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『スト6』賞金1.5億円の世界大会覇者・翔と、15歳の神童リュウ・Blazの激闘があまりにアツすぎた──。国技館をブチ上げたふたりの“伝説”を1.5万字で振り返る

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グランドファイナルの激闘を制し、優勝を果たしたのは日本の「翔」!

そして迎えたグランドファイナル。言うまでもなく、ウィナーズで勝ち続けてきた翔選手と、ルーザーズを恐ろしい勢いで駆け上がってきたBlaz選手がふたたびぶつかる、本大会における最後の一戦である。大歓声に囲まれて壇上にあがったふたりは、翔選手が差し出した手をBlaz選手が握る形で握手を交わし、それぞれの席へと向かう。

キャラクター選択は翔選手がJP、そしてBlaz選手はリュウを選択。なお、このグランドファイナルではウィナーズ側・翔選手は一度3本先取に敗れてもリセットという形になり、次の3本先取で勝利すれば優勝が決まる。ルーザーズのBlaz選手としては、2度にわたって3本先取を制しなければいけないという形だ。

『ストリートファイター6』カプコンカップ大会レポート:優勝は日本の翔選手_028
タイトル名:ストリートファイター6
権利表記:©CAPCOM

会場の盛り上がりが最高潮に達するなか、ついに幕を開けるグランドファイナルの第1試合。最初にまとまったダメージを取ったのはBlaz選手のリュウ、そのまま画面端に追い込み、あっという間に1ラウンド目を奪う。しかし2ラウンド目は差し返しから翔選手がペースをつかみ、Blaz選手のコンボミスもあってラウンドを取り返した。

最終ラウンドはBlaz選手がバーンアウト状態を巧みにしのいでチャンスを作るが、要所の後ろ投げで画面端が入れ替わり、翔選手がSA2「ラヴーシュカ」のプレッシャーでパリィを誘い、パニッシュカウンターの投げでトドメを刺す。Blaz選手のSA3による暴れも匂ったタイミングだったが、翔選手が読みを通した形となった。

2セット目は翔選手がBlaz選手の攻めをとがめる形でダメージを取り、先にラウンドを奪う。しかし2ラウンド目はBlaz選手がバーンアウトしながらもラヴーシュカによるダメージを最低限に抑え、ドライブゲージをふんだんに使った攻めを通して返す。そして最終ラウンド、Blaz選手がリュウの持ち味とも言えるOD版「波掌撃」を使ったドライブゲージ削りでバーンアウトに持ち込み、そのまま削りKOで「1-1」に持ち込んでいく。

3試合目は序盤から互いにジャストパリィが飛び交う試合となるが、JPの設置技「ヴィーハト」が刺さり、そこからラヴーシュカにつなげて翔選手が大きくリード。Blaz選手はバーンアウトしながらも果敢に攻めるが、翔選手がいなしてラウンドを取った。が、2ラウンド目はジャンプ攻撃をあえて出さない“すかし飛び”からBlaz選手が速い展開を作って崩し切る。

続く最終ラウンド、JPの強みである飛び道具と設置技を活用した遠距離戦により、Blaz選手がバーンアウト。ラヴーシュカによる崩しをいったんしのいだかのようにも見えたが、その直後にヴィーハトに引っかかってしまい、翔選手が「2-1」で王手をかけた。

追い詰められたBlaz選手、続く3試合目ではそうそうに相手をバーンアウトさせ、スタンに持ち込んでチャンスを得るが、コンボミスから流れは変わる。ヴィーハトの起動タイミングにあわせた攻撃が刺さり、ラヴーシュカを使ったコンボで締めてラウンド先取は翔選手。マッチポイントとなり、会場からは大きな歓声があがる。

しかしBlaz選手もプレッシャーに潰されることなく、なんと画面端の起き攻めで2回連続の垂直ジャンプを選択。これが意表をついたのかどちらも刺さり、SAゲージを使うことなくラウンドを取り返していく。

『ストリートファイター6』カプコンカップ大会レポート:優勝は日本の翔選手_029
タイトル名:ストリートファイター6
権利表記:©CAPCOM
『ストリートファイター6』カプコンカップ大会レポート:優勝は日本の翔選手_030
タイトル名:ストリートファイター6
権利表記:©CAPCOM

