株式会社夕暮れの設立を記念したシークレットイベントが、11月23日と24日の2日間、東京・代官山にある同社のオフィスで開催された。同社は、国内外で100公演を超えるリアル脱出ゲームの企画など、体験型エンターテイメントを手がけるクリエイターのきださおり氏が代表を務める企業だ。
イベントの参加者も珍しい募集方法になっており、同社のサイトトップに表示されているバスのアニメーションの中から、「停車ボタン」を押した人のみが行ける場所に案内ページが設置されていた。しかし、それでも筆者が会場に訪れた際には多くの人で賑わっていたのが印象的であった。
本稿では、初日の最終時間帯に行われたイベントの模様をレポートする。
キラキラ広報に夕暮れ流名刺交換も……。ひと癖もふた癖もある7人の先輩社員の元で「研修」
今回のシークレットイベントは、通常とは少し異なり“株式会社夕暮れのインターンプログラムの参加者となって、様々なお仕事のお手伝いをする”といったスタイルで行われていた。大まかな流れとしては、最初にツアーのように7人の先輩社員の元に案内され、仕事の説明を受ける。その後、各々が好きな順番で先ほどの先輩社員の元に出向いて研修を受けるといった感じだ。
さらに、イベント開始前には「ミッションカード」が手渡され、無事研修が完了するとスタンプを押してもらうことができる。そして最終的にきださおり社長との面談までたどり着く……というのが目標だ。
この研修を受けることになる7人の先輩社員は、いずれも個性豊かな面々ばかりだ。まず最初に参加者たちが訪れたのが、桃園かのん氏率いる「管理」の部屋である。こちらは管理と言っても、企業の管理をしているというわけではなく、いわゆるきだ社長の親衛隊のような役割を行っており、常に数人できだ社長についての研究を行っているといった、ユニークな部署となっていた。
ここでは3つのクイズに答えることで、スタンプを押してもらうことができた。出題されるクイズは、もちろんきだ社長にまつわるものばかりだ。
ちなみに、このクイズとは別に、管理ではすぐ近くにいる新人・山本未來さんの情報についても耳にすることができた。どうやら彼女は普段まったくしゃべらないキャラクターなのだが、何かを渡すことで口を開いてくれるのだとか……こうした細かな情報を拾い集めていきながら、それぞれの先輩を攻略していくことになるのである。
とにかく派手な出で立ちで目立っていたのが、姫乃きらりんさん率いるキラキラ広報の部署だ。こちらでは、広報らしくSNSに載せる写真をお手伝いするというもの。会場内には「即時拡散OK」と書かれたスポットがいくつか設置されており、そちらで写真を撮ることでミッション達成となっていた。
この広報のすぐ迎え側にいたのが、営業の青空すぐるさんである。この青空さんが研修で教えていたのが、営業の基本だ。そして、その営業の最も基本となるのが夕暮れ流の名刺交換である。この名刺交換は、名刺を夕暮れ時に沈む太陽に見立てて低く持ち、水平線を移動していくように交換するというもの。ちなみに、この夕暮れ流の名刺交換はのちのち活きてくる場面が出てくる。
先輩社員同士の密接なつながりがヒントに。キーアイテムをゲットして先輩の心を開こう
続いて訪れたのが、経理事務ちゃーちゃまさんの研修だ。噂話好きな同氏からは貴重なお話を聞くことができた。その中のひとつが、裏掲示板「夕暮れないしょの掲示板」の存在である。
こちらは、実際に検索エンジンで「夕暮れ ないしょ」と検索することで出てくる掲示板で、会社のゴシップ情報が見られるようになっていた。7人の先輩社員の中には攻略が難しい人物が何人か含まれているが、こちらで情報をしっかりと掴んでおくことで話しを進めていくことができるのである。
少し代わった方法でしかコミュニケーションできないようになっていたのが、人事・総務のしきぶさんだ。すぐ近くに俳句エリアが設置されており、こちらで575の俳句を作ってみせることで、ようやくそれに合わせた答えを色紙で返してくれるのである。
ここまで5人の先輩社員は、基本的に個別でスタンプがもらえるようになっていたが、密接なつながりになっていたのが残りのふたりであった。新人社員の山本未來さんは、最初に部屋に訪れても口も利いてもらえないようなシャイな性格の持ち主である。履歴書を見ても、生年月日が2022年10月1日と、変わり者であることが窺える。
しかし、先ほどの「夕暮れないしょの掲示板」を見ると、ヴェルタースオリジナルのキャンディをあげると話してくれることがわかった。
ここでキーマンとなるのが、もうひとりの先輩社員であるハンソン山下さんである。何やら机の上に銃がおかれているなど強面なのだが……どうやらクマのぬいぐるみに目がないことが先ほどの掲示版や人々の噂話からわかってきた。
また、たまたま営業の姫乃きらりんさんがまちがってクマのぬいぐるみを100個ご発注していたことも発覚し、そこから入手したクマのぬいぐるみをハンソン山下さんに渡すことで、キャンディをもらうことができたのである。
ハンソン山下さんからもらったキャンディを山本未來さんに渡したところ、先ほどとはキャラクターが一変したように明るい表情で話しをしてくれるようになった。ここで最後のミッションであるきだ社長のいる場所のステッカーを地図に貼ってもらうことができた。
待望のきだ社長と対面!参加者を驚かせるサプライズも
山本未來さんに、きだ社長がいるサテライトオフィスの場所を教えてもらった後、リアルにその地図に描かれた場所まで移動することになった。じつはこれまで先輩社員たちが押してくれていたスタンプは、このインターンシップの会場からサテライトオフィスまでの道のりを表したものだったのだ。
サテライトオフィスに到着後、きだ社長の元に訪れた参加者たち。ここで、それぞれがどんな思いを持っているか、実際に話す機会が与えられていた。
ひとりひとりが自分の思いをきだ社長に伝えたあと、名刺交換が行われることに。ここでのスタイルは、先ほど研修で教えてもらった夕暮れ流だ。そして、この名刺交換が終わった瞬間、室内が暗転。この名刺交換を行ったことで、未来が変わったことが告げられる。
山下未來さんが2050年の未來からやってきたこと、3年後に株式会社夕暮れが廃業になること、2050年には、自分から動いて楽しむエンタメが消滅することなどである。いろいろと苦労したものの未來を変えることができなかったため、今回のインターンシップで未來を変えることができる人を探すことにした、というのが今回のイベントの趣旨であることがわかった。
そして、すべてのプログラムが終わった後、最後に参加者たちに渡されたのが、ひとりひとりの名前が入った株式会社夕暮れの名刺である。これにはほとんどの参加者達が驚きの声を上げていた。
ということで、今回のイベントはここまで。全体としては1時間にも満たない内容であったが、かなり濃い体験ができた印象だ。通常の設立パーティとは異なり、独特なエンターテイメントを追求している会社らしいものとなっていたことに驚いた。
イベントの中だけでもいくつものユーモアと驚きを与えてくれた同社。今後どのような活躍をしていくのかについて、引き続き注目していきたい。