伝説のヤクザバトル
適当にやっても勝てると言ったな。アレは嘘だ。
RPGで分身したら……ダメだろ!!
この分身フェーズを突破したとしても、冴島大河が乱入してきて大変なことになる。そもそもレベルが高すぎる・火力が高すぎる・行動が早すぎる! しかしまぁ、「ストーリー上のキャラクターの強さをゲーム上の性能にも反映してる」RPGは大好きです。オルランドゥとかシタン・ウヅキとか。……でも強すぎる!
そして私が訪れたのが「蒼天堀バトルアリーナ」。何故かロボットが案内役を務めるこの闘技場では最強武器やらレベル上げやら資金稼ぎやらのRPGにおける「稼ぎ」の大体ができてしまう!
もう頭がおかしくなるくらい周回しました。あとやっぱPS5で動きがサクサクなので周回自体もそこまで苦ではなかったです。回りすぎてこのゲームの記憶の3割くらいが蒼天堀バトルアリーナでメロメロタイフーンを撃ってる記憶になってるのは内緒です。
レベルも上げて、装備も強くして、ロケットランチャーも解禁!
こんな狭い屋内でロケランぶっ放すな!!
しかし嶋野の狂犬・真島吾朗に打ち勝つためには現代兵器の使用も厭わない!
そしたら春日の兄貴が1人でその場所に行ってなァ、ロケットランチャーをぶっぱなしてその建物を木端みじんにしてもうたんじゃ。……冗談ですからね。一番はそんなことしませんからね。何気にPS5本体とインターナショナル版の力でフレームレートが向上しており、やたらぬるぬるした室内ロケットランチャーを見ることができます。
この辺りになってくるとRPGとしての『龍が如く7』がいよいよその龍の顎を開き、プレイヤーに「普通に敵が強い」という名の牙を剥いてくる!
そしてその最たる例が14章の「桐生一馬」戦。
言わずと知れた『龍が如く』シリーズの主人公にして、『龍が如く7』最大の強敵。いや、普通にこの人ラスボスよりも強かったですよね? 私でも知ってる「ラッシュスタイル」とかのアクション要素をRPGのシステムで行使してくるの、熱すぎる。
この『龍が如く7』のすごいところとして、「DLCとかでやりそうな要素を全部最初にやってしまっている」という点があると思います。たとえば、人気が出たキャラとか過去作キャラのゲスト出演とかは、完全版に取っておいてしまった方が商売的には色々便利なのでしょう。でも、時としてこの「後々追加要素でやりそうなこと」の全てに先回りしてくる作品がある。そういうゲームは、決まって名作だと思います。
趙さんが仲間に加わるのも、真島と桐生が出るのも全部完全版の追加要素でもおかしくないけど、全部最初から備え付けられている。
ちょっとメタな話ですが、「このキャラが仲間になったら嬉しいだろう」「これはサプライズになるだろう」という要素を客観視した上で作るのは、そう簡単にできることじゃありません。ここは単純にすごい。「どこをユーザーが面白いと感じるのか、どうすればユーザーに楽しんでもらえるか」の客観視がとにかく上手いゲームだと思います。
まぁ、結局勝てなくて14章でも蒼天堀バトルアリーナ周回したんですけど………
そして桐生戦のすごいところは、そもそもの『ドラゴンクエスト』の使い方が綺麗にハマっているところです。まぁ正直このゲームの『ドラクエ』は「ドラクエという単語、作品が出てくる面白さ」の一発ネタでしかないと思ってたんですが……ちゃんとストーリー上で意味がある!
しかもこのドラゴンと勇者一番が対峙するシーンもPS5の描画能力で本家さながら(?)の大迫力! こんなところでPS5の性能の高さを再確認するとは思わなかった!(???)
先代の主人公<ドラゴン>と対峙する、新たな主人公<勇者>。
まさに、まさに『ドラゴンクエスト』! プレイしててリアルに「あっ、ドラクエってそういうこと!?」って声が出ました。なぜこんなに簡単なことに気づかなかったのか!? そうじゃん、このゲームってドラゴンのゲームじゃん!! おい、『龍が如く7』面白いぞ!!!
テイルズ・オブ・エンコ <コインロッカーで生まれた意味を知るRPG>
そしてついに選挙に出馬する春日一番! めちゃくちゃだよ!!
