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こういう明るいゲームを待っていた! ステージクリア型の和風3Dアクション『豆狸のバケル』は敵も味方もとにかく明るいお祭り騒ぎのゲームだった。お祭り軍団に支配された47都道府県を巡り邪気払いを目指す

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ここしばらく、時代劇を題材にした和風アクションゲームに対して思うことがある。

……血の匂いと闇が漂いすぎでは?

なにも、そのような作風がダメだという訳ではない。
ただ、ここしばらくの傾向を見て寂しく感じるのだ。血の匂いも闇もない、明るく愉し気な時代劇(和風)アクションゲームが減ってしまったことに。

さかのぼること30年ほど前の1990年代には、まさに代名詞的存在とも言える”コミカル和風アクションゲーム”のシリーズがあった
筆者もそのアクションゲームに当時心酔した人間で、同級生の友人とハチャメチャな展開の数々にツッコミながら遊んだ思い出が残っている。だからこそ、ここしばらく寂しく感じるのだ。あのような”コミカル和風アクションゲーム”をこの時代に出せないのだろうか? 低年齢層にも親しみやすく、雰囲気もとことん明るい和風アクションゲームを。

そんな思いに応える新作が11月30日にNintendo Switchで爆誕した。
それが『御伽活劇 豆狸(まめだ)のバケル ~オラクル祭太郎の祭難!!~』(以下、豆狸のバケル)である。

「これだ!こういう明るい和風アクションゲームを待っていた!」

初報の映像、世界観と雰囲気を見た筆者は思わずそんな心持ちになった。しかも、CEROレーティングはバッチリ全年齢対象。まさしく低年齢層にも親しみやすく、雰囲気もとことん明るい”コミカル和風アクションゲーム”である。

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今回、そんな『豆狸のバケル』を発売に先んじて遊べる機会に恵まれた。勢いのまま本編クリアまでやってしまったのだが、まさに期待した通りの遊びと体験が凝縮された内容に仕上げられていた。それでいて、思いのほか骨太。ボリュームも想定外に大きく、遊び応えも抜群だった。

前述した1990年から2000年半ばに展開されたコミカル和風アクションゲームを知る人には、本作『豆狸のバケル』はうってつけの1本である。

文/シェループ


「お祭り軍団」に支配された47都道府県を巡る冒険活劇3Dアクション!

改めて本作、『豆狸のバケル』の基本的な内容を紹介すると、やや上空から見下ろした感じの俯瞰視点(トップビュー)で展開される3Dアクションゲームである。本編の進行形式は、アクションゲーム伝統のステージクリア型。人間に変化できる特技を持つタヌキ「バケル」を操作して、日本全土をお祭りで支配しようと目論む「オラクル祭太郎」の野望を阻止するため、彼の率いる「お祭り軍団」によって支配された47都道府県を冒険していくというものである。

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各47都道府県ごとのステージは、ゴールに当たる「お祭りタワー」に到達してそこに当たる太鼓を叩き続けて邪気を払い、「悪祭退散」を成し遂げることでクリアとなる。要はタワーに設置された某仮装大賞風のパネルを頂上まで点灯させる感じである。
例えが古いような気がするが、某仮想大賞は2023年8月に最新回が放送されて間もないから、若い世代にもきっと想像できるだろう。そうであってくれ……。

ただし、タワーの太鼓にはバリアが張られており、叩けるようにするにはステージ内に隠されている提灯の形をした「邪気提灯」を3つ破壊しなければならない。

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この光り輝く提灯が「邪気提灯」

なので、各ステージでは様々な仕掛けや敵の襲撃を突破しつつ、隠された3つの邪気電波装置を見つけ出して壊すことにも取り組むというのが主な流れとなる。若干の探索要素を含んだ構成なのだ。

ただ、邪気提灯自体は見つけやすく、まったく発見できずに右往左往してしまうことは余程無視しない限りは起きない。数も3つ以上存在するので、ひとつ取り漏らしても後でフォローが効く。ある程度とは言え、流れに身を任せた進め方でも遊べるステージデザインとなっている。

