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いつまでも あると思うな 推しソシャゲ。がっつり遊んでいたのに周年イベントで燃え尽き、大型アプデに乗り遅れ、復帰に気後れしていたらサービス終了を突きつけられた薄情者の話

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 「2020年7月31日はソーシャルゲームのサービス終了の告知が大量に並んだ」という旨のツイートがTLに回ってきた。

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 へー、と思った。それぞれの作品にファンが居ただろうし、悲しいことではあるけれど、ソーシャルゲームのサービス終了というのは、人間が死ぬのと同じくらい当たり前のことだからなあ、と他人事のように感じていたのだ。「【公式】オンエア!(@hoseki_gaoka)」のツイートが目に入るまでは。

 

 「『オンエア!』サ終すんの!? まじで!?」

 とは叫ばなかった。電車の中だったからだ。代わりに、慌ててTwitterの投稿欄を開き、素早く悲鳴を打ち込んだ。こういう時SNSは便利である。なければ公共交通空間の中で、思いっきり身もだえする不審者になっていたかもしれない。
 女性向けソーシャルゲームはいろいろと遊んできたけれど、ここまでガッツリ遊んだ作品のサービス終了が発表されたのは初めての経験だったのだ。

 告知ツイートを見た瞬間の気持ちを、どう説明すればよいだろうか。悲しい、寂しい……そういった言葉だけでは表現できない。後悔だとか、申し訳なさだとか、そういう感情もあった。何故なら、筆者は一周年記念のイベントで燃え尽き、のんびり勢に転向した挙句、大規模アップデート後は足が遠のいてしまった薄情者だからだ。

 もう一度、オンエアのサービス終了告知ツイートを見てみよう。

 謝りたいのはこちらの方である。
 自分のせいでサービス終了した、なんて思い上がったことを考えているわけではない。けれど、「自分のような人がほかにもたくさんいたのかな」と想像できて、なんだか落ち着かない気分になってしまう。

 この記事には「こうすればソーシャルゲームも長生きできるはず!!」というような、具体的で有益な話は何ひとつとしてない。ただ「『オンエア!』良いゲームだったよね……」という思い出話や、「もう絶対にストーリーの続きは読めないのだ……」という呻き声、そしていつかは終わるとわかっているのに、現実から目を背けてしまった者の末路が並んでいるだけだ。

文/甘色
編集/実存


『オンエア!』は「声優」という題材を真摯に追求したゲームだった

 『オンエア!』は良いところがたくさんあるゲームだったが、何より優れていたのが、「声優」という題材に真剣に向き合っていたところである。

 とにかくボイスが充実していた。ストーリーや育成中はもちろん、期間限定イベントもすべてフルボイスで、アプリの至るところから声が出る。キャラアイコンをタップすると短い掛け合い(スポットトーク)が聞けるのだが、それが1500種以上も実装されているという気合の入り方だ。

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 また、シナリオ自体も「フルボイスであること」を活かした作りになっていることが多かった。序盤ではややぎこちない口ぶりで語られる作中作の台詞が、終盤では綺麗に感情を載せて放たれる。作中で繰り返し描写されるこういったシーンは、ゲームの方向性と噛み合って大きな感動を生んでいた。

 さらに『声優アワード』とコラボし、受賞者を新キャラクターのCV声優として採用する、という面白い取り組みも印象的だった。

 こんなふうに、『オンエア!』は「声優」という題材に対して真摯に取り組んでいた、いい作品だったのだ。

『オンエア!』のサービス終了が、どうして無念なのかという話

 「『オンエア!』はいいゲームだったかもしれないけど、ソシャゲっていつか終わるものでしょ?」と思うかもしれない。けれどちょっと待って欲しい。今回の場合は、単なるサービス終了では済ませられない事情がある。

 というのも、『オンエア!』はおそらく、当初の構想を消化しきらないまま、サービスを終了してしまったのである。

 メインストーリー第1部、最終話である第33話「ぼくらの未来」では主人公であるプレイヤーの元に、「宝石が丘学園」とはまた別の養成校「ジェムプロモーション・アカデミー」から移籍を打診する手紙が届く。これは明確にメインストーリー第2部を想定した話の作り方で、どのようなシナリオが展開されるのか、わくわくしながら待っていた。

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 筆者はパッケージ型のコンシューマーゲームよりも、運営型のソーシャルゲームが好きなのだが、その大きな理由のひとつがこれだ。
 待つ時間が楽しいのである。既に提示されている描写やヒントを元に、次にどんな物語が紡がれるのかを予想する。SNSで同好の士と語りあうのもいいし、言語化しないまま自分の脳内で妄想を繰り広げていてもいい。

 「それだけ綿密に予想を立てて、予想したものと全然違うシナリオが来たらがっかりしない?」と聞かれることもあるが、そんなことはない。期待通りのシナリオが来たら「やっぱり!! 自分の予想は正しかった!」と素直に喜ぶし、外したら「やっぱり公式はファンなんかでは想像もつかない物語を提供してくれるなあ」とわくわくする。
 よほどのことがない限り、新たなエピソードは作品の世界観を広げてくれる。ファンにとっては、それだけでもうたまらなく嬉しいのである。

 そういう人間にとって、クリフハンガーのままで「続きが提示されずに終わる」という幕引きは余りにもダメージが大きい。アプリのサービスが終了してしまったのだから、私たち宝石が丘の特待生は永遠に『オンエア!』のメインストーリー第2部を読むことが出来ないのである。

