バンダイナムコエンターテインメントは、3月5日に『アイドルマスター』シリーズとしてスマートフォン向けゲーム『学園アイドルマスター』を発表した。本作は今春リリース予定で、本日よりApp StoreとGoogle Playで事前登録も開始される。
『アイドルマスター』シリーズは、プレイヤーが芸能プロダクションのプロデューサーという立場になり、アイドルを育成していくゲームだ。個性豊かなアイドルたちや楽曲の良さから多くのファンを惹きつけているコンテンツである。
シリーズ自体は、2005年7月からアミューズメント施設向けゲームからスタートしている。その後、家庭用ゲーム機やスマートフォン向けゲームなどに加えて、ライブイベントやテレビアニメ、ラジオなど幅広い展開を行っている。今年の7月26日には19周年を迎えるが、その新たなブランドとして加わることになるのが今回発表された『学園アイドルマスター』だ。
取材・文/高島おしゃむ
『アイマス』シリーズ初の学園ものにした狙いはわかりやすさと成長を描くこと
『学園アイドルマスター』(以下、学マス)というタイトルは、学園を舞台にしたアイドルマスターのスマートフォン向けのアプリゲームだ。シリーズとしてはじめて学園を舞台にした『アイドルマスター』ということから、ド直球なタイトルが付けられている。若干安直なタイトルと思われるかもしれないが、それには理由がある。
本作のプロデューサーである小美野日出文氏によると、これまで『アイドルマスター』に触れてこなかった人にも遊んでもらえるように、とにかく覚えやすいタイトルが良いというところからこのようなネーミングが付けられているのだという。
ゲームのジャンルは、「アイドル育成シミュレーションゲーム」だ。ただし、これはこれまでにあったようなものとは少し異なる。本作では、ボーカル、ダンス、ビジュアルといったおなじみの評価ポイントを上げていくことで、実際に歌やダンス、表現力が上がっていくようになっている。それがライブシーンの中で変化していくのだ。
初めて学園を舞台にした理由はふたつある。ひとつ目が「わかりやすさ」だ。もうひとつが「成長を描くこと」である。わかりやすさという面では、学校という舞台は誰もが通ったことがあり親近感が湧く場所でもある。学生時代の様々な悩みや葛藤、成長を感じる時代でもあるのだ。
今回ゲーム内に登場するキャラクターたちも、学生とアイドルとしてそれぞれの悩みを抱えている。そんな彼女たちに手を差しのべるプロデューサーのプレイヤーが共感しやすい舞台として、学校が選ばれているのである。
成長を描きたいという部分に関しては、本作では9人のアイドルが登場する。この人数に絞られているのは、ひとりひとりの成長をしっかりと描いていくためだ。プレイヤーはこの中からひとりのアイドルを選んでプロデュースしていくことになる。
登場するアイドルたちは、いずれも未熟な卵の状態だ。まだまだプロというにはほど遠い状態からのスタートとなる。彼女たちの成長を描く舞台としても、学校は合っているのだ。この『学マス』では、アイドルとしての成長だけではなく人としての成長も描かれていく。自身の過去の体験などを重ね合わせながら、感情移入できるような場面も出てきそうだ。
