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4歳から『グランツーリスモ』を始めた男の子は、F1が走る現実のサーキットも駆け抜けてしまった

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初めてのオンラインで“挫折”したために、走りの猛勉強をすることに

――ちょうどお話が出ましたが、オンラインで他のプレイヤーと対戦するようになったのは、いつ頃のことですか?

高橋:
 プレイステーション2の『グランツーリスモ4』【※1】で実験的にオンライン対戦が行われていたんですけど、その時は自宅にネット環境がなくて。自分が実際に始めたのは、『グランツーリスモ5プロローグ』【※2】というプレイステーション3のソフトからなんです。

※1『グランツーリスモ4』 2004年に発売されたPS2用ソフト。2006年にオンライン対戦に対応したバージョンが限定配布されて、試験的に運営が行われた。
※1『グランツーリスモ4』
2004年に発売されたPS2用ソフト。2006年にオンライン対戦に対応したバージョンが限定配布されて、試験的に運営が行われた。
(画像はグランツーリスモ・ドットコムより)
※2『グランツーリスモ5プロローグ』 2007年に発売されたPS3用ソフト。2010年に発売された『グランツーリスモ5』の先行版となるタイトルで、シリーズで初めてオンラインに本格対応した。 (画像はグランツーリスモ・ドットコムより)
※2『グランツーリスモ5プロローグ』
2007年に発売されたPS3用ソフト。2010年に発売された『グランツーリスモ5』の先行版となるタイトルで、シリーズで初めてオンラインに本格対応した。
(画像はグランツーリスモ・ドットコムより)

 実はその前にPSP「プレイステーション・ポータブル」の『グランツーリスモ』【※】で、大会に初めて出場したんですよ。本当に誰でも参加できる大会だったんですけど、そこで運良く優勝しちゃって。その賞品がPS3とソフトだったんです。

※『グランツーリスモ』PSP®版 2009年発売。現時点ではシリーズで唯一の携帯ゲーム機向けソフトだが、ナンバリングタイトルに匹敵するボリュームや操作感を誇る。 (画像はグランツーリスモ・ドットコムより)
※『グランツーリスモ』PSP(R)版
2009年発売。現時点ではシリーズで唯一の携帯ゲーム機向けソフトだが、ナンバリングタイトルに匹敵するボリュームや操作感を誇る。
(画像はグランツーリスモ・ドットコムより)

――つまりPS3自体を、『グランツーリスモ』で獲得してきたわけですか(笑)。ちなみにその時は、何歳だったのですか?

高橋:
 PSPの大会が中学3年生の冬で、年が明けたぐらいからオンラインでのプレイを始めるようになりました。

――中学3年の冬というと、進学などでけっこう重要な時期ですよね?

高橋:
 ぶっちゃけ、PSPの大会の時も塾があったんですけど、休んで行ってました(笑)。でも一応、ちゃんと勉強もしつつ、『グランツーリスモ』もしつつみたいな感じで、ほどほどにやってましたね。

――それでいざ、オンラインの世界に飛び込んでみて、いかがでした?

高橋:
 オンラインのイベントに参加してタイムアタックに挑戦したら、日本国内で4ケタ台の順位だったんです。PSPの大会で優勝して、ちょっと自信を持っていたんですけど、実際はこんなにダメなんだって、その時はすごく落ち込みましたね。

 でも、なんか悔しくて、そこから第2の猛練習の時期が始まったんです。オンラインで当時速かった人の走りを参考にしたり、いろいろと研究して、そこから3年ほど経ってようやく、また大会に出場できるようになりました。

――普通はいったん挫折したところで、心が折れて諦めてしまう人も多いですよね。高橋さんの心が折れなかったのには、なにか理由があるのでしょうか?

高橋:
 それは年齢が年齢だったからなのかなって思います。“やっぱり悔しい”、“もっと速く走れるようになりたい”という思いが、自分の中でどんどん強くなっていったんです

 だから、いちばん長い時には1日に7〜8時間ぐらい、『グランツーリスモ』をやってましたね。起きたらすぐゲーム、ご飯とトイレの時間を除いたらあとはもうずっと、やれる時間があったらゲーム、ゲーム、ゲームみたいな時がありました。

――走りの研究というのは、具体的にはどんなことを? 

高橋:
 『グランツーリスモ』のいいところは、自分だけじゃなくて、他の人のリプレイを再生できるというのがありまして。他の速い人の走りを観察して、アクセルやブレーキのタイミングや、ステアリングの操作を知ることができるんです。

『グランツーリスモ』は、まるで本物のレース中継を見ているかのようなリプレイシーンも魅力のひとつ。対戦したプレイヤーの走りを研究するのに役立っていた。 (画像は『グランツーリスモ6』 グランツーリスモ・ドットコムより)
『グランツーリスモ』は、まるで本物のレース中継を見ているかのようなリプレイシーンも魅力のひとつ。対戦したプレイヤーの走りを研究するのに役立っていた。
(画像は『グランツーリスモ6』、グランツーリスモ・ドットコムより)

――リプレイを見て、他の人がどうやって運転しているのかを、自分なりに分析していくんですね。

高橋:
 タイムアタックって、何をどうすれば速くなるのかという細かい選択を積み重ねることで、最終的には秒単位でタイムが違ってきちゃうんです。こうすれば速かったという正解が、自分だけじゃなくて他の選手のものも、すべて映像で見られるので。
 自分はどこが遅れているんだろう、他の人はどこが速いんだろうと研究することで、今後こうすれば速くなるという、選択肢の幅が増えていくんです。自分の持っている技が増えていくみたいな感じですね。

 それ以外に、実際のレースの映像を見て勉強したりもしました。

――実際のレースを見ることで、ゲームの参考になるんですか? 

高橋:
 参考になることが多いですね。『グランツーリスモ』の場合、大会に参加するまでは単独で走るタイムアタックでタイムを競って、いざ大会の本番になったら、他の人と一緒に走るレースをしなきゃいけないっていうものもあるんです。

 レースの駆け引きといった部分においては、実際のレースの映像を見て、こういう場合はこうすればいいんだっていう、いろんなパターンを知っておくことが役立つんですよ。何かあった時には瞬時にその判断ができるように、というところを意識しながら見ていました。

――なるほど。そういった意味ではオンラインで一度“挫折”して、そこから自分なりに試行錯誤した経験が、のちのち大会に出場して、活躍できるようになったことにつながっているわけですか? 

高橋:
 そうですね。この過程がいちばん大きかったかなと思いますね。

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