ホストクラブを初体験! ドキドキが止まらない?
ここまでのインタビューで、“ホストの実態”がわかったような気もしますが……、やはり実際に体験しないとその真髄を理解することはできません。
そこで生まれてこのかたウン十年間……オタクとしてオタクらしく生き抜いてきた筆者が、ホストクラブに体当たりすることにしました!
イケメンといえば2次元。アイドルの握手会にすら参加しことがないため、正直3次元のイケメンとの接し方は全くわかりません。女性を接客するプロフェッショナルたちを前に緊張でいっぱいですが、“ホストクラブの初回”を体験し、その様子をレポートさせていただきます。
もちろん、お伺いした店舗は、霧夜さんが代表を務める「ALL BLACK」です。
「姫」そのひと言が“別世界”への扉を開く
「ALL BLACK」は、ホストクラブが軒を連ねる歌舞伎町の一等地に存在しており、21時になると周辺にはホストクラブを目指す女性の姿が多く見られました。いざ建物に近づくと、大きな看板がお出迎えしてくれます。
ビルの2階にある店舗を目指し階段を上がると、“BLACK”の名前が表すようにラグジュアリー感漂う、黒の世界が広がっています。
壁にはモダンなイラストとともに店名が刻まれているだけでなく、先月の売上ランキングの映像が映し出されていました。「漫画の世界だとランキング表って写真なのに、今の時代は動画なんだな?」そんなことを考えながらいざ……店内へ。
高鳴る鼓動を前に深呼吸しいざ扉を開けると、目の前に飛び込んできたのは、眩しすぎる未知の世界。R&Bが流れ、シャンデリアや壁面のライティングがきらめく中、ハイブランドを感じさせる装飾が散りばめられた店内の様子にすでに圧倒され、思わずたじろいでしまいます。この時点で緊張感と混乱で、胸がはち切れんばかりです。
「ようこそ『ALL BLACK』へ!」
ホール全体に響き渡るかのような、男性のハイトーンボイスで我に返ったものの、心臓が激しく脈打ちます。なんと伝えたらいいものか分からず、しどろもどろになりつつも震え声で「初回……です」とひと言。慣れない空間を前に、声がうまくでませんでした。
「初めての方ですね。身分証を確認させていただきます」
そう言いながらカウンターから現れた男性は、細身の黒スーツを華麗に着こなし爽やかな笑顔。「いきなりホストが登場?」と思いましたが、彼は内勤【※】の男性でした。
そういえば、インタビューで霧夜さんが「ALL BLACKはイケメンが勢揃いですよ」と言っていましたが、受付からその真髄を味わうことになるとは……。「この調子だと、ホストが現れたらどうなってしまうんだろ」そんなことを考えながら、身分証明書を渡しました。
「姫はこちらへどうぞ」
その言葉に耳を疑いました。「姫?……姫! ひめぇ?!!!」激しい動揺が体中を駆け抜け、冷や汗が流れてしまいます。
“女の子はいくつになってもお姫様”ともいわれますが、お姫様呼びは2次元にだけ存在するもの。しかし、3次元で、しかもこの歳になって呼んでもらたことにびっくり!
驚きのあまり固まっていると、内勤の方が客席へと案内してくれました。その道中は、歩いているホストたちが筆者のためにモーゼの海割れのごとく通路を譲ってくれます。「これは、姫だ……」と感嘆。そして、ここが東京の新宿でありながらも、別世界であることを深く噛み締めたのです。
そうして席に案内されたものの……「どこに座ればいいんだろう」問題が勃発。奥のソファーだろうと見当はつきますが、どのポジションに自分が座るべきか、こんなに悩む日が来るとは思いもよりませんでした。
モタモタとしていると、「どうぞ、姫」とホストの方がそれとなく奥の席に案内してくれました。
席に腰をかけると、ソファーの気持ちのよい弾力に驚くばかり! 高級感漂う毛並みを撫でながらも緊張のあまり深く腰掛けることもできず、ただ所在に戸惑ってしまいます。
心を落ち着かせていると、おしぼりが手渡され、まだまだ若手と思われるイケメンホストが初回の説明をしてくれました。「……へぇ。ちゃんと説明してくれるんだ」なんだか意外です。
お行儀がよくないと分かりつつも、ぐるりと店内を見渡すと、思っていたイメージとのギャップに驚きました。ホストクラブの店内といえば、隣の席が見えないほど薄暗い印象でしたが、思いのほか照明は明るく、私服のイケメンたちがひしめいていることもあってか、爽やかさすら感じられるではありませんか。
