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『崩壊:スターレイル』が1年かけて展開した、尋常じゃないストーリー「オンパロス編」について語りたい。ソシャゲの禁じ手だけど、ソシャゲだから描く価値がある物語

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『崩壊:スターレイル』って、すごすぎる────。

みんな、『崩壊:スターレイル』ってすごいぞ──!!

……と、ちょうどオンパロス編を終わらせたテンションで書き始めてしまったのですが、みなさんver3.7はクリアされましたか? 「すごすぎ」だよね。なんかもう語彙を失った。いろいろありすぎて、最後に残った感情が「スゴすぎ崩壊スターレイル!(スゴすぎ前橋ウィッチーズ!)」だけになってしまった。

1年かけて展開して、ここまでのスケールを見せて……ちょっと運営型タイトルとして、とんでもないことをしていると思う。なにかしらゲーム史に残りそうな、異様なスケールのストーリーだった。

そんな、1年がかりの「オンパロス編の異常さ」について、率直に書いてみようと思います。一応、冷静に書こうと思ってはいるのですが、なにせオンパロス編をクリアした直後なので、なんかテンションがおかしいかもしれません。よろしくお願いいたします。

『崩壊:スターレイル』の尋常じゃないストーリー「オンパロス編」について語りたい。ソシャゲの禁じ手だけど、だからこそ価値のある物語_001

文/ジスマロック
編集/実存

※この記事には『崩壊:スターレイル』ver3.7のネタバレが含まれています。お気をつけください。

※この記事は『崩壊:スターレイル』の魅力をもっと知ってもらいたいHoYoverseさんと電ファミ編集部のタイアップ企画です。


少女は、「愛」を知った。

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最初から核心の話をしてしまうのですが、私がめちゃくちゃ泣いたのは……やっぱり「デミウルゴスがキュレネになるまでの過程」ですね。プログラムとして、そこに存在していたオンパロスの心。そんなデミウルゴスに、PhiLia093はロマンチックな物語を語り続けた。

その結果として、プログラムは「愛」を知った。
「優しさ」を知った。「哀憐」を知った。
デミウルゴスはミュリオンになり、ミュリオンはキュレネになった。

キュレネは、本物の「心」を育んだのだ。
そもそもオンパロス自体、「PCの中で、生命が生まれる過程をシミュレートし続けるアプリ」みたいな世界だった。それを繰り返し続けて……3000万回の輪廻の果てに、感情なんて存在しないはずのシステムに、「心」が生まれた。ここ、泣きすぎてゲームが進められなくなりました。

赤ちゃんが生まれたとき、親は涙する。
痛くて泣いているわけじゃない。悲しくて泣いているわけじゃない。では、なぜ泣いているのか? その感情の正体こそ、「愛」だと思う。愛があるから、「心」は生まれてくる。この世界に産声をあげた「心」が愛しくて、お母さんやお父さんは泣いているんだと思う。そういう話ですよね。

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そこに付随して、実装キャラクターとして登場した「キュレネ」の衣装と姿がめちゃくちゃ煌びやかなのが、結構好きなんです。

これって要するに「PhiLia093がデミウルゴスに物語を語り続けて生まれた姿」で……彼女の物語を聞き続けて、デミウルゴスが「こうなりたい」と思って、生まれてきたんだと思います。だからこんなにも美しくて、煌びやかな見た目をしている。デミウルゴスは、そんなロマンチックな物語を聞き続けたから。

もう、ロマンチックすぎるでしょう!
優しい物語があれば、「愛」があれば、そこから生まれてくるものだって……美しいに決まってる。オンパロスが演算をし続けていた「生命の第一原因」……つまり「なぜ生命は生まれるのか」という問い。その答えは、「愛」。愛があるから、命は美しい。愛によって、命は存続してきた。

そんな当たり前のようでいて、なによりも重要なことを、もう尋常じゃないスケールで証明したのがオンパロス編だと思います。誰しも心では理解しているけど、だからこそ証明する必要がある。世界に悲しみが広がっている“今”だからこそ、証明する意味がある。そんなテーマなんじゃないかと思う。

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「世界があたしに優しかったから、あたしも優しくなれたのよ。」

もっと噛み砕けば、「人には優しくしよう」という話でもあるんだと思います。

話しかける時は、相手のことを考えよう。
困っている人がいたら、声をかけてあげよう。
周りの友だちを大切に。家族も大切に。

小学生でも理解しているくらい、当たり前のことかもしれない。でも、これが一番難しい。大人になればなるほど、どんどん難しいことになっていく。だからこそ、一番大切にしなくちゃいけない。

PhiLia093は、世界に優しく見守られながら育っていった。
だから、優しい女の子になった。
そんな優しい彼女の物語を聞いたデミウルゴスも、優しい子に育った。
だから、オンパロスを救うことができた。

