聖歌<キリエ>、それは━━━慈悲を求める、祈りの歌。憐みを願う、救済の歌。救いを求める、憐憫の歌。誰しも、慈悲は求めるものなのだ。誰しも、救いは求めるものなのだ。
では、それでも救われなかった者は……どうすればいいのか? いつか自分は救われると信じて、いつかこれまでの行動が報われると信じて……それでも悲惨な末路を迎えた者は、一体どこへ行くのか?
物語にはいつも、「結末」が存在する。幸せな結末、悲惨な結末、満足のいく結末、満足のいかない結末……いつだって「終わり」はある。……でも、「終わり」が描かれない者もいる。
今回はそんな、「幸せな結末の中で、楽園に至れなかった者たち」の話をしましょう。全ては虚しいものだと思いながら、それでも未来を願ったひとりの少女。夢のような御伽話を求めて、平和な楽園を希い、魔女になってしまった塔の中のお姫様。これは……そんな彼女たちのための聖歌<キリエ>なのです。
※一応ここで書いておきますが、これは『ブルーアーカイブ』の記事です。記事の冒頭とタイトルで何となくわかるかもしれませんが、この記事にはブルアカの最新シナリオほぼすべてのネタバレが含まれています。基本的に「みんなストーリーぜんぶ見てるよね?」という前提で進行します。主にエデン条約編4章「忘れられた神々のためのキリエ」、時計じかけの花のパヴァーヌ編2章「友情と勇気と光のロマン」、「放課後スイーツ物語 甘い秘密と銃撃戦」、「Get Set,GO! ~キヴォトス晄輪大祭~」のネタバレが含まれています。お気をつけください。
忘れられた神々のためのキリエ
「エデン条約編」は……誰しも終わったものだと思っていた。
そのストーリーは……「それでも、彼女たちは青春の物語を続ける」という、現実と悲劇に抗うハッピーエンドで締めくくられた。まさしく、『ブルーアーカイブ』という作品の所信表明とも言えるのが、この物語だった。誰しも、この晴れやかな青空を信じてやまなかった……。
しかし、エデン条約編は終わっていなかった。突如として現れた「エデン条約編4章 忘れられた神々のためのキリエ」という予告。そして、その「続きの物語」は……「ハッピーエンドの後に残された者たちの物語」でもあった。
ハッピーエンドを迎えたとしても、その物語の悪役は幸せな結末を迎えているのだろうか?
幸せな結末の後に取り残された者たちは、どこへ行けばいいのか? 取り返しのつかない事態を引き起こしたアリウススクワッド。さまざまなボタンのかけ違いから、自らを悪役だと、自らを魔女だと呪っていく聖園ミカ。
ブルアカはよく、「教師と生徒の関係に忠実なゲーム」だと言われる。
何か明らかに過剰なスキンシップをしている時もあるけど、それでも「先生と生徒」という関係を、どんな生徒を相手にしている時も誠実に描いているのが『ブルーアーカイブ』だと思います。一見危険な子に見えなくもない正義実現委員会のツルギを、真正面から「先生を慕う生徒」として描くこのゲームの誠実さが好きです。
では、ドロップアウトしてしまった生徒は……もう生徒ではないのか? 素行不良の生徒は、先生に助けてもらえないのか? 大人でも助けてあげられないような子に、どう向き合うのか? エデン条約編4章は、そんな「引き返せないところまで行ってしまった生徒に、先生はどう接してあげるのか」が描かれたシナリオだと思います。
そして、エデン条約編にはひとつ、重要な要素がある。
それが、「補習授業」。1章~2章のエデン条約編において重要な「テストの点数が悪い補習授業部を合格に導く」という要素は、「ドロップアウトしそうになっている生徒を助けてあげる」……単刀直入に言えば、4章は章まるまる使った「アリウススクワッドとミカの補習授業」なのだと思います。
アリウススクワッドも、ミカも、みんな生徒なのです。だからこれは……補習授業から始まったエデン条約編に残されてしまった子たちの、「補習授業」だと思います。
「私の……大切なもの……ぜーんぶ、なくなっちゃったんだよ?
学園も……友達も……宝物も……帰る場所も……先生との約束だって……。」「明日になったら、全部元通りになるかもしれないって、信じてたのに……。
そんなものはお話の中だけだった……あはは……運命はもう決まってるみたい。」「だからさ……『スクワッド』の……特にサオリ。
あなた達も私と同じ痛みを受けなきゃね。」「私が失った分だけ、あなた達も失ってよ。
そうじゃないと━━━不公平でしょう?」『ブルーアーカイブ』 エデン条約編4章 「忘れられた神々のためのキリエ」
そして2つ目の要素。聖園ミカから語られる「不公平」という言葉。
ハッピーエンドを迎えた者達に対する、「不公平」。
自分はこんなにも苦しんでいるのに、のうのうと生きているアリウススクワッドへの「不公平」。事実を歪曲し、真実を隠蔽し、本心を曲解し、嫌悪を助長し、憎悪を煽り、地獄の中で子供を支配する大人への「不公平」。
だって、幸せな結末の中に……仲間はずれがいたら、不公平でしょう? 大切なものを全部奪われたと思い込んだままの子がいるのは、不公平でしょう?
二度と大人には逆らわないと、二度と将来に希望は抱かないと、二度と幸福を望まないと決めた子に未来がないのは……不公平でしょう?
