恋愛はしたくても、「だれでもいい」というわけではない
ここからは、運命の男性に出会う旅「ヴォーイ・ハント」に出たゲルド族を紹介します。ヴォーイ・ハントをするゲルド族は、「街から街」「街から馬宿」「馬宿から馬宿」など、いくつかのルートを巡回しています。
ヒガッカレ馬宿~ミナッカレ馬宿でヴォーイ・ハントをしているラボーラは、自分のことを「目移りがすごくて挙動不審」と、冷静に分析しながら歩いていました。
また、こんな格言(?)も残しています。
“弓ばかり良いものを持っていても
実際に敵に飛んでいくのは
矢の方だからな?”
これはつまり、「外見よりも中身が大事」みたいなことでしょうか…? なんだろう、刺さるようで刺さらない(矢だけに!)。
つづいて、ゲルドの街~カラカラバザールでヴォーイ・ハントをしているポドマは、ゲルドの街の近くに来る男性を狙っているとのこと。ただ、移動が常にダッシュのため、出会えるものも出会えない気がします。
私だったら砂の上をヒールで走るガッツに惚れてしまうかもしれませんが。
山麓の馬宿〜森の馬宿でヴォーイ・ハントをしているカーシャは、ピンポイントにゴロン族を狙っているようです。
あるときたまたま敵に襲われていたカーシャを助けたところ、お礼に「燃えず薬」をもらったのですが、私はこのときカーシャの本気度を感じました。なぜなら燃えず薬はゴロン族が住んでいるゴロンシティに行くときに必要な薬だからです。本当に狙ってたんだ。
しかしながら、カーシャはいざゴロン族とすれ違ってもガン無視していました。まぁ、ゴロン族ならだれでもいいってわけじゃないですよね。それはそう。
カーシャはむしろ商人のテリーといい感じに見えました。この距離感はある程度お互いに好意がないと生まれない気がします。好きな人と薄暗い場所に行くのっていいですよね。
そのほか、「トレジャーハンター」や「旅人になりすまして見張りをしている兵士」など、ヴォーイ・ハント以外の目的で外出しているゲルド族も見かけました。
このように、それぞれ決まったルートを数時間あるいは数日かけて行き来しているため、ときには敵と遭遇してしまうこともあるわけです。
そこで今度は、敵と遭遇したゲルド族の反応を見るために、あえて助けずに観察してみることにしました。
避難する派と戦う派に分かれるゲルド族のエンカウント事情
もともと戦闘民族だったゲルド族ですが、今作では全員が武術に長けているわけではないようです。そのためどうやら、敵と遭遇した場合は避難する派と戦う派に分かれる模様。
トレジャーハンター歴20年のワスク、兵士のルーカ、元警備兵のカーシャは見事な戦いっぷりでした。ちゃんと戦うんですね。特にワスクは敵を煽っているように見えるほど果敢に近づいていきます。イーガ団だろうがスタルリザルフォスだろうがお構いなし。もう盾の構え方が違います。プロ。
ワスクとルーカは巡回するルートの一部が重なっているため、場合によっては2人で戦うことも。心なしかワスクのほうがグイグイ敵に近づく印象があります。
また、ワスクやルーカと違って完全にヴォーイ・ハント目的で街道を歩いているカーシャも、敵と遭遇するとひるまずに挑んでいました。警備兵時代はヘッドショットで敵を倒す弓の名手だったそう。
これらの戦闘シーンを見てもらうとおわかりいただけると思うのですが、ゲルド族って常にヒールを履いているんですよ。
そこでここからはゲルド族の服装など、外見について紹介します。細かい規則性を発見したときは興奮しました。正直、厄災ガノンを倒したときより興奮しました。
よく見ると少しずつ違う! 細かい規則性を持つゲルド族のビジュアル
ゲルド族の服装は大きく分けると3種類。大多数が着用している民族服、兵士が着用している戦闘服、スナザラシ関係者が着用しているスナザラシ服があるようです。よく見ると少しずつデザインが異なり、それぞれに規則性がありました。
民族服について
ゲルド族の大多数が着用している民族服は、年代ごとにデザインが異なるようです。また、年代によって身体的特徴にも違いがありました。
若年層が着用している民族服:
トップス全体にカラーが入っている。カラーバリエーションは9種類。身体的特徴は腹筋がバッキバキに割れていること。中年層が着用している民族服:
若年層よりも布の面積が広い。カラーバリエーションは5種類。身体的特徴は体型がふくよかなこと。高齢層が着用している民族服:
