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『サイレントヒル f』【世界最速プレイレポート】竜騎士07と『サイレントヒル』がタッグを組んだら、“具現化してはいけないもの” がぜったい出てくるに決まってる

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竜騎士07 × 『サイレントヒル』最新作

このかけ算、さすがに火力が高すぎません?

竜騎士07氏といえば、村落を舞台に複雑な人間関係と謎の連続怪死事件が描かれる『ひぐらしのなく頃に』で知られる人物。そして『サイレントヒル』シリーズは、主人公のトラウマなど潜在意識が実体化されることでお馴染みのサイコロジカルホラーゲーム。

そんな両者がタッグを組んだら、“具現化してはいけないもの” がぜったい出てくるに決まってる。

『サイレントヒル f』【世界最速プレイレポート】「日本の地形」とホラーゲームの相性のよさ、抜群だった!_001

ほらね!?!?!?

今回電ファミは、9月25日に発売を控えたシリーズ最新作『サイレントヒル f』を世界最速で試遊できる機会に恵まれたため、その様子をお伝えしていきます。

試遊の前に『サイレントヒル』シリーズのプロデューサーを務める岡本基氏から『サイレントヒル f』の特徴について説明があり、いくつかの新要素が判明しました。

・「UFOエンド」を含む “5つ” のエンディングがある
・銃など遠距離から攻撃できる武器がひとつもない
・バトルは攻撃・回避・反撃を駆使するアクション

本稿ではそんな本作を実際に遊んでみて感じたことをお届けいたします。

【お詫び】
筆者はホラーコンテンツにおいて「怖い」という感情が湧きにくい体質(?)で、緊張が途切れない状況やクリーチャーとの遭遇に悦び(よろこび)を感じてしまうタイプの人間です。本作をプレイしているあいだも終始ニヤニヤしていました。そのため、記事内で筆者が興奮しているところは、いわゆる「怖い場面」だと認識いただけますと幸いです。ホラーゲームなのに悦んでばかりいて申し訳ございません。

文/柳本マリエ


「日本の路地」はホラーゲームに最適かもしれない

筆者はゲームをはじめ映画でもドラマでも “生活感” を求めがちで、いま自分が生きている現実世界に近い世界が舞台であるほど心がときめいてしまいます。本作は1960年代の田舎町「戎ヶ丘(えびすがおか)」が舞台。昭和生まれの筆者としてはこの時点で胸が高まってしまいます。

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実際に町を歩いてみると、下記の特徴を感じました。

・迷路のように路地が入り組んでいる
・袋小路(行き止まり)になっている
・狭い路地と並行して水路もある
・地元民が知る抜け道や裏道がある
・段差など高低差が多い

これ、ホラーゲームに最適じゃない???

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だってまず迷路のような路地や袋小路はプレイヤーとして最高の緊張感を味わえます。いっぽうで地形を把握していれば、抜け道や高低差などを活かすことで敵の視界から外れることもできるわけで。

そういったところに日本を舞台としているからこその刺激を感じました。

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また本作の「戎ヶ丘」という町は架空の町ではありますが、岐阜県の下呂市金山町をモデルとしているとのことで、“実在感” に説得力があります。しかしそれはただ地形を再現しているからではありません。

町並みや家の中の解像度が非常に高いため、ホラーゲームであることを忘れてついつい見入ってしまいました。

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ここで生活している人々を姿を想像できる

架空の雑誌なども置かれていて、作り込みにこだわりを感じました。細部まで見どころがあるので、ジャンルは違えど『シェンムー』シリーズが好きな人などに刺さりやすいと思います。

「畑にバケモノがいてくれる」って不気味で新鮮

ホラーゲームが好きだと、多かれ少なかれ「ここに敵(クリーチャー)がいてくれたらいいな」という願望があるのではないでしょうか。学校や病院といった “いかにも” という場所から、普段利用しているような商業施設といった “日常” の無防備になるタイミングで遭遇すると興奮します。

本作は序盤で「アヤカカシ」というバケモノと “畑” で遭遇しました。

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なんの変哲もない普通の畑もバケモノがいるだけで華やかに

「バケモノ in 日本の畑」って、けっこうめずらしい組み合わせじゃないですか? 少なくとも筆者にはかなり新鮮に見えました。というか、そもそも畑を歩けること自体が熱い

ちなみにこの畑には謎解きがあり、正しいカカシを見つけることができるとカカシが体を張って「向かうべき方向」を教えてくれるのですが、マイケル・ジャクソンくらいキレのある動きで思わず声が出ました。

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ポゥ!

今回の試遊では、上記アヤカカシのほかにもさまざまなバケモノたちと出会いました。

まずは「カシマシ」という関節が柔らかそうなバケモノ。プルプルしていて愛嬌があります。『サイレントヒル 2』でお馴染みの「バブルヘッドナース」のような印象も受けました。

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カシマシ

カシマシは町のいたるところに出現しますが、動きはそれほど速くないので遭遇したら逃げるのも手。

つづいては「アラアバレ」という花をまとったバケモノ。巨大な包丁のような刃物を持つ姿はシリーズでお馴染みの三角頭こと「ピラミッドヘッド」を彷彿とさせます。

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アラアバレ

プレイヤーはこのバケモノと戦いながらとある行動をする必要があり、緊張が途切れない状況にかなり興奮しました。

こういったバケモノをはじめ、キャラクターデザインはイラストレーターのkeraさんが担当されているとのこと。見た目についてはいかにも “和” というわけではなく、これまでのシリーズともどこか親和性のあるバケモノになっていると感じました。