「……許してください……申し訳ございません……。
二度と……二度とこのような事は……。」「二度と、大人の言葉を破りません……反抗しません…将来に希望を抱かないよう務めます……」
「二度と幸福を望みません……祈りません……だから、どうか……どうか……慈悲を……。」
「慈悲を……。」
『ブルーアーカイブ』 エデン条約編4章 「忘れられた神々のためのキリエ」
そして3つ目、「エデン条約」。
エデン条約……シナリオのタイトルになっているその条約は、簡潔に言えば「長年憎しみ合ってきたゲヘナ学園とトリニティ総合学園が手を取り合う」という条約。まさしく「和解」の条約。争いのない「楽園」を作り出す条約。
でも、彼女たちはもう、みんなの友情で悪を退ける楽園から追放されてしまった。創世記の3章、アダムとエバはエデンの園にて罪を犯した。楽園こそ、原罪が始まった場所。真の楽園こそ、憎悪、怒り、嫌悪、苦痛、悔恨が溢れかえっている。大人にとっての「楽園」の中で、終わりのない「地獄」を生き続けたアリウススクワッド。
「楽園に辿り着きしものの真実を、証明することはできるのか?」
『ブルーアーカイブ』 七つの古則 五つ目の問い
もし楽園という物が存在するならば、そこに辿り着いたものは至上の満足と喜びを抱くがゆえに、永遠に楽園の外に出ることは……だなんて。そんな楽園の存在証明には、意味なんてなかった。辿り着いた楽園が地獄だった者たちに、楽園が存在するかどうかなんて、もうどうでもよかった。
この物語は、何気ない日常の中で、ほんの少しの奇跡を見つける物語。じゃあ、そんな何気ない日常すら享受できない者はどうすればいい? 昨日も今日も明日も続く日常の中で、憎しみを一身に集め続ける魔女はどうすればいい? きらめくような青春の物語から弾き出された者たちは……どうしたらいい?
これは、救われなかった・忘れられた、少女・神々のための、祈り・憐憫の歌。
で、みなさんそろそろ「コイツ何が言いたいんだ?」と思ってる頃でしょう。
「うわぁ!いきなり落ち着くな!!」って感じだと思うんですが、結局この「アリウスとミカを救い出すための補習授業」、「ハッピーエンドを迎えた物語の中で、なんだか不公平だったアリウスとミカ」、「何気ない日常を過ごせなくなってしまったアリウスとミカ」の3つの要素を解決するのが……「先生」です。
そして私は、そんなエデン条約編の「先生」が好きです。
そうです、私は「先生が好き」というたったこの一言を言うために、みなさん相手によくわからない理屈をこねくり回しました。付き合ってくれてありがとうございます。「先生」は一応プレイヤーのアバターとしての存在でもあるのですが……私は自らと切り離したひとりの人物としての「先生」が好きです。
確かにエデン条約編4章はこれまでのブルアカで最もドラスティックかつ異質かつシリアスなシナリオかもしれません。でも、これだって間違いなく「青春の物語」なのです。何気ない日常を過ごせない子がいるのなら、その子が奇跡を見つけられるようにするのがブルアカだと思います。
この世界はこれからもハッピーエンドを目指すのです。深く深く暗い海の底からも月の光を見つけ出すのです。ハッピーエンドを迎える資格なんてないと思い込んでいる魔女を、物語の主役<お姫様>にしてあげるのが……先生の役割です。
「大丈夫、ちゃんとあるよ。」
「チャンスは、なければ作り出せばいいからね。」
「もしそれがダメでも、次のチャンスを作ればいい。失敗したとしても、何度でも。道が続いている限り、チャンスは何回だって生み出せる。一度や二度の失敗で道が閉ざされるなんて事はないんだよ。」
「━━━この先に続く未来には、無限の可能性があるんだから。」
『ブルーアーカイブ』 エデン条約編4章 「忘れられた神々のためのキリエ」
個人的な話になってしまいますが、私は「先生」が好きじゃありません。いや、ブルアカの方ではなく、リアルの方の。学校に通っていた私は何の教科もマトモにこなせない生徒で、おそらく教師からも煙たがられていました。少なくとも私の目から見て、厳しく当たられていたような気がします。
ある日、「自分がこんなに何もできないのは、何かの病気なのではないか?」と思い、ちゃんと検査したりしたら、ちゃんとした病気でした。それを伝えたら、あんなにきつく当たってきた先生はみんな、次の日からおそろしいくらい優しくなりました。
私はその時、「あぁ、この人たちは私じゃなくて、私の病気を見ているんだな」と、ひどく失望しました。かなり私の主観的な話ですし、今となって考えてみれば、教師をしていた人たちの判断はこれはこれで正しいものだと思います。というか、私が思い込み激しすぎる。聖園ミカか?
でも、その時から私は、うっすら人のことが信じられません。人は、人のことを見ていない。本当に真正面から向き合ってくれる人なんて、どこにもいない。この世界には誰も助けてくれる人間なんかいない。救いを願ったとしても、本気で救ってくれようとする人なんか誰もいない。「困ったらなんでも相談してよ」「いつでも話を聞くよ」ほど無責任な言葉はない。
だから、ブルアカの先生が好きです。どんな生徒にもちゃんと向き合って、真面目に話を聞いてくれて、受け止めてくれるブルアカの先生が好きです。私は、こんな大人と出会いたかった。私は、先生みたいな人に話を聞いてほしかった。私も……助けてほしかった。
「私は審判者ではない。誰かを審判する権利は、私にない。」
「私は救済者ではない。この世界の苦痛を消し去ることはできない。」
「私は絶対者ではない。この世界の罪悪をなくすことはできない。」「私はそんな存在ではないよ。」
「生徒たちのための先生だよ。」
「忘れられ、苦しむ生徒に寄り添いたいだけ。」『ブルーアーカイブ』 エデン条約編4章 「忘れられた神々のためのキリエ」
そんな「生徒」にちゃんと向き合ってくれる先生が好きですし、あくまで「キャラクター」ではなく「生徒」として扱ってくれるこのゲームも好きです。
私は……どんな物語もそうあってほしい。「キャラクター」じゃなくて、できれば「ひとりの人間」として扱ってほしい。ゲームの外側からじゃなく、みんなと対等に、話をしてほしい。ブルアカはそれをやってくれるゲームで、先生もそうやって生徒に向き合ってくれる。私はその事実が、何よりも嬉しいのです。
