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HD-2D版『ドラゴンクエストI&II』先行プレイレポ。高品質な手触り、思い出補正なんて必要ないほどの期待作!“4人目の仲間”が誰か……はわかりませんでした!(無念)

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「思い出補正なんて必要ない」

それが、HD-2D版『ドラゴンクエストI&II』を試遊し終えて、まず筆者が思った感想だ。なぜなら、おぼろげに抱いていた期待が、まさに”確信”に変わった瞬間だったから。

3月27日のNintendo Directで突然、最新映像が公開され、2025年発売の文字が踊った本作。しかも『ドラゴンクエストII』には、新たなキャラクターまで登場。待ち望んでいたファンにとっては、驚きと歓喜に満ちた瞬間だったのではないだろうか。

ネットではさまざまな憶測や噂が飛び交うなか、なんとメディア向け試遊会のお誘いが届いた。ゲーム画面の初公開から2ヶ月も経っていないこのタイミング。本作に掛ける同社の意気込みを感ぜずにはいられない。

「4人目のキャラは誰なのか」、「とくぎの追加はあるのか」、「『ドラゴンクエストI』のボリュームは」など、みなさんの疑問はよく理解している。でも、その疑問の全てにお答えすることができない大人の事情ってモンがあるのだが……。

それを理解してもらったうえで、筆者がみなさんにお伝えしたいのはたった一言。

「超、大丈夫!」

HD-2Dのグラフィックはより最適化され、イベントシーンを随所に追加し、現代的で没入感の高い冒険が楽しめるようになった。HD-2D版ならではの遊びやすさは言わずもがな。

こうした要素を紹介しながら、いったいなにがそんなに「大丈夫」なのか、つまびらかにしていきたい。

なお、今回はファーストルックに近い試遊だったこと、また、戦闘などのバランスに関しては、依然、開発中のタイトルであることを踏まえて、製品版で変更されている可能性を考慮してもらえると嬉しい。

© ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/SPIKE CHUNSOFT/SQUARE ENIX
© SUGIYAMA KOBO
℗ SUGIYAMA KOBO

※画面写真はすべて PC 版の開発中のものです。

文・取材/澤田アツシ
編集/anymo


HD-2D版『ドラゴンクエストIII』と同様のプレイフィール。「べんりボタン」も搭載

まずHD-2D版『ドラゴンクエストI&II』共通の所感は、HD-2D版『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』(以下『DQIII』)の高品質な手触りと同様だということ。

現代風なアレンジはそのままに、細かなブラッシュアップを施されている。システム面から戦闘、グラフィックに至るまで、ロト三部作として統一感のある仕上がりに安心感を覚える。

HD-2D版『ドラゴンクエストI&II』先行プレイレポート:戦闘画面には、“4人目”が入りそうな余剰スペースが……?_001

「教会セーブ&オートセーブ」、「ゲームの難易度調整」、「2つのアクセサリー装備スロット」、「ダッシュ移動」など、HD-2D版の便利機能はそのまま引き継いでいる。

また、本作でも「べんりボタン」が登録できるようだ。

HD-2Dは最適化が図られ、より明暗さが強調されたグラフィックに。遂にキャラクターの斜めグラフィックを実装

HD-2Dグラフィックは、今作でもリメイクシリーズ最大の魅力だ。さらに今作では、細かい最適化がなされて、自然で深い色合いと強調された陰影で、より重厚感が増している。 

『DQIII』でも訪れることができたラダトーム城内は、オブジェクト配置などの細かな微調整が行われていた。評価の高いHD-2Dグラフィックがさらに進化しているのは純粋に嬉しい。

最大のトピックはなんと言っても、『DQIII』では実装されていなかったキャラクターの斜めグラフィックの追加だろう。

実を言うと筆者は、斜めグラフィックにさほど必要性を感じていなかった。それがないことが、2Dドラクエのアイデンティティだとさえ感じる始末。だが……。

斜めグラフィックは、めっちゃめちゃいいぞ!

