人生とは、まさしくRPGである。
生まれた場所<オープニング>があって、さまざまな冒険があって、譲ることのできない戦いがあって、いつかは最期<エンディング>がやってくる。
その旅路の中で得た物語が、忘れがたい記憶が、かけがえないのない仲間たちが……きっと、あなたのエンドロールに花を添えてくれることでしょう。
すいません。上の3行そんなに本編と関係ないです。
なんとなくカッコつけただけです。
2022年12月、RPGのクエストのように電ファミ編集部から「2万円でPS5の好きなゲームを買っていい」というミッションを受け、この原稿を書いています。数日悩んだ末に、セールを活用しつつ、購入するソフトを決めました!
個人的な目玉は『龍が如く7 光と闇の行方 インターナショナル』(以下、『龍が如く7』)。普通にプレイしたことなかったので今回初めて遊びました。私が『龍が如く7』以外に何を買ったのかは……これからわかります! 『龍が如く7』の内容をお届けしつつ、2万円で私が選んだタイトルを紹介していきます。
※この記事には『龍が如く7』のネタバレがかなり含まれています。未プレイの方、ネタバレを見たくない方はお気を付けください。記事内で紹介しているプレイステーション5用ソフトの価格は、2022年12月21日から2023年1月6日まで開催されていた「ビッグウインターセール」時の価格となっています。みなさんもセールを活用してお得にソフトをゲットしてみてください。
※この記事は、ソニー・インタラクティブエンタテインメントさんと電ファミ編集部のタイアップ企画です。
ドラゴンが如くクエスト7 忘れられた代紋を求めて
主人公「春日一番」はいろいろなことがあって18年間も刑務所に入れられていた! そして18年のお勤めを終えて出所! ここから本格的に『龍が如く7』がスタート!!
ところがどっこい、18年も経つと世相は大きく変わっている! 元号は平成から令和へ。PS2からPS5へ。仮面ライダーは『仮面ライダーアギト』から『仮面ライダーゼロワン』へ。そしてドラクエは『ドラゴンクエストⅦ エデンの戦士たち』から『ドラゴンクエストⅪ 過ぎ去りし時を求めて』へ!
そう、『ドラゴンクエスト』! 『ドラクエ』なのです!!
このゲーム……『龍が如く』なのにめちゃくちゃ『ドラクエ』の話してる!!
風俗店で生まれた我らが主人公春日一番は、数年遅れのドラクエをその風俗店の事務所で遊んでいた。なので、春日一番は「勇者になりたい」と思っているヤクザなのです。どういうこと?
そしてゲームジャンルも「RPG」。勇者なので。街中を歩いているとエンカウントモンスターの如くヤクザやらヤンキーやら怪しいサラリーマンなんかが喧嘩を吹っ掛けてきて、ターン制バトルに突入する。リアルタイムとかアクションとか色々あるけど、昔ながらのターン制RPG。何のゲームだこれ。
出所したばかりで現代を何も知らないしスマホも持ってない春日一番は「足立宏一」という神奈川県警免許センター職員のおっちゃんと出会う。
今ここに、42歳のヤクザと59歳の免許センター職員の勇者パーティーが誕生してしまったわけです。これが『龍が如く』のカミュですか? まあ青いし大体カミュですね。うんうん、これも『ドラゴンクエスト』だね。
そして一番が18年間投獄されている間に、極道の世界も大きく変わっていた。関東最大の極道組織と言われていた「東城会」は壊滅。代わりに関西最大の極道組織「近江連合」が神室町を牛耳っていた。
そして風俗店で生まれた一番の所属していた組の組長でもあり、第二の親でもある荒川真澄は東城会を裏切り、近江連合の若頭代行となっていた……一応ここで説明しておこうと思うんですが、私の『龍が如く』プレイ歴は最近遊んだ『龍が如く0 誓いの場所』のみです。
あとは友達が遊んでたところを横目で見てた『龍が如く OF THE END』です。「どんだけ偏った知識だよ」と思われるかもしれませんが、自分でもどんだけ偏った知識だよと思ってます。
なので、そこまでシリーズ全体に詳しくなくて申し訳ないんですが……それでも「東城会が壊滅している」という冒頭のインパクトはすさまじかったです。悔しいけどこのゲーム、序盤からずっと面白……いや、まだ認めたくない。このゲームをまだ面白いと認めたくない!!
そして「どういうことだよ親っさん!?」と荒川の親っさんのもとに真相を聞くために乗り込んだ一番は、なぜか荒川真澄にその拳銃で撃ち抜かれてしまう……王様のもとへと帰還した勇者は、悪魔の子であるかのように門前払いを受ける!
どうなる一番!?
どうする一番!?
次回、「転がるヤクザ、君にホームレスが降る」。来週も見てください!
