Bethesda Softworksより、2023年9月6日に発売されたオープンワールドのアクションRPG『Starfield』。そのローンチイベントが、9月7日に東京都港区の東京タワー内にある施設「RED°TOKYO TOWER 5F SKY STADIUM」で開催された。
本作は、『The Elder Scrolls V: Skyrim』(以下、Skyrim)や『Fallout 4』を手掛けたゲームスタジオBethesda Game Studiosが、25年ぶりに手掛けた新規IPだ。正式リリース前の9月1日からはアーリーアクセスが開始されていたということもあり、連日SNS上では本作の話題を目にしない日はないレベルで盛り上がっている。
今回のローンチイベントでは、ゲーム内に登場するバレット役を演じた声優の岩崎ひろしさんがスペシャルゲストで登壇。収録時の秘話などを交えたトークセッションが行われた。また、途中からはBethesda Softworksでコミュニケーションマネージャーを務めるレイナ・ボラノス氏が加わり、ゲームの紹介やデモプレイなども行われた。
ちなみに本イベントでは、ゲーム内に登場する人工肉をイメージして、サンドイッチのバテに大豆ミートを使用した食事も来場者に振る舞われていた。ということで、こちらの記事では、そのイベントの模様をレポートする。
文・取材/高島おしゃむ
バレットというキャラクターは演じていて楽しかった
イベント開始冒頭に流されたのが、『Starfield』ゲームディレクターを務めるトッド・ハワード氏からのビデオメッセージだ。
トッド・ハワード氏:
Bethesdaのトッド・ハワードです。『Starfield』の発売記念イベントにご来場いただきありがとうございます。皆さんに本作をお届けできることを、とても嬉しく思っています。宇宙へと旅立ち、そして探検する。この夢のようなゲームを創る過程は、私たちにとっても素晴らしい旅路でした。しかしこの旅は、皆さんが自分だけの冒険に出たときに完成します。皆さんもどうか良い旅を楽しんでください。
トッド・ハワード氏のビデオメッセージに続いてスペシャルゲストで登壇したのが、声優の岩崎ひろしさんだ。岩崎さんとBethesdaとの繋がりはかなり古く、『Fallout 4』や『Skyrim』などでもキャラクターの声を演じてきている。それらの中でも人気が高かったのが『Skyrim』に登場するシセロというキャラクターで、会場内で声を実演。この後、全く別の作品ではあるが、スター繋がりということで『スター・ウォーズ』のC3POの演技も生で披露するなど、大いに会場を盛り上げていた。
今回の『Starfield』で岩崎さんが演じたのはバレットというキャラクターだ。ゲーム序盤に主人公に出会い、宇宙に冒険することになるきっかけとなる、船と時計をくれる人物でもある。声の収録がスタートしたのは、昨年の4月からであった。発売直前まで収録が行われていたため、1年半ほど演じ続けてきたことになるのだが、実は収録自体はずっと継続していたわけではない。
途中、間が開いた時期があり、ふたたび声が掛かったため、新たな仕事がやってきたのかと思ったところ、実は前回収録したものの続きだったという感じで行われていったのだという。
通常、映画などの吹き替え収録では元の映像を見ながら声をあてる場合が多い。しかしゲームでは、映像ではなく波形を見ながら収録が行われる。その波形に対して、プラスマイナス5~10といった感じで収録されることもあれば、きっちりあわせて終わらせなければいけない場合もある。しかし、日本語と外国語とでは言葉の長さがことなるため、そこを合わせるのに苦労したと岩崎さんは振り返っていた。
このバレットというキャラクターを演じたことに関して岩崎さんは、自分と似ているようなところがあり、好奇心旺盛で冒険家。冗談を言うようなちょっと陽気な一面もあり、演じていて楽しかったと感想を述べていた。
収録時のエピソードとして、岩崎さんが印象に残っているのは言いにくい言葉や初めて出てくる言葉、土地など特殊な名前が出てきたときだという。そうしたものはどのようなアクセントで話せばいいのかわからないため、ディレクターに聞いて確かめながら収録が行われていった。
これらの台詞の中には、地球にいるとなかなか言う機会がないようなものも含まれていた。たとえばバレットが主人公に船を渡した後にいう台詞で「私たちがいなければ、この銀河はただの暗い大部屋だ」というものがある。岩崎さんは、「宇宙に行ったらこんな台詞が言えるのか」と感じたという。
また、このバレットは恋愛シーンも登場するのだが、この話を今回のイベントのリハーサル時から何度も繰り返してしまうほどお気に入りのポイントになっているようであった。通常、恋愛と言えば女性のキャラクターとするものだと思いがちなのだが……そこがどうなっているのかは、ゲームを実際にプレイして確かめてみてほしい。
実は主人公は台詞の収録も行われていた?
