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首がもげるし、顔に穴が開くし、手足も千切れる。ハチャメチャにグロいのにユーモアを忘れない『デッドアイランド2』は「ゾンビもの」の味をバッチリ表現していた

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 ゾンビの魅力とは不思議なものだ。

 ホラーのようでただ恐ろしいだけでなく、コメディにもシリアスにも利用できる奇妙なやられ役。そんな「ゾンビ」が筆者は好きだ。

 幼いころから怖がりでホラーが苦手、今でも根本的にそれが変化したわけではないのだが、なぜかゾンビものの映画やゲームだけはいつしか好んで触れるようになっていた。その理由はホラーとコミカルが両立する「ゾンビ」が、“怖いもの見たさ”を満たしてくれる存在だったからではないだろうか、と今では考えている。

 そのうえで今回ご紹介するゲーム『デッドアイランド2』が、筆者の求める「ゾンビ」をバッチリ表現してくれている作品だった話をしたい。

 本作はとんでもなくグロいし、世界は終わりかけているし、人はコロコロ死んでいく。一見するとお先真っ暗でこの世の終わりのような内容だが、しかしゲームプレイは存外にぎやかで、悲壮感に包まれっぱなしというわけでは決してないのである。
 むしろ、追い込まれた人間の愚かさや醜さを皮肉交じりに描きつつ、圧倒的なタフさで絶望的な状況に立ち向かう主人公には爽快感さえ感じるほどだった。

 そしてもうひとつ大事なことが、本作は2011年に発売された『デッドアイランド』から10年以上のときを経て、ついに発売された続編であるということだ。筆者自身は発売当時に18歳に満たなかったこともあり、その盛り上がりをくわしく知っているとはとても言えないが、本稿をお読みの方には前作ファンの方も少なからずいらっしゃるはず。

 そうして背景も踏まえて、本稿では『デッドアイランド2』の「ゾンビもの」としての魅力を語るとともに、ゲームシステムをご紹介する形で作品の雰囲気をお届けしていければと思う。なお、記事中には非常にグロテスクなスクリーンショットもふくまれるため、閲覧の際には充分に注意されたい。

 なお、残念ながら日本で本作のコンソール版は発売されない。ただし、日本からでもEpic Games StoreでPC版を購入する事が可能だ。しっかりとした日本語字幕も収録されているので、PC版でお楽しみいただきたい。

文/久田晴


めちゃめちゃグロいけど、どこか愉快で爽やかな“ゾンビもの”のテイストが最高

 『デッドアイランド2』を遊んでいて、まず何よりも目につくのが「とにかくグロい」という点だ。中でも見ごたえあるのが、プレイヤーに襲いかかってくるゾンビたちの“死に様”。
 本作のバトルは近接武器を中心としたものなので、手足を斬り落としたり、顔面に大穴を空けたり、頭部を踏みつぶしたり……とハチャメチャに過激な表現が次々に目の前で繰り広げられる。

 きちんと「部位破壊」としてシステム上でもメリットがあり、特に手足を破壊すればゾンビの戦闘力を大きく削ることが可能だ。またタイミングよく回避を成功させ、よろけているゾンビに決めるフィニッシュブロー的なアクションは非常に爽快。特に爪タイプの武器であれば、顔をぶち抜く強烈な一撃をお見舞いできる。

 なんでも本作では独自のゴア技術として「コードネームFLESH:ヒューマノイドの完全位置的内臓放出システム」が採り入れられているとのこと。冗談のような話ではあるが、グロテスクな表現に大いに力を注いでいるのは間違いないだろう。

『デッドアイランド2』シュールなロード画面
ロード画面さえこの有様、この体勢のままクルクル回っているので割とシュールだった

 この圧倒的なグロ描写はもちろん人を選ぶポイントでもあるが、“ゾンビゲー”というジャンルが好きな方にとっては嬉しい要素と言って良いはず。見ごたえ抜群のゴア表現は間違いなく『デッドアイランド2』のテイストにフィットしているし、一人称視点も相まってゾンビ映画の中に飛びこんだような体験を味わえる。

 そして本作の雰囲気を形作る、もうひとつの重要なファクターが登場するキャラクターたちだ。『デッドアイランド2』の舞台はアメリカ・ロサンゼルス……ただしゾンビパンデミックによって「LA」ならぬ「ヘルA」と呼ばれる惨状になっており、あたりにはゾンビがうろつき、死体が転がり、いたるところに車両や建物の残骸が散らばっている有様である。

