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『サイレントヒル f』の「f」ってなに? 世界最速体験会で制作陣から「新要素」や「過去作との違い」が明かされる

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9月25日に発売を控える『サイレントヒル f』を世界最速で試遊できる体験会が実施された。約5時間の試遊にくわえて制作陣によるゲーム紹介と囲みインタビューが行われ、「UFOエンド」の存在やさまざまな新要素について語られた本イベント。

会場には『サイレントヒル』シリーズのプロデューサーを務める岡本基氏、ストーリーを担当する竜騎士07氏、コンポーザーを務める山岡晃氏、そして台湾の制作会社「NeoBards Entertainment(ネオバーズ)」からゲームディレクターのAl Yang氏とゲームプロデューサーのAlbert Lee氏の5名が登壇。

世界中から集まったメディアに、プロデューサーの岡本氏から『サイレントヒル f』の特徴について説明があった。

そこで本稿では、制作陣から直々に語られた本作の特徴や魅力について紹介していく。

本作についてはこれまでもさまざまな情報が発表されているが、「すべて追えていない」という人もいるのではないだろうか。ぜひこの記事で予習や復習を行っていただけたら幸いだ。

『サイレントヒル f』の「f」ってなに?【開発陣インタビュー】「新要素」や「過去作との違い」が明かされる_001
左から、Albert Lee氏、Al Yang氏、岡本基氏、竜騎士07氏、山岡晃氏

文/柳本マリエ


アクション性を重視したゲームデザインに

本作について、10の視点から特徴が語られた。

・4Kで描かれる古き日本
・緊張の途切れない探索
・美と醜が入り混じる画作り
・心に迫る不可思議な謎解き
・近接に特化したアクション
・窮地をしのぐ攻防一体の技
・生死が交錯する戦闘
・つかの間の休息と成長要素
・5つのマルチエンディング
・感性を刺激するサウンド

グラフィックについて

1960年代の日本を4Kの美麗なグラフィックで “狭く入り組んだ町並み” が再現され、建造物による死角や霧による視界の制限によって、“どこに危険が潜んでいるかわからない緊張” を生み出しているとのこと。高低差のある複雑な地形が迷路のようにプレイヤーを惑わせる。

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「グロテスクだけど美しい」といった相反する要素が溶け込んでいるところが魅力のひとつ

アクションやゲームデザインについて

シリーズの特徴でもある謎解きは「和を基調としたデザイン」で登場。行く手を阻むだけでなく、登場人物の内面を紐解くような要素が散りばめられているそうだ。

また、「手に入る武器はすべて近距離戦闘に特化したもの」という “縛り” も明らかになった。ハンドガンのような遠距離から攻撃できる武器がひとつもないため、攻撃するためには敵に近づかなければならない。敵の動きを見極めながら「回避」と「攻撃」「強攻撃」を使い分けるといった臨機応変な対応が求められるとのこと。

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リーチが短い武器

そのほか敵の攻撃をギリギリで回避することで発動する「見切り回避」や、敵の特定の攻撃の隙に合わせて反撃を行うことで発動する「見切り反撃」のアクションも紹介された。

これらは「追い詰められて緊張感が高まりアドレナリンが噴出している状態」で、プレイヤーの心理が反映されている。いわゆる “火事場の馬鹿力” ということだろう。

さらに「体力」「持久力」「精神力」にくわえて「武器の耐久度」といったリソース管理にも意識を割く必要があり、油断が命取りとなる駆け引きが展開されると説明があった。

日本が舞台ならではの要素としては、道中のセーブポイントが「祠」という点。お供え物をして「功徳」をためるとステータス強化や特殊効果がつく「お守り」が手に入るなど、恩恵を得ることが可能に。これらの強化は周回時に引き継がれるそうで、積極的に行っていきたいところ。

エンディングについて

本作は、お馴染みの「UFOエンド」を含めて “5つ” のエンディングが用意されていることが発表された。

竜騎士07氏によると、それらはグッドエンドやバッドエンドといった区別ではなく、「雛子の人生の選択におけるひとつの結末を示している」とのこと。

1周目の結末は同じもので、2周目以降は雛子の行動や選択によって物語が変化。探索場所も拡大され、入れなかった場所にも入れるようになるそうだ。

サウンドについて

物陰や背後の轟まで感じさせる3D音響を採用され、プレイヤーを包み込むような没入感や臨場感をもたらす。ベテランの山岡氏が本作も担当しており、サウンドで “わびさび” が表現されていることが語られた。

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自然の音も鮮明に

以上の説明があったうえで、いよいよ約5時間ほどの試遊が開始となった。プレイレポートについては別記事にまとめているのであわせてご覧いただきたい。

試遊後は制作陣への囲み取材が行われ、ここからはその様子をお伝えしていく。

『サイレントヒル f』の「f」とは

──本作のタイトルが『サイレントヒル f』となった経緯をお聞かせいただけますでしょうか。差し支えなければ「f」という単語に込められた意味も教えていただけますと幸いです。

岡本氏:
タイトルの「f」についてはすでにユーザーさんのあいだでも考察などをしていただいているのですが、明かしてしまうと楽しみが減ってしまうと思うので、秘密にさせていただきたいと考えています。

ここでお伝えできることとして、ひとつの意味ではなく複数の意味を込めて「f」という単語を選びました。複数の単語が省略されていると思っていただければと思います。

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とどめの “踏みつけ” アクションは「ない」

──『サイレントヒル 2』リメイクでは、倒した敵に対して本当に死んでいるかを確認するために踏みつけて追い打ちをかける演出があり、非常に刺激的な要素でした。本作にもその要素はあるのでしょうか?