たまに、子供の悩みに対して、「大人になればいつか分かるよ」と言う人がいる。どこかの小学校や中学校で生徒が自殺したニュースを見て、「逃げればいいのに」とか「世界はもっと広いのに」みたいに無神経なことを言う人がいる。私はそれが嫌いです。
その子にとってはまだそこから見えている世界が全てなのに、大人にとっては些末なことかもしれないけどその子にとっては大きい問題なのに、何も考えないで物事を言ってくる。せめて、その子に寄り添えないのか。せめて、その子の世界に縮尺を合わせられないのか。せめて……目線くらいは合わせてやれないのか。
だから私は、ちゃんと世界の縮尺を測れる大人は好きです。ちゃんと目線を合わせようとする人は好きです。ちゃんと……生徒に寄り添ってくれる先生が好きです。登場人物の想いや気持ちを無駄なものだと切り捨てず……寄り添ってくれる作品が好きです。
なので、私は「忘れられた神々のためのキリエ」が好きなのです。
どれほど陳腐なハッピーエンドにも、結末の語られなかった悪役にも、存在意義はある。ここに描かれたのは、最後のページのその先。呪詛を祝福に変えるための、願いの歌。子供っぽくて、夢に溢れて、素敵で、胸がときめくような……そんな物語を希う、祈りの歌。
「憐れみたまえ」なんて願いは、口にしたところで悲惨なだけ。見えもしないものに縋るなんて、確かに変かもしれない。でも、それでも……未来を祈ることそのものには意味があるはずです。
「━━━例えアツコを救ったとしても、あなた達の未来はきっと苦難に満ちている。
一生追われるかもしれない……表を歩くことができないような悲惨な人生になるかもしれない。」「でも、それでも……あなた達の未来に、ほんの一筋でも光明があると信じるのなら━━━アツコを助ける事で、あなた達自身をも救えばいい。」
「私はもう手遅れだけど……あなた達には、まだ時間が残されているでしょう?」
「それに……先生が手伝ってくれているから、きっと大丈夫……。
あなた達のその行く先に幸いが━━━」「祝福が、あらんことを━━━」
『ブルーアーカイブ』 エデン条約編4章 「忘れられた神々のためのキリエ」
もしかしてみなさん、若干タイトル詐欺なことにもう気付いてます?
え、もうとっくに気付いてた? ブルアカのシナリオがなんで面白いのかの説明が聞きたかったのによくわかんないこと聞かされてる?
大丈夫、大丈夫です! こっからゲームとして面白い部分に触れます!
もうやりたいこと大体やりきったしな! ハハハハハ!!
やっぱりエデン4章の面白いところは、シナリオだけでなく「ゲーム全体の演出がレベルアップした」部分にあります。
長期的に運営されていくタイトルの中で、時たま「これまでの基礎的なゲームの演出から明らかにギアが切り替わった瞬間」……要はこれまでと同じゲームなのにも関わらず、突如として演出にブレイクスルーが起きる瞬間があると思います。
たとえば、『FF14』の「漆黒のヴィランズ」や『FGO』の「妖精円卓領域 アヴァロン・ル・フェ」なんかがわかりやすい例。
前者はフィールドのライティング技術の向上や、新たなマップに到達した時のナレーション演出、カットシーンの演出強化など。後者はBGMの一新や新たな戦闘システムに、ストーリーと噛み合わせた特殊クラスの登場。
とにかく、「ここまで続いてきた『このゲームはこういう演出が土台にある』という常識を刷新する」ようなシナリオやパッチが出ると、長く遊び続けてきたプレイヤーとしてはとても嬉しくなりますし、同じゲームであるのにも関わらず、全く別のゲームを遊んでいるかのような衝撃を覚えます。
そして、エデン4章にもこれまでのブルアカからは一新された演出がいくつか使われています。
特に印象深いのは「戦闘パートの演出をシナリオの演出としても組み込んできた」という点。ブルアカの戦闘パートは、基本的にシナリオからは独立していることが多く、「戦闘とシナリオが面白くリンクしているのか」と言われると、そこまで印象深くはないゲームでした(もちろん、ヒエロニムス戦などの上手くやっている箇所もあると思います)。
しかし、エデン4章はその戦闘パートとシナリオのリンクのさせ方が進化していると感じました。特に、あの「何の前触れもなく戦闘中に聖園ミカが乱入してきて、HP45万の敵を瞬殺する」シーンの「ヒッ……」という驚きと恐怖は中々忘れられません。
それ以外にもストーリーのリリース時点では未実装だった聖園ミカのグラフィックがちゃんと用意されていたり……他のゲームと比べるとまだまだ見劣りする部分はあるかもしれませんが、間違いなく「ブルアカの演出」としてはエデン4章でグッと進化しています。
あとはやはり、「スチルの使い方」。
ここは以前からブルアカが得意としている部分だったのですが、エデン4章ではさらに強化されているようにも感じました。元々「透明感」を主軸に据えたブルアカのアートワークの素晴らしさはトップクラスのものだったと思うのですが、エデン4章ではややダークな方向性でその美術面やスチルの上手さが発揮されています。
好きすぎて記事冒頭にも貼っていますが、やはり個人的には聖女バルハラに単独で立ち向かう聖園ミカの後姿を描いたスチルが一番好きです。これを初めて見た時、リアルに「お、おお…………!!」と圧倒されました。物語・美術・音楽、それらが渾然一体となった最高の場面です。
そして何よりも、「エデン条約編が完結した」ということが、「ブルアカにとって大きな節目になった」のが大きなポイントだと思います。まさに第一部完結といいますか……長く長く続いてきた戦いがついに終わったような、晴れやかな読後感がありました。
以前も一度だけ、エデン条約編について書いたことがあるのですが、今回の記事は「エデン条約編がこれほど素晴らしい形で完結したのだから、こちらも相応のものを書きたい」という勝手な意地のようなもので書きました。
改めて、素晴らしい物語を、素敵な祈りを、ありがとうございました。
うん、訪れるよ。どんな物語でも……。
最後には、きっとハッピーエンドを迎えられる。
放課後スイーツ物語 甘い秘密と銃撃戦
さて、ここからは2022年8月24日に開催されたイベント、「放課後スイーツ物語 甘い秘密と銃撃戦」の話をします! え、エデン条約の話のテンションが変だったからまだ気持ちが切り替わらない……?