お客様は、20代中頃〜30代後半と思われる方が多く、これまた思い描いていた“ホストクラブに通う女性”のイメージとは異なりました。
ホストクラブといえば『夜王』というイメージの筆者なので、お客様はもっとラグジュアリーなドレスで来店しているものかと……。
服装は皆さんさまざまで、仕事帰りを感じさせるオフィスカジュアルな方や彼氏とデート風の装いの女性が多かったです。「カジュアルな格好でも大丈夫」と言われたもののパンツにTシャツなんて、なかば場違いかと思い挙動不審に陥っていましたが……、少し安心した瞬間でした。
ホストたちの服装も「スーツは特別な日にしか着ない」とインタビューで語っていたように、みんなカジュアル! なんだか、“イケメンばかりのハイクラスコンパで楽しく飲んでいる”といった雰囲気さえ感じてしまいました。
イメージと現実の光景のギャップに、正気を保っていられなくなりそう……。混乱と緊張の渦に巻かれたまま時間が過ぎていきます。
すると、所属ホストの一覧表“男本(おとこぼん)”を渡されました。
「どうぞ、3人のホストを選んでください」
イケメンとはゲーム内の妄想デートで接してきた筆者。好みのイケメンは公式サイトに書かれているキャラクター属性と声優名で選んでいました。しかし、ここは3次元。「どう選べと!?」と選ぶ基準が分からず興奮。
ひとまず深呼吸し、インタビューをした霧夜さんは確定。そして、可愛さ溢れる縁賀渉(えんがわたる)さんと、色っぽい美形の美咲蓮(みさきれん)さんを選びました。
初回のセットに含まれている焼酎の“鏡月”が1本とビールが2本。そして、割り物(緑茶や烏龍茶、オレンジジュースなどから選ぶ、焼酎を割るドリンク)が運ばれてきました。とりあえず、筆者は飲み慣れているビールをチョイス。当然ながら、ホストが注いでくれます。
「一流」と呼ばれるホストは伊達じゃない! “夜オーラ”にノックアウト
さて、いよいよここからが本番……! ホストの登場です。
まずは霧夜さん! お話を伺っていたときは好青年という印象でした。きっと霧夜さんなら、先ほどのように気さくに話せるはず!
しかし、それはどうやらオフに近い姿だったのか……、目の前に現れた“ホスト・霧夜”は「背後にミラーボールでも背負っているのか!?」と見まごうほどのオーラ満載。スーツの効果も相まってか、周囲を圧倒するほどの存在感。その場に現れただけで、瞬時に空気が変わりました。
「ぜ、全然違う! これがホストのスイッチが入ってるってことか!?」と、筆者はただ魚のように口をパクパクさせることしかできませんでした。
「ホストといえば歌舞伎町」といわれるほど、歌舞伎町はホストクラブの激戦区。そのなかでも最大級の大手グループに在籍し、なおかつ代表を務めているのだから、歌舞伎町でも数少ない“トップ・ホスト”というわけです。
「どんな接客してもらえるんだろ」と脳天気にワクワクしていたのですが……。
「隣座っていい? ごめんね、俺、耳が遠いからさ、もっと近づくね」
あれ? 気がつけば、目の前にいた霧夜さんが、隣に座っていました。魔法だ……。「隣に座っていい?」とこちらの意思確認をしながらも、「俺、耳が遠いからさ」(本当は遠くない)と、お客様に近づくまでがスマート! それも、膝がぶつかり合うほどの密接な距離です。近づかなければ話ができない理由があるから、密着しても仕方がない。そう思わせるスキル……まさに一流の技。
霧夜さんが隣に座ると、どこからともなく「良い香り」が鼻先をかすめました。イケメンは香りまでイケメン。いろいろと話しかけてくれるのですが、顔をまともに正面から見られない。困った……。
清く正しくオタクという人生を歩んできた筆者。モニター越しに言い寄られることはありましたが、吐息が感じられるほどの距離でイケメンがイケメンたるセリフを発する瞬間に立ち会ったことがありません。筆者の返事は、ほぼすべて声にならず「恐れ入ります……、恐れ入ります……」のみ。それでも霧夜さんはにっこりと微笑んでくれていました。
「すごい、手がすべすべで気持ちがいいよね」
と霧夜さんが言葉にした瞬間! 気がついたら膝の上で手が握られていました!!!!!