そして次に買ったソフトはやっぱり『ドラゴンクエストⅪ 過ぎ去りし時を求めて S』! ちょうどPSストアのセールで3560円でした。
まぁ『ドラクエ11』自体は遊んだことがあるので「PS5でも遊べるようにしとくか」くらいのノリでしかなかったんですが、改めて遊んでみると「RPGとしての冒頭の面白さ」は『龍が如く7』も『ドラクエ11』もずば抜けているタイトルだと思います。
やっぱりRPGは序盤が肝心。どれだけ壮大なストーリーが待っていても、序盤がつまらないようでは飽きてしまう。
自分が信じていた親っさんに撃ち抜かれ、どん底へと転落していく春日一番。勇者の生まれ変わりだと思っていたのに、「悪魔の子」と呼ばれ追われる勇者……面白いRPGには「プレイヤーの興味を惹き続ける冒頭」が必ず存在しています。RPGの序盤って、良いよね!
真・極道転生 Ⅶ
なんとか一命をとりとめた春日一番は、なぜか目覚めた場所である横浜の「異人町」にて一文無しすかんぴんのホームレス生活を始めることに。既に勇者くらい波乱万丈な人生だよ。もうお前が勇者で良いよ。街中の自販機の下をまさぐって500円を集めたり、街中に転がっている空き缶を集めようとしてゴミ収集車に突き飛ばされたりします。
『龍が如く7』の面白いところとして、「序盤は本当にお金がない」という点があると思います。このゲーム、本当に金がない。マジで1万円が命より大事。自販機の下をまさぐるのが普通に金策として成立する。
コンビニで食べ物を買うのもやっとな序盤の貧乏さが、リアルな「ホームレス体験」に繋がってるのがすごい。俺だって自販機の下から50円手に入れて「うおお!!」ってテンション上がる体験したくなかったよ!!!
そしてここで新たに登場するのが、命の危機に瀕していた春日を救ってくれた「ナンバ」。もちろん声優も安田顕氏が担当しています。「味方に安田顕がいるRPG」ってだけで普通に豪華なんですよねこれ。
そしてナンバのロールはおそらく「魔法使い」。
MPを使用して……そもそも「MP」の概念があることに突っ込んではいけません! エサをまき散らしてハトの大群を相手にけしかけたり、臭い息を吹きかけて相手の防御力を下げたり、口に含んだ酒にライターで火をつけてメラミ熱気ブレスを吐き出したり、春日一番の強力な仲間として戦ってくれます。俺は何を書いてるんだ?
いやでも、ホントにヤスケンが口から火を吹いているんですよ。牛乳じゃなくて熱気ブレスです。
そしてなんとこのゲーム、「人間力」というステータスが存在しています。これを伸ばしていくことによって、色々な人と会話できるようになったりするメリットが得られます。
………………やっぱり心の暴力団じゃないか!!!!!
というわけで次に買ったゲームは『ペルソナ5 ザ・ロイヤル』! この一発ネタをやるために買いました。もちろん『龍が如く7』のストーリーの中核にある要素は『ドラクエ』なんですが、結構『ペルソナ』シリーズから影響を受けていそうな箇所も感じさせます。
そもそもの「人間力」システムとか、「現代を舞台にしたRPG」とか……あと戦闘画面のUIとか。ホームレスから成り上がりを目指していく一番たちもある意味では「叛逆者」と言えるかもしれません。足立さんとナンちゃんのペルソナ覚醒シーンも言われてみればあったような気がします。
冗談っぽく言っていますが、『龍が如く』がアクションからRPGになるにあたって、これまで世に出たRPGの要素をいくつか抽出して、再構成しているのが普通にゲームとして面白いポイントだと思います。「RPGに影響を受けて育った主人公のゲーム」自体が、これまでのRPGの良さを継承している。
あと実際終盤になったら屋根裏に住みますからね。一番は浮気しないから屋根裏呼ばわりされないと信じましょう。あと、普通にゲーム内でP5の音楽が聴ける。パチンコ屋でメダル稼ぐとCD買えます。
「俺は……勇者になりたかったな」
「は? 勇者?? どういうこと!?」
「ドラクエに出てくるだろ? あの……勇者だよ」
「それゲームのキャラだろ!? ありえねえよ! ギャハハハ……」
「悪ぃかよ……そんなの……自由だろ。成りたいモンに成りてえって……そんな夢見るくらいは、自由だろ。」
「……だよな! 一番! 成りゃあいいじゃねえかよ、勇者! うん! 成るべきだ!」
「やめてくれよ! そりゃガキの頃に思ってただけで……」
「でも今、目標はねえんだろ? じゃあ残ってる目標は、それしかねえじゃねえか!」
「酔っぱらったのか? だいたい、そんなの職業でもねえし」
「そりゃ職業じゃねえよ。でも……勇者ってのは、スライム倒していつか成りあがってなるもんだろ? ……生き様だろ?」
本当に泣いちゃう。
なんやかんやでホームレスを脱却し、念願の屋根を手に入れる一番とナンちゃん。42歳の元ヤクザと、41歳の元ホームレス。風俗を営んでいる店の一部屋を借りて、ふたりのこれからの未来にカップ酒で乾杯を交わす。傍から見れば、本当にどうでもいいシーンかもしれない。
でも、ふたりの人生にとっては、これからが「冒険の始まり」。これからが勇者の旅路。そんな何気ない門出が……こんなにも希望に満ちている。人生という冒険の書は、いつだってロードできる!