そろそろ『龍が如く7』を遊んでない方は「急に出馬?何が起きてんの?」と思い始めていることでしょう。早く『龍が如く7』を遊んでください。
しかしこの出馬、メインテーマの「成り上がり」という観点で考えると、結構筋が通っていると思います。元極道で、前科があって、ホームレスでもあった。それでも選挙には出ることができる。民を導かんとする存在にはなることができる。まさにドスの勇者の成り上がり。
選挙カーで演説してる一番をこれまで伊勢佐木異人町で出会ったホームレス街の村長とか浜子さんとかが応援してくれるの、ホントに泣いちゃう。成り上がるぜ、世界で一番かっこよくて強い勇者に……。RPGとは、勇者のこれまでの旅路が報われるべきなのだ。
そしてこのゲーム、「コインロッカー」が最も重要な要素なのです。
コインロッカーがこんなに重要なゲーム初めて遊びました……と言うと冗談っぽく聞こえますが、本当にコインロッカーが最も重要な要素です。『龍が如く7』の一番オイシイ部分……というか、ここで書くのは無粋なくらい最大のトリックが仕掛けられている部分なので詳細は伏せます。
そのくらい、『龍が如く7』のストーリーは面白い。本当に面白い。流石に認めます、このゲームは面白いと。一番が生まれて初めてできた友達と一緒にコインロッカーから駆け出すシーン、本当に「あ、あぁぁ……!!」と声が漏れ出てしまいました。凄惨だと思われた過去にも、風俗で生まれ育った一番の出生にも、伊勢佐木異人町で生きる人々にも……全てに意味がある。決して、無駄なものなんかない。
龍が如く7 光と闇の行方
そう、無駄なものはない。この世界に、必要じゃないものなんかない。
このゲームのサブタイトルになっている「光と闇の行方」。それは、光に位置しながら闇に手を染める者のこと、闇に生きながらも光のような優しさがある者のことを指してもいるのだと思います。
そして『龍が如く7』において頻繁に登場する「グレーゾーン」という言葉がある。光でもなければ、闇でもない。風俗で生まれた元極道の春日一番。ホームレスのナンバ。懲戒免職処分になった元刑事の足立。キャバクラのママでもあった紗栄子。そして伊勢佐木異人町そのもの。
このゲームに登場するのは、どれもこれもどっちつかずのグレーゾーン。
そしてゲーム序盤に登場した乙姫ランドの店長が抱いていた夢が、「はぐれ者が生きていけるような、受け皿を異人町に作りたい」というものだった。
光に生きていたとしても、闇に生きていたとしても、いつかはどん底に落ちることがある。いつかは世界からはぐれてしまうことがある。そんな時のセーフティーネット、そんな時になんとか生きていける受け皿。はぐれた者の行方として、いつでもやり直せるような場所。
そう、全てを失った春日一番がもう一度やり直すことのできた、伊勢佐木異人町のような……。
『龍が如く7』が謳っている「この世界には受け皿が必要」という言葉は、ものすごく優しいテーマだと思います。人間は、必ず失敗してしまう。それは人間が人間である限り、起こりうる。だからこそ、それを許すシステムが必要なのだ。罪は赦されるべきなのだ。どれだけゲームオーバーになっても、復活できるセーブポイントは必要なのだ。人生というRPGに、救済措置をプログラミングする。
そして、その旅の中で、いつかかけがえのない仲間に出会えばいい。
このまま終わればもうちょっと綺麗だと思うんですが、どうしても最後に一つだけ書きたかったことがあるので書かせてください。それは「ラストバトル前の『素手』のテキストメッセージ」。
どん底の一番は、最初は「フリーター」というジョブからスタートする。そんなゲーム最序盤に装備しているのが、この「素手」。最初に装備していた武器とジョブが、ラストバトルで再登場する。
それだけでも熱いのですが、この「最初に、そして最後まで信じるべき己の武器」というテキストメッセージが本当にすごい。まさに「ゲーム」だからこそできる演出。直球だけど、それが熱い。
「かけがえのない仲間がいたからこそ、ここまで来れた」なんて……今どきのゲームとしてはちょっとストレートすぎるかもしれない。陳腐かもしれない。でも、ゲームでもマンガでもアニメでもない「現代」を舞台にした『龍が如く』だからこそ、そんなバカみたいに真っ直ぐなメッセージが心強い。リアルで面と向かってそんなこと言ってくれるのって、嬉しい。
人生とは、まさしくRPGである。
生まれた場所<オープニング>があって、さまざまな冒険があって、譲ることのできない戦いがあって、いつかは最期<エンディング>がやってくる。
その旅路の中で得た物語が、忘れがたい記憶が、かけがえないのない仲間たちが……きっと、あなたのエンドロールに花を添えてくれることでしょう。
意図せず魅力的なタイトルに出合う。まるでRPGのような体験だった今回の企画ですが、『龍が如く7』と出会えて本当に良かったです。ほかに選んだ『ドラクエ11S』『ペルソナ5R』『FF7R インターグレード』も面白さは保証します。ぜひみなさんもPS5で「忘れがたい記憶」が残る体験を味わってください。
最後に余談となりますが、2022年末ぐらいから私の身の回りで「PS5買えた!」という声が増えています。今回の企画は「ついにPS5買ったぞ!」という方へ向けての記事でもあるので、タイトル決めの参考となればうれしい限りです。
私が購入したタイトルのPS Store最新情報は下記リンクから確認できますので、セール状況などをこまめにチェックいただくとよいかもしれません。『龍が如く7』をプレイして、この記事でお伝えした“熱量”を確かめてみてください。