ボカロ「ミリしら」の元バンドマンが『初音ミク Project DIVA Future Tone DX』で最高のアルバムに出会った件
さて、めでたく『龍が如く』怖いかも……といった気持ちが克服できたところで、次に選んだのは『初音ミク Project DIVA Future Tone DX』(セール価格は31%オフの2960円)、ボーカロイドの有名曲が238曲も詰まった、「初音ミク」の音ゲー「Project DIVA」シリーズの決定版的な作品とのことです。
そして『龍が如く』に続き、筆者はボカロもほとんど「ミリしら」。若かりしころバンド活動をしていたこともあってそれなりに音楽好きな自負はあるのですが、音楽って一度ハマってしまったら底なしということがわかっているだけに、自分が普段聞かないジャンルの場合は「どこから取りかかったらいいんだろう」とおっくうになってしまうんですよね。
「初音ミク」という共通の土台があった上で、いろいろな方が思い思いに創作しているジャンルだと、なおさら入るきっかけに出会えず、今まで触れずにきていました。
今回はそれを解消すべく、ゲームを通して「初音ミク」に入門したのですが……結論から言うと、お気に入りのボカロPが見つかって、その方のアルバムをヘビロテしながらこの原稿を書いています。
手始めにシステム部分を紹介しておくと、基本的な4種類のノーツに、ホールド押しやスライド操作などが存在するのはオーソドックスな音ゲーといった感じ。特徴的なのは、画面の四方八方からノーツが移動してくる点です。チュートリアルでは普通に上から降ってきていたので最初は面喰らいましたが、慣れるとなかなか華やかなプレイ感です。
また、設定でオフにもできるのですが、デフォルトでは「ノーツをきちんと押せないと、その部分の歌唱が途切れる」という仕様になっており、「ミクさんをちゃんと歌わせてあげなくては……」という妙な緊張感があります。
ゲーム中、多くの楽曲ではそれぞれの曲に合わせたPV風の映像のなかで、3Dモデルのボーカロイドたちがさまざまな姿を見せてくれるのですが、このゲーム、コスチュームが尋常じゃないくらい多いです。その数なんと396着。カスタマイズパーツも、色違いのバリエーションが含まれているとはいえ「クセ毛」だけで50種類くらいあります。
それぞれの曲がミクさんたちの立つ舞台だと考えれば、これはもう着せ替えゲーを名乗ってしまってもいいんじゃないかという充実ぶりです。コスチュームの中には「さっぽろ雪まつり」でおなじみの「雪ミク」など、実際のモチーフが存在するものもあり、気に入った衣装から「これには何か元ネタがあるのかな?」と調べていくのも面白そうです。
実際にゲームを起動してはじめに触ってみたのは、筆者でもさすがにタイトルくらいは知っている曲たち。まずはこれらを通じて初音ミクの世界を味見してみました。「ワールドイズマイン」ってこんな曲だったんだ、とか、「メルト」はサビだけわかる、とか、「千本桜」はさすがに通しで聞いたことあるぞ、といった感じです。
これらの曲を遊んでみて思ったのは、月並みですが、初音ミクさんが歌っているからこその良さがあるな、というところです。「初音ミク」という存在のキャラクター的な魅力とか、女性ボーカルの曲が作れるDTMツールとしての良さとか、ボーカロイドがこれほどの市民権を得るに至った経緯に関して「ミリしら」なりにいろいろ想像してみたのですが、ミクさんの少しサッパリした、キュートだけど刹那的な歌声が曲の雰囲気を膨らませているなと思いました。
「千本桜」なんかは特に、人間だったらすごく情感を込めて歌いたくなりそうな曲だと思うのですが、ボーカロイドが内包せざるを得ない一種の無機質さみたいなものがかえって魅力的に聞こえました。
無機質さという表現は、ファンの方からするとちょっと「そうじゃない!」となるかもしれませんし、もちろん当時の技術的な制約とか、その中で表現を行うボカロPさんの意図とか、いろいろな事情はあるのかもしれませんが……とにかく個人的には「ボーカロイド、結構いいじゃん」という感想を抱きました。
ざっくりボカロの世界に入門したところで、次は「お気に入りの曲を見つけてみよう!」と、いろいろ遊んでみることにしました。
一覧画面では選択中の曲のサビ部分が流れて、これは音ゲーとしては珍しくない仕様ですが、こと「初音ミク初心者が遊ぶ、ボカロオンリーの音ゲー」というシチュエーションでは、「新作アルバムのクロスフェードデモ」を聞いているような気持ちになります。たくさんの曲を一気に試聴できるので、「これ好きかも!」と思ったものを実際にプレイしてみる、といった流れで、どんどん新しい曲に触れることができました。
『Future Tone DX』には、初音ミクさん以外のボーカロイドも収録されていて、中でも筆者が気になったのが「巡音ルカ」さん。ミクさんより少し落ち着いた声質で、そのせいか、筆者になじみの深いバンドサウンドっぽい曲も多そうな印象です。
そうしていくつかプレイして特に気に入ったのが「Palette」と「Leia」という2曲でした。ヘヴィーなサウンドや巧みな変拍子の使い方、壮大な雰囲気がとても好みで、ゲームに慣れてきたのもありますが、初見プレイ時のスコアも心なしか高めです。
たとえ初めて聞いたとしても、一度気に入ってしまえば芋づる式というのが音楽というもので、お気に入り曲が決まったら次にやることはひとつ。こんな素敵な曲を作ったボカロPさんを調べて、他の作品も聞き漁るんだ……!
と、思いきや……
「Palette」と「Leia」、同じ人の曲だーッ!
というわけで、それからこの2曲の作者である「ゆよゆっぺ」氏のアルバム「Story of Hope」を鬼リピしながら本原稿を書いている次第です。
世は大ストリーミング時代、アルバム単位で音楽を楽しむ習慣も過去のものになりつつありますし、曲の並びも含めてひとつになっている作品って、今ではなかなか理解されづらい感覚かもしれませんが……先頭に90秒ほどの「イントロ」専用曲が配置されているアルバムってめっちゃいいですよね。
「Story of Hope」もそんな構成になっていて、冒頭の「Intro」から締めの「7/8」まで、一枚を通して凄まじく完成度の高いアルバムです。
ついさっきまでまともにボカロを聞いたことのなかった人間として敢えて言いますが、食わず嫌いをしている人がいたらぜひ聞いてくれ。というか、これ10年以上前の曲ですよね?みんな僕に黙ってこんなに最高な作品を楽しんでいたんですか?
なんなら今回の企画がなかったら一生ボカロに触れることがなかった可能性もあるので、感謝するべきはセガさんかもしれない。ありがとうセガさん……そんな気持ちになったのでした。
以上、なんだか出来すぎな気もしますが、200曲以上の中からこれは!と思った2曲が偶然同じボカロPさんの曲だったということで、初体験としてはちょっと運命的な出会いをさせてもらいました。
ボカロファンのための音ゲーとしてはもちろん、初心者がこの世界に飛び込むための一歩としてもステキな本作。今回31%オフの2960円で購入できる『Future Tone DX』はPS4向けのタイトルですが、Nintendo Switch向けの姉妹作『初音ミク Project DIVA MEGA39’s』も25%オフの2475円でセール対象【※】となっています。
【※】本記事で紹介するタイトルのうち、『初音ミク Project DIVA MEGA39’s』のみ7月30日までのセールとなっています