私は『ペルソナ5』だと、最序盤の「なんとかカモシダパレスから脱出した転校初日の帰り道に、竜司とふたりで牛丼屋に行くシーン」が大好きなのです。本当に何気ないシーンなので覚えている人の方が少ないかもしれないのですが、あの「仲間ができた」という安心感と嬉しさは……どうしても忘れられません。あの「本人たちにしかわからない、ささやかな幸せ」を、このシーンからも感じました。
スジットモンスター ドス/ハジキ
そこに 3びき スジモンが いる じゃろう!
「オレスジ……」じゃないんだよ。これがニャオハちゃんか~~~かわいいなあ。もうRPGのスマブラみたいになってきた。
実はなんとこのゲーム……「スジモン図鑑」というシステムが存在しているのです。その筋のもの……ちぢめて「スジモン」。街中で出くわすスジモンはスマホに入っているスジモン図鑑に登録されていきます。以上! お疲れさまでスター!
そして本格的に足立さんも合流し、42歳元ヤクザと41歳元ホームレスと59歳の元刑事のパーティーが結成! まさに導かれし戦士たち! 本当に中年が3人集まって何ちちくり合ってんだよ。もうこれ『FF15』でしょ。この辺プレイ中ずっと笑ってた記憶があるんですが、画像だけで面白いからすごいです。
ちなみに足立さんは59歳で年金をもらう手前だったんですが、春日と一緒に近江連合に突撃したことで懲戒免職になり退職金が吹っ飛んだそうです。本当に泣きアニメだよ。
なので……「全員無職」というわけですね。最悪なアウトレイジです。これが心の暴力団、あなたの給料を頂戴しに参ります……とも言ってられない! 俺たちは……俺たちは勇者だ!!
そして勇者と言えば……
そう、勇者の剣!!!
なんと道端に……勇者の剣が埋まっています。中年男性3人でバット引き抜こうとしてる絵面すごすぎる。本当に起きた事実を列記してるだけで無限に面白い。てか「バット」って言っちゃったわ。
束ねるは極道の息吹、輝けるシノギの奔流。受けるが良い! ヤクザ……カリバ──!!!というわけで、何故か選定の剣<バット>を引き抜くことができた一番は、「勇者」というジョブになります。いや、勇者は勇者だよ! 勇者ってのは……生き様だろ?
そして「ジョブ」と言えば……
そう、ハローワークですね。
私、こんなにハロワに通い詰めるゲーム初めて遊びました。中年3人でハロワの待合室に座ってるだけで面白い。もう書いてる最中の私自身が笑ってしまって全然進歩が捗りません。『龍が如く7』の序盤はとにかくハロワに通います。現代を舞台にRPGを描くとなった際、「クエストを受注する場所」としてハローワークが重要な拠点となるのが面白いところだと思います。
そして『龍が如く7』のメインテーマのひとつでもあるのが、「成り上がり」。一度どん底に落ちた勇者春日一番がレベルを上げて、本物の勇者になるまでの姿を描く今作の中で、間違いなく「成り上がりの最初の一歩」としてハローワークは重要な存在でもあるのです。
そう、もう伊勢佐木異人町のハローワークの位置を暗記してしまうくらいにはハローワークは重要な存在です。俺だって好きでハロワの位置覚えてるんじゃないんだよ!!!
そして先ほどから何度も『FF15』を話題に挙げている通り、私はやっぱり「パーティーメンバーがやたらと仲良いRPG」が大好きなのです。フィールド会話とかミニゲームとかで、パーティーメンバーが仲良さそうにしてるとホントに嬉しい。「キャラに愛着を持たせる」という観点から見ても、かなり有効的な手段だと思います。
で、『龍が如く7』のメンバーもめっちゃ仲良い。上の動画は私が一番好きなフィールド会話です。コインランドリーだけでこんなに盛り上がれんの仲良すぎる。もう『FF15』とか『ゼノブレイド3』とかを遊んでいた時と同じ脳の部分が喜んでる。全国のRPG開発者のみなさん、パーティーメンバーはいくらでも仲良くていいと思います。