部では強めに描かれるようになった印象があるのですが。
シナリオディレクター:
あれは、コッコロ自身の方向転換というよりも、第2部のスタートの状況によるところが大きいんです。
第2部の冒頭部分で、騎士くんとシェフィのふたりが赤ちゃん状態になっていますよね。その状況に合わせてコッコロが面倒を見る立ち位置になり、ああいう振る舞いになっているのかなと。






