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格ゲーって全部 “ホント” だった! キックボクシングを始めてみたら「技」すぎるコンビネーションを教えられる。乱舞技、タゲコン、キャンセル、画面端まで “ある”

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2024年7月からキックボクシングジムに通っている。もはや自分自身の力で痩せるのは不可能だと思ったからだ。

ジョギングとか……家で腹筋とか……チョコザップに通うとか……。そういうものはいくらでも「そのときそのときで自分にいちばん都合のいい言い訳」を作り出してしまうため、やらずに終わってしまう

だが、人になにかを教わるかたちなら「行かないことのうしろめたさ」が私の身体を動かしてくれるだろう、ということでキックボクシングを学ぶことにしたのだ。

でも実際に通い始めてみたらキックボクシングというよりムエタイジムだった。しゃあっ コブラ・ソード!

まあそれはいいし、身体を動かすというのは思いのほか楽しいものです。ただ、やればやるほどに不思議な感覚が私を包み始めました。

「もしかして、格ゲーって全部 “ホント” なんじゃないか……?」と。

格ゲーって全部

絵・文/マシーナリーとも子
編集/柳本マリエ


ジムでのトレーニング内容

ジムに行くとひと通りの段取りが決まっており、おおむね以下のような感じで3分×2セットずつ、3分ごとに1分の休憩を挟んでトレーニングを行なう。

ストレッチ

縄跳び

シャドーボクシング

サンドバッグに膝蹴り

サンドバッグに前蹴り

トレーナーとミット打ち

サンドバッグに自由に打ち込み

これらをひと通りこなすと、着替えの時間も含めて1時間に収まるきれいなプログラムだ。

希望すればここに、実戦形式だが互いに手加減を加えた「マススパーリング」を追加することもできる。こちらが一方的に教わりながら殴ることができるミットうちに対して、マススパーリングは防御や、どう攻め込むかの要素が加わってくるというわけだ。

「技」すぎるコンビネーションを教えられる

主にトレーナーから具体的レッスンを受けられるのはミット打ちとスパーリングなわけだが、やっていくと段々「あれ? こんなこともするんだ……」ということを教えてもらえる。

ふだんはジャブ→ストレートのワンツーとか、ワンツーからのフック、ワンツーからのアッパーなど「あっ、『FitBoxing』でやったことあるわ」というメニューを主にやるんですわ。まあそこはキックボクシングなので、膝蹴りやキック、肘打ちなんかも混ざるけど。基本はそんな感じなんですよ。

でもたまになんか……「技」すぎるコンビネーションを教えられる

例えば「弱めに左フックを当て、間髪入れずに右ローキックを浴びせる」とか「右キックを浴びせたあと、足を戻し始めるとともに右ストレートを出すことでリズミカルにパパンとダメージを与える」みたいなのをやらされる。

なんかこれもう……「タゲコン」【※】じゃん。

※タゲコン:ターゲットコンボ。『ストリートファイター』シリーズで、特定の順番に攻撃ボタンを押すとつながる通常攻撃のコンボ。ほかのゲームにも似たようなシステムは結構ある

格ゲーって全部
トレーナーはチュートリアルのリュウとほぼ同じことを言っている

「右膝蹴りを当てたあと、すかさず右肘打ちを当てろ」と言われたこともある。

言われた通りに順番にやってみたら、「違う違う、順番に出すんじゃない。コンビネーションなんだから、膝蹴りで前に出た姿勢を戻さずに、そのまま勢いで肘打ちを出すんだよ」と言われた。

えっ……それって格ゲーの「キャンセル」【※】すぎる! キャンセルじゃん! 膝蹴り出した後の硬直を肘打ちでキャンセルしてるってこと!?

キャンセルって本当にあるんだ!!!!

っていうか、逆ですね。キャンセルってこういうことだったんだ! だからキャンセルできない通常技と必殺技があったり、生出しでしか使えない技があったりするのか! こういうことか!