オンパロス編って、これくらいシンプルな話でもあると思います。
私たちが暮らしている社会は、なんだかんだ滅びずに存続している。
なぜか? それは、人が「優しさ」を持っているから。

子どもは、親が守ってくれる。会社でミスをしたら、同僚の人が助けてくれる。事件が起きたら、警察の人が市民を守ってくれる。もっと大きな国の問題があったら、政府の人たちが議論している。そうやって、世界はどうにか存続している。人が「愛」と「優しさ」を忘れないから、ずっと続けてこれた。

そんな一番当たり前で、一番難しいテーマを語りきったから、オンパロス編が好きです。

この物語を読み終えた時、なんとなく「人に優しくしよう」と思えるんです。もし目の前で子どもが泣いていたら、「大丈夫?」と声をかけてみよう。ゴミが捨てられていたら、拾ってみよう。改めて、そんな風に思えます。それだけで、自分にとってはすごく価値のあるストーリーでした。

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メインストーリーだけじゃ終わってないんです

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ただ、オンパロスのメインストーリーを見終えた時に、「え、これ何が起きたの?」って思うのもめちゃくちゃわかります。ていうか、私も最後に「めちゃくちゃ泣ける……」「泣けるけど、これ何が起きたの?」と思いました。理屈がよくわかってなくても泣けるから人間の感情ってロマンチックですよね。

それこそ、最後にキュレネがまたミュリオンに戻って、開拓者と再会するシーンで完全に思考が停止して、クリア後即「スタレ オンパロス 3.7 考察」で検索したくらいですからね。情けなさすぎるだろ。

さらに、「オンパロスで何が起こったのか」は理解できても、その先の「オンパロスが一体どうなるのか」は、実のところメインストーリーだけじゃよくわからない。

そう。実はオンパロスって、「メインストーリーが終わってから」が重要だったりするのです。ということで、「メイン以外触ってないけど?」という方にも向けつつ、「クリア後のオンパロスの楽しみ方」を紹介しましょう。へへっ、オンパロスって手のかかる子なんだぜ!

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ちなみに、HoYoLABのスタレ公式でも、オンパロスの結末に関する解説ページが用意されているので、気になった方は要チェック。というか、見ましょう。(画像は叙事詩完成:「明日は昨日に」 崩壊:スターレイル | HoYoLABより)

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まず、クリア後に列車のなかで流れている、スターピースラジオ。
ここで、本編終了後の情報が、いろいろ明かされているのです。

・鉄墓の攻略後にオンパロスは消滅。

・が、消滅後の星域に新生した天体が発見される。学会により、その天体が「オンパロス」と名付けられた。その天体には文明が生まれるであろうことが予測されている。

・スクリューガムとヘルタが破壊されたセプターの破片を逆解析することで、オンパロスの一部データの復元に成功。オンパロスに存在していた生命体が、いつか再び誕生する可能性がある。

……という感じです。
ラジオで流していい情報量か?

もちろん情報そのものも重要なんですが、時系列やキュレネの真実を含め、とにかく「輪廻」することがテーマの中核に組み込まれていたオンパロスの未来が、またいずれ生まれくる「新生」を約束されている……その事実が美しいと思います。

単純な「ループ」じゃなくて、未来に向かうための「新生」なのがアツいですよね。輪廻から脱却して、オンパロスは先へと歩み始めた。それだけで救われた気持ちになる。いや、つくづくラジオで流していい情報か?

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さらに、クリア後に解放されるサブクエスト「紡がれた物語」では、「オンパロスでキュレネから託された『紡がれた物語』を、実際に書物として出版する」というストーリーが展開される。

カンパニーに協力してもらい、ヤリーロ-Ⅵ、仙舟「羅浮」、ピノコニー……と、これまで巡ってきた惑星に「紡がれた物語」を広めて、各地の人々にオンパロスの物語を楽しんでもらう。つまり、オンパロスの物語自体が人々に記憶され、語り継がれていく。

PhiLia093の語る物語から、キュレネが生まれたように。
語り継がれたオンパロスの物語から、また新たな未来が生まれるだろう。

これも、「輪廻」と「新生」みたいなテーマだと思うんです。
オンパロスの物語は、いまも繰り返している。だが、この物語に触れた人々は、希望や活力を得て、また明日へと踏み出していける。これが「紡がれた物語」のエピローグであり、新生したオンパロスにとってのプロローグ。

またしても「これサブクエでやっていい内容か?」と思うのですが……まあ、ここまでメインクエストに入れると流石に長すぎるとか、若干蛇足なんじゃないかとか、いろいろあったんでしょうね。フッ……俺、スタレにだけはなんか甘くなっちゃうんだ……。

ちなみに、紡がれた物語(サブクエスト)は、本編終了後にサラッと解放されているので、未プレイの方はぜひ。サラッと解放していい内容じゃないので、ぜひ。

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さらに! さらにさらに!!

