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この素晴らしい特典ゲームたちに祝福を! アニメ『このすば』の“特典”が、実は超素晴らしいゲームなので知って欲しい。見覚えあるこのジャンプ、まさか「青き英雄」…!?

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『この素晴らしい世界に祝福を!』(このすば)。そのテレビアニメ版のBlu-ray&DVDにおける最大のセールスポイントは、ズバリ……特典ゲームである!

……なんて言うと、頭のおかしい爆裂娘に「異議あり!」と指摘されてしまうのだろうか。実際、それ以外にもオーディオコメンタリーなどのセールスポイントもあるし。

だが、それでも言い切ろう。Blu-ray&DVD最大のセールスポイントは……特典ゲームだ!

『このすば』Blu-ray特典ゲームレビュー:隠れた超素晴らしい「特典ゲーム」たちを知って欲しい_001

2016年放送のテレビアニメ1期、2017年放送のテレビアニメ2期……いずれも1巻限定版の特典として、パソコン向けのオリジナルインディーゲームが同梱されたのだ。

しかも、それらのゲームというのが、限定版の特典にしておくのがもったいないと感じてしまうほど、よくできていた。特典ゆえ、ボリュームは小さめではあったのだが、その辺を拡張すれば、単品として勝負できる可能性さえ感じられる作品だったのである。

それだけに切実に感じるのだ。
「なぜ限定版の特典ゲームという、ごく限られた形での提供になってしまったのか!」と。

ヒロインのひとり「ダクネス」がバツイチになって幕を引く、「バツネスエンド」の笑撃が記憶に新しい、テレビアニメ3期のBlu-ray&DVD1巻が2024年7月24日に発売を迎えたこの頃。

このたびのテレビアニメ3期はそれまでとは異なり、アナログゲーム『オリジナルポケット人生ゲーム』が限定版の特典となっているのだが……これを機に、限られた形で提供されてしまった2つの特典ゲームたちを紹介しつつ、その見所を振り返ってみたい。

また、テレビアニメ版と非常に強い縁があることから、おまけの特別な1本として、別方向で展開された特典ゲームもピックアップしている。実は2024年現在、最新の環境でも遊べる唯一の存在なのだが、詳しくは後述していこう。

そんな訳で……始まりのひと言を。

この素晴らしい特典ゲームたちに祝福を!

文/シェループ


激しい支出続きの日々と戦う、異世界生活体験RPG『この素晴らしい世界に祝福を!in the life』

まずはテレビアニメ1期のBlu-ray&DVD1巻に同梱された特典ゲーム、『この素晴らしい世界に祝福を!in the life』(以下、in the life)だ。本作は「第4回ニコニコ自作ゲームフェス」で大賞に輝いたRPG『Hero and Daughter』の作者、tachi氏によって制作された作品である。

ちなみに特典ゲームは「ニコニコ自作ゲームフェス」で受賞に輝いたクリエイターによって作られている。続くテレビアニメ2期のBlu-ray&DVD1巻に同梱された作品も、同じく「ニコニコ自作ゲームフェス」の受賞者によるものだ。(詳細は後述)

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話を『in the life』に戻すと、本作は『RPGツクールVX Ace』を用いて作られた異世界生活体験RPG。ストーリーは原作小説1巻および、テレビアニメ1期の1~5話までをベースにしていて、異世界の「アクセルの街」へと降り立った佐藤和真(カズマ)、アクアが苦しい懐事情と格闘しながら、日々を送っていくという内容になっている。

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具体的な流れとしては、「冒険者ギルド」の掲示板に貼り出される「クエスト」に挑んだり、アルバイトに取り組みながらストーリーを進めていく形である。また、本編には日数の概念があり、アクセルの街の全体マップから自宅(馬小屋)を選ぶ、もしくはクエストを成功かリタイアすることで夜へと移る。

その後、大浴場の使用、食事を取るかの選択を判断すると1日が完全に終了となって、その日の支出が発表。手持ちの資金から差し引かれ、そのまま次の日が始まる。以降はその繰り返しだ。

まさにアクセルの街で、冒険者家業を始めて間もないカズマたちの生活を忠実に描いた構成だが、本作が面白いのは支出の激しさである。

単刀直入に言って、やたらと金がかかる!