手に入る武器は “すべて” 近距離戦闘に特化したもの

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今回いちばん驚いたのは、「遠距離武器がひとつもない」という点です。これまでのシリーズはハンドガンなど遠距離武器が手に入りやすい環境でしたが、本作ではなんと、手に入る武器は “すべて” 近距離戦闘に特化したものだそう。思い切った縛りですよね。

遠距離武器がないということは、攻撃するために敵に近づく必要があります。恐怖をより感じさせるための体験としてすごく画期的ではないでしょうか。

よく考えたら日本はそのへんに銃とか落ちてないですもんね(外国でもそのへんに銃は落ちていません)。つまり、日本という舞台に馴染ませながら、より怖い体験ができてしまうという一石二鳥な縛り。

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敵の大きさに対して武器のリーチがあまりにも短い

また、これらの武器を使ったバトルもアクション性が高いものになっていました。「攻撃」と「回避」を使い分け、敵の攻撃をギリギリで回避することで発動する「見切り回避」や、敵の特定の攻撃にある隙に合わせて反撃を行うことで発動する「見切り反撃」などを駆使して戦います。

そのほか溜め攻撃もあり、臨機応変な戦術が求められるようになっていました。

バトル中は「体力」「持久力」「精神力」にくわえて武器の「耐久度」といったリソース管理にも意識を割く必要があり、そのあたりの駆け引きも味わえます。

たとえば鉄パイプも多用するとボコボコに曲がってしまい使えなくなってしまうため手入れをしながら長持ちさせなければなりません。

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そのため、最初に書いたとおり「地形を利用して敵から逃げる」ということも武器の持久において有効になってきます。筆者はアクションが得意ではないので、どうしても倒さないといけない敵以外は逃げに徹していました。

登場人物たちの抱える闇が気になる

本作の登場人物たちについても紹介させてください。

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本作の主人公は、田舎町に住む高校生「深水雛子(しみずひなこ)」。雛子の幼なじみの「岩井修」、修に気持ちを寄せる「西田凜子」、そして神社の神主の娘「五十嵐咲子」が主要な登場人物です。

雛子は咲子からカジュアルに「裏切り者」と呼ばれており、耳を疑いました。裏切り者という言葉がこんなにも軽々しく使われることもあるんですね。

しかしながらこれが本当に咲子の言葉なのか、雛子自身が抱えている問題によって “裏切り者と言われているように聞こえてしまっている” のかはわかりません。

というのも、雛子は「暴力的で癇癪持ちの父親」と「その父親の言いなりになる母親」に対して嫌悪感を抱いているようでした。唯一の理解者である姉も嫁いでしまい、家での居場所を失っている様子が垣間見えます。

雛子が直面している問題の詳細については今回の試遊では明らかになりませんでしたが、心に闇を抱えているように感じました。

また、雛子の幼なじみである修に好意を抱いている凛子との三角関係(?)も見どころ。高校生という自分の意思ですぐに逃げられない環境における、忌まわしい空気がたまりません。

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それでは最後に、筆者がしびれた雛子の台詞について紹介させてください。

とある悲しい出来事が起きて駄菓子屋の店内で悲しみに暮れる雛子の前に数体のバケモノが現れました。普通ならお店のドアを閉めたり、その場から逃げたりすると思うんです。でも雛子はそこですっと立ち上がり、バケモノに向かってこう言いました。

「今日はもう…閉店だよ……ッ」(鉄パイプを持ちながら)

か、かっけえええ! いやだって、バケモノに向かってとっさにこんな粋なこと言えます? 雛子はもう覚悟が決まっていたのでしょう。このひと言で大好きになってしまいました。

竜騎士07氏のこれまでの作品では「友情」や「祈り」といったテーマが多く描かれているため、このあとどういう展開になっていくのか本当に楽しみです。


筆者は『サイレントヒル』シリーズも『ひぐらしのなく頃に』シリーズも大好きなのですが、だからといって(だからこそ)「両者がうまく融合するのか!?」と期待や不安が入り混じっていました。

ところがどっこい。開始直後から、日本が舞台だからこそ味わえる刺激に夢中になっていました。入り組んだ路地や畑といった「見慣れた風景」が豹変してしまう恐怖が味わえると思います。

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冒頭に書いたとおり、本作は「UFOエンド」を含む “5つ” のエンディングが用意されていることが語られました。1周目のエンディングは同じもので、2周目以降は雛子の行動や選択によって物語が変化するようです。

竜騎士07氏によると、それらはグッドエンドやバッドエンドといった区別ではなく、「雛子の人生の選択におけるひとつの結末を示している」とのこと。

どうやら1周あたり12~13時間くらいかかるそうで、すべてのエンディングを見るには50時間前後といったところでしょうか。シリーズファンとして発売が本当に楽しみです。

制作陣へのインタビューも同日に行っておりますので、ぜひそちらもあわせてご覧ください。『サイレントヒル f』はPS5、Xbox Series X/S、PC(Steam、Epic Games、Windows)に向けて9月25日に発売予定。各ストアページが公開中となっています。

©Konami Digital Entertainment
※画面は開発中のものです。

編集
幼少期からホラーゲームが好き。RPGは登場人物への感情移入が激しく的外れな考察をしがちで、レベル上げも怠るため終盤に苦しくなるタイプ。自著『デブからの脱却』(KADOKAWA)発売中
Twitter:@MarieYanamoto

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