そして「お祭りタワー」の太鼓や邪気提灯の破壊、敵への攻撃に当たって用いるのが「払羅太鼓(はらだいこ)」のバチ。これが主人公バケルの標準武器となる。バチは現実の太鼓と同じく2本用いるスタイルで、Lボタンで左、Rボタンで右のバチを振るうという操作系となっている。

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交互にテンポよくバチを振って敵に命中させれば、そのまま連続攻撃となってコンボに発展する。また、LR両方のボタンを押し続けるとチャージ状態になり、離せば地面を叩きつけて衝撃波を出す範囲技を繰り出すことができる。ほかにも仕掛けを発動させるなど、攻撃以外で用いる場面も多々用意されており、まさに本作のキモとも言えるアクションとして設計されている。
 
そして、主人公バケルはタヌキだ。タヌキと言えば、人間に化けられる妖怪「化け狸」のイメージが定番だが、バケルもその名が現すがごとく人間に変化(へんげ)する特技を持っている。そして、ゲーム本編が進むとその「変化」の種類(形態)が増加。

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変化は全4種類(4形態)が用意されている。

拳と斧を用いたパワフルな近接攻撃釣り竿によるリーチの長い攻撃、そしてシューターのごとく豆鉄砲を放つ遠距離攻撃などが形態ごとに可能となって、戦術の幅が広がるのだ。ただし、いずれの形態も変化中は「バケルギー」を消費するため、延々となり続けることはできない。「バケルギー」がない時は変化すら不可能。そのため、変化し続けるなら敵を倒した際にドロップする「バケルギー」を取り続ける必要がある。それを踏まえて使いどころを絞るのも選択肢のひとつであり、プレイヤーごとに様々な戦闘スタイルを編み出せることを特徴とした要素になっている。

バチ、変化以外にもバケルのアクションには「ダッジロール」や太鼓を使った「ガード」も用意されている。どちらも敵の攻撃が当たる寸前のところで対応するボタンを押せば、前者は「ジャスト回避」、後者は「ジャストガード」(パリィ)が発動。

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ジャストガード(パリィ)発動!(相手は気絶!)

また、「ジャスト回避」が成功した時にLRボタンを即座に押せば、そのまま攻撃対象の敵に大ダメージを与える(耐久力の高い敵の場合は気絶させる)「カウンター攻撃」も繰り出せる。そんな、昨今の3Dアクションゲーム好きなら思わずニヤリとする要素も備わっているのだ。いずれもボス戦で使えるようになれば難易度が激変。同時に「これは迷えば敗れるアクションゲームだったのか!?」と、ツッコみたくなるとかならないとか。

このように基本はステージクリア型の3Dアクションゲームだが、構成とアクション周りにひと捻りが加えられていて、独自の遊び心地を実現させた作りになっている。

冒頭でも触れたが、本作に対しては特に1990年代に人気を博した”コミカル和風アクションゲーム”を知る世代なら、発表された当時からその精神を受け継いだフォロワー作品との印象を持っているかもしれない。筆者も最初はそんな印象を持っていた。だが、本編クリアまで遊び終えた今、それは完全に消え失せている。

断言しよう。本作は新世代の和風アクションを目指して作られた完全新作だ

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正確には、昨今の3Dアクションゲームから、血の匂いと闇が漂う和風アクションゲームのトレンドをもいい所取りした、最新のコミカル和風アクションゲームである。似ていると言えるのはあくまでも”外側”だけ。内側は全くもって異なる。(ついでに言うと、本作に件の和風アクションに関わったクリエイター陣はほとんど参加していない)