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特に手持ち資金が少ない序盤が最も苦しい。序盤はカズマ、アクアともにステータス的に貧弱ゆえ、モンスターを相手にするクエストに挑むことそのものが自殺行為になってしまう。よって、モンスターを相手にしないクエスト、アルバイトに注力するのが最適解となり、それぞれ攻略、もしくは従事によって3000~10000E(エリス)の資金を得られる。

だがしかし。その後、大浴場を使うとなれば3000E、食事を取ろうとすれば5000~15000Eの出費になる。宿泊費に至っては、毎日100Eが確定で取られる。

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もし、10000Eを手に入れ、大浴場(3000E)と食事(5000Eの節約コース)を選び、宿泊費も取られた場合、手持ちはどれぐらいになるか?単純に計算すればお分かりの通り1900Eだ。ほぼ5分の1になってしまうのである。

こんな激しい支出と格闘しながら日々を過ごしていくのだ。「生々しいわ!」と感じた人も少なくないかもしれないが、これが本作の魅力。原作、テレビアニメ最序盤のカズマの苦悩を生活費という題材を通して痛感させられるRPGになっているのだ。

なお、アイテムや武器購入の際も物価が高い関係で大きな支出が発生してしまう。無意識に大人買いすればどうなるかは……お察しください。

ただ、大浴場と食事を抜きにすると、カズマたちの生命力が縮むみたいなペナルティはない。ゆえに、そこまで深刻に資金繰りを意識しなくてもいい上、めぐみんが加入してからは安定して稼げるように(クエストも攻略しやすく)なる。

とは言え、何をするにも多額の金がかかる環境が発する現実味は相当なもので、人によっては心を抉られる気持ちになりやすい作りになっている。

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また、クエストなどでは敵との戦闘も発生するが、システム周りがだいぶ変わっていて、カズマ以外のパーティメンバーは全員がオート行動。プレイヤーが入力したコマンドに沿って行動してくれるのはカズマだけとなっている。しかも、カズマがやられれば、問答無用でゲームオーバー。なのに、だいたい最弱の敵に1~2回殴られただけで体力が0まで減ってしまう程度にモロいのだ。

一応、アルバイトによるステータス強化と、スキルの習得、レベルアップによってカズマはある程度、戦えるようにはなる。しかし、弱いのは据え置きで、結果的に戦闘では他のメンバーの力に頼るしかない。とりわけ爆裂魔法を使えるめぐみんは、ボス級のモンスターを相手にするに当たっては力尽きないよう、守り通すことがほぼ必須。それもまた、原作およびテレビアニメ版を忠実に再現している形で、独自の戦略性を表現しているのだ。

原作1巻、テレビアニメ版1~5話をベースとしているゆえ、ボリューム的には短編で、大体1時間半~2時間ほどでクリアできる。ただ、システムとバランス周りが尖っていることもあって、そこそこの密度と手応えを感じさせられる仕上がりだ。

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さらにストーリーは原作とテレビアニメ版をほぼ忠実になぞっているが、テレビアニメ版では構成上の都合(?)で丸ごとカットされた、魔道具店の店主「ウィズ」との出会いがこちらでは描かれているという見どころもある。同じくテレビアニメ版1期ではOVAの登場に留められた「ゆんゆん」も、ストーリーとは深く関係しないものの、モブとして登場する。

『このすば』のRPGとしては2024年現在、3DダンジョンRPG『この素晴らしい世界に祝福を! 〜希望の迷宮と集いし冒険者たち〜』(以下、希望の迷宮と集いし冒険者たち)と『この素晴らしい世界に祝福を!~呪いの遺物と惑いし冒険者たち~』の2作、そして『この素晴らしい世界に祝福を! ファンタスティックデイズ』(以下、このファン)が出ているが、本作は生活面にフォーカスしたゲームデザインで独自の個性を出している。

また、戦闘バランスは後発作品の”原点”みたいな特徴もある。短めとは言え『このすば』らしさがよく表現されている個性派RPGだ。

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ライター
新旧構わず、色々ゲームに手を伸ばしては積み上げるひよっこライター。アクションゲーム(特に『メトロイド』、『ロックマン』)とストラテジーが大好物。フリーゲーム、VRゲームの動向もひっそり追いかけ続けている。
Twitter:@shelloop

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