斜めのグラフィックがあるだけで、こんなにも操作が気持ちいいなんて!なぜいままで気が付かなかったんだろう。あまりに気持ちがいいので、思わず無駄にフィールドをぐるぐると移動してしまったくらいだ。

『DQI』はHD-2Dの魔法を一番享受できる作品かも。子どもの頃に夢に見ていた景色がそのまま具現化したような感動

HD-2D版『ドラゴンクエストI&II』先行プレイレポート:戦闘画面には、“4人目”が入りそうな余剰スペースが……?_002

さてここからは、タイトルごとの細かいレポートをお届けしよう。まずは『DQI』から。
今回の試遊では、あらかじめ用意されたPlayStation5のセーブデータを使って、『DQI』、『DQII』を各15分ずつプレイできた。

お馴染みのラダトーム王の御前。まずは『DQI』で筆者が一番気になっていたことの確認に走る。なにかというと、オリジナルでは2ヵ所に分けられていた「ラダトーム城」と「ラダトームの町」の扱いだ。

結論からお伝えすると、城の出口が町に直結するシリーズお約束の形に変更されていた。フィールドでも1つのシンボルとして表示される。

そしてもうひとつ。『DQI』名物、開始直後に海を隔てて望む竜王城がどう表現されているのか。オリジナルでは山のシンボルに囲まれた毒沼の中に鎮座していたが…、案の定、今作では高い山肌に隔てられ竜王城を眺めることができなかった

こうした例からも、実はHD-2Dの恩恵を一番受けているのは『DQI』かもしれないと、筆者は感じている。HD-2Dリメイクのなかでも、特に立体になった新鮮さがあるのだ。

もしかすると、FC版『DQI』のグラフィックが、真上から見下ろした2Dの記号だったことに起因しているのかもしれない。『DQII』以降ではパースが付けられて、少し立体的なグラフィックに変更されているのだ。

レトロPCゲーム的な『DQI』の記号感を、筆者は気に入っていたのだが、HD-2Dのグラフィックがそれを一瞬で凌駕してしまった。大げさかもしれないけれど、子どもの頃に夢に見ていた「ドラクエランド」が現実になった感覚すらあった

フィールドではキラキラの存在も確認。世界を駆ける感覚も『DQIII』と変わらず爽快だ。同じエンジンで動いている統一感も心地いい。なのに、この得体のしれない感慨深さはなんだろうか。

こういうRPGをずっと待っていたんだよ!……そう思ってしまうのは、筆者が単におじさんだから?

イベントの追加、「とくぎ」の導入、そして複数体の敵が登場する戦闘が示唆する新要素

HD-2D版『ドラゴンクエストI&II』先行プレイレポート:戦闘画面には、“4人目”が入りそうな余剰スペースが……?_003

ほどなくしてロトの洞窟を発見。しまった、たいまつを買うのを忘れていた!

『DQI』の洞窟は「たいまつ」がないと真っ暗でなにも見えない。たいまつで自分の周囲3マスを照らして探索を行う。ダンジョンを明るくする「レミーラ」という専用魔法もある。

しかし、今作ではたいまつは廃止され『DQII』以降の仕様に統一された。緊張感のあるたいまつは、筆者のお気に入りではあったが、現代の基準からすれば不要な要素かもしれない。良い改善だと感じた。

洞窟を進むと突然イベントに遭遇してびっくり。近年のドラクエ定番の寸劇が繰り広げられる。しかも連続性を想起させる展開で期待感が高まる。従来の簡素な『DQI』のイメージを刷新する新要素だろう。城や町以外でNPCに出会い、人の息吹を感じることができる没入感は大きい。

今回の試遊でのいちばんの衝撃は『DQI』の戦闘だろう。

HD-2D版は同一エンジンで制作され、統一されているのは先述の通り。グラフィックやシステム面、戦闘も例外ではないため『DQI』にも「とくぎ」が追加された。これは多くのファンの想定内。

しかし、ひとりで冒険するはずの『DQI』に「AI」が搭載されたのは、なぜだろうか。ワンボタンで戦闘を飛ばしまくれるメリットはもちろん否定できないが、筆者には別の理由があると感じた。なぜなら今作の戦闘は「1対1ではなく、複数体の敵が登場する」からだ。

ちなみに、「かぶと」も装備できる。

AI戦闘が超快適でサクサク進む。もうロンダルキアも怖くない!?

