『バトルフィールド 2042』(正式名称:Battlefield 2042)が正式発表された。発売日は2021年10月22日。対象プラットフォームはPC、PS4、PS5、Xbox One、Xbox Series X|Sとなる。
6月9日に公開されたトレーラーに続き、さらに6月13日はゲームプレイ映像が解禁される。ついにベールを脱いだ新生『バトルフィールド 2042』(Battlefield 2042)。
事前にメディア向けにファーストルックイベントが開催されており、そこではより詳しいゲーム内容と質疑応答がされていた。ここではその中から要点を抽出し、注目点と新たな仕様についてまとめていきたい。
最大128人、64vs64対戦を実現へ
本作のストーリーは2042年の地球が舞台。食料、エネルギー、清潔な水が不足し、多くの国が崩壊して人類史上最悪の難民危機に陥っている。その最中、アメリカとロシアは全面戦争に突入することに。行き場を失った人々……その中に含まれる兵士やエンジニアたちは、スペシャリストとして両陣営につき、ひとつの旗の下ではなく属する国のない者の未来のため戦うことになる。
最初の大きなポイントはやはりついに「64vs64」、つまり「128人」の大規模戦闘の実現が確定したことだろう。前作『バトルフィールドV』までは最大プレイヤー数が32対32人であったことを考えれば倍となっており、よりお祭り感の強いFPSとして誰もが待ち望んでいた進化がようやく実現した。
ただし128人対戦が可能とされているのは、最新のコンソールとPCでの「コンクエスト」と「ブレークスルー」のみ。PlayStation 4とXbox Oneでは最大64人の戦闘までとなっており、こちらはマップを最適化し最高のバトルを提供するようにしているという。
残念ながら新・旧世代機間でプレイ人数に差はあるものの、最新作で最大128人の大規模な戦闘が行われるようになることが確定している点は、ひとりのシリーズファンとして興奮を覚えざるを得ない。
3種類のマルチプレイモードを搭載。新モードの詳細は後日
ゲームモードは「全面戦争」として区分されている定番の「コンクエスト」と「ブレイクスルー」、そして詳細不明の「ハザードゾーン」と、さらにもうひとつの「未発表モード」が明らかにされている。
「ハザードゾーン」の仕様に関しては今後の発表を待つしかないが、「いままでにない」体験ということで続報を待ちたい。なおバトロワタイプのモードではなく、分隊タイプのゲームモードとなるそうだ。また、未発表のモードは7月22日のEA Play Liveにてさらに続報が公表される予定で、「長年のプレイヤーにとって懐かしさを覚えるもの」になるという。
マップは多種多様、ハリケーンが発生する韓国から南極での氷面の戦いまで
マップは現在のところ韓国を舞台にした「カレイドスコープ」、シンガポールの「マニフェスト」などが登場。ギアナの「オービット」はロケット発射場だ。ほかにもインドの「ディスガード」、エジプトの「リニューアル」、さらにカタールの「アワーグラス」や南極の「ブレイクアウェイ」が発表されている。
現時点ではマップのバリエーションはアジア中東が目立つものの、過去シリーズと比較すると広範囲を舞台とすることが意識されているようだ。「カレイドスコープ」ではビルの屋上にも届きそうな高さの巨大トルネードが発生するなど、マップ上でダイナミックな変化が起きる、『バトルフィールド4』のレボリューションのようなシステムも存在する。
クラス制は「スペシャリスト制」に変更、装備はほぼ全てカスタマイズ可能に
システム的にもっとも注目すべきポイントは、クラスの扱いの大きな変化だろう。いままでのシリーズ作品は、衛生兵や偵察兵などの兵科に別れて、それぞれが回復や索敵、あるいは弾薬の補充等の役割を持ち、プライマリーウェポンも各兵科に割り当てられた武器を選択するといった方式を採用していた。
それに対し『バトルフィールド 2042』は名前付きのキャラクターを選択してカスタマイズする「スペシャリスト」制度となった。スペシャリストごとにそれぞれが独自の「スペシャリスト特性」と「専門技能」持っており、プライマリーガジェットとパッシブスキル以外の装備は完全にカスタマイズすることが可能だ。
たとえば「ウェブスター・マケイ」はグラップリングフックにより高所に自由に移動が可能で、「マリア・ファルック」は蘇生用ピストルを扱い、除細動器によって体力が最大状態での復帰アビリティも持つ。「ビョートル・ガスコヴィスキィ」は敵を自動的にスポットするタレットを操り、「ウィカス・ヴァン・デール」はドローンを扱い索敵や敵のコミュニケーションを阻害する。さらにパッシブ効果として近くの敵の動きがHUDに表示される。
特筆すべきはカスタマイズできる範囲、使用武器やセカンダリーガジェットの選択が自由であるという点だ。つまりそれは、いままでのように兵科による縛りから解放され、プレイヤーごとに好みのロードアウトを作成できる幅が広がったということを意味するだろう。
