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『スト6』賞金1.5億円の世界大会覇者・翔と、15歳の神童リュウ・Blazの激闘があまりにアツすぎた──。国技館をブチ上げたふたりの“伝説”を1.5万字で振り返る

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優勝・翔選手インタビュー。前日の奥様とのケンカは「不知火舞を出すかどうか」が原因だった…?

──翔選手、まずは優勝おめでとうございます! 壇上でのインタビューでも答えられていたかと思うのですが、あらためて、いまの心境をお聞かせいただけますか?

翔選手:
いや、もう……「なんも言えねぇ」ってこういうことなんだなって風に思いました(笑)。とにかく、感無量ですね。今はそのくらいの言葉しか出てこないです。やはりカプコンカップで優勝するというのは、競技シーンにいる全員の目標のひとつだと思うので。それを達成できたというのは、もうとてつもなく嬉しいです。

──優勝が決まった後、壇上で何度も顔を手で覆われていましたね。

翔選手:
大会で優勝して泣くみたいなことは今まであまりなかったんですけど、日本開催のカプコンカップで、国技館で……って考えたらすごく「わーっ」ってなってしまいました(笑)。

──この大舞台で試合をする中、どんなことを感じられていましたか?

翔選手:
そうですね、いろいろありますけど……。やっぱり日本の国技館でこの大きな大会が開催され、他の日本勢のプレイヤーが落ちていく中で、なんとかグランドファイナルまで進むことができて。そういうのを踏まえて、他の日本のプレイヤーの想いだとか、ファンの皆さんの応援だとかを背負ってプレイしていたのかな……と今は思いますね。

実はプレッシャーでずっと吐きそうだったんですけど(笑)。それに耐えながらがんばりました。

『ストリートファイター6』カプコンカップ大会レポート:優勝は日本の翔選手_034
タイトル名:ストリートファイター6
権利表記:©CAPCOM

──今日の試合を振り返って、もちろん翔選手は最高のパフォーマンスを発揮されたと思うんですが、それに続く存在がルーザーズから駆け上がってきたBlaz選手だったと思います。彼と決勝で戦うにあたって、どんなことを考えられていましたか?

翔選手:
今日はウィナーズ側で彼(Blaz選手)に一度勝って、ルーザーズに落とすことはできたんですけど、そのときは彼の使用キャラクターがケン・豪鬼で。その後、ルーザーズでリュウを使って駆け上がってくる姿をみて、ものすごい勢いを感じました。なので正直、戦いたくはなかったですね。リュウで来るだろうな、という予想はしていたんですが、勝ちあがってきたその勢いのまま、ポイントを取られるとすごく嫌だなと。

ただ、自分は相手の勢いに呑まれないような動きは得意な方だと思っているので、それを意識して戦いました。その勢いを受け流して、そのまま相手に返す……合気道みたいなイメージで(笑)。

──Blaz選手がルーザーズを勝ち抜く間、見ることができた試合数も多かったかと思いますが、観戦する中で対策などは考えられていたんでしょうか?

翔選手:
対策ではないんですけど、なんか「めっちゃめちゃ勝ちたい」って思いました。気合で頑張りましたね(笑)。

──Blaz選手について、ほかに思うことはありましたか?

翔選手:
いや、15歳がこの大舞台で、あれだけのプレイができるっていうのは本当にすごいことですよ。僕自身も1~3日目は調子を崩しちゃったりもしていましたし、なかなか練習通りの動きを出せないのが当たり前だと思うんです。そんな中でもこれだけのパフォーマンスを出せる、彼のメンタルコントロール術ってのはすさまじいものがあるなと。

実は、僕がルーザーズに彼を落としたときは、けっこう落ち込んでいるように見えたんです。でも、その後に親御さんとか、コーチの方と話している風だったので、恐らくそこでアドバイスをもらったりしていたんじゃないかなと。それにしても、一度落ちた自分のメンタルを立て直して、決勝まで勝ちあがってくるというのは本当にすごいことだと思います。

『ストリートファイター6』カプコンカップ大会レポート:優勝は日本の翔選手_035
▼リクエストに応え、ポーズをとる翔選手
タイトル名:ストリートファイター6
権利表記:©CAPCOM

