新モード「FOX HUNT」では、他のシューターゲームにはない「メタルギア」シリーズらしさを楽しんでほしい
──「FOX HUNT」について、対戦ゲームが好きな方にどのような魅力があるのか教えてください。
佐原祐氏(以下、佐原氏):
「FOX HUNT」は過去作のスニーキング系ルールを引き継いでいます。「メタルギア」シリーズらしい「かくれんぼ」をチームでの対戦として楽しめるように拡張したもので、当時『METAL GEAR ONLINE』でスニーキング系ルールが好きだった方には懐かしさを感じていただけると思います。
ほかのシューターにはないユニークな対戦システムにもなっていますので、新しいプレイヤーにも新鮮な体験になると考えています。
──プレイ人数や1試合の長さなどで意識していることがあれば教えてください。また、先ほどの映像【※】のようにカムフラージュが機能して敵が気付かない場面は実際のプレイでも起こるのでしょうか。
【※】……イベント中に実施された「FOX HUNT」モードに関するプレゼンテ-ションのなかで公開された説明映像。
佐原氏:
プレイ人数や試合時間などの詳細は現時点では控えさせていただきますが、本日みなさんにお見せしたカムフラージュの遊びは実際のプレイでも起こります。
社内で日々テストプレイをしていますが、「これ見えてないの!?」と思うほど隠れていたり、後で録画を見返して自分たちでも驚くといったことが今でも起きています、という点はお伝えさせていただければと思います。
──「FOXHUNT」では配信者向けの特別な機能はあったりするのでしょうか?オンラインテストの実施など、現時点でお話しできることはありますか。
是角氏:
具体的な内容についてはまだお話しできない段階です。本日お伝えした以上の情報は今後の続報をお待ちいただければと思います。
オリジナルの操作性を尊重した“LEGACY STYLE(レガシースタイル)”と、今のプレイヤーにあわせた“NEW STYLE(ニュースタイル)”。実は操作性だけでなく「ポスターも変わる」
──先ほど「今の時代のユーザーへ届けたい」というお話がありましたが、本作の操作方法やアクセシビリティなどの観点で、現代のプレイヤーへ向けて工夫したり、こだわったポイントがあれば教えてください。
是角氏:
本作の操作方法としては、オリジナル版を尊重し、従来のゲーム感覚を再現した「LEGACY STYLE(レガシースタイル)」と、今のプレイヤーにあわせた「NEW STYLE(ニュースタイル)」の二種類を用意しています。
アクセシビリティに関しても、メニューの設定項目を充実させ、より多くの方がプレイしていただけるように調整しています。
──NEW STYLE(ニュースタイル)ではカメラの位置