ボレロを羽織っている。カラーバリエーションは7種類。身体的特徴は痩身で装飾品が多くネイルを塗っていること。子どもが着用している民族服:
パンツが花柄になっている。カラーバリエーションは4種類。身体的特徴は小さくてかわいい。
このように民族服は年代によって異なるデザインのものを着用していました。確かに年代によってカバーしたい場所って変わってくるので、納得です。
戦闘服について
ゲルドの街の兵士が着用している戦闘服は、色によって階級が異なるようです。そのため、「この兵士の階級ってなんだっけ?」というときは戦闘服の色を見るだけで即解決。うしろ姿が見やすくておすすめです。
後輩兵士(15名):
着用している戦闘服の色は「紺」。単独行動をして敵に捕まってしまったり、訓練を面倒くさがっている。先輩兵士(4名):
着用している戦闘服の色は「緑」。後輩兵士をまとめたり、小屋の管理人をしたりしている。隊長チーク:
着用している戦闘服の色は「赤」。太陽の盾を装備して、全体を見ている。兵士長ビューラ:
着用している戦闘服の色は「ピンク」。玉座から決して離れない。槍の使い手なのに持っているのは大剣。
ゲルド族の兵士は約20名ほど。まだ幼い族長ルージュの寝屋から漏れる遊び声に耳を傾けている兵士たちの姿が、ひたすらに尊いです。
ルージュは、先代(母親)が急逝したため幼いながらも族長となりました。気丈に振る舞う姿や、亡き母への思いを綴った日記は涙なしには読めません。
スナザラシ服について
民族服および戦闘服を着用していないゲルド族(レンタザラシ屋の従業員やスナザラシラリーの関係者など)は、スナザラシ柄の服を着用しているようです。
レンタザラシ屋のユニフォームは、東南門店と北西門店で配色が異なるところが個人的に熱い。
また、これはつい最近になって発見したのですが、族長ルージュのスカートにもスナザラシ柄が入っていました。尊すぎて震えます(合掌)。
ひたすらにかわいい。ここでふと100年前の族長ウルボザのスカートも気になったため確認してみました。
どうやらウルボザのスカートにはゲルド族の紋章が入っているようです。というかこのウルボザのポーズかっこよすぎませんか? こんなに体を反ったことないです。
ヒールの高さについて
これはもう本当にリスペクトなのですが、ゲルド族は年齢や役職に関係なく全員がヒールを履いていました。ヒールの高さは角度から推測するに、10cm前後といったところでしょうか。そうとう高いです。
門番なんて歩くことすらできないため、足のむくみはハンパないはず。ちなみに族長ルージュのヒールは3cm前後。さすがに街の子どもたちはぺたんこ靴かと思いきや、まさかのヒールでした。こちらも3cmはありそうです。
このほか外見についての細かいところだと、髪型は10種類ほどで髪型によってピアスの種類も異なるようでした。リップの色に関しては大多数が黄緑の中、特例で白、ピンク、紫、青もあるようです。
以上をご覧いただいた上で、再び前半で触れた偽名のアイシャを見てください。明らかにキャラデザが凝っています。どうしてアイシャだけこんなことになっているのでしょうか。いや、めちゃくちゃかわいいけども。
ただちょっと、ほかのゲルド族から反感を買ってしまわないか心配です。
弁解:過剰な心配と唯一の後悔
最後に、発売から5年以上も『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』に手を出せなかった理由を説明させてください。私は、シリーズのファンでありながら、この神ゲーをつい数カ月前になってようやく遊び始めました。
それはまず、過去にオープンワールドのゲームで挫折していたことが大きな要因です。オープンワールドは自由度が高いため、目的を見失いやすくもあるかと思います。「どこへでも行ける」ということは「いまそこに行く必然性」もないわけですから。
また、『ゼルダの伝説』シリーズのダンジョンといえば、謎解き要素とアクション要素がどちらもふんだんに含まれます。『時のオカリナ』の水の神殿のような複雑なダンジョンを、30代の体力でクリアできる自信がない。
そんなことを思っていたら、安易に手が出せなくなっていました。私と同じような感覚の人も少なからずいるのではないでしょうか。
ところが実際に始めてみると、抱えていた不安は過剰な心配だったことに気がつきます。まず従来と比べてダンジョン要素がかなり分散されていました。加えて、祠や塔などの行くべき場所が目視できるため目的を見失うこともありません。