もしかしたら、最近ブルアカを始めてメインストーリーを網羅した人の中には「何このイベント……知らん……」という人もいるかもしれません。今のところ復刻の目途は立っていません!
そしてここでは、ブルアカの「イベントシナリオの面白さ」に触れましょう。単刀直入に言ってしまうと、ブルアカのイベントクエストは「気軽に読めて、結構面白い」ものが多いのが好きなところです。さらに色々なものを恐れず真っ向唐竹割りに言うならば、ハイカロリーすぎない。
いや……ゲームのシナリオに軽さ重さを見出してしまうのは、あまりゲームに対して誠実ではないことは私もわかっています。でも、やっぱりスマホゲームをいくつか掛け持ちするようになると、「期間内にノルマを達成して、期間内に読み切らなければならない」イベントクエストが段々としんどくなってきます。
ただでさえリアルで仕事があるのに、なぜゲームの中でも納期に追われなければならないのか!?
そしてそのシナリオが結構重いと……正直キツイ!
もちろん、「イベントシナリオが面白い」こと自体は大歓迎です。でもノルマの達成がそこそこ難しくて、シナリオそのものが長くて、そこに他のソシャゲとブッキングすると……ああもう大変です!
念には念を入れてもう一度だけ念押ししておくと、私は「長くて面白いイベントシナリオがよくない」と言っているわけではありません。話を面白くするために長くなるのであれば基本歓迎です。
しかし、たまたま私がやっているソシャゲはちょっと長めのイベントが多くて、そんな時にブルアカの「そんなに長くなくて面白いイベントシナリオ」がまるでテトリスの棒ブロックのように綺麗にハマったのです!
具体的に文字数をカウントしている訳ではないので体感的に短いような……でしかないのですが、ブルアカのイベントシナリオは気軽に読めて、そんなに長くなくて、結構面白い。そもそもブルアカは根底にあるのがドタバタコメディなので、大体読後感がサッパリしてるのもちょうどいいんですよね。な……なんか揚げ物の胃もたれ云々のソシャゲ版みたいな話になってきました……そろそろやめましょう。
この「放課後スイーツ物語 甘い秘密と銃撃戦」は、トリニティ総合学園の放課後スイーツ部に所属する「杏山カズサ」が実装されたイベント。そのタイトル通り、実は昔は最強のスケバンとして名を馳せていたらしいカズサの甘い秘密に迫るシナリオです。なんで俺はカズサを引かなかったんや?(ケセド苦戦勢)
ブルアカあるあるの「立ち絵と名前だけ登場していたキャラが、ようやく実装される」パターンのイベントクエストです。
いや、あんまり上手く言語化できないんですけど私はこの立ち絵と名前がバンバン出て後から実装されるブルアカのスタイルそんなに嫌いではないんですよね。毎度何の前触れもなく新キャラが出てきて「コイツ何!?」と驚愕するあの流れ、私は結構好きです。
そしてもう一点、「(イベントクエストを含めた)ブルアカのシナリオの読みやすさ」に起因しているものがあると思います。それが「UIとテキストそのものの読みやすさ」。
個人的に好きなゲーム開発部の場面を例として引っ張ってきましたが、基本的にブルアカのテキストは短く2行、多くても3行で表示されます。これがまず大事。ソシャゲで4行以上の文章を読みたくありません。すいません一瞬暴言が出ました。
まあ読もうと思えば4行以上の文章も読めるのですが、「スマホ(及びタブレット)の画面の大きさで」「目線を横に動かす」と考えた際、2~3行くらいがユーザーとしては「読みやすさ」の面ではありがたいです。何気にこれも重要ですが、「文字のフォントが読みやすく、段落の切り替わりにあまり違和感がない」こと。
ブルアカのテキストのフォントはあまりカクカクしていない、やや丸みのあるフォント。ブルアカのかわいくてポップな世界観にマッチしたフォントとも言えますが、これがまず読みやすい。文字の大きさにもちょうどいい。小さすぎず、大きすぎない。
そして、段落の切り替わりが自然。左から右へ視線を動かす中で、次の行を読むために視線を一瞬縦に動かした時に「うん?」と一瞬詰まるような、不自然な段落の切り替わりがほぼない。アレ? なんだかちゃんとしたゲームメディアのちゃんとした記事みたいになってきましたよ……?