岡本氏:
踏みつけるアクションについては、最終的に採用を見送りました。というのも、雛子をはじめ本作に登場するキャラクターの性格を考慮すると「そのような動きはしないだろう」と考えたからです。

竜騎士07氏が考える「Jホラー」の定義

──竜騎士先生といえば、日本の村落を舞台にした『ひぐらしのなく頃に』を手がけられています。本作もまた日本が舞台となっていますが、竜騎士先生にとって「日本ならではの恐怖」をどのように定義されているのでしょうか。

竜騎士07氏:
たいへん難しい質問をいただきました。Jホラーの定義はものすごくたくさんあるので、私ごときが定義するのは恐縮なのですが、ホラーの方向性としては大きく “ふたつ” あると思っています。

ひとつ目は当然ながら「命の危険が迫っている」というホラー。動物の本能として、危険が迫っているときには恐怖という感情のもと「生き延びよう」「逃げよう」「戦おう」と体が活性化するかと思います。

そしてふたつ目は「現在の状況がわからないことによる見通しの悪さ」というホラー。いま自分がおかれている状況が危険なのか安全なのかわかりかねている状態です。要するに “不審” に思っている状態。

このふたつの軸が、人間として感じるホラーの原理だと考えています。

そのうえでいただいた質問にお答えすると、私が考える「Jホラー」は後者。つまり、どこか違和感のある状況に納得しかねていて「どうにも居心地の悪いものをなんとか解釈しようと暗闇に目を凝らす」というのが、日本ならではの恐ではないかと考えています。

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クリアまで1周あたり12~13時間

──約5時間ほど試遊させていただき、ボリュームのあるゲームになりそうだと感じました。1周あたりのクリアまでの時間と、2周目以降のゲームプレイの変化の有無などについてお聞かせください。

Al Yang氏:
プレイヤーのアクションに対する熟練度にもよるかと思いますが、だいたい10~15時間くらいを想定しています。アクションがすごく得意な方はもっと早くクリアすることもあるかもしれません。

周回要素としては、プレイを重ねて得た知見によって見えてくるものが変わったり、新たな展開が発生する場合もあります。また手に入れたアイテムは次回の周回時に継承されるので、進めやすくなっていくと考えています。

岡本氏:
クリアまでの時間は、初めてだとだいたい12~13時間くらいかかる印象ですね。

クリーチャーは「花」や「内臓」がモチーフに

──本作は日本が舞台ということもあり、これまでの『サイレントヒル』シリーズと比べてクリーチャーの印象も変わっていると思います。コンセプトなどあれば教えてください。

岡本氏:
本日この場にはいないのですが、keraさんという才能あるイラストレーターさんが一体ずつ丁寧に描いてくださいました。

クリーチャーを作るにあたって、これまでは主人公のトラウマなどが反映されていることが多かったと思います。それが『サイレントヒル』シリーズの伝統でもありました。

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シリーズでお馴染みのピラミッドヘッド

しかし本作では竜騎士先生をお迎えしておりますので、竜騎士先生のイメージであったり、そこにネオバーズさんからのゲームプレイとしてのアイディアも重なり、時間をかけて議論していました。その混沌とした意見をkeraさんがうまく吸収してくださって、デザインに落とし込んでくれています。

デザインの方向性としては「花」や「内臓」といった美しいものとグロテスクなものの “共存” です。今回の試遊にも登場した「アラアバレ」という花をまとった巨大なバケモノは早い段階で作られていました。初期に作ったクリーチャーほど花や内臓がモチーフになっている傾向があります。

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アラアバレ

『サイレントヒル』のクローンは作らない

──『サイレントヒル 2』リメイクでは、あえてアクション性は排除しているように感じました。いっぽう本作ではアクションの気持ちよさを取り入れているかと思います。このようなゲームデザインにした意図をおうかがいしたいです。

岡本氏:
『サイレントヒル 2』リメイクに関しては、オリジナルの味わいがあるのでそこに基づいています。本作に関しては初期の段階でアクションの楽しさを取り入れたいと考えていたこともあり、開発をネオバーズさんにお願いしました。

これまでの『サイレントヒル』シリーズは、「アクションが楽しいゲームではない」というイメージもあるかと思うので、歯ごたえのあるアクションに挑戦しています。

Al Yang氏:
『サイレントヒル』のクローンを作っても繰り返しになってしまうため、新しいことを取り入れる必要がありました。そうなるとアクション性を「増やす」か「減らす」かという選択になり、これまでとは違った方向でアクション性を重視しています。

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ゲーム説明と囲み取材から、本作の “挑戦的な要素” への理解が深まった。

なかでも筆者がいちばん驚いたのは、「遠距離武器がひとつもない」という点。遠距離武器がないということは、攻撃するために敵に近づく必要がある。恐怖をより感じさせるための体験としてすごく画期的ではないだろうか。

また、会場には等身大(?)のクリーチャーが再現されていた。あまり詳しく書くとネタバレになってしまうため控えるが、ゲームではこの子の “煽りスキルの高さ” にぜひ注目してほしい。

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『サイレントヒル f』はPS5、Xbox Series X/S、PC(Steam、Epic Games、Windows)に向けて9月25日に発売予定。各ストアページが公開中となっている。

©Konami Digital Entertainment
※画面は開発中のものです。

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