HD-2D版『ドラゴンクエストI&II』先行プレイレポート:戦闘画面には、“4人目”が入りそうな余剰スペースが……?_004

続いて『DQII』をプレイ。主役キャラ3人が揃った直後から開始し、ムーンブルクやサマルトリア、風の塔などを巡った。なお、みんなが気になる「ふくびき」は、今作にもちゃんとあるので安心してほしい。

戦闘面では「とくぎ」と「AI」が追加。どこから始めても安定感抜群のプレイフィールは本シリーズの魅力的なところ。

とくぎとAIを組み合わせた、サクサク進む戦闘はスピード感満点で最高に気持ちいい。FC版のロンダルキアで、「ザラキ」が当たらないことを祈りながらAボタンを押した、あのゲームと同じとは思えない快適っぷりに痺れた。

『DQII』でも、イベントシーンが追加されているのを確認。『DQI』ほど淡白な印象はない本作だが、新たなシーンや描写などの追加が期待される。この辺は試遊会で体験することができなかったので、続報を待ちたいところだ。

グラフィック面は『DQI』と同様。キラキラなどの探索要素も確認できた。

4人目の仲間はだれ?戦闘画面が示唆する加入のタイミングとは

HD-2D版『ドラゴンクエストI&II』先行プレイレポート:戦闘画面には、“4人目”が入りそうな余剰スペースが……?_005

ティザートレーラーで登場した女性キャラは誰なのか?仲間になるのか?さまざまな憶測がファンを賑わせており、中でも「サマルトリアの王女」ではないかというのが、大方の予想だ。残念ながら今回の試遊では、4人目の仲間が誰であるかを確認することはできなかった。

ただ、サマルトリアの王女が登場するイベントが用意されていて、その存在にはきちんと焦点が当てられている。また、もう1つ付け加えるなら、ティザーで4人目の仲間が出てきた部屋は、サマルトリアの王女が登場するイベントの真横にある。ヒントは出揃っているのではないだろうか。

気になるのは、仲間がいつ加入するのか?はたして4人は一緒に行動するのか?の2点だろう。加入時期についてはさすがにわからないものの、一緒に行動するのかどうかは、公式発表された『DQII』の戦闘画面にヒントが隠されている。

右側に配置された、お馴染みのキャラクターのステータスウィンドウ。その一番下に、まるで追加してくれと言わんばかりの余剰スペースがある…。

発売する前からこんなに楽しめる作品って、なかなかないと思う。

本作は「期待作」ではなく「確信作」

合計で約30分の試遊は、あっという間に終了した。その分、全力で集中して、感覚を凝らし、思考を巡らせて、濃密なゲーム体験を堪能できた。

これがそのまま冒頭の感想に繋がる。本作に「思い出補正」は不要なのだ。なぜなら本作は、HD-2D版の『ドラゴンクエストI&II』としてオリジナルを知らない世代も楽しめるように生まれ変わったドラクエだから。

試遊を通じて筆者は、本作が期待作ではなく「確信作」であると感じた。
「こんなドラクエがほしい」、「あんなことがしたい」、「こう改善してほしい」ファンの思いはさまざまある。仕方がない。だってみんなが愛してやまないドラクエなんだもの。正解だってないかもしれない。

でも超、大丈夫!

少なくとも筆者は、コントローラーを通じてそれをヒシヒシと感じていた。
たった30分だけなのに。

© ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/SPIKE CHUNSOFT/SQUARE ENIX

※画面写真はすべて PC 版の開発中のものです。

ライター
フリーランス物書き。面白そうなことはとりあえずやってみる系ライター。趣味は子どもと遊ぶこと。子どもと一緒にゲームやって、ドーナツ食べて、バカみたいに笑うのが生きがい。コミュニティFM局「TOKYO854くるめラ」でパーソナリティーもしています。普段は塾講師。
Twitter:@Ashy256
編集者
3D酔いに全敗の神奈川生まれ99’s。好きなゲームは『ベヨネッタ』『ロリポップチェーンソー』『RUINER』。好きな酔い止めはアネロンニスキャップとNAVAMET。
Twitter:@d0ntcry4nym0re

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