岩崎さんのトークセッションが終わった後で、Bethesda Softworks コミュニケーションマネージャー レイナ・ボラノス氏が登壇。流暢な日本語で、ゲームの小ネタも交えた紹介が行われた。
先ほども触れたが、この『Starfield』は、『Fallout 4』や『Skyrim』を手掛けたBethesda Game Studiosが制作した新規IPだ。舞台となるのは西暦2330年。人類は太陽系を大きく離れ、新たな惑星を開拓しながら宇宙を旅する時代となっていた。そこでプレイヤーは、貴重なアーティファクトを探し求める最後の宇宙探検家集団「コンステレーション」の一員として冒険へと出かけていくことになるのである。
トッド・ハワード氏やBethesda Game Studiosが作りあげた本作は、「なりたい人になって、行き先も行動も制限なく宇宙を冒険できたらどうなるのか?」といったコンセプトで開発が行われている。また、キャラクターが描く物語も重要だ。外見を自分好みにカスタマイズして、その背景と特性設定してから、自分だけの冒険の旅へと出かけていくことになる。
経験豊富な探検家や魅力的な外交官、人目を避けて行動するサイバーランナーなど、どのような立場のキャラクターを演じるのかということも、自分の意志で決めていくことができるのである。
ちなみにこれは小ネタだが、本作では『Fallout 4』と同じように当初主人公はセリフが用意されており、すでに声の録音も行われていた、しかし、最終的にそちらはスタジオが削除をしている。これは、主人公に声やイントネーションがあると、なりたい人物になることができないことからカットされたそうだ。
本作では1000を超える惑星を巡って冒険をすることができるのだが、SNS上ではたしかに数は多いけどなにもなさそうな星もあるという声が上がっていた。自動生成されている部分もあるが、これらはスタジオ側が意図的に作っているものだ。
トッド・ハワード氏によると、「宇宙をさまよっている瞬間は、このゲームの最も空虚で最も美しい瞬間でもあるので、それを1秒ずつ楽しんでほしい」という想いから、こうした何もない惑星も盛り込まれているのである。
宇宙船を操縦するだけではなく、外見を自分好みにカスタマイズすることができるのも『Starfield』の魅力だ。武器やシールドなど、船を強化するシステムを改造することもできる。また、惑星を探検することで、薬や食料、武器や装備といったあらゆるものを作成するのに必要な動植物や資源を発見することもできる。
クルーを雇って拠点に資源抽出システムを構築していくことも重要な要素だ。貨物リンクを確立することで、拠点間で資源を転送することも可能になる。さらに、資源を研究プロジェクトに投入することで独自のクラフトレシピも解除できる。
もちろん、宇宙には危険がつきものだ。洗練された戦闘システムは、あらゆる状況に対処するための手段が用意されている。遠距離ライフルやレーザー兵器など異なる武器を状況に合わせて使い分けることもできる。また、宇宙という無重力の環境は予想できない混乱を戦闘にもたらすことがある。そうした場合であっても、ブーストパックを活用することで、これまでにない自由な機動を実現しているのだ。
「コンステレーション」はNASAと『インディ・ジョーンズ』を足したような組織
ここまでが大まかなゲームの特徴だが、そもそも主人公や岩崎さんが声を演じているバレットたちが所属している「コンステレーション」とは一体どんな組織なのだろうか? この「コンステレーション」は、銀河系の謎の解明を目的とした組織で、主人公もゲーム序盤はメンバーの一員として活動することになる。
ゲームの舞台は2330年だが、「コンステレーション」が誕生したのはそれより前の2275年で、セバスチャン・バンクスという人物によって設立された組織だ。ちなみにゲームディレクターのトッド・ハワード氏は『インディ・ジョーンズ』好きなのだが、この「コンステレーション」を説明するときにNASAと『インディ・ジョーンズ』を足したような組織であると紹介しているそうだ。
たしかに、ゲームの目的も謎のアーティファクトを探していくといった感じで、若干『インディ・ジョーンズ』っぽい要素が盛り込まれている感じになっている。
その「コンステレーション」の重要な一員のひとりがバレットだ。バレットは2305年に組織に参加しており、最古参のメンバーとなっている。「コンステレーション」に参加する以前はUCの物理学者だったのだが、政府の研究機関に馴染むことができず、自分の知識を使って宇宙を探検し知識を深めているといったキャラクターである。
ちなみにこうしたコンステレーションや『Starfield』の過去は、オフィシャルサイトに掲載されているので、興味がある人はそちらも合わせてチェックしておこう。
レイナ氏がバレットの登場するシーンを実機でデモ
ゲームの紹介が終わった後で、レイナ・ボラノス氏が実機を使ったデモプレイを披露した。今回デモが行われたのはチュートリアル的な要素を含んだゲームの序盤で、宇宙服を着て「コンステレーション」のところに行くというところからだ。ここで岩崎さんが声を演じたバレットと出会うことになるのだが、そのキャラクターが話す台詞に合わせて、岩崎さんも生でそれを読み上げて会場を盛り上げていた。
普段はPCでゲームをプレイしており、XBOX自体は数日前に購入したばかりということで、コントローラーによるゲーム操作にあまり慣れていないというレイナさん。焦っていたのか、戦闘が始まった後でもずっとカッターで敵と戦っていた。戦闘中、何度か死んでしまいそうになりつつも、なんとか戦闘を終え、デモプレイは完了となった。
今回の『Starfield』ローンチイベントは、これにて終了。最後に登壇者のふたりから、ファンに向けてメッセージが語られた。
レイナ・ボラノス氏:
『Starfield』は、アーリーアクセスが9月1日から開始されておりまして、1週間『Starfield』尽くしと言えるほどインフルエンサーの方々、そしてメディアの方々、そしてコミュニティの皆さんも盛り上げてくださっていたので、Bethesda一同として皆さんに大変感謝を申し上げます。
そして『Starfield』は、何年も新しいコンテンツに追加していきたいと思います。今後も『Starfield』、そしてBethesda Softworksをよろしくお願いいたします。
岩崎ひろしさん:
本当に素晴らしいバレット役というのをいただきまして、今日改めてこの大きいスクリーンで映像と音を見て、演じさせていただき、本当に幸せだと思っております。息子も成人いたしまして、妻も心からお礼を申し上げたいと申しています。これからも家族ともども頑張りますので、本日はどうもありがとうございました。
これまた余談なのだが、こうしたイベントの最後には通常メディア向けのフォトセッションが行われる場合が多い。そのときに多少のファンサービス的なカットはあるかもしれないが……今回はスペシャルゲストの岩崎ひろしさんがとにかくノリノリで、爆笑ポーズを多数披露してくれた。最後にそちらを紹介しながら、こちらの記事を締めたいと思う。