ゲームの舞台となるのは、「私立初星学園」である。ここはプロデューサー科とアイドル科、一般科からなる国内最大規模のアイドル養成学校となっている。プロデューサーであるプレイヤーは、プロデューサー科に入学してアイドル科の生徒の中からひとりを選んでプロデュースをしていくことになるのだ。
ちなみにプロデューサー科は専門大学のようなもので、アイドル科は高等部と分かれている。そのため、アイドルたちよりは少しだけ年上という設定だ。
『学マス』のブランドのモチーフには、ハチドリが採用されている。ブランドロゴではこの2羽のハチドリが、星の形を描いているようなものになっており、二人三脚でトップアイドルを目指すという意味が込められている。
キャラクターの演技は試行錯誤しながら作りあげていった
ゲーム内に登場する9人のアイドルのうち、3名の情報も明らかになった。飯田ヒカルさん演じる「藤田ことね」は、「稼げるアイドル」を目指すムードメーカー的なキャラクターだ。中等部から初星学園に通っており、落ちこぼれで自身がなく、とある事情でお金にがめつい性格の持ち主である。普段は猫を被っており、コロコロ変わる表情と面倒見のいい性格が魅力だ。
小鹿なおさん演じる「月村手鞠」は、クールでストイック。そして、歌がとても得意なアイドルだ。藤田ことねと同じく中等部からの進学組で、中等部の頃はナンバーワンアイドルと呼ばれていたほどの実力の持ち主である。一見すると人を寄せ付けない雰囲気を醸し出しているが、内面は甘えん坊というギャップが魅力となっている。
長月あおいさんが演じる「花海咲季」は、入学試験主席の新入生だ。とにかく勝ち気で負けず嫌いのアイドルで、自分でも自慢しているとおり運動神経も良く頭もいい。そして、容姿端麗な天才肌の持ち主でもある。それでもなお勝利にこだわり努力し続けるストイックな一面も持っている。共に学園に入学した妹のことを大切にしており、妹の前ではカッコイイお姉ちゃんとして振る舞っている。
キャスト陣のオーディションがスタートしたのは、2021年とかなり前だ。ゲームは1本作るにもかなり時間が掛かるということもあるのだが、歌の収録を行ったのもかなり昔の出来事となっている。花海咲季役の長月あおいさんがオーディションに受かったときには、すでに楽曲ができあがっている状態だった。その曲を収録するときはトップバッターだったこともあり、試行錯誤しながら一緒に作ってきた思いが強いという。
月村手鞠役の小鹿なおさんは、全身全霊焦燥感というキャラクターであったため、レコーディングの時は感情を込めて一生懸命歌うということを大事にしながら収録に挑んでいる。花海咲季役の長月あおいさんも、オーディション合格直後に自分のソロ曲を聴かせてもらったという。演じるのは天才肌のキャラクターだが、その楽曲が難しく長月さん自身のスキルが追いついていなかったため大変だったそうだ。
『学マス』の特徴的なところが、キャラクターたちが成長していくところだ。そのためライブシーンもどんどん上手になっていくのだが、そのため同じ楽曲を別バージョンで収録するということも行われている。藤田さんはこうした経験は初めてで、あえてまだ成長していないところを収録するのは難しかったという。
セリフの収録について、小鹿さんは時間をかけて丁寧に行ったと当時を振り返る。そのキャラクターを作りあげていくところから始めて、ストーリーを収録していく中でも納得いくまで収録したため、気合いがこもったものになっているという。
3Dキャラクターは6万ポリゴンのクオリティで作成!