 特にゲーム序盤の舞台は、全米有数の高級住宅街として知られる「ビバリーヒルズ」。それだけに出会うキャラクターたちは元セレブが多く、“ナヨナヨした”人物として描かれているキャラクターも少なくない。その中でひとり、皮肉をこぼしながらもタフに奮闘する主人公の姿にはスカッとするものを感じずにはいられなかった。

『デッドアイランド2』セレブの付き人

 なお、プレイアブルキャラクターは6人から選ぶ形式となっており、筆者は「ブルーノ」
という名前のなかなかクセの強そうな人物を採用した。各キャラクターによってセリフは変化する模様なので、各人物のリアクションなどを比較してみるのも面白いかもしれない。

 話を戻すと、『デッドアイランド2』の世界は客観的に見れば間違いなく悲惨な状況にある。しかしその中でも危険をかえりみず、ユーモアも忘れず抵抗する主人公の存在はゲームに明るさをもたらしていた。グロくて悲惨、でもどこか笑える部分もある。そんな筆者が大好きな「ゾンビもの」の雰囲気を、本作はばっちり作り上げてくれていたと言えよう。

試行錯誤が楽しい、単調にならないよう設計されたバトルシステム

 さて、ここまで本作の「ゾンビもの」としての魅力を一気に語ってしまったが、そもそも「『デッドアイランド2』ってどんなゲームなの?」という点にも簡単に触れておきたい。

 本作は近接戦闘を主軸とした一人称視点のアクションゲームで、基礎システムは前作の『デッドアイランド』や『ダイイングライト』シリーズに近い。一方でオープンワールドではなく、ロケーションごとに区切られたマップが用意され、それぞれを自由に探索できるといった形になっている。

『デッドアイランド2』マップ画面

 まず本作のバトルについて語れば、その魅力は“広がっていく”感触にある。

 というのも、ゲーム開始当初はキャラクターのスキルや武器、そして登場するゾンビのバリエーションが限られているからだ。この段階ではプレイヤースキルという点から見ても「とりあえず拾った武器で強そうなものを振り回しておく」という単調なバトルになりがちだし、それでも攻略できるようバランス調整されている。

 しかし、基本アクションのバリエーションは決して乏しくない。通常攻撃と溜め攻撃、武器の投擲、ステップ回避とカウンター、ダッシュからのスライディング、そしてキック。ゲーム開始当初からすべてを使いこなすのは困難かもしれないが、どれも選択肢として一考の余地がある行動としてデザインされていた。

『デッドアイランド2』武器の投擲
武器はたくさん転がっているので、いらなくなったら投げつけてしまおう

 そして序盤からゾンビに対する有効な対抗手段となるのが「水」の入ったタンクと、車や発電機から取り出した「バッテリー」だ。シンプルに説明すれば水たまりに電流を走らせて一網打尽にする……というありがちなシチュエーションだが、本作ではあらかじめ用意された水たまり以外にも、自分でタンクを運んで“水たまりをつくる”ことができる。

 タンクは自由に持ち運べ、好きなように水たまりを広げていける。そのため大がかりなトラップゾーンを作っておいて、迫るゾンビを迎え撃つといった攻略が可能なのだ。昨今の3Dアクションゲームでは環境を利用するという要素はありふれたものになりつつあるが、本作では特にその自由度が高く、そして頻繁に登場してくると感じた。

『デッドアイランド2』電撃による範囲攻撃

 そして、この環境利用の点で重要な要素が投擲武器の「カーブボール」。こちらは時間経過によるクールダウン形式で何度でも使えるグレネードのような代物で、着弾時にはさまざまな効果を発揮する。

 序盤の代表的なものがゾンビを引き寄せるエサのような「撒き餌」。ゾンビを引き寄せて罠にハメたり、できれば交戦を避けて通り過ぎたいときなどに活躍してくれる。また、同じく序盤に手に入れられる「ケミボム」は水をぶちまけ、炎を消して通れるようにできるほか、先ほどのタンクと同様に水たまりの形成にも役立つ。

 カーブボールは連打こそ効かないが使用回数に制限はなく、変に温存する必要性が薄いところも嬉しいポイント。一人称視点のアクションゲームとして「単に武器を振り回しているだけ」とプレイヤーに感じさせないよう、さまざまな工夫が凝らされていると言えるだろう。

