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ふわふわのウサギだけど、中身はシブい中年(CV: 黒田 崇矢)。虚淵玄氏が手がける『ラスティ・ラビット』は、人類が滅びた世界でウサギが愚痴りながら遺跡を探索する、クセ強めの横スクアクションだった

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このゲームの主人公(あるいは主兎公)、あまりにもふわふわしすぎている。

「ハードボイルドな世界観」なんていう記事タイトルが、詐欺なんじゃないかと一瞬不安になるくらいにもふもふ。ふわもふだ。

実はこのウサギ、「おじさん」なんです。このふわっふわの後ろ姿で。

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先日開催された本作『Rusty Rabbit(以下、ラスティ・ラビット)』のメディア向け体験会では、ついにこの主人公・スタンプの声優なども明らかになったわけですが……。

なんとスタンプを演じるのは『龍が如く』シリーズの桐生一馬役などで知られる黒田崇矢氏

えっ、まさかのオジ様系!?

 

ニトロプラスの虚淵玄氏が原案・脚本を手がけるとあって、2023年発表当時にも大きな盛り上がりを見せたNetEase Gamesの新作タイトル『Rusty Rabbit』。本記事では体験会で明らかになった情報や体験会の様子をプレイレポートの形でお届けします。

また、記事後半では虚淵氏と開発プロデューサー齊藤祐一郎氏へのグループインタビューも掲載。ぜひ、あわせてご覧ください。

文・取材/Squ


主人公の目的は「遺跡を掘り進めながら物別れした娘の手がかりを探す」とかなりシビア。しかもポストアポカリプス

一見するとかわいらしいビジュアルの本作。ですが、そんなビジュアルとは裏腹に主人公・スタンプの目的は「遺跡を掘り進めながら物別れした娘の手がかりを探す」というかなりシビアなものとなっています。

こんなにモフモフでかわいいのに……!

スタンプたちが掘り進める遺跡「エントツ山」は、人間が“かつて”つくり出した軌道エレベーターです。つまり、今作の舞台となるのは人間が去ったポストアポカリプスの世界。人間がいなくなった世界で奮闘するウサギさんの物語かと思いきや……。

実はこの世界、人間について探るのはタブー。スタンプはタブーを侵す、めっちゃアウトローなうさぎなんです。

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▲スタンプがお宝を探している遺跡の1ステージ。階層ごとにテーマが存在しており、行く先々で異なった顔を見せてくれる

なお、このエントツ山を探索しているのはスタンプだけではない様子。彼にくわえて6匹のウサギ、その名も「BB団」が登場します。しかも、彼らの声はファイルーズあいさんやくじらさんといった、豪華声優陣が担当。イキイキとした個性豊かな姿に命を吹き込んでいます。本作に出演する声優陣は以下のとおり。

スタンプ (CV:黒田 崇矢)
アナ (CV:ファイルーズ あい)
ネザーランド (CV:速水 奨)
ボーリッシュ (CV:小林 ゆう)
フレミッシュ (CV:森久保 祥太郎)
ソマリ (CV:くじら)
レッキス (CV:鬼頭 明里)
ジェド(CV: 杉田 智和)
アメリア(CV: 徳井 青空)
ルーカス(CV: 安元 洋貴)
イライザ(CV: 潘 めぐみ)
バウアー(CV: 堀内 賢雄)

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ゲームプレイの中心となるのは遺跡探索。今回の体験会ではプレイ中に複数回、BB団との遭遇イベントが発生、探索中に発生するイベントも多いのも本作の魅力です。難しすぎない絶妙な難易度に感じたので、彼らに遭遇する探索中のイベントを楽しみにしながらのんびり遊ぶといったプレイングでも楽しめそうです。

主人公の「愚痴」を聞きながらプレイを進める新鮮な体験

BB団に所属する彼らもかな〜りキャラ濃いめなのですが、もちろんスタンプも負けてはいません。ゲームをプレイしている間中、左下のスタンプアイコンがめちゃくちゃ喋るんです。ひとりで探索することの多いサイドスクロールタイプのゲームで、ここまで主人公が喋ることはあまりない気がします。