本編クリア後に解放される、「永遠の1ページ」というマップに行けば、データとして保存されている黄金裔とオンパロスの人々がワチャワチャしているところを見られる! セイレンスとケリュドラとか、セネオスとヒアンシーとか……とにかく、全部終わって平和になった世界を、ちょっと見られる!

なんだかんだ、この「永遠の1ページ」が一番の救済なんじゃないかな……と思ったりします。オンパロスと黄金裔は、もう存在していない。だけど、データとしては保存されている。いつか、復活する時が来るかもしれない。そんな未来を、1ページだけめくれる。

本編終了後のオンパロス周りって、全体的に「もういない」と「データとしては生きてる」の温度差を反復横跳びし続けてるから、段々どういうテンションで受け止めればいいのかわからなくなってくる。僕らはこれをどう受け止めればいいですか?

とにかく、戦いが終わってからも「オンパロスの物語」は続いている。
サブクエなどに触れると、それをちゃんと実感できます。オンパロスの残滓を、残された記憶を、いろんなところで探してみるのも面白いですよ。

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データの中の黄金裔がメッセージ飛ばしてくるのもすごい。自由か?

彼女が「キュレネ」になった瞬間

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ver3.4をプレイしていた時、彼が「ファイノン」というキャラとして独立した瞬間に、結構感動したのを未だに覚えている。そしてver3.7でも、彼女が「キュレネ」というキャラとして独立した瞬間に結構グッときた。

『崩壊:スターレイル』には、崩壊シリーズからマルチバース的に登場しているキャラが何人もいる……というのは周知の事実だと思う。で、キュレネにも、そっくりさんがいる。それが『崩壊3rd』に登場する「エリシア」というキャラで……まあ、そのエリシアもすごいヤツだったのだ。

なんか、ちょっとエリシアは「特別」なキャラなんです。
それこそ、オンパロスのラストで突然アナグラム的に発表された「真我」というワードも、エリシア由来のものだったりする。艦長を動揺させるためのアナグラム、俺は好きだよ。

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たとえば、ケビンとファイノンは性格なども含めて、結構な別物だった。でも、エリシアとキュレネはかなり似ている……と、感じる部分が多い。2人で一斉にしゃべり始めたら、どっちかどっちだかわからなくなりそうなくらい似ている。

だけど……ver3.7では、キュレネというキャラが、「キュレネ」として独立していると感じた。「エリシアのもうひとつの可能性」とかじゃなくて、「キュレネ」というひとりの少女として輝いていた。エリシアはキュレネじゃないし、キュレネはエリシアでもない。そう思えたこと自体に、なんか感動しちゃう。

そもそも、モモ(PhiLia093)とキュレネ(デミウルゴス)の2人が存在している時点で別物だけど……ああやって物語を学んで、人の優しさと愛に触れて、心の存在しないはずのデータから生まれてきた女の子は、「キュレネ」しかいない。

もしかしたら、これは「子どもが巣立っていった」みたいな感覚かもしれない。キュレネはひとりのキャラとして、旅立っていった。それが寂しいような……嬉しいような……別に私は産んでないんですが。でも、なんかキュレネには親目線になっちゃう。

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とか言いながらも、やっぱりオンパロス編自体に、「オンパロスの面白さ」と「3rdの文脈」で二発分殴られてるような気はする。「二度おいしい」とかじゃないです。「二発殴られてる」んです。逆らえません。オタク、逆らえないです。黙って殴られるしかないです。

たとえば、エリシアとキュレネは、「生まれの根源」がものすごく近いと思う。
「人の律者」であるエリシアは、美しい世界があったからこそ生まれてきた。人の作った世界が美しかったから、エリシアも優しくなった。キュレネは、美しい物語があったから生まれてきた。たとえデータだったとしても、その物語は心を育むには十分すぎるくらい、ロマンチックだった。

どちらも、「人の善性」から生まれ出て、世界を/物語を、愛している。
その成り立ちが同じだから、どっちも好きなんです。どちらにせよ、ピンクの妖精さんは「愛」と「優しさ」をもって生まれてくる。なんてロマンチックなんだ……こっちは二発殴られてるけど……。

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ライター
転生したらスポンジだった件
Twitter:@yomooog
デスク
電ファミニコゲーマーのデスク。主に企画記事を担当。 ローグライクやシミュレーションなど中毒性のあるゲーム、世界観の濃いゲームが好き。特に『風来のシレン2』と『Civlization IV』には1000時間超を費やしました。最も影響を受けたゲームは『夜明けの口笛吹き』。
Twitter:@ex1stent1a

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