『デッドアイランド2』撒き餌

 またゲーム中には「ゾンペディア」と呼ばれる図鑑風の機能も備えられており、同種のゾンビをたくさん倒すと、その弱点や特徴などが明かされていくという形になっている。中には一部の属性に耐性を持つゾンビなども登場するため、しっかりとそれぞれの攻略法を知ることも勝利のカギとなるはずだ。

無限の広がりを感じさせる育成システム

 もうひとつゲームの“広がり”を感じさせる重要な要素が、武器の改造とカードによる育成システムだ。

 『デッドアイランド2』では作業台で武器をカスタマイズし、属性をはじめとするさまざまな効果を持たせることができる。属性ダメージをくわえる「モジュール」と、ダメージ量や耐久値、攻撃速度などの基礎性能を変化させる「パーク」のふたつに分かれる。

 例えば最序盤で手に入るモジュール「エレクトロキューター」では武器に電撃属性を持たせることができ、バッテリーを探さなくとも前述の「ケミボム」など水との連鎖反応を引き起こせるようになる。もちろん武器ごとにリーチが長い、威力が高い、攻撃速度が速い……などさまざまな長所があるため、敵や使い方にあわせてさまざまなカスタムを施そう。

 武器には耐久値が定められているので使い続けると壊れてしまうが、本作では修理が可能。さらに「レベルマッチ」を使えば、基礎能力に物足りなさを感じるようになってしまった低レベルの武器も、現在のレベルまで引き上げることが可能だ。お気に入りのものを使い続けたいとき、なかなか都合の良い獲物が出現しない場合にも安心の設計となっている。

『デッドアイランド2』武器強化

 そしてキャラクターの成長要素は一般的なスキルツリーではなく、進行に応じて手に入る「スキルカード」をスロットに設定していく方式。キャラクター固有のカードなどもあり、中には「医療キットを使用すると強烈な爆発が発生する」などというユニークなものも登場してきた。

 なお、ゲーム開始時のキャラクター選択で基礎ステータスが決定されるため、最初の選択は慎重に行おう。プレイスタイルは自由であるが、せっかくならばキャラクターの長所を活かしたビルドを考えていきたいところだ。

 武器とスキルカードをあわせた育成の幅は非常に広く、底知れないものを感じている。また最大3人でのマルチプレイにも対応している作品なので、自信のあるビルドをオンラインでお披露目したり、逆に他のプレイヤーから知見を得る機会もあるだろう。

『デッドアイランド2』スキルカード

『デッドアイランド2』は「こういうので良いんだよ」と言えるゾンビゲームだった

 『デッドアイランド2』はめちゃめちゃグロい。そして人はコロコロ死ぬし、世界は絶望に包まれている。しかし、そんな中でもユーモアを忘れずタフに生きる主人公の姿はある種の清涼感を与えてくれるし、ウザったいセレブやイカれちまった軍人も、全部ひっくるめて筆者が求める「ゾンビもの」のテイストを完璧と言えるまでに作り上げてくれていた。

 まさに「こういうので良いんだよ」と言いたくなるゾンビゲーム。筆者にとって『デッドアイランド2』はそんな作品だった。

 そして充実した戦闘アクションは、本作に「動かしていて楽しい」というアクションゲームのオーソドックスな魅力を与えている。戦闘が楽しければそれだけ育成のやりがいもあるというもので、装備やスキルカードを組み合わせて理想のプレイアブルキャラクターを形作っていく過程も本作の大きな魅力のひとつと言えるだろう。

『デッドアイランド2』ボス戦

 筆者は今回体験できなかったが、やはり3人での協力プレイに対応しているのも非常に嬉しいポイント。フレンドと笑いあいながらゾンビを叩き潰し、鍛え上げた互いのキャラクターを見せつけあうのはきっと最高の時間になるはずだ。

 『デッドアイランド2』は海外にて4月21日(金)の発売を予定している。なお、冒頭で述べたとおり、本作のコンソール版は残念ながら日本では発売されない。ただし、日本からでもEpic Games StoreでPC版を購入する事が可能だ。しっかりとした日本語字幕も収録されているので、ぜひPC版でお楽しみいただきたい。

ライター
1998年生まれ。静岡大学情報学部にてプログラマーの道を志すも、FPSゲーム「Overwatch」に熱中するあまり中途退学。少年期に「アーマード・コア」「ドラッグ オン ドラグーン」などから受けた刺激を忘れられず、プログラミング言語から日本語にシフト。自分の言葉で真実の愛を語るべく奮闘中。「おもしろき こともなき世を おもしろく」するコンピューターゲームの力を信じている。道端のスズメに恋をする乙女。

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