しかも、スタンプのこの語り口はどうも独り言には聞こえないんですよね。まるで、こちらに語りかけているような……、そんな感じの喋り方をするんです。プレイヤーは常に、スタンプと一緒に探索しているような気持ちでプレイを進めることになります。

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▲ボス戦の様子。どうも独り言には聞こえない。喋りかけてくるし、割とヒントをくれる。

しかもこの主人公、めっちゃ口が悪い!(らしい)。スタンプが口癖のように使う「マクレガー」という表現。ウサギの世界ではめちゃくちゃ汚い言葉らしいのですが、どこかで聞いたことあるような……。

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▲なんかどっかで見た気がするけど気のせいかもしれない。

「ウサギに対してヒドイことをするヤツ」といった意味合いになるようなのですが……。偶然の一致でしょう。たぶん。

ブロックを壊して進むのが超気持ちいい。ドリルで道を切り拓いて遺跡の奥へ

本作の探索モードは敵を倒してガシガシ進む……というよりも、「ブロックを壊して道を切り開き、お宝を探す」といった方向のものとなっています。そのためフィールド上には破壊可能なブロックが数多く配置されており、これを壊すのが超気持ちいい!

今回の試遊では、フィールド中のブロックをひたすら壊しまくっている時間もありました。それほどまでにブロックを掘るのは楽しい、一生掘っていられそうです。頭ではもうちょっと進めないと……と思いつつ、ダンジョン探索そっちのけでブロックを掘り続けてしまいました。

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ブロックを壊すと経験値が入るシステムとなっているので、壊して気持ちよくなってるといつの間にかレベルアップしているのも嬉しい。

さらに、壊している最中に「ガラクタ」と呼ばれるアイテムが手に入ることもあります。これは遺跡を効率よく進めるための武器をクラフトしたり、スタンプの乗るマシン「ポンコツ」をカスタムするためのものです。

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ちなみに、敵の数は少ないもののブロック用ドリルで倒すのには少し苦労する程度に硬め。敵には敵用の、ブロックにはブロック用とそれぞれ得意な装備が分かれているので、上手く使い分けましょう。

本作の探索は、ブロックを掘り進める気持ちよさと、敵と戦うエキサイティングさの組み合わせによってどんどん前に進みたくなるものになっているのかもしれません。

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▲ナタは敵への攻撃やツタや草には有効だが、ブロックを壊すのには向いていない

初期のコンセプトは「めんどくさいおじいちゃんの仕事に、愚痴を聞きながら付き合うゲーム」。虚淵玄氏、開発プロデューサー・齊藤祐一郎氏インタビュー

──『ラスティ・ラビット』というタイトルは、どのような意味を込めて命名されましたか?

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虚淵玄氏(以下、虚淵氏)
ラスティといえば金属とかの「サビ」という意味合いすが、もともとはいくつか案が出ていたんです。ただ、あまりひねったものにする必要もないと考えていたので、一番シンプルだった『ラスティ・ラビット』。「サビうさぎ」というタイトルになりました。

もともと「ラスティ・スタンプ」を主人公の名前として使おうと思っていたことも、このタイトル名になった大きな理由だと思います。

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──本作の世界観は「人間が去った後、ウサギが支配している未来の地球」というお話だったと思うのですが、ウサギにしようと思ったきっかけがどういったものだったのでしょうか?

虚淵氏
けっこう昔の話にはなるのですが、造形師のmightyさんという方がいらっしゃって、スチームパンク風のロボットとシルバニアファミリーをかけ合わせたような作品を発表されてたんです。それを個人的に気に入っていまして、「その世界観でゲームを作ってみたい」というのがスタート地点です。

そこから同人的にUnity(ゲームエンジン)を弄って作っていたものを、NetEaseさんに見せたところで「ブラッシュアップして製品化しませんか?」とお誘いいただいたんです。

原点の部分をリスペクトしたいという気持ちが強かったので、主人公はウサギのキャラクターになりました。mightyさんの作品、待ち受けにするくらい気に入ってるんですよ。

──虚淵さんがお作りになっていたデモというのは、どのようなものだったのでしょうか?