周年記念イベントで燃え尽き、大型アプデに乗り遅れ、足が遠のいてしまった自分がいた

 『オンエア!』のサービス終了が悲しいのは、メインストーリー第2部を読むことが出来ないから、というのは上記の通りだが、筆者には「悲しい」という感情を拗らせてしまった、ごく個人的な事情がある。

 サービス終了が告知される約半年くらい前から、『オンエア!』にほとんどログインしていなかったのだ。

 筆者は『オンエア!』の事前登録勢だった。胸を張って「重課金組です」と名乗れるほど金銭を費やしたわけではないが、1周年記念イベント『1st.Anniv♡JewelFes』くらいまでは、どのイベントでも大体ランキング3000位以内に入るくらいには、ガッツリ遊んでいた。

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筆者がガッツリ遊んでいたころのイベントの記録

 しかしそれ以降、特に期間限定イベント『煌めきの船上パーティー』以降は、まともにログインすらしなくなってしまっていた。なぜかといえば、1周年記念ガチャ【※】で可能な限り多くの最高レアカードを手に入れようと頑張って、結果、燃え尽き症候群のようなものに陥ってしまったからだ。

※1周年記念ガチャ
coly社の運営するソーシャルゲームでは、周年記念イベントで全キャラクターの最高レアカードが追加されるのがお馴染みになっている。

 「ちょっと疲れてるし、しばらく『オンエア!』は休憩するか……」と思っていたところにやってきたのが、2020年3月の大型アップデートである。キャラクターのLive2Dの実装、声優ルームの実装など、新機能がたくさん追加されたことは嬉しかったけれど、それよりも様変わりしたUIや便利になったシステムなどに気後れしてしまい、ますます足が遠のいてしまったのだ。

 当然、それまでちまちまと繰り返していた課金もしなくなり、「最近やってるソシャゲに飽きたら、『オンエア!』を再開しようかなあ……」と思っている間に、やってきたのが冒頭でも引用したこちらのツイートである。

 「メインストーリー第2部の更新が始まったら復帰しようと思っていたのに!?」なんて、そんなことを言ってももう遅い。「覆水盆に返らず」「祭りの後」「ほぞを噛む」、日本語には取返しの付かないことを意味する故事成語が散見されるが、筆者も同じ轍を踏んでしまった。
 あの時もっと遊んでいれば……、せめて毎日ログインくらいしていれば……、というのは思い上がりかもしれないが、それでも実行していれば、今の私の心中を渦巻く複雑な感情は、少しでも軽くなっていたかもしれない。
 ソーシャルゲームを後悔のないように遊ぶためには、そのつど全力を尽くして遊ぶしかないのである。

ソーシャルゲームはいつか終わるものだと、知ってはいるけれど

 『オンエア!』のサービス終了を告知する文言は以下の通りだった。

 「サービス開始より、より良いサービスの提供を目指し尽力してまいりましたが、今後お客様にご満足いただけるサービスの提供が困難になり、この度サービスの終了を決定させていただきました。
 日頃ご愛顧いただいているお客様に厚く御礼申し上げますとともに、この度突然のご報告となってしまいましたこと、深くお詫び申し上げます。」

 どのソーシャルゲームでも、サービス終了の告知に使われる文章はよく似ている。ごく簡単にサービス終了に至った理由をまとめ、そして、ユーザーに運営を続けられなくなったことを謝罪する。運営の言いたいことは何となく察することが出来るのだが、ファンとして率直に気持ちを主張すると、謝らないでほしいな、と思う。

 自分がもう少し頑張っていれば、コンテンツが続いていて、好きなコンテンツを作ってくれた開発陣に、頭を下げさせるようなこともさせずに済んでいたのかもしれない、と思ってしまうからだ。ただでさえ悲しいのに、罪悪感までプラスされて、心の中がぐしゃぐしゃになってしまう。

 ソーシャルゲームは、いつかは終わってしまうものだ。それはわかっているはずなのに、運営から不意に告げられる「サービス終了」に、こんなにも多大なダメージを受けてしまうのだ。

 いや、本当は薄々気が付いてはいるものの、現実から目を逸らしているだけなのかもしれない。いつまで経ってもRT数の増えない告知ツイートや、少しずつ長くなっていくイベントとイベントの隙間期間。運営からのSOSは、そんな形で確かに発されていたはずなのだ。
 『オンエア!』の場合、筆者は作品から離れていたため、そのシグナルを見逃してしまった。などといっても、まあ、言い訳にしからないのだろう。

 「○○が来たら再開しよう」などと思っている、いつかそのゲームを再開したいなあと思っているソーシャルゲームのプレイヤーは、そのコンテンツから長期間目を離すのは避けた方がいい。筆者は今回の件で身に染みた。可能なら友達にその作品を勧めたり、ちょっと課金したりしてみるのも良いかもしれない。
さもなければこんな風に、行き所のない感情を抱えて右往左往する羽目になる……かは人によることだけれど。

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著者
いつまでも あると思うな 推しソシャゲ。がっつり遊んでいたのに周年イベントで燃え尽き、大型アプデに乗り遅れ、復帰に気後れしていたらサービス終了を突きつけられた薄情者の話_005
FGOやあんスタ、まほやくなどのソーシャルゲームが主戦場の新人ライター。FFやテイルズオブシリーズ等のRPGも好きだが、ペルソナ5で難易度イージーを選んでも、最初のダンジョンで心が折れかけるくらいゲームがド下手。最近は乙女ゲームの履修にも力を入れている。

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