インタビューのときは物腰が柔らかったのに、これがお聞きした「どんな女も振り向かせる」という攻めの姿勢!? もしかして、これが、ホストのスイッチオン状態なのか!? 思わず胸のなかで「こんなん惚れてまうやろっ! 」と叫んでしまいました。
よく「男は単純な生き物だから」なんて言いいますが、女も十分に単純でした(笑)。少女漫画の男性のような言葉をなめらかに紡ぐイケメンが目の前に現れたら……。「惚れてしまう、惚れてしまう」まさに、口から心臓が飛び出そう! これがリアル世界のドキドキ。
筆者は“世の女性ヒエラルキー”で自分がどのあたりのポジションにいるか分かっています。切ないながらもトップやその次点に君臨しているような美貌を持ち合わせていません。そして何より悲しいかな、オタクです。
もちろん、お客様を楽しませるための褒め言葉というのは重々承知ですが、心のどこかで「えっ、ヤダ……ホント?」と思わせてくれる力が、霧夜さんにはあるのです。
というか、初対面なのに触られても嫌ではない。これは不思議でなりません。もちろん、これにはイケメンだからという条件もあるのでしょうが、それ以前に、他人のテリトリーにグッと入り込むオーラ力のなせる技ないでしょうか。
そんななかでも、ホストクラブという未知の世界で「何を話していいかわからない」という不安は拭えません。普段友だちと楽しく会話するときは、それこそ共通の趣味の話題が多いからです。
「住む世界が違い過ぎて、霧夜さんと共通の話題なんてないよ……」と頭を抱えたのも一瞬。話題をつねに提供してくれるトーク力によって、ただただそれに応えているだけで楽しいという空間ができあがっていました。
思わず心を開放して『ヒプノシスマイク』について筆者が熱く語ってしまうなんてこともありました。それでも霧夜さんとは『ヒプノシスマイク』で会話が続くのです。ホストってすごい!
そんなこんなで霧夜さんとの時間はあっという間に終了。「攻めの姿勢」とインタビュー中で語られていた姿を十分に堪能して背中を見送ろうとしたそのとき……
「俺以外の男にハマったらダメだよ。ハマるのは俺だけにしてね」
と去り際の一撃にノックアウト!「キザなセリフをキレイに言える人類が存在するのか。これこそ、まさに王子様……」と、ただただ呆然とし、自分の心臓の音を感じた瞬間でした。
次世代のNO.1を狙うルーキー登場
次はどんな人に接客してもらえるのかな……とワクワクしながらビールを飲んでいると、そこに現れたのは……笑顔がひたすらキュートな弟系の縁賀渉さん。
霧夜さんの「逃げることも許さない!」といった攻めの印象とはまた異なり、渉さんとは友だちと楽しく飲むような感覚。
「僕のこと、可愛がってね」
人懐っこさを感じる言葉に胸キュン! 彼の笑顔に導かれ、思わず筆者もニッコリと微笑んでしまいました。「あぁ、愛らしい。ひたすら愛でていたい」……やっぱり、キュンキュン。
そんな渉さんですが、どきどき見せるヤンチャな一面がありました。
「今度、ふたりでご飯に行こうよ!」
「えっ……イケメンとご飯!?!?」と積極的な言葉にびっくり。なんでも彼はNO.1を目指しているんだとか。一生懸命に自分の夢を語ってくれる姿に、思わず母性本能が揺さぶられ「あぁ、キュン……」。
そんなとき、スッと渉さんの手が筆者のビールグラスに伸びました。「なんだろう……」と不思議におもっていると、グラスについた水滴をお絞りで拭いてくれたのです! でも、視線は筆者を見つめたまま。「渉さんのような、弟がほしいなぁ〜」と胸キュンが止まりませんでした。
笑顔で可愛い渉さんとの時間も終わり。
「僕との約束を忘れないでね、絶対だよ」
と、言いながらごちそうさまの挨拶。キュートに手を振りながら去っていくその姿はまさに、愛らしい天使そのものでした。
ホストとはいえ、雰囲気も接客スタイルも十人十色。自分の好みの男性を選べるなんて「これ、まさに乙女ゲームじゃないですか!」。いわゆる、ルート選択です。それも……3次元の!「どうしよう……どうしよう……」と悩んでいると3人めのホストが目の前に現れました。
美形ホストからの褒め殺し旋風
「3人めだし、さすがに少しは緊張もほぐれてきたような気がする!」と、ほんの少し油断したところに現れたのは、キリッとした目鼻立ちが、ハーフ俳優のような美咲蓮さん。
ここまでホストオーラ満載の霧夜さん、愛らしい笑顔の渉さんと出会ってきましたが、蓮さんから漂うのは“色っぽいエロス”です。「おおお……!?」と一瞬および腰になりかけてしまいました。
「いらっしゃいませ、お姫様」
と、目の前で跪き、名刺を差し出してきたのです。「ひぇぇ……。そんなそんな、もったいないです」と、男性にかしずかれた記憶のない筆者はあたふた……。
しかし、隣に座るなりスッと彼の手が筆者の背中にまわりました。次の瞬間、ぐっと身体を蓮さんに引き寄せられ密着!「ひぇぇ……。おっ、男の人の手……腕……ヤバイ。鼻血でそう」と頭が真っ白に!