この「段落の切り替わりが自然」は、「テキストそのものの読みやすさ」に関係している部分です。あまり理路整然と説明はできないのですが、とにかくブルアカのテキストは読みやすい。
バーッと適当に流し読みしても頭に入ってくるし、じっくり読み込んでも何が言いたいのかがわかりやすい。私も文章の読みやすさにはそこそこ気を遣っているのですが、ブルアカの読みやすさはかなりすごい。
2~3行のひとつのメッセージは大体3秒あれば読み終わり、それをポチポチ押すだけでそれとな~く頭に入ってくる。キャラクターの表情や感情表現も多彩かつ的確なので、ゲーム画面全体を総合して「なんとなく読んでいる」状態でもするする話が頭に入ってきます。ちょっとメタな話でしたが、私はブルアカのここがかなり好きです。
そしてそんな「長すぎず、面白い」ブルアカのイベントシナリオの中で、私が最高傑作だと思っているのがこの「放課後スイーツ物語 甘い秘密と銃撃戦」です。
カズサの不良だった過去を明かし、「カズサが不良から放課後スイーツ部に変わろうとした理由」を掘り下げるのがこのシナリオ。そして、そんな過去のカズサを最も知っている「宇沢レイサ」という生徒が重要な人物になってきます。
宇沢レイサ……表情がかわいいんですよね。
アニメっぽい表情の変化がかわいい。
そして、このイベントのメインビジュアルを見た時、宇沢レイサの第一印象は「明るいけど、ちょっと周りをひっかき乱してくる感じの子なのかな?」と感じました。実際、あながち間違っているわけではないのですが……当時、何も知らないままこのイベントをプレイした方も大体そう思っていたのではないでしょうか。
「だから、これは先生にだけ言う愚痴のようなものです。
本人に伝えなくても大丈夫です。」「……短い間でしたが、久しぶりに彼女に会えて嬉しかったんです。
実は、もう二度と会えないと思ってたんです。」「それで、つい浮かれてしまったみたいです。
迷惑だったなら……本当にごめんなさい。」「それでも…………やっぱり。」
「……誰かにとって、忘れたい思い出になってしまったのは、ほんの少し残念です。」『ブルーアーカイブ』 放課後スイーツ物語 甘い秘密と銃撃戦
伝説の不良から、放課後スイーツ部に入部していた杏山カズサ。そんな過去に蓋をしたいカズサにとって、レイサは不良だった過去と同じく、「忘れたい思い出」になっていた。
猪突猛進で熱血バカで、その見た目通りなところもある宇沢レイサ。でも、それとは反対に、純粋で、傷つきやすい繊細さも抱えていて……。そんな彼女の「人間臭い」部分がとても好きです。
ここからはかなり私個人の勝手な考えになってしまうのであまり真に受けないでほしいのですが、これは「変わっていくことの肯定」と「過去を切り捨ててしまうことの否定」を同時に行っているシナリオなのではないかと思いました。
人生という物語は、何気ない日常は、始まりから終わりまで途切れることなくずっと続いていく。その中での前向きな変化は肯定されるべきもの。一方で、自分がこれまで続けてきたこと・繋いできたものを「要らない」と切り捨ててしまうのは、ちょっぴり寂しい。「変化」と「不変」は対になっているようで、実はどちらも大切なもの。
「みんなのヒーロー宇沢レイサが、キャスパリーグのために戦う日がくるなんて……
不思議なものです。」
「本当、長生きしてみるもんですね。」『ブルーアーカイブ』 放課後スイーツ物語 甘い秘密と銃撃戦
この物語のオチからしゃべってしまうと、カズサは忘れたかったはずのレイサを助ける形で事件は一件落着へと向かいます。レイサもあの頃から変わっていないようで、あれほど対立(?)していたカズサを助けるために戦う「変化」を迎えます。
カズサとレイサは、「友達」と呼んでいいのかは怪しい関係です。「悪友」「戦友」もちょっと怪しい。「腐れ縁」……とでも言うのでしょうか。でも、自分のためを思って何かをしてくれる人を忘れてしまうなんて、なかったことにしてしまうなんて、それはやっぱり寂しい。
「放課後スイーツ物語 甘い秘密と銃撃戦」における先生の役割は、かなり直接的に介入していたエデン4章とは対称的に「見守る」立場に徹しているのも面白いところです。あくまでこれはカズサとレイサが、お互いをお互いにどう受け止めるのかの問題であって、先生はそれを伝達したにすぎない。
この物語はキヴォトス全体から見れば、本当に小さい問題かもしれません。めっちゃザックリ言っちゃえば、「高校デビューでオシャレになろうとしたのに中学からの腐れ縁の奴が変わらないノリで絡んできてウザい」くらいの話でしかないのですから。
でも、それを生徒に合わせた視点で描き、先生が向き合ってくれる。カズサの過去を、「忘れたい思い出」にしないために。シャボン玉みたいなこの世界は運よく消えていないだけで、キッカケがあればすぐ素直になれる。これこそブルアカの最も得意とする、「何気ない日常の中で、奇跡を見つける」物語でもあると思います。
「本当になんでもない日にさ。
いつものように喧嘩して、勝利に酔いしれながら家に帰ってたの。」「そしたら……偶然、ある子が目に入って。」
「道の片隅にあるきれいなカフェで、ケーキやパフェを食べながら騒いでて。」
「なんで食べてるのか分からない……チョコミントを食べながら友達と笑っててさ。」
「自分でもよく分からないけど……それを見て、足が止まったの。」「そう思ったら……急にあの子みたいになりたくなって。
……あんな素敵な女の子になりたかった。ホント、それだけ。」『ブルーアーカイブ』 放課後スイーツ物語 甘い秘密と銃撃戦
戦いに明け暮れていた不良のカズサは、ある時街角で、チョコミントを食べながら笑いあっている自分と同じくらいの子を見つけた。そして、そんな素敵な女の子になりたくなった。
これがこの物語の始まりでもあり、「カズサが放課後スイーツ部に入った理由」でもある。確かに「ホント、それだけ」の理由かもしれない。でも、その「それだけ」はとても尊くて。何気ないこの憧れが、奇跡みたいなもので。
この奇跡が最後に明かされること、このシーンを何よりも美しいものとして描いていること。そしてそれが「変化の肯定」になっていることが、私が「甘い秘密と銃撃戦がイベント最高傑作」だと思っている理由です。
………で、レイサ実装は?
Get Set,GO! ~キヴォトス晄輪大祭~
うおおおおおおデッカ!!!!!!!!!!!!!
すいません急にIQが下がりました。
というわけでここからは2022年10月26日より開催された「Get Set, GO! ~キヴォトス晄輪大祭~」の話です! 前年の1周年で公開された3rdPVの時点で存在が示唆されていた運動会イベントがついに開催!!
このシナリオの何が面白いのかを具体的に言っちゃうと、「これまでブルアカを遊んできたユーザーへの感謝祭」とも言える各校集結のストーリーが展開されるところ!
そもそもブルアカは「学校」によってストーリーが区切られていることが多く、たとえば時計じかけの花のパヴァーヌ編はミレニアムサイエンススクールが舞台、エデン条約編はトリニティ総合学園が舞台……といったように、先生やら美食研究会やら温泉同好会やらがハブにならないと中々「別々の学校の生徒が一堂に会する」という場面が発生しません。
しかしこのキヴォトス晄輪大祭はこれまでに登場した多くの学校が登場するまさしくオールスターシナリオ! ゲヘナ・トリニティ・ミレニアムの3校に、アビドスも山海経も百鬼夜行も大体登場!
