人間になりたい白い猫「トロ」が「あなた」と訪れたのは、とある寂れた温泉郷。
観光大使になってしまった二人は、温泉街「天つ空(あまつそら)町」の復興を始めますが……。
そんな20周年を迎えた「どこでもいっしょ」シリーズの新作が、iOS/Androidで登場しています。
『トロとパズル ~どこでもいっしょ~』です。
『どこでもいっしょ』は1999年に初代プレステで発売された、言葉を覚えさせて擬似的な会話を行えるソフトで、俗に言う「人工無能(無脳)」。
プレステ用の小型機器「PocketStation」に対応しており、外出先でもコミュニケーションを取ることができました。
実験的なソフトでしたが、「ポケピ」と呼ばれるキャラクターたちが可愛らしく、後に様々な派生作が登場。
朝のテレビ番組『めざましテレビ』でトロたちが登場するショートコーナーが長年放送されていたこともあり、キャラクターの知名度は高いです。
今作はその『どこでもいっしょ』シリーズのスマホ版。
コマを3つ並べて消す「マッチ3ゲーム」のパズルを行いながら、トロたちに言葉を教えてユニークな会話を楽しみつつ、温泉地でのメインストーリーを進めていきます。
PocketStationからPSPを経てスマホに変わったことは、時代の流れを感じずにはいられません。
フリック入力が可能なので、言葉を教えやすくなったことも地味に良くなった点です。
アプリ本体は無料。課金やスタミナ、任意の広告はありますが、ガチャはありません。
また、無理に課金が必要なゲームではありません。
パズルゲームの内容は……
以上。
ご静聴ありがとうございました。
一応、ご存じない方のために説明しますと…… 任意のコマを上下左右に1マスだけ動かして、同じコマを3つ以上、縦か横に並べて消していきます。
動かしても消せないコマは動かせません。
コマは下が空くと落下し、消えた分だけ上から補充されます。
『ズーキーパー』にも似ていますが、時間制ではなく、「動かせる回数」が0になると失敗です。その前に条件を達成できればステージクリア。
クリア条件はステージごとに異なり、特定のコマを一定数消す、特殊なコマを最下部まで落とすなど様々。
コマの移動を妨げる木箱や柵、なかなか消せない縛られたコマなど、しかけも数多く登場します。
単に消すだけではクリアは困難ですが、4つ以上のコマを一度に消すと一列をまとめて消せるロケット花火や、クリア条件のコマを優先して狙うミサイルなどが出現し、クリアの助けとなります。
さらに、これらのお助けコマを使うことでゲージが上昇し、最大になると同じ絵のコマを全部消せるレインボースターが現れます。
システムや登場するしかけ、お助けコマなどは、ほとんど『キャンディークラッシュ』シリーズと変わりません。
よってゲーム部分にオリジナリティは皆無。
しかしそのおかげで、経験者なら迷わずに遊ぶことができるでしょう。
難易度もキャンディークラッシュと同じぐらいで、最初は簡単ですが、ステージ30を超えた辺りから難しくなり、50ぐらいになると運が良くないとクリアできない難関ステージが出てきます。
ただ、運に左右されるゲームであるため、どうしようもないケースがある反面、あっさり高難度ステージを突破できることも。
テクニックや思考だけで勝負しない点は、万人向けのカジュアルゲームとしては長所でもあるでしょうか。
ともあれ、ある程度進んでからは「すぐにクリアできるのが当たり前」の難易度ではなくなってくることは言っておきます。
スタミナ制ですが、ミスしなかった場合はライフは減りません。ここもキャンディーと同様。
手軽に楽しめる一方で、思わずやり込んでしまうゲームです。
パズルをクリアすると「星」を得られ、これを消費してストーリーを進めることができます。
ほのぼのしていて、ちょっとノスタルジックな、「どこでもいっしょ」らしい物語。
今回の舞台である「天つ空温泉郷」は結構広く、たくさんの施設が並んでいます。
その多くは廃屋になっていますが、ストーリーの進行によりどんどん復興していきます。
蘇った町並みは綺麗かつ賑やかで、ユニークなストーリーと相まって、どんどん先に進めたくなります。
単にステージをクリアしていくだけだった『キャンディークラッシュ』よりも、プレイの意欲が湧きますね。
前述したように「どこでもいっしょ」は元々、疑似コミュニケーションソフトであり、今作でもトロたちには自由に「言葉」を教えられます。
町や旅館でくつろぐトロたちは様々なセリフを喋り、パズルのクリア後にも短い会話が行われ、教えた言葉が使われます。
ヘンな言葉を教えると(と言うかマジメな言葉しか教えていなくても)妙なセリフが連発されますが…… それはそれで人工無能の面白さでしょう。
最初は「キャンディークラッシュのクローンをトロのIPで売ろうとしたアプリ」だと思っていたのですが、しばらくやってみると、逆に温泉地に来たトロたちの様子を描く方がメインという印象に変わってきました。
それに加えるゲーム要素として、万人向けで、カジュアルで、多くの人が知っている、キャンディークラッシュ型のマッチ3ゲームを選んだ、ということの気がします。
ゲーム自体の演出などはキャンディーの最新作『キャンディークラッシュフレンズ』の方が上ですが、ストーリー、世界観、コミュニケーション、そして何よりキャラクターで、こちらの方が日本人には魅力がありますね。
またトロと暮らしたい人、トロとお話したい人は、お手元のスマホに招いてみては如何でしょうか?
トロとパズル ~どこでもいっしょ~
「トロ」と一緒に温泉町を復興させるマッチ3ゲーム
・パズル(マッチ3ゲーム)、人工無能
・開発:ビサイド(日本)
・公開:フォワードワークス(日本)
・アプリ本体無料、スタミナ・課金あり
文/カムライターオ
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