「キミの唇、かわいいね。その口紅、とっても似合ってるよ」
お気に入りの赤い口紅を褒めてもらえて、筆者のテンションは爆上がり。女子会のようなノリでファッションや美容についての話題で盛り上がることができました。
それにしても、いきなり褒める場所が“唇”なんて……なんだかドキドキしてしまい、エロスが漂ってきます。
高鳴る心臓音を気づかれると恥ずかしい……。思わず「すみません、お手洗い」とエスケープ!
蓮さんが筆者の前を歩き、エスコートしてくれました。確かにお手洗いの場所がわからないのでありがたいな、と思いつつ用を足し、外に出ると……。
「なぜ、ここに……?」そこには、お絞りを両手に蓮さんがたたずんでいたのです。なんだか不思議な感覚……。
どうやらこれは、レディーファーストのよう。その時「ここでは、姫だからか!」とその至れりつくせりモードに大興奮! 初めての経験に“少し恥ずかしく気まずさ”も感じましたが、やっぱりいい気分でした。
「姫のかわいい瞳に乾杯!」
こんな顔立ちのいい人に、こんなに気持ちのいい言葉をかけ続けてもらえることは、筆者の生涯において二度とない体験になるだろうと、蓮さんとの思い出を心のハードディスクに書き込みました。
これがシンジュクなのか……
まさに“夢のよう”だった90分も終わりの時間に。寂しいですがお会計のお時間になりました。今回は初回体験だったこともあり3000円でした。
最後は、自分がまた会いたいホストを選び、見送ってもらえる“送り指名”というサービスがあります。名残惜しく思いながらも、今回出会ったホストの方たちの中から霧夜さんを選びました。
なぜなら、彼が隣にいる間、筆者の心動が鳴り止まず、いままで2次元でしか体験してこなかった、王子様とのドキドキを3次元で味わわせてくれたからです。そう……霧夜さんこそが「私の王子様」だったのかもしれないと確信させてくれたからです。
ホストクラブにきたお客様の女性は、最後まで“姫”。霧夜さんは筆者の荷物を持ってくれました。
「次はいつ会える?」
去り際にはさりげなく肩に手を回して囁く霧夜さんに、筆者は緊張のあまり膝から崩れ落ちるかと思いました。新宿屈指の店で、しかも“トップ・ホスト”による最高級の時を過ごすことができた……。
お店を出て夜風を浴びても、現実とは思えない夢ごこちな興奮とドキドキが鳴り止むことはありませんでした。
茫然とホスト街を眺めながら「これが病める街シンジュク“麻天狼”の力か……」と現実と『ヒプノシスマイク』を混同する始末。
それにしても、皆さん総じて心身ともに距離が近かった! けれども、それをイヤだとは感じさせないオーラを持っていることには、驚くばかりです。
お客様の本当に些細なところに気を留め、気を遣い、気持ちを盛り上げる。言葉にすると簡単にみえることかもしれませんが、それを自然に成し遂げるのは、一流ホストならではの技術や精神力なのだろうなと感じられました。
きらびやかな看板を見上げると、普段見慣れているはずの街が変わったように感じられました。これが大人の階段を登ったシンデレラの気持ち……。「まだまだ終わらないパーティ」がこうして毎夜繰り返されていることに乾杯、私のアイスペールは愛で満たされたよOne Night……。
伊弉冉一二三の暮らしぶりを知りたく突撃した、インタビューとホストクラブ体験。そこは、たしかに現実離れした夢空間ではありましたが、そこでトップを目指して日々バトルを繰り広げているホストたちの生き様には確固たる信条があったように感じます。
シャンパンタワーにシャンパンコール、そしてホストの日常。興味本位で調べてもなかなか分からなかったアレコレに触れたことで、新宿歌舞伎町という日本一の歓楽街に身を置く伊弉冉一二三の素晴らしさに改めて乾杯したい気持ちになりました。
そして、リアル世界で日々女性たちに、姫空間を与えてくれているイケメンホストにも乾杯です。
取材協力:AIR GROUP「ALL BLACK」
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