複雑なダンジョンなど、ぶっちゃけ私がちょっと面倒だと思っていた部分が削ぎ落とされ(分散され)、力技で押し切れるオープンワールドは好都合でした。むしろこれまでのシリーズのどの作品よりもやりやすい。5年前に気がつくべきでした。
幸いにも(?)続編の発売が延びたので、もっともっと遊びつくそうと思っています。もし私のように迷ってる人がいたら、始めて後悔はしないはず。私の唯一の後悔は、5年前に始めていなかったこと。
また、『ゼルダの伝説』シリーズにおいて数あるキャラクターの中でもゲルド族に興味を持った理由は、彼女たちが人間味に溢れていたからだと思います。「世界を救う」という壮大な目的よりも「気になる人の前で猫をかぶる」という行為のほうが私にとっては共感できました。
なにより、キャラクターにちゃんと人生が見えるところが好きです。
そういった設定の細かさなど本稿に書いているような内容を、いままで『ゼルダの伝説』シリーズにあまり触れてこなかったという友人3人に話したところ、非常に興味を持ってくれました。
「始めてみたいけどシリーズがたくさんあるから、やっておいたほうがいい作品があれば教えてほしい」と言われたので、3作品ほど紹介して終わりたいと思います。
『ゼルダの伝説 時のオカリナ』
『時のオカリナ』は『ブレワイ』をより深く理解するためにおさえておきたい作品のひとつ。なぜなら、『時オカ』での主要登場人物が『ブレワイ』でも主要登場人物となっているため、感情移入の度合いが変わってきます。
特にガノンドロフがゲルド族の長としてハイラル王と外交しているので、ゲルド族の歴史を知る上でも見ておいて損はないかと。ついでにガノンドロフがパイプオルガンを奏でる姿も見てください。
また、『ゼルダの伝説』シリーズでは公式が作品の時系列を発表しています。『時オカ』で世界線が3つに分岐するため、そういう意味でも非常に重要な作品です。
『ゼルダの伝説 時のオカリナ』は「Nintendo Switch Online + 追加パック」に加入していれば、Nintendo Switchでプレイ可能。
『ゼルダの伝説 ムジュラの仮面』
『ムジュラの仮面』は『時オカ』の後日譚で、チンクルも出てきます。そして、アンジュ、カーフェイ、クリミアの三角関係から目が離せません。また三角関係っ。
アンジュとカーフェイは結婚を控えた恋人同士ですが、式を目前にカーフェイが失踪したため、アンジュはカーフェイが幼なじみのクリミアに心変わりをしているのではないかと不安を抱きます。もう、その状況つらすぎませんか?
一方クリミアはカーフェイに片思いをしているため、2人の結婚を祝福できずにいます。もう、その状況つらすぎませんか?
こちらも『時オカ』と同様に、主要登場人物が『ブレワイ』でも主要登場人物となっているため理解が深まるかと思います。
『ゼルダの伝説 ムジュラの仮面』は「Nintendo Switch Online + 追加パック」に加入していれば、Nintendo Switchでプレイ可能。
『ゼルダの伝説 夢をみる島』
『夢をみる島』は『ブレワイ』との関係性はほぼないです(名残は地名くらい)。しかしながら『ブレワイ』を始めるまで個人的に30年近く『ゼルダの伝説』シリーズで1番好きな作品でした。
「鬱エンド」と呼ばれているほど、ラストは衝撃的な展開を迎えます。ただ、私としては当時小学生ながらも敵の正当性に強く心を揺さぶられました。
RPGに出てくる敵って「世界征服がしたい、ガハハハ!」みたいなパターンが多いじゃないですか。でも『夢島』の敵はそうじゃないんですよね。なぜ “そうじゃない” かはネタバレになってしまうため控えますが、私はそこに正当性を感じました。
こちらは2019年にNintendo Switchにてリメイク版が発売されているので、ご興味あればぜひ。
とはいえ、過去作品をすっ飛ばして『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』から始めてもまったく問題ないと思います。世界中で称賛を浴びている理由に、心の底から納得しました。
そして、泣いたり、酔っぱらったり、ときには嘘もついたり、感情豊かに活き活きと生活するゲルド族をぜひ見てみてください。私はゲルドの街にいるだけで、すごく元気をもらえます。