数年ぶりに帰ってきた『レイトン教授』シリーズの新作を試遊しながら、僕は目に涙を浮かべていた。
僕が中学生になったころから遊び、頭を悩ませ、心震わされてきた思い入れの深い作品がリニューアルされつつも変わらない姿で再び帰ってきたからだ。
思い返せば、シリーズの礎となる書籍「頭の体操」シリーズを手がけてきた多湖輝氏が亡くなられたときも「ここで終わってしまうんだ」と思ったが、多湖氏が生前に推薦した医師・岩波邦明氏とレイトン教授の娘・カトリーが物語を紡ぎ続けてきた。
その物語も2021年を最後に息をひそめ、シリーズの終わりを再び悟り始めたころ、英国紳士のエルシャール・レイトン(CV:大泉洋)がまた現れたのだ。
東大発の知識集団「QuizKnock(クイズノック)」による“ナゾ”の数々、そして少し大人びた助手のルーク・トライトン(CV:今田美桜)がレイトンとともに織りなす「新世界」を早く自分自身の操作で見てみたい…!
今回は、そんなはやる気持ちを抑えて「東京ゲームショウ2024」で試遊させてもらったら、思わず半べそをかいてしまった成人男性による『レイトン教授と蒸気の新世界』の試遊レビューをお送りする。
おかえり、レイトン。ありがとう、日野社長。
文/ヨシムネ
編集/りつこ
個性的な住民たちのクセは新天地・アメリカでも健在
レイトンシリーズの作品では「あらゆる登場人物が個性的なキャラクターを持っている」のだが、今回の試遊でも独特なキャラクターのクセを感じ取ることができた。
最初に紹介するのは、蒸気機関によって急速な発展を遂げた本作の舞台・スチームバイソンで店を営む「ビック・リー」さん。根っからの商売人で客以外はすぐに追い返してしまうのだが、客と分かった相手には、優れた洞察力で客が望む商品をすぐに出してくれるたくましさを持っている。
また、なんだか機嫌が悪そうに見える老人「マフティ」さんも、口ぐせのように「ケシカラン」と言いながら実は協力的な人物。ほかにもガラの悪そうな人物に意外と素直なところがあったり、無邪気そうな少女が辛らつな言葉を放ってきたりする。
外見や言葉だけでは図れない登場人物たちのクセが「レイトン」シリーズにおける魅力のひとつであり、しっかりと今作でも反映されているようだ。
新要素「コインダー」で画面中をタッチしまくる戦いとおさらばしよう
シリーズファンの方のなかには、あえてノーヒントでのナゾ攻略に挑戦し、並行してコイン集めにも励んだことのある人なら、一度は「手当たり次第に画面をタッチ」した人もいるのではないだろうか?
今作では、レイトンよりも一足先にスチームバイソンへやってきたルークが発明したロボット「コインダー」が登場する。
レイトンシリーズ作品では、消費することで多彩な「ナゾ(謎解き問題)」のヒントを得られるアイテム「ひらめきコイン」が存在するが、今作ではコインダーを使うことでコインの隠し場所にある程度の目星をつけられるのだ。
コインダーはなぞなぞのような言葉でコインが隠されている場所を教えてくれるが、直接答えを教えてくれるわけではないため、隠し場所を「考える」楽しさはきちんと残されている。
フィジカルではなくスマートにコインを見つけられるコインダーがあれば、コインを「集める」遊びもより楽しくなりそうだ。
上記のほかにも、今回の試遊ではレイトンシリーズに無くてはならない「ナゾ」の一部や、今作の物語において“ガンマンの亡霊”と恐れられる不可思議な存在「キングガンマン・ジョー」が登場するムービーも体験できた。
今回は時間制限が設けられていたため体験できたのはほんの一部であったが、いち『レイトン教授』シリーズのファンとして「これだよこれ~」と感じているものが出てきてしまったので思わず感極まってしまった、というのがことの顛末だ。
レイトンシリーズファンにとって待望の新作となる『レイトン教授と蒸気の新世界』は、9月28日・29日(土・日)の一般公開デーでも試遊できる。興味があればぜひ各種プレイガイドで入場チケットを購入して、幕張メッセで体験してみてほしい。