とりわけカウンター攻撃、ジャストガード(パリィ)を活用する戦闘を経験すれば思い知らされるだろう。「まさしく新世代型コミカル和風アクションだ!」と。

とことん明るくて楽しい雰囲気と世界観と、ぶっ飛び気味の全50以上のステージ

とは言え、本作の一番の見所は前述した1990年代の”コミカル和風アクションゲーム”と共通している。明るくて楽しげな世界観と雰囲気だ。

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「日本全土を支配しようと目論む悪者を倒せ!」と、ストーリーには深刻な要素があるものの、その悪者こと「オラクル祭太郎」が率いるのは「お祭り軍団」。なので、支配下に落ちた都道府県はどこもお祭り騒ぎになっていて、深刻さは皆無。別の言い方をすれば、47都道府県の大半がテーマパークも同然と言ってもいいぐらい、賑やかな雰囲気で統一されている。この雰囲気には、前述した件のアクションゲームを知る人ならば、思わず懐かしい心持ちになってしまうこと請け合いだ。

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所々に現代をイメージさせる要素が散りばめられているのも、本作の世界観における特徴。高層ビル、リゾート地、レースサーキット、そしてからくり兵器という名のロボットに戦艦など、なんでもありでほんの少し混とんとしている光景の数々は、見ているだけでも楽しい気持ちになってしまうはずだ。

雰囲気に限らず、ステージの中身も決まって固有の仕掛けを登場させたり、似通った場所でもひと捻り加えるなど、かなり念入りな個性付けが図られている。特定のステージ(都道府県)限定で、他のステージでは一切流用せずに終えているネタも複数。おかげで、次はどんな展開(ネタ)が出てくるのだろうとワクワクしながら進めていける。

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すべての都道府県を巡り終えた今、筆者がとりわけ強烈に印象に残っているのは島根県と群馬県である。どんなネタが出てくるのかはプレイしてのお楽しみだが、おそらく島根県に関しては人によっては腹筋にダメージが行くだろう。それなりにゲームに慣れ親しんでいる世代の方も、「なんか違うゲームの要素が入っていない!?」と困惑するかもしれない。それほど凄いというか……正直、島根県の方々が見たらどう思うのか気になってしまうぐらいに壮絶なステージになっている。要チェックである。
残る群馬県も「そういう応用があるのか……」となること請け合い。あと、何かが”耳に焼き付く”とだけ言っておく。

実在する都道府県をモデルにしているだけに、それぞれを象徴するネタが仕込まれているのも見所。奈良県なら天然記念物に襲撃されてドツかれるとか、秋田県なら”アレ”に斬撃やら刺突されるといった具合である。なんだかやたら物騒な紹介になってしまったが、いずれも”本作においては”事実なのだから仕方がない。気になるなら、ぜひ現地に足を運んでみてほしい。念のため、払羅太鼓のバチで迎え撃つ準備をしておくのだ。

ちなみに筆者は埼玉県民だが、そのステージに対する感想は「どうしてこうなった……」だった。おそらく、他の都道府県でも思わずそんな感じにボヤきたくなる場面があるので、地元がどんなことになっちゃっているのか気になる人はチェックしてみるといいだろう。

おそらく、一番そう言いたくなるのは島根県民の方々だと思われるが。あとは岐阜県民の方々も、色々衝撃的な光景が待っているので覚悟しておくといいかもしれない。

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ちなみにステージはアクションのみならず、場所によってはレース、シューティング、巨大ボス戦が展開される特殊タイプもある。これらもツッコミどころ満載かつハチャメチャ。

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とりわけ巨大ボス戦は、バケルが操縦する巨大ロボット「分福」も含めて「なにを見せられているんだ……」と困惑してしまうかもしれない。(敵対する巨大ボスにも注目)

実はアクションゲームとしては意外に骨太!?ボリュームも規格外の規模

また本作、アクションゲームとしてはビックリするほど骨太なことも見所である。

特に難易度は序盤における緩やかな地形、お祭り騒ぎに夢中で積極的な攻撃を仕掛けてこない敵たちを見て、「簡単なゲームなんだな」と解釈した人ほど、後々に強烈なしっぺ返しを喰らう。段々とアクションゲームとしての”ガチ”さが露わになってくるのだ。

