3月30日は『信長の野望』第1作目が発売された日だ。
『信長の野望』は1983年3月30日に、光栄マイコンシステム(現・コーエーテクモゲームス)より発売された。PC-8001、PC-8801、FM-7、MZ-1500など、当時流通していたパソコンで幅広くリリースされた本作は、尾張の大名・織田信長となって他の戦国大名たちを打ち負かし、天下統一を目指す歴史シミュレーションゲームだ。
その後にシリーズ化された『信長の野望』は、1985年に第1作が発売された『三國志』と並んでコーエーテクモを代表するシリーズとなり、日本の歴史シミュレーションゲームの中でも今なお圧倒的な知名度と人気を誇っている。
ちなみにシリーズ30周年にあたる2013年に、3月30日は「信長の野望の日」として日本記念日協会により正式に認定されている。
1980年代前半はパソコンゲームの黎明期……というよりパーソナルコンピュータの黎明期であり、パソコンゲームの商業販売もようやく始まったばかりの時代だ。そんななかで当時の光栄は、1981年の『川中島の合戦』に続いて、約2年後の1983年に『信長の野望』を作り上げた。戦国時代という日本ならではの題材を扱った本格的な歴史シミュレーションゲームが登場したことは、当時のマイコンユーザーたちに驚きを持って迎えられた。
『信長の野望』はシリーズの当初から、合戦だけでなく領国の統治・経営といった内政にもポイントが置かれているのが特徴だ。水田を開墾して米の収穫量を増やすことは収入の増加につながるが、一方で施しなどを行って民や兵士の忠誠度を高めることも重要となる。
合戦が始まると六角形のヘックスに区切られたミニマップに移行。合戦でもただ兵士の数や強さだけで勝敗が決まるわけではなく、戦いを続けるためには兵糧の米も必要になるといった要素が、第1作目の段階からすでに導入されている。
『信長の野望』は当時のパソコンゲームとしては大ヒット作となり、シリーズ化されてタイトルを重ねるごとにゲームシステムが進化を遂げている。
第1作目の『信長の野望』では、尾張を中心とした中部・近畿地方など17カ国が舞台となっていた。それに対して、シリーズ第2作目となる1985年発売の『信長の野望・全国版』では北海道から九州まで日本全国が舞台となり、各地の戦国大名となって全国統一を目指してプレイできるようになった。また、信長をはじめとする戦国武将たちの顔グラフィックが表示されるようになったのも、この『全国版』からである。
シリーズ第5作目となる1992年発売の『信長の野望・覇王伝』では、それまでの国単位での攻防に代わって城単位での攻防となり、城の規模や位置関係が戦略に大きく影響するようになった。ゲームに追加要素を導入する『パワーアップキット』が登場したのも、この『覇王伝』からだ。
シリーズ第7作目となる1997年発売の『信長の野望・将星録』では、日本全国が1枚のマップとして表現されて、内政と合戦が同一のメインマップ上で繰り広げられるようになった。さらに、内政によって開墾や町造りを行うとマップ上に水田や村落が建設される「箱庭内政」システムが初めて採用された。
シリーズ第12作目となる2005年発売の『信長の野望・革新』では、日本全国が1枚の3Dマップで表現されて、すべての国の合戦と内政がシームレスな1枚のマップの上でリアルタイムに進行する。また「技術革新」によって勢力の技術を独自に発展させていくことで、武将の能力に依らない勢力としての個性も生まれるようになった。
2024年現在のメインシリーズ最新作が、2022年発売の第16作目『信長の野望・新生』だ。『新生』では家臣の武将が自らの思考で行動するようになっており、敵から勝ち取った土地を家臣に「知行地」として与えると、家臣は自らその地を発展させていく。また合戦においても、家臣の武将はさまざまな思惑で自ら行動を起こしていく。
『信長の野望』はメインとなる歴史シミュレーションゲーム以外にも、オンラインゲームの『信長の野望 Online』『信長の野望 覇道』、位置情報ゲームの『信長の野望 出陣』、さらに『のぶニャがの野望』『ポケモン+(プラス)ノブナガの野望』『信長の野望 20XX』といった個性的なタイトルなど、PCだけでなくコンシューマやスマートフォンも含めて、これまでにさまざまなタイトルが展開されてきた。
歴史シミュレーションゲーム『信長の野望』のシリーズは2024年現在、歴代16作品のPC版がSteamで購入できる。シリーズの原点となる第1作目も、もちろんプレイ可能だ。さらに今後、シリーズがどのような進化を遂げていくのか、大いに期待したい。