次の2年後はティーパーティーとかアリウスとかレッドウィンターとかも参加してほしい。いや、ミカが出場したら大会終わるかもしれん……
実行委員としてのアコ・ユウカ・マリー・ハスミの滅多に見ない並びがこのイベントを象徴しているとも言えます。この「各学校の比較的マトモに会話ができる人間を揃えました」感、なんかじわじわくる。天雨アコは普段横から呼吸をしているわけではないこともこのイベントで判明しました。
ヒナ・リオ・ナギサ・ツルギとかだったらホンマに会話成立しないで終わってますからね。いや、意外とこの4人なら成立するか? 万魔殿さえ入ってこなければなんとかなるのでは? そういう妄想をしちゃうくらい、「普段全く絡まない別の学校の生徒同士がしゃべる」この晄輪大祭は夢のあるイベントだと思います。
え、何? 「ハスミの神明630個配布も夢がありましたね」?
サ、サイコロランのクレジット配布はそこそこおいしかったでしょう!!
このイベントの好きなところは、「生徒ひとりひとりが『晄輪大祭の主人公』である」という点。要はこの晄輪大祭はただ運動が得意な生徒が無双して終わるのではなく、それぞれの生徒がそれぞれの晄輪大祭を全力で楽しんでこそ!
キヴォトスの全生徒が一緒に楽しみながら作っていくみんなのお祭り!!……なんて、素敵すぎる理念を元に開催されています。
だから生徒たちも、最後のリレーでは「早さ云々よりアンカーをやって欲しい人をアンカーに選出する」なんてことをやっちゃう。全然走るの得意じゃないユウカとハスミとかが、みんな出てほしいと思ってたからアンカーとして出走しちゃう。
ユウカとハスミがセミナーとか正義実現委員会のみんなからめっちゃ慕われてるの普通に泣いちゃうから……
書きながら泣いてます、今。
さらにこの前に開催されていた「ON YOUR MARK @MILLENNIUM ~キヴォトス晄輪大祭~」というイベントが、「晄輪大祭を誰よりも楽しみにしてるけど、このままだと過労で倒れてしまいそうなユウカをサポートする」なんて内容だったから、余計に……余計に泣いちゃう……
ユウカが晄輪大祭で楽しそうにしてるだけで私も嬉しいよ……
めちゃくちゃ「ブルーアーカイブ」じゃんこれ…………
ただ、ゲーム内の「Get Set, GO! ~キヴォトス晄輪大祭~」のシナリオを読んだだけではあまり納得がいっていない方も多いのでは?
まず「キヴォトス中の学校の生徒が参加する」という話の規模と登場人物の多さから、「SRT特殊学園ってなんかしてた?」、「アコ以外の風紀委員ってなんかしてた?」などの他の参加生徒の動向が気になるのですが……これはゲーム本編では説明されません。
そして大オチの「あれだけユウカとハスミを引っ張ったのにリレーで優勝したのは美食研究会のジュンコとゲヘナ学園」という唐突さと肩透かし感に割と納得がいっていない方も少なくないのでは? というか、プレイした時の私自身がまさにそうです。ジュンコ1着、前振りがなさすぎる。急に何……?
「結局ゲヘナか!?優勝記念にゲヘナのスキル書1000冊くれ!!」と暴動を起こしたくなる気持ちもよくわかるのですが…………
そのイベントシナリオで気になった部分、実はこちらの「キヴォトス晄輪大祭 Other side stories」で大体補完されていたりします。
こちらの商品、かわいいデザインの箱・マンガ・ドラマCD・小説がセットになって5000円……だったのですが物理版の生産は現時点で終了してます! じゃあなんでわざわざ物理版の写真を貼っているのかというと自慢したかったからです! 配信版は4400円でまだまだ売ってるよ! さあ気になった奴は買った買った!!
オレはYostarのなんなんだ?
まずひとつめの「舞台裏へのかくれんぼ」。こちらは晄輪大祭におけるRABBIT小隊の活躍を描いたマンガとなっており、「そもそもなぜこの大会にRABBIT小隊が参加しているのか?」、「たった4人しかいないのにどうやって他の学校と渡り合ったのか?」などの晄輪大祭の舞台裏が語られるマンガ。
そもそも現時点で『ブルーアーカイブ』というコンテンツ自体、そこまでメディアミックスが盛んなわけではないので、「ブルアカの公式マンガ」だけで割と一見の価値がある内容です。RABBIT小隊の4人が晄輪大祭の陰謀……?と戦ったりします。
ゴミ箱に突っ込んでいることでお馴染みの霞沢ミユにかなり活躍のシーンが与えられており、なんだかんだ彼女らもSRT特殊学園の生徒なのだということを思い出させられるマンガです。あと、せるげい先生の絵がカワイイ。これ大事。
続いてはドラマCD、「舞台袖のかくしごと」。
こちらはゲヘナの救急医学部とトリニティの救護騎士団が合同で設立した晄輪大祭の医療本部を舞台としたドラマCDとなっており、主にセナ・セリナ・ヒナの3人が主役となった話が展開されます。
大祭の参加中に爆発とか地雷とかでケガをした生徒が次々と運ばれてくる医療本部の中で、ゲーム本編には物理的に登場できなかったキャラクターたちが何をしていたのか……というまさに「舞台袖」の様子が語られます。
「セリナとヒナ」というここ以外で揃うことはないであろう2人の、まるで聖人と聖人が会話しているかのような会話の空気感が面白い。ここまで平和な空気だと逆に「これは本当にブルアカのドラマCDなのか……?」という疑念が湧いてくるくらいのほっこりする内容です。あとヒナ委員長の魂が本当に「受け」で構成されていることもよくわかります。
エデン条約編でチラッとだけ見せられていた、「ヒナとセナがそこそこ仲よさげ」という美味しい設定もいい感じに掘り下げられているのでそこも必見。ブルアカ、マジでこの辺の「特に目立った絡みはないけど、同じ学園の実は仲いい友達」の関係作るの上手いんですよね……。