──月並みな質問で恐縮なんですが、「1億5000万円」の賞金の使い道は何か考えられていますか? 壇上では結婚指輪のお話なんかもされていましたけど、それ以外で。

翔選手:
あんまり思い浮かばないですね。「Gamers8」【※】のときもそうなんですけど、お金ってけっこうすぐに消えちゃうので……。

リアルなところだと次の活動資金とか。僕は長くこの業界にいて、勝ち続けていたいので、そういうもののために使いたいと思います。ご飯とかにしても、ちゃんとしようとすると割とお金かかるじゃないですか。そういった部分を支えるのに使おうかなと。

※2023年にサウジアラビアで行われたeスポーツイベント「Gamers8: The Land of Heroes」。翔選手は同大会の『ストリートファイター6』部門で優勝し、賞金40万ドル(当時のレートで約5800万円)を手にした。

──優勝にあわせ、SNSで「結婚バフ」というワードが話題になっていますが、実際に家庭を持たれてから競技シーンへのモチベーションに変化があったりはしましたか?

翔選手:
モチベーションという意味では、前とそれほど変わっていないと思います。でも、体調管理だとか、ご飯を作ってくれたりとか、メンタルケアをしてくれたりとか、単にいてくれることに癒されたりだとか……そういうところではすごく助かっています。

僕は競技シーンで活躍すること“だけ”に集中できるようになったので。そういう意味では、妻の存在はすごく大きいと思いますね。

──大会前、新キャラクターの「不知火舞」をかなりやり込まれているようでしたが、大会中に出すつもりはあったんでしょうか?

翔選手:
あ、舞はめっちゃ出したかったです。実は妻と「舞を出すのか、JP一本でいくのか」みたいな話でもけっこうケンカしたりして……(笑)。で、いろいろあったんですけど結局は「JPの方がいいよね」と決めて、今回はJP一本でいきました。

──本大会では、去年のストリートファイターリーグ本節で日本の競技シーンを席巻したLeShar選手と戦うことになったわけですが、彼についてどう感じましたか? リーグではディビジョンが異なることもあり、直接対決の機会はあまりなかったような印象でしたが。

翔選手:
もちろん強いですし、リーグでの活躍も見ていたので脅威だなとは思っていました。勝てた要因としては今日の流れがよかったのがひとつ、あとLeShar選手の調子があまり良くなかったようにも思えます。場の空気に呑まれてしまったのかもしれませんが、いつもの動きができていないような印象を受けましたね。

そういう要因もあって今回は勝てましたけど、次はどうなるか分からないので。この先もずっと怖いプレイヤーです。

──この4日間を通じて、翔選手相手に勝ったのはときど選手だけ、ということですよね。この点についても少しお話聞かせていただけるでしょうか。

翔選手:
いやー……悔しいですね(笑)。結局、ときどさんには勝てず……勝ちたかったです。次の機会が何の大会か分かりませんが、さすがに勝ちたいです。

──本日、国技館で『ストリートファイター6』の大会がすさまじい盛り上がりを見せました。こうしたeスポーツの市場とか、環境の成長というのは、翔選手が子どものころと比べてみると大きく変わっているかと思いますが、実際にどういう風に感じられていますか?

翔選手:
そうですね、僕が子どものころだとまだ「ゲームなんかやらずに外で遊べ」みたいなノリが割とあったと思うんです。我が家はそれほど厳しくなかったのでのびのび遊んでいたんですけど、世間的にはそういう風潮もあったのかなと。

僕が格闘ゲームをはじめたのは中学2年生のころだったんですが、その時期はまだ、ウメハラさんとかときどさんとか、そういう本当にごく一部の限られた人だけがプロとして活動できていたんですね。

その人たちが当時、盛り上げてくれたからこそ、今の競技シーンがあり、僕もプロとして活動させていただけていると思うので、本当にありがたいことだと感じています。今後は僕自身が盛り上げる側になっていけたらなと思います。

──では最後に、チームやファンの皆さんに向けて、何かひと言お願いします。

翔選手:
えーっと……やったぞー!(笑)

『ストリートファイター6』カプコンカップ大会レポート:優勝は日本の翔選手_036
タイトル名:ストリートファイター6
権利表記:©CAPCOM

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編集者
オーバーウォッチを遊んでいたら大学を中退しており、気づけばライターになっていました。今では格ゲーもFPSもMOBAも楽しんでいます。ブラウザはOpera

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