『学マス』に登場するライブシーンでは、歌って踊っているのはひとりのキャラクターのみで、バックダンサーも登場しない。実はこれは理由があるのだ。通常は、5~6人のアイドルが登場してグループで歌唱するようなシーンが多いのだが、本作ではそうしたリソースをすべてひとりのアイドルを描くことに集約しているのである。
ハイスペックな映像を見て、端末のスペックが気になる人もいるかもしれないが、基本的に一般的な水準のものなら問題なく遊ぶことができる。
ちなみに3Dモデルは、ひとりに集約したことで6万ポリゴンを実現している。こちらでアイドルひとりを徹底的に描いているのだ。たとえば藤田ことねの衣装は、虹色に光っているような素材感にこだわって作られている。また、三つ編みの揺れや髪の毛1本1本が細かく枝分かれしているような作りになっているのだ。
月村手鞠はウルフカットが特徴的だが、正面から見たときと側面から見たときのシルエットをどのように両立していくかというところに苦心したそうだ。毛先の感じもポリゴン数が多いことで実現できたものである。花海咲季も髪の量が多く、こうしたモデルを3Dで作るとヘルメットっぽくなってしまう場合がある。そのため、なんと髪の毛だけで2万ポリゴン以上を割いている。それにより、固くならず髪の柔らかい表現を実現しているのだ。
ライブシーンで歌って踊るのがひとりということは、ゲーム中に流れる曲はすべてソロ曲ということになる。そのための楽曲も多数制作されている。こちらも、アイドルひとりを育ていくという部分にこだわったポイントだ。こうしたライブシーンは、そう簡単には見られない。アイドルと共にプロデュースしていく過程を経て、始めて素晴らしいライブシーンが見られるような作りになっているのだ。
先ほど舞台として学園を選んだ理由に成長を描きたいからという話があったが、それを描くためにダンスやビジュアルといったパラメーターを上げていくことで最終的に素晴らしいライブシーンが実現できるのだ。ちなみに、アイドルの成長は大きく分けて6段階ほどに分かれている。それがレッスンを通じて少しずつ上がっていくようなイメージである。
こうしたアイドルを育成していくタイプのゲームは、1週終わるとまだ始めからになる場合が多い。しかし、この『学マス』では初めましてからスタートするのではなく、積み重なっていくような作りになっている。その都度アイドルをプロデュースしていく度に、繋がっていくようなイメージだ。さらなるゲームシステムについての詳細は、後日発表されていく予定である。
強力なクリエイター陣が参加! 公式SNSやキャンペーンもスタート
この『学マス』には、それを支える強力なクリエイター陣も参加している。まずはシナリオチームから。こちらには、『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』や『エロマンガ先生』の原作者として知られる伏見つかさ氏に加えて、志瑞祐氏と雨宮和希氏の3名が参加している。今回発表された3名のキャラクターは、伏見氏が設定を考えたものである。
キャラクター原案は南野あき氏、へちま氏が参加。コンポーザーには、音楽プロデューサーも兼ねるバンダイナムコスタジオの佐藤貴文氏を含め、多数のアーティストが参加している。レーベルはAOBINOTESだ。こちらは、バンダイナムコエンターテインメントが、音で遊ぶことを事業として設立した音楽レーベルである。
3月5日の19時より、公式サイトと事前登録サイトがオープン。また、公式Discordも開設される。こちらは、同級生プロデューサーとの名刺交換や、お互いのプロデュースをサポートしながら交流できる場所にしていく予定である。
公式のXアカウントでは、3月6日より4コママンガが公開される予定だ。同じく3月6日より、『学マス』公式アカウントのフォロー&リポストキャンペーンも開催される予定となっている。こちらは、抽選で10名に『初星学園願書』セットがプレゼントされる。
「初星学園HR」という生配信が3月13日より毎週水曜日に配信が開始され、その中で今回発表された3名以外のアイドルに関しても情報が公開されていく予定だ。今後実施される配信では、各アイドルの紹介映像に加えて、キャストや制作スタッフによるこぼれ話なども紹介されていく予定となっている。
3月16日と17日の11時から18時まで、『初星学園願書』配布キャンペーンが開催される予定だ。こちらは東京・秋葉原の秋葉原UDX下サポニウス広場で配布が行われる。さらなる詳細については、学マス公式Xとアイドルマスターポータルで発表される。
さらに、アニメイトで『学マス』の応援施策も実施される。アニメイト池袋本店では、3月6日より3月いっぱいまで広告が見られる。全国アニメイト店舗内にも、『初星学園願書』が設置される。こちらは3種類用意されており、3月9日ごろから展開される予定だ。今後第2弾と第3弾の配布も予定されているので、合わせてチェックしておこう。
ゲームの事前登録は、3月5日の19時から開始される予定だ。こちらは、App StoreとGoogle Playで「学マス」と検索することでアクセスすることができる。配信の予定を見ると、リリースもそう遠くない時期になりそうなので、まずは事前登録を済ませて楽しみに続報を待とう!