そして3ラウンド目、先に追い詰めたのはBlaz選手だった。コンボミスはありながらも思い切った立ち強パンチがパニッシュカウンター、真・昇龍拳までつなぎ、JPの体力をごくわずかまで削りながら、さらに画面端でバーンアウトにまで持ち込む。追い詰められた翔選手だが、ラヴーシュカでいったん距離を取ったのち、思い切った足払いでダウンを奪い、起き攻めで投げを通してダメージを稼ぐ。

試合に決着がついたのは、互いに触れば終わるような極限の体力状況になった、そのすぐあとだった。翔選手がJPの飛び道具であるトルバランがカウンターヒットしたのを見逃すことなく、すかさず追撃。これが決め手となり、グランドファイナルは「3-1」で翔選手が勝利。そしてこの瞬間、長きにわたる激闘が終わり、「カプコンカップ 11」の優勝者が決まった。

『ストリートファイター6』カプコンカップ大会レポート:優勝は日本の翔選手_031
▼優勝が決まった瞬間、感極まって座り込む翔選手
タイトル名:ストリートファイター6
権利表記:©CAPCOM

優勝者インタビューで「めちゃくちゃ嬉しい」と語る翔選手、感極まるあまり言葉も出てこない様子だったが、「この喜びを、まず誰に伝えたい?」という問いには迷うことなく「妻ですね」と回答。この答えに、会場からは大きな歓声があがる。【※】

※翔選手は2025年2月14日に結婚を公表したばかり。おめでとうございます。

その後、コメントを求められたときには大会前日に「妻とケンカして……」という裏事情(?)を暴露。当日の朝には無事に仲直りできたそうで、「それで動きが吹っ切れた」とも話す。また「まだ結婚指輪とかが用意できてなくて」とのエピソードを交えつつ、優勝賞金(100万ドル・日本円で約1億5000万円)を手にできて良かった、と語った。

最後には「日本開催でのカプコンカップで優勝できて、本当に嬉しいです。応援、ありがとうございました!」とコメントし、会場に向かってお辞儀を繰り返す。大歓声と「翔」コールの中、世界中から集まった強豪たちがぶつかり合った大会は幕を下ろした。

『ストリートファイター6』カプコンカップ大会レポート:優勝は日本の翔選手_032
タイトル名:ストリートファイター6
権利表記:©CAPCOM

この日だけでも8時間以上にわたったカプコンカップだが、終わってみればあっという間に感じるし、この時間が終わってしまったのが寂しくもある。

グランドファイナルの試合中は、固唾を飲んで見守ることしかできなかった。日本人として翔選手の優勝を見たい気持ちが半分、15歳の神童・Blaz選手の優勝を見たい気持ちが半分でせめぎ合い、奇妙な感覚に包まれていたことは覚えている。ここで戦い抜いたトッププレイヤーに向けて、あえて筆者から言えることなどありはしない。

ただひとつ、はっきりと言えるのは、今年のカプコンカップも最高に面白かった……ということ。選手の皆さん、大会を支えたスタッフの皆さん、そして来場者の皆さんも、本当にお疲れ様でした。

『ストリートファイター6』カプコンカップ大会レポート:優勝は日本の翔選手_033
▼開始前、壇上での写真撮影もさせていただけた。終わった今、ここで行われた数々の激闘を思い返すと、グッと胸に来るものがある。
タイトル名:ストリートファイター6
権利表記:©CAPCOM

さて、以降は優勝者・翔選手へのメディアインタビューの模様と、ここまで記事内では紹介しきれなかった激闘の数々の間の写真をお届けしていく。

本当は「ふ~ど vs LeShar」とか、「ときど vs ふ~ど」とか、Juicyjoeが試合中に前のめりすぎて心配になった話とかをしたいところだけど、それらについては写真に簡単なコメントをつける形に留めさせていただきたい。

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編集者
オーバーウォッチを遊んでいたら大学を中退しており、気づけばライターになっていました。今では格ゲーもFPSもMOBAも楽しんでいます。ブラウザはOpera

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