たとえば「グラップリング」を装備していても、高所を取ってスナイピングポイントを確保するために使用してもいいし、逆にスナイパーを裏から倒すためのカスタマイズをすることもできる。「動作感知センサー」を利用した上で安全にスナイピングすることもできるし、ショットガンなどを装備して近距離戦特化のカスタマイズをすることもできる。
現時点では全体で10人の登場が予定されている「スペシャリスト」システムは、プレイヤーごとのプレイスタイルに合わせたカスタマイズを可能にするわけで、遊びそのものの質と幅を大幅に向上させうる仕様の変更だ。開発によるとこれは「プレイヤーたちが主要武器に基づいてクラスを選択する傾向があるというデータ」からのフィードバックとして設計されたシステムだとのこと。
武器アタッチメントはその場で変更可能、タブレットで戦車を召喚
さらに今回は「Plus System」というシステムを通じて武器アタッチメントをその場で交換可能であるというのも既存のプレイヤー層にはうれしい変化だろう。交戦距離に応じてスコープの倍率を変え、あるいはグリップやバレルを交換。サプレッサーやフラッシュライトなどを用途に応じてその場で切り替えられる。一回一回、死んでから付け替えをしなくても良いというのも、プレイヤーに寄り添った調整に思える。
武器に関して現在紹介されているものは「M5A3」や「K30」などの聞きなれない武器ばかりだが、コルト社「M4A1」やクリス社「K10」と名称も見た目も酷似しており、後継機のイメージがちらつく。これは気になるプレイヤーも多いだろうが、実武器が登場するのかどうかは今後注視して欲しい。
車両に関してもまったく新しいシステムがあり、今作ではタブレットを使用することで、プレイヤーが車両をすぐに呼び出すことができる。たとえば戦車を空中から投下して、戦場の真っ只中に呼び出すことも可能だ。呼ぶための要件はとくに設定されておらず、ひとつのゲーム内で何台まで車両が呼べるかは今のところ不明だが、そのカスタマイズ共に相当なグレードアップが見込まれる。
このほか、ビークルの全座席が重要な役割を持つように今作では設計されており、対空シートや監視席、射撃席などでプレイヤーはそれぞれ活躍することができる。
バトルパス制度を採用、無料と有料があるがプレイ体験に差はない
さらに今作はバトルパス制を導入。各シーズンで世界の物語が進行し、新たなコンテンツがゲームに加わり続けてるという。1年目は4つのシーズンが登場し、4つのバトルパスと4人の新スペシャリストおよび新ロケーションが登場するとのこと。なお無料パス有料パスに分かれティア毎の報酬の提供が予定されているが、有料バトルパスの有無に関わらずプレイ体験に差をつけることは基本的に無いと明言されている。
ほかにも質疑応答ではアンチチートシステムへの質問や、F2Pのモードに関しての質問も出たが、いまのところ答えられる段階にないとのこと。しかし特にPCゲーマーにとってチート対策は極めて重要な問題であり、コミュニティーサーバー関連も含め注視していくべき懸念事項ではあろう。
今後の展開としては、前述した「EA Play LIVE 2021」が7月22日に予定されており、第2のマルチプレイヤー体験が披露される。また、『バトルフィールド 2042』を予約すると、オープンベータテストへの早期アクセスや特典アイテムが用意されているという。
現在進行形で目まぐるしく移り変わり続けているマルチプレイゲームのトレンドの波のなか、かつて一時代を築いた大規模FPSの雄『バトルフィールド』。フランチャイズ固有のスタイルは近年、失敗とは言えないものの少しづつかつての熱気を失いつつあるように見える。
それが『バトルフィールド』自体の進化の方向性によるものなのか、あるいは基本無料バトルパス課金のビジネススキームが高次元でマッチしたバトロワの隆盛のあおりを喰ったのか、分析はさまざまできるだろう。
それでもなお、多人数でカオスな戦闘の体験という意味では現状唯一無二の存在である『バトルフィールド』への潜在的な期待値は、極めて大きい。
大規模戦闘という『バトルフィールド』ならではの極めて大きな特徴は上手く料理することで、少人数チームデスマッチやバトロワなどに飽きた、あるいは合わないゲームプレイヤーに対し「逆に」新鮮さを感じさせることができれば、ふたたびあの「戦争ごっこ」の世界に多くのプレイヤーを呼び込むことも可能だろう。
まだ全貌は明らかになってはいないが、少なくとも今回の情報は、往年の『バトルフィールド』プレイヤーに大きな期待を持って迎え入れられるのに充分なインパクトがあったと思う。数か月以内に、いままでにない規模で、今までにないカスタマイズで、今までにない戦闘を直に体験できることに興奮を覚えざるを得ない。