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この素晴らしい特典ゲームたちに祝福を! アニメ『このすば』の“特典”が、実は超素晴らしいゲームなので知って欲しい。見覚えあるこのジャンプ、まさか「青き英雄」…!?

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青き英雄の影がチラつく横スクロールアクション『この素晴らしい世界に祝福を! 復活のベルディア』

次に紹介するのがテレビアニメ2期のBlu-ray&DVD1巻に同梱された特典ゲーム、『この素晴らしい世界に祝福を! 復活のベルディア』(以下、復活のベルディア)だ。

こちらも「ニコニコ自作ゲームフェス」の受賞者で、『アクションモグラ』の作者クロボン氏率いるインディーゲーム開発チーム「team ladybug(チームレディバグ)」によって作られた。

ジャンルはテレビアニメ1期のRPGから一転、横スクロールのステージクリア型アクションゲームとなっている。

『このすば』Blu-ray特典ゲームレビュー:隠れた超素晴らしい「特典ゲーム」たちを知って欲しい_008

ストーリーも本作オリジナル。復活した魔王軍幹部のデュラハン(首なし騎士)「ベルディア」によって洗脳されてしまったアクア、めぐみん、ダクネスを救出するため、カズマが単身戦うという内容だ。

遊び方としてはカズマを操作し、行く手を阻む敵を斬撃(衝撃波)で撃退しながら、ステージ最後に待ち構えるボスの撃破を目指す。本編の進行はステージセレクト方式を採用しており、アクア、めぐみん、ダクネスそれぞれのステージを自由に選んで攻略していく形となる。

『このすば』Blu-ray特典ゲームレビュー:隠れた超素晴らしい「特典ゲーム」たちを知って欲しい_009

また、3人を倒すとそれぞれが持つスキルが手に入り、以降、カズマが使えるようになる。スキルは3人に対して弱点としても働き、直接対決時の難易度を大幅に下げられるメリットのほか、ステージでも敵の大群を一掃するなどの活躍を見せてくれる。これらのアクションと戦術を駆使して、最終的には黒幕のベルディアの討伐を目指すのである。

……おそらく、アクションゲーム好きなら、この一連の特徴に強烈なデジャヴを感じたかと思われる。もう包み隠さずに言ってしまおう。というか、筆者もテレビアニメ3期最終話で、爆裂魔法を我慢していためぐみんみたいな状態になっているゆえ、言っちゃうとする。

大体ご想像の通り、“某青き英雄のアクションゲーム”である。

『このすば』Blu-ray特典ゲームレビュー:隠れた超素晴らしい「特典ゲーム」たちを知って欲しい_010
青き英雄がフラッシュバックする、華麗なるジャンプポーズを決めるカズマさん

そもそも、上記スクリーンショットのカズマのジャンプポーズからして隠す気皆無である。

他のアクションでも「チャージ攻撃」に真横への高速ダッシュ、その勢いを利用したダッシュジャンプなど、露骨に青き英雄をオマージュしている。

ダッシュとダッシュジャンプは、厳密には派生の“エックス”だが、壁を蹴って登るアクションはない。

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また、システム周りはほぼ青き英雄だが、経験値とレベルアップという本作オリジナルのものも。雑魚敵を倒すと経験値が入り、一定に達するとレベルが上がってカズマのステータスが上昇するのだ。これにより、耐久力の高い敵やボスも、時間をかければ最終的には倒しやすくなるという、RPG的な攻略を許容するゲームバランスが確立されている。

残機の概念がない(やられればゲームオーバー)、回復はセーブポイントおよびストック式のアイテムに限られているのも、地味ながら本作オリジナルの部分だ。

特に回復に関しては、雑魚敵を倒してもその類のアイテムが出ない(落とすのはお金だけ)ゆえ、安易に力で押し通そうとすれば最終的に力尽きる。ステージによっては、精密な操作を要求される場面、落下すれば即ゲームオーバーのトラップも登場するので尚更である。

ただ、セーブポイントで待機すれば満タンまで回復できるのに加え、セットでセーブも行えばゲームオーバー後、そこから再開可能になる。貯め込んだお金で回復アイテムを大量購入すれば、主にボス戦においては多少のゴリ押しも効く設計だ。さすがに前述した精密な操作が要求される場面では、どうしても操作技術が求められてきてしまうが。

そういったRPG要素を取り入れているゲームデザインが本作の個性になっていて、単純な青き英雄オマージュで終わらない魅力となっている。

本作も短編で、収録ステージ総数は少なめだが、全4段階の難易度に報酬付きクエスト、そしてクリア後の特別ステージなど、やり込み要素が豊富。また、全体的に難易度は高めに設定されているため、1周クリアするだけでも相当な歯ごたえを感じられるだろう。

『このすば』Blu-ray特典ゲームレビュー:隠れた超素晴らしい「特典ゲーム」たちを知って欲しい_012

『このすば』としても、「花鳥風月」に「エクスプロージョン」といったスキルをカズマが自在にこなす姿はなかなかにレア。原作とテレビアニメ版の小ネタも豊富で、とりわけポーズ画面はテレビアニメ版視聴者なら効果音込みでニヤリとすること請け合い。ゲームオーバーになれば“あの御方”も登場する。さらにテレビアニメ3期では結局、その姿を見せずに終わった「ゼル帝」も、特殊な形で登場するという見どころも。

そして本作、原作の小説を持っていないと、クエストのコンプリートは厳しかったりする。どういうことかはクエストを進めていけば、おのずと分かるだろう……。

総じて特典に留めるのがもったいないと感じてしまうほど、よくできたアクションゲームである。特に難易度の歯ごたえはなかなかで、『このすば』を全く知らないアクションゲーム好きでも思わず唸ってしまうほどだ。

なお、本作を制作したteam ladybugは後年、『Touhou Luna Knights』『ロードス島戦記 ディートリット・ワンダーラビリンス』『DRAINUS』『ブレードキメラ』(※2024年8月発売予定)といった話題作を相次いで手がけた。

ちなみに後発の作品ではわずかながら、本作のシステムなどが継承されていたりする。

特に『Touhou Luna Knights』、『ロードス島戦記 ディートリット・ワンダーラビリンス』の2作にはそれっぽい要素が散見されるので、プレイ経験のある人は要注目である。

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ライター
新旧構わず、色々ゲームに手を伸ばしては積み上げるひよっこライター。アクションゲーム(特に『メトロイド』、『ロックマン』)とストラテジーが大好物。フリーゲーム、VRゲームの動向もひっそり追いかけ続けている。
Twitter:@shelloop

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