もちろんこの3人以外にも、ヴェリタス副部長のチヒロや風紀委員のチナツも登場するので、とにかく「普段絡まない生徒同士の会話」という晄輪大祭のトロの部分を摂取しまくれる内容です。
そして3つ目の「表舞台のかくしあじ」。
これこそが「なぜリレーのアンカーがジュンコで、彼女が一着だったのか?」が語られる小説。最初に読み終わったあとの感想を言ってしまうなら、「まさか美食研究会に泣かされると思ってなかった」です。それくらい良い小説。ジュンコの一着に、ちゃんと納得できる。
美食研究会と共に晄輪大祭にやってきたジュンコが、「どうして自分は晄輪大祭を楽しめないのか?」という疑問の答えを見つけるまでの話。イオリやアスナなどのゲーム本編の晄輪大祭ではあまり顔を見せなかった生徒もバンバン登場するし、かにビーム先生の挿絵もかわいい。
個人的に面白かったのは、「ミレニアム最強のC&Cを相手にしても、ジュンコは『逃走』の一点であれば互角に戦うことができる」という美食研究会の格がすごいことになってる描写です。
なんかもう普段は無差別エネミーみたいな登場ばかりする美食研究会ですが、この小説では美食研究会の仲の良さや信頼関係がジュンコの視点から描写されているので……結果的に美食研究会で泣いてしまいます。
そしてここまで紹介したゲーム本編、マンガ、小説、ドラマCDで共通しているのは、やはり「生徒みんなが晄輪大祭を楽しみにしていて、生徒みんなが全力で作り上げた晄輪大祭」ということ。
競技に参加する人。そうでない人。裏方に回る人。屋台を出す人。単純に飯を食いにきた人。どうやって晄輪大祭に参加したかは千差万別だけど、間違いなく……楽しい晄輪大祭だった。
「学校の垣根を超えたオールスターイベントをやる」となった時に、「生徒みんながそれぞれの得意分野で活躍できるような体育祭」を描いてくれたのが……本当に好きです。
友情と勇気と光のロマン
はい、お待たせしました!
ゲーム開発部編こと時計じかけの花のパヴァーヌ編2章……「友情と勇気と光のロマン」!!!
実は私、ブルアカに存在するシナリオの中で、この「時計じかけの花のパヴァーヌ編」が最も好きなのです。1章の時点で。
好きすぎて「まぁ、別にこのまま10年くらい2章来なくてもオレは十分満足してるから……大丈夫だよ遠坂……」とか思ってたのですが、ついに2章が来てしまいました。いやもう、「友情と勇気と光のロマン」ってサブタイだけで頭おかしくなりそうです。
もう初手からゲームネタが多い! 私はゲーム開発部編の色々ギリギリなゲームネタが大好きです! ブルアカがアークシステムワークスと格ゲー作ることになったらどうすんだこれ!!
2章は『テイルズ・サガ・クロニクル2』が特別賞を取ったあとのゲーム開発部の姿を描くシナリオとなっており、次回作のためのアイデアを練るために「エレベーターでタワーを登るダンジョン探索」だの「最強の番人キャラを設置する」だの「チートに対抗するためのハメ技」だのを研究……いや最後は研究か……?
そしてアイデアを求めてアリスと共にミレニアム内への冒険に出発! 何気にこのアリスとウロウロするパートの「ミレニアム内でアリスが可愛がられている」描写も最高なんですよね……私はミレニアムサイエンススクールが好きなので、ミレニアムの話になると色々な判定が100倍ぐらいゆるくなります。
ギャルだ──────────!!!!!!!!!
男の子はロボットとRPGとギャルが大好き♥ 何気にこの帰宅部ことゲヘナギャルズ、タイトル画面にずっといた割には立ち絵が登場するまで大体2年かかってるんですよね……。
「リリース当初からタイトル画面にいたギャルがちゃんと登場するまで大体2年かかった」ってブルアカやってない人からしたら謎すぎる。そういう部分も含めて、全体的に「待望」な感じがします。
もうこれだけで泣きそうになってきた。
私アレなんですよ、3rdPVのアリスがひとりでゲームやってたら後からネル先輩が来てくれて一緒にゲームしてる部分大好きなんですよ。1章のラスボス(?)だったネル先輩がアリスとゲーム開発部を通してゲームにハマってるのも良すぎる。あーもう最高最高最高! 既に十分「友情と勇気と光のロマン」だろこれ!!
勇者アリスはこれからも先生やたくさんの仲間たちと冒険して、クエストをこなして、レベルアップして……楽しい日常を過ごしていくのでしょう。勝ったッ! ゲーム開発部2章、完!! はい、グッドエンドのエンドロールです! お前ら泣け!!
なんでこうなった?
アリスは突如として謎の機械を操り始め、暴走。同じゲーム開発部のモモイを傷付けて、セミナー会長のリオから「この世を滅ぼす魔王」だと、ヘイローを破壊されることになってしまった。勇者だと思ってたのに、実は魔王だった……あの世で俺にわび続けろ、アリステッド────ッ!!!!
はい……パヴァーヌ2章はこうしてバッドエンドとして幕を閉じたのでした。この記事もバッドエンドです……みなさん泣いてください……これで最終回です。本当に、本当にありがとうございました。
「アリスの最期の言葉、別れの挨拶でもなんでも無いじゃない!」
「まともなエンディングですらない!最悪だよ!」「だから私はアリスを連れ戻したい!連れ戻しに行くよ!
みんな、そうじゃないの!?」『ブルーアーカイブ』 時計じかけの花のパヴァーヌ編2章「友情と勇気と光のロマン」
だから散々書いてるでしょう、これはハッピーエンドを目指すゲームだと! バッドエンディングでもノーマルエンディングでもグッドエンディングでもない、完全無欠のハッピーエンドを目指すのです!