齊藤祐一郎氏(以下、齊藤氏)
我々が見せていただいた時点で、ベースの部分は今と大きく変わらないものでした。すでに基盤となるイベントが組まれている状態であったので「NetEaseとタッグを組んでやってみませんか?」という風にお声をかけさせていただいた形になります。

虚淵氏
遊び半分で作っていたものだったので、フリー素材モリモリのサイドスクロール!みたいな感じでした。

齊藤氏
いろいろな意味で、表には出せなかったですね(笑)

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──モノローグかと思いきやガッツリ口が動いていたり、探索中に急に独り言とは思えないようなことを言い出したり。こちらに語りかけてくるようなスタンプの喋りが印象的だったのですが、なにか意識されているものなのでしょうか。

虚淵氏
初期段階だと「おじいちゃんの一人仕事に、愚痴を聞きながら付き合う」というストーリーラインだったので、プレイヤーに対して話しかけてくるというのをギミックとして用意していたんです。

それこそ、遊んでいる最中に余計な与太話がはじまったり。めんどくさいおじいちゃんの話し相手になるっていうコンセプトでした。

──その名残としてスタンプの「語りかけ」が残っているわけですね

齊藤氏
虚淵さんの主戦場がテキストベースという部分と、画面の外の我々に話しかけてくるというコンセプトがすごく魅力的だったんですね。

2.5Dのサイドスクロールのアクションゲームとしてみると合わないように感じるかもしれません。ですが、本作の魅力のひとつにキャラクター性という部分がありますので、僕らなりの“あえて”の挑戦として、アドベンチャーパートを用意している次第です。

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──スタンプというキャラクターがかなり強烈な作品だと思うのですが、印象的なセリフや決めゼリフみたいなものがあれば教えて下さい。

虚淵氏
基本的に愚痴っぽい老人の相手をしながらスカベンジングをしていくコンセプトがあったので、とにかく言葉数が多いんですよね。くわえて、一度家族関係が破綻してしまっているという側面もあるので、過去に関する愚痴であったり若者に対する妬みみたいな部分がチマチマでてくるおじいちゃんなんですよ。

なので、ウサギたちの宗教感ではタブーとされている「マクレガー」という悪態を容赦なくついたりしちゃうんですけど、本人は本人なりに信心深いみたいなところはあります。

──今回ウサギたちの声を担当されるキャストも発表されました。キャスティングの裏話や感想などを教えてください。

齊藤氏
今回虚淵さんから提案された世界観である「見た目はキュートだけど、ハードボイルドな世界」という部分が根底にあったので、どのようにしてキャラクター以外の部分でユーザーさんの予想を裏切れるかがキモだと感じていました。

ただ、本作の本質的な部分を考えたときに、見た目ではなく中身やキャラクター性を重要視したかったんですね。そこから、中年世代でハードボイルドなキャラをハマって演じられるのは黒田さんしかいないなと思い、オファーさせていただきました。

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──主人公から広げていったんですね。

齊藤氏
そうなんです。主人公格の声優さんを決めてから、どんな声優さんとの絡みが面白いかとか、このセリフやシチュエーションはこの声優さんが合いそうだなとか、メタ的な部分も含めつつ考えていきました。

虚淵氏
結構方向性は悩みましたよね。女性声優さんに荒くれたオッサンを演じてもらってもいいし、かわいいキャラを渋い声で喋らせてもいいし。今回は結局後者を選んだわけですけど、いい感じでしたよね(笑)

齊藤氏
本当にもう、収録でひと笑い。実装してみてから、もうひと笑いみたいな感じでした。

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▲くじらさん演じるソマリ

──人間で言うと、年齢的には高めなんでしょうか?

