5月4日(水)からU-NEXTで実写ドラマ版『HALO』が日本でも視聴可能となった。製作総指揮はあのスティーヴン・スピルバーグ氏が務めており、本国アメリカではあまりの反響の大きさから配信開始の1カ月以上前にシーズン2の製作が決定した異例の人気作品である。
いったいどれだけ熱狂したらそんなことが起こるというのだ。配信前(しかも1カ月以上も前)から熱量が高すぎる。実際に第1話が配信されると、アメリカの動画配信サービス「Paramount+」でのオリジナルシリーズとして最高視聴数を記録。さらなる盛り上がりを見せた。
これほどまでに反響を呼んでいる理由のひとつには、本作で主人公「マスターチーフ」の「顔」が出ていることが挙げられるだろう。ゲームでは常にパワードスーツを着用している上に無口で感情を出さないため、これまで素顔や経歴についてはあまり明かされてこなかった。
ところがドラマ版では第1話からヘルメットを脱ぎ捨てる。本作は単なるSFアドベンチャーではなく、マスターチーフの「人間性」に迫っているのだ。本稿では第1話の見どころについて紹介していく。
文/柳本マリエ
実写ドラマ版『HALO』あらすじ
長きにわたる紛争と政治的混乱に苦しんできた人類は、惑星を植民地化し宇宙へと進出する。しかし植民地化した惑星は冷酷な異星人同盟「コヴナント」の脅威により、多くの人類が命を落とす事態になっていた。
世界の破滅をもくろむコヴナントを阻止できるのは、国連宇宙司令部である「UNSC」によって強化された超兵器「スパルタン」のマスターチーフただひとり。
あるとき、自身の率いるシルバーチームとともに、コヴナントによって襲撃された惑星「マドリガル」へと派遣されたマスターチーフは、謎の物体「HALO」と遭遇する。
その物体に触れたとき、マスターチーフは長い間失われていた自分の家族や子供時代の記憶を思い出す。
マスターチーフに芽生える人間性
まずなんといっても注目が集まっているのは主人公マスターチーフの「顔」だろう。顔が出ることについては言及されていたものの、さすがにその瞬間は緊張感が走った。
ちなみにチラッと出るレベルではなく、ヘルメットを完全に脱ぎ捨てる。マスターチーフの文字通りの「素顔」がバッチリお目見えするのだ。
ゲームにおいてのマスターチーフはプレイヤーの想像に委ねる部分も多かったため、ファンの中には彼の素顔を見たくないと思う人もいるかもしれない。しかしながら表情が見えることで心情をより深く理解できたことは確かである。
もちろんマスターチーフは簡単にヘルメットを脱ぎ捨てるわけではない。ヘルメットを脱ぐ必然性がしっかりと描かれており、危機的状況下での最適な判断だったと納得できるような描写がなされていたように思える。マスターチーフの見せた人間としての「誠意」に胸が熱くなったのは私だけではないだろう。
このようにマスターチーフが「人間的な感情」と向き合う姿がこのドラマの大きな見どころとなっている。物語が進むにつれて出生の秘密や謎めいた過去についても明らかになっていくとのこと。
肉体改造によって強化された超兵器「スパルタン」
本作の見どころはマスターチーフだけではない。冒頭のバトルシーンは圧巻である。惑星マドリガルに派遣されたマスターチーフ率いる「シルバーチーム」がまずシンプルにかっこいい。
特に、コヴナントの襲撃により手も足も出なくなっていた反乱軍の前に颯爽と現れる姿は鳥肌ものだ。私はマスターチーフの登場シーンに感極まってしまい、気がつくと泣いていた。そこだけでもいいから見てほしい。
この惑星では「クワン・ハ」という少女が登場する。この少女はドラマ版のオリジナルキャラクターとなっており、彼女との出会いによってマスターチーフの運命は大きく変わっていく。
完璧ではない登場人物たちが抱く信念
また、マスターチーフを取り巻く人物たちの関係性も目が離せない。国連宇宙司令部「UNSC」にひしめく陰謀、コヴナントの野望、UNSCに抵抗する人々など、さまざまな思惑が交錯する。
個人的には、コヴナントに拾われ育てられた人間「マキー」という人物の動向が気になるところ。彼女はただ人間の本を読んでいただけで嫌味を言われていたため、気の毒でならない。現状としてコヴナント側ではあるものの、なにかしてくれそうで期待している。
英雄でありながら完璧ではない登場人物たちや、希望を捨てずに圧倒的な逆境に立ち向かう姿は、ゲームを知らなくても胸を打たれるだろう。
「人類は救うべき価値があるのか否か」という決断を迫られたマスターチーフはどのような行動を起こすのか。ゲームでは見ることができないマスターチーフの姿が描かれている実写ドラマ版『HALO』はU-NEXTにて独占配信中だ。
配信前からシーズン2の製作が決まってしまうほどアメリカを熱狂させた作品を日本でも視聴してみよう。