一瞬、ゲーム開発部編も結構暗めなシナリオが始まるのかと見せかけてモモイがぶっ壊すこの流れ、最高です。
エンジニア部、C&C、ヴェリタス……さらにセミナーのユウカとノアの力を借りてみんなのアリスを取り返すことに! 1章の時点では一応敵……いや敵だったか……? ま、まぁ試練を与える側だったセミナーのユウカが全面的に協力してくれるのも熱い! 「友情と勇気と光のロマン」だよこれ……!!
このゲーム開発部編2章の好きなところは、物語の冒頭で語られていた「エレベーターでタワーを登るダンジョン探索」、「最強の番人キャラ」、「チートに対抗するためのハメ技」が綺麗に回収されているところです。リオが待ち構える要塞都市エリドゥのタワー、最強の番人兼チートプレイヤーのトキ!
……ってか『カシオペヤの拳 ~ウーパールーパー大列伝~』で、チートキャラで、トキ……っておい! まぁトキもビーム出しますからね。
物語の冒頭でユズが見せた、「チートを打ち破るためのハメ技」をしっかりユズが発見する形で回収するのも熱い。流石、1フレームの違いを見逃さない女! エシュフ見てから余裕でした。
エデン条約編でもブルアカの「スチルの使い方の上手さ」に触れましたが、特にトキのアビ・エシュフ装着シーンはエデン4章からさらに進化してる! これもうアニメじゃん!!
バトルの演出もなんかどんどん進化してるし、エデン4章の辺りで触れた「ゲーム演出のブレイクスルー」がずっと起きているような感覚すらしてきます。
瞬間最大火力ではありますが、2章終盤のスチル演出は『魔法使いの夜』の演出のすごさを彷彿とする箇所もいくつかありました。そのくらいすごい。まさかブルアカがここまで来るとは思ってなかった。
あれ? これアニメじゃない?
何気にエレベーターも綺麗に回収してます。ブルアカは「演出がすごい」というより、やはり「シナリオ(テキスト)の面白さ」が強みとなっている印象の強いゲームでした。でも、パヴァーヌ2章は「演出がすごい」と胸を張って言えるレベルの仕上がり。面白い話に面白い絵がくっついてきたら……大変なことになっちゃうだろ!
そして、あとは……世界を終焉に導く魔王を救い出すだけ。私がゲーム開発部編が好きな理由は無限にあるのですが、やっぱり「人を攻撃するための兵器として作り出された(?)アリスが、『ゲーム』という人を楽しませるための娯楽を通して、みんなに愛される人格を形成していった」ところ。
「この前……アリスちゃんが言ってくれたことがあったよね?」
「『ファイナルファンタジア』、『ドラゴンテスト』、『トールズ・オブ・フェイト』、『竜騎伝統』、『英雄神話』、『アイズエターナル』、そして━━━『テイルズ・サガ・クロニクル』……。」
「どんなゲームでも、主人公たちは……」
「決して、仲間を諦めないと。」
『ブルーアーカイブ』 時計じかけの花のパヴァーヌ編2章「友情と勇気と光のロマン」
アリスが楽しんだゲームは、そして「アリス」を形成したゲームは、いつだって仲間のことを諦めなかった。部活を守れたこと。ゲームを作って一緒に遊んだこと。ゲームを通してみんなと仲良くなれたこと。それら全てはゲームがあったからで、「アリス」がいてくれたからだった。
これは、王女が勇者になる物語。勇者が、魔王になってしまう物語。そして魔王<バッドエンド>が……もう一度光の剣<ハッピーエンド>を掴むまでの物語。そのハッピーエンドを携えて、また新たな冒険の旅に出発するまでの物語!
めぐれめぐれ世界の果てへ、大地と海と空の向こう。日常の先の未来は不確定……でも、だからこそ、楽しみは尽きない!
ここまでのストーリーを振り返って、改めて私は物語の終わりの先にある「日常」を描くのが『ブルーアーカイブ』なのだとも思いました。もちろん、シリアスな展開や、劇的なお話が描かれているのも面白い。
でも、やっぱり私は生徒たちの何気ない日常が好き。どうしたって、このドタバタコメディが好き。いつだって、物語はハッピーエンドであるべきなのさ!
実はこの記事は、ブルアカの2周年を祝うために私が勝手に書きだしたものだったりします。そして私個人の想いとして、生徒さんたちのこの1年を、どこかに記録として残しておきたいと思ったのです。10年、20年経った時に、いつか「あぁ、この年のブルアカはこんな感じだったね」と、振り返ることのできるアーカイブとして。
これは、『ブルーアーカイブ』のこれからを希う、祈りの歌。
どうかこれからも、彼女たちの青春の物語が末永く続きますように。
これは……そんな私からの、聖歌<キリエ>なのでした。
ドカ──────────────ン!!!!!!!!!!!!!!!!!(いつものBGM)
終わり!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
…………と思わせて、実はまだ終わりません。しかしこの記事は1月22日まで、上記の「終わり!」で幕を閉じる予定の記事でした。が、始まってしまった。
「最終編」が。
突如始まった『ブルーアーカイブ』の「最終編」。紅に染まるキヴォトスの空。提示される選択と責任。ここまでは鈍行列車? いやいや、ここからが急行列車。物語の終着駅へ、いざ出発進行。そしてその先の、あまねく奇跡の始発点へ。
実は今回の記事をもって、私が書く『ブルーアーカイブ』の記事は最終回にしようと思っていました。もうブルアカは十分すぎるほど人気のゲームだし、私なんかがゴチャゴチャ無粋なことを書かなくとも誰かもっと上手い人がやってくれる。
あと公開2週間前に「やっぱ記事のオチ変えていいですか?」とかいう極道入稿決めてスイマセンでした!!
…………でも、これを見せられたら……まだ終着には早いのかもしれない!
それではみなさん、いつか「最終編」が終わりを迎えた時に……またお会いしましょう!
つづく!!!!!!!!!