虚淵氏
イメージ的には50半ばくらいの、自分の人生に対して達観しているような世代を意識しています。なので、僕らの世代からすると中年ですけど、10代からするとおじいちゃんになってしまうかもしれません。

── 一般的なサイドビューのアクションゲームは、謎やギミックが多いような印象を受けます。本作はどのようなスタンスで制作されているのでしょうか?

齊藤氏
本作では、謎を解いたりアクションをガッツリというよりかは、世界観やお話の部分にフォーカスしています。

ゲームの本質部分として、がんこ親父がガラクタを探してマップを探索するという部分が強いので、敵をたくさん倒したりといった部分がスタートラインではなかったんです。なのでガッツリ謎を解くみたいな部分ではなく、その面白さをストーリーや世界の広がりという部分に吸収させて、開発を進めています。

──装備の切り替えなども探索を面白くする要素だと感じたのですが、今回体験できた以外に面白い装備などありましたら教えてください。

齊藤氏
装備に関しては、採掘用のドリル・ハンマー、そして攻撃用のナタ・ショットガンという風に4種類で固定となっています。

ただ、それぞれアップグレードのような概念があったり、ナタで本来壊せないブロックを壊せるようにするスキルみたいな部分も用意しています。なので、同じ武器でもスキルやパラメータに注目して使い分けていただいたりといった部分が面白さとなるのかなと思います。

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虚淵氏
ご覧の通りギャグゲーなので、バカバカしいような装備も出てきたりします。ただ切断・射撃・打撃・掘削の4パターンには絞られてくるので、それ以外の部分で使い分けを楽しんでほしいですね。

──先ほど「ギャグゲー」とおっしゃっていましたが、物語としてはシリアスよりかは楽しめる内容に進んでいくのでしょうか。

虚淵氏
そうですね……、メインストーリーはほどほどシリアスな、しんみりするような人情ばなしを意識しています。

ただ、人情ばなしとはいえウサギなので、シリアスであっても笑っちゃうような部分は多いかと思います。

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──最後に、本作を楽しみにしているユーザーさんに向けて一言お願いいたします。

虚淵氏
テキストアドベンチャーゲームは多く関わってきましたが、コントローラーでガッツリ遊ぶゲームに携わるのは今回が初めてです。

ジャンルとして憧れではあった反面、遊び半分で自分で作る程度で終わってしまうと思っていました。しかし、憧れていたジャンルのゲームをNetEaseさんのお力添えでリリースできるということで、本当に嬉しく思っています。

ぜひ、虚淵玄の新境地と思って楽しんでいただければと思います。よろしくお願いいたします。

齊藤氏
2.5Dのサイドスクロールタイプのアクションゲームということで、絵面的には皆さん見たことがあると思います。

ただ今回は、鬼才・虚淵玄と我々NetEaseがタッグを組んで、このジャンルにおける新たなチャレンジという部分をしっかり実施しています。

今回の体験会でも、「このゲームちょっと違うな」と感じられる部分があったと思うのですが、現在ユーザーさんにガッツリ遊んでいただけるような作品にすべく、ギリギリまで調整を続けています。引き続きよろしくお願いいたします。

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まだまだ詳細が明らかにならない、スタンプの過去も気になる『ラスティ・ラビット』。シブいウサギや人間の滅びた世界、遺跡などの魅力的なピースと、ドリルを使ったアクションと濃密なストーリーの組み合わせに期待が高まります。

おっさんウサギと遺跡を探索するNetEaseの新作アクションゲーム、『Rusty Rabbit』はPC(Steam)、PS5向けに2024年9月24日発売予定。価格は4510円(税込)。本作は発売に向け、新しい情報の公開が徐々に行われていくとのこと。筆者をふくめ、本作が気になる方は公式Xなどをフォローのうえ、新情報を忘れずにチェックしましょう。

ライター
最近ゲーム業界にサメ映画ブームが来ている気が・・・え? 『スター・ウォーズ』のゲームが出すぎて手が回らない毎日。1日36時間欲しい。

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