※キャンセル:技などを出したあとの動作が元の状態に戻るまでの硬直を中断して次の技を出すこと。主に連続技に使われるが、ジャンプやガードをキャンセルすることもある。大抵の格ゲーにあるシステム

格ゲーって全部

格ゲーって全部

で、そういう “格ゲーすぎる” コンビネーションたちなんですけど、「こんなのいつ使うんだよ」って最初は思ってた。でもこれが、スパーリングしてみると使わざるを得なくなることがわかってくる。単純なパンチって当たらないんですよね。

ていうかスパーリングしてるといよいよ「格ゲーってマジじゃん!!!」となってくる。

本格的に技を入れ合う前、距離を測りながらジャブとかを出してみるのは完全に「牽制」「差し合い」って感じだし、そんなとき適当にフックを出しちゃったらガードされた上に硬直差でローキックを喰らうとかぜんぜんあります。「不利フレーム」も本当にあるのかと思いながら「あ痛〜!」って叫んだりしています。

画面端すらも本当に “ある”

そうやって攻められ続けると、攻撃を浴びないために逃げるしかない。大回りに旋回したり、後方にスウェーしたりする。でもスウェーし続けると当然そこにはロープがある。ロープがあると後ろに引けないからパンチを喰らう。

「画面端じゃん!!!」と思いながら私は殴られ続ける

格ゲーって全部

仕方ないから横方向に逃げようとするとそちらからフックやキックが飛んできて逃げられない。あとガードを解いて反撃をしようとしても読まれて潰される。おい!!! ハメられてるって今!!! 画面端でハメられてるって!!!

格ゲーの動きにはちゃんと理由があって感動する

極め付けは先日のミット打ちでやらされた練習。教わったコンビネーションを、3分間やれるだけ繰り返すという練習なんだけど、そのコンビネーションが

ワンツー→ワンツー→スウェー→ストレート左フック→右アッパー左フックストレート→右肘打ち左肘打ち右肘打ち→縦肘打ち→右キック

という長大なものだった。

いや乱舞技【※】すぎるだろ!!!! 龍虎乱舞やらされてるって!!! こんなの超必殺技すぎるって!!!

※乱舞技:すごい勢いで連続して攻撃を当てる技。ゲージを消費するすごく強い技であることが多い。定番のすごい技のパターンのひとつでありいろんな格ゲーで見られるが、おそらくその元祖はSNKの『龍虎の拳』で、やはりSNKのキャラに使い手が多い

格ゲーって全部

これはマジでなんだったんだろう。さすがに実戦で使うとは思えないし……連続で技を出すスタミナを培う練習かな? 無呼吸連打? スペック?

とにかくあらゆることに対して「格ゲーじゃん」という気持ちと「理由があるんじゃん」という気持ちがいちいちあって、感動しています。

でも心が格ゲーに傾きすぎててひとつ困ってることがある。

アッパーがうまく使えないんだ。フォームがちょっとおかしいんだ。なんかね、ついアッパーを「下から突き上げようとしすぎる」んですよね。なんなら少し屈んでしまうことすらおる。

でもアッパーって顎を狙う攻撃だからそんながんばって下から突き上げる必要ないんですよ、たぶん。なんかね、やっぱ無意識下でアッパーのことを「対空攻撃」だと思ってしまってあるんだな。

アッパーとは屈大Pとか昇竜拳であるという気持ちが心の奥底にあるんだな。違うんだよきっと。せめて『ギルティギア』の6Pくらいの気持ちで出すべきなんだよな。そんな気合いはいらない。

でも今なら割と確信をもって言えます。
たぶん、「無敵時間」も本当にある。

ライター
殺人サイボーグ。ライター/漫画家/イラストレーター。 毎日なんらかのマンガを描きながらWeb上に胡乱な文章を放出することで生計を立てている。 ゲームは常にフレイザード魂でプレイしてるので上達することは無い。お仕事募集中。 ポータルサイト:https://xfolio.jp/portfolio/m_tomoko
編集
幼少期からホラーゲームが好き。RPGは登場人物への感情移入が激しく的外れな考察をしがちで、レベル上げも怠るため終盤に苦しくなるタイプ。自著『デブからの脱却』(KADOKAWA)発売中
Twitter:@MarieYanamoto

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