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最初のボス「キンタロウ」との戦いを経験すれば、おそらくそんなゲームではないことを思い知らされるだろう。実際に戦ってみると分かるのだが、結構激しい攻撃を仕掛けてくる上、ダッジロールやガードといったアクションの活用が試されてくるのだ。

そしてそれ以降、アクションゲームとしての”ガチ”さが段階的に現れ始めるようになっていき、「変化」の形態がすべて揃う中盤辺りには序盤の時に感じられた雰囲気が消失。きちんと仕掛けや敵に対応し、時に「変化」や回避系のアクションも使って乗り越える戦術的かつ攻略性の高い展開が続いていくようになるのだ。さらに小さな足場を伝ってくる、ジャンプアクション全開な展開も増えていく。

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この一連の流れを体験すれば、大いに「このゲーム、ガチだ……」と思い知らされるだろう。カウンター攻撃とジャストガード(パリィ)の存在から察せるかもしれないが。戦闘から仕掛けだらけのアスレチック攻略まで、結構骨太でやり応え抜群なのだ。

さらに本作、ボリュームも大きい。参考程度に筆者が本編クリアまでに要した時間は10時間ほど。進め方によっては15時間ギリギリに達すると推定される程度に、ステージクリア型アクションゲームとしては比較的大きな規模となっている。

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なぜ、こんなに大きいのかと言えばステージごとのボリュームの大きさもひとつだが、終盤に”まさかの”展開が待っているからだ。例によって、それについては紹介できないが、おそらく「マジかよ……?!」と声が出てしまうかもしれない。また、前述のステージの話題とも関連するが、この一連の展開のハチャメチャっぷりも必見である。

逆に言えば、ひとつのステージをクリアするに当たっては割と根気が必要とされる。特に終盤には、クリアまでに15~20分近くを要するのが当たり前の所も出てくるので覚悟しておくといいかもしれない。なお、ステージ内にはチェックポイントが設けられているほか、残機とゲームオーバーの概念がないので、大きく巻き戻されてしまう心配はない。

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また、各ステージにはバケルの能力を強化・補助するアイテムを販売しているタヌキ「万屋(よろずや)ウリ子」がいて、これらを購入すれば難易度を引き下げることも可能だ。もし、辛いと感じたら積極的に活用することを強くおススメする。
とりわけ辛い・辛くないを問わず、体力がゼロになってもその場から再開できる「みがわりくん」は常に欠かさず所持しておけば、安心してステージ攻略に臨めるはずだ。

雰囲気に目が行ってしまうが、こんな具合に実はアクションゲームとしても結構本格的で、こと終盤に関してはアクションゲームに手慣れたプレイヤーですら唸ってしまう手ごわさになっている。それでいてボリュームも大きく、予想外の物量には驚くこと確実。そんな意表を突く特徴の数々もまた、本作の見所にしてプレイヤーに強烈な印象を残すものになっている。

『コロコロコミック』の少年漫画を思わせるストーリーと個性の強いキャラクターたちにも注目

他に見所として、小学館『月刊コロコロコミック』連載の少年漫画を思わせるノリで展開される「明るいストーリーに、ほんのちょっぴりシリアスな要素」も含んだ内容にまとめられている。

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ボイスもあり、バケルは『NARUTO』のうずまきナルト役で知られる竹内順子氏が演じている。

キャラクターもバケルと相棒の「すん」、そして「キンタロウ」に「ウラシマタロウ」、「モモタロウ」といったおとぎ話の英雄たち、そしてレースとシューティングステージで活躍する謎のからくり狛犬「まゆげ」など、個性的なメンツが揃っている。

特におとぎ話の英雄たち「御伽英雄(おとぎヒーロー)」のキャラクター付けは色んな意味で注目だ。収集要素の「うんちく」を教えてくれる「ウンチクさん」も、「なんたるコロコロコミック臭さ!」と笑ってしまうこと請け合いである。

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決して”アレ”ではないぞ!

ちなみに実際に本作は『月刊コロコロコミック』で、2023年9月号から漫画が連載中である。また、11月15日より発売中の2023年12月号には、漫画最新回とゲームの最新情報が掲載された別冊付録「スタートダッシュ秘伝の書」が付いているので、気になる方は要チェックだ。

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ただ、クリアまでプレイした感じでいうと、ストーリーにはちょっと賑わいが足りない部分も。とりわけ敵の親玉「オラクル祭太郎」はあまりにもアクが強い(”クセつよ”とも言う)割には出番が少なく、もう少し出しゃばらせても良かったように思ってしまった。彼が率いるお祭り軍団にも幹部クラスのキャラクターがおらず、バケルが彼らとドタバタな掛け合いを繰り広げる展開があるとさらに良かったなと思う。近しい存在は味方側にいるが。

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ゲーム部分にもカメラワークの関係で、狭い隙間にある穴が確認できずそのまま落下してしまったり、正規ルートではない方向を指して結果的に寄り道が生じて攻略時間が伸びてしまうといった気になる部分が散見された。
また、各ステージには「おみやげ」「うんちく」などを探して見つけ出す収集要素があるのだが、この大半が見落としやすい所に隠されていて、妙に難易度が高い。

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本作を開発したグッド・フィールの手掛けたアクションゲームでは、この手の要素が手ごわくされがちで、筆者も同社の過去作『ワリオランド シェイク』『ヨッシーウールワールド』などでそれを思い知らされた。本作でもそれは健在であると同時に、3Dになったことでさらに難しくなっているので、人によっては賛否が分かれるかもしれない。

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それ以外ではシューティングステージがリバース操作に非対応、邪気提灯破壊のたびにバリアにヒビが入るデモが挿入されてゲームが止まる、ボス(主にバケル当人が戦う相手)撃破時の演出がいささか地味なところが気になった。
特にシューティングステージの件はリバース操作が染み付いている人間として、アップデートによる追加を強く望みたい。(なお、カメラのリバース操作には対応している)

新世代型コミカル和風アクション誕生!この主人公と相棒2人の冒険をもっと見たい!

最後にやや多めに気になったところを挙げたのは、本作がシリーズ化して、今後も続きつつ発展していってほしい願いを込めている。
詳しくは言えないが、実際にそれを想定していると思しき要素が最終局面にあって、今後のバケルとすんの活躍に期待したくなってしまったのだ。

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きっとそれは、本作をエンディングまでやり通したプレイヤーであれば自然と願いたくなってしまうはずである。「この2人の冒険、まだまだ見たいぞ!」と。他にもオラクル祭太郎みたいなアクの強すぎる悪役が再び出てきて欲しい、というのもある。

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筆者としてはここまで全編、本気で作り込まれ、なおかつボリュームと歯応えも抜群というコミカル和風アクションの新作を遊べたことが嬉しくて仕方がなかった。特にボリュームの大きさと歯応えにはいい意味で意表を突かれた気分だ。

太鼓のバチを使った攻撃アクションを始め、ゲームシステムの独自性も非常に高く、何より操作性の良さも相まって動かしているだけでも楽しい。一通り終えた今はこの1作限りにしないで欲しいとの思いが一層強くなっている。

ここしばらく、闇の雰囲気が漂い気味だった和風のアクションゲームに徹底した明るさとコミカルならではのハチャメチャさを投じた本作。かつて、このようなアクションゲームを楽しんだ世代の方々はもちろんのこと、2Dと3Dを問わないアクションゲーム好きならぜひとも遊んでいただきたい正真正銘の力作だ。

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最初から最後までとことん明るくて楽しい(加えてハチャメチャな)、新世代型コミカル和風アクションゲームがここにある!さあ、なんだかとってもヘンテコなことになっちゃっている47都道府県を巡る大冒険活劇に出よう! 

ライター
新旧構わず、色々ゲームに手を伸ばしては積み上げるひよっこライター。アクションゲーム(特に『メトロイド』、『ロックマン』)とストラテジーが大好物。フリーゲーム、VRゲームの動向もひっそり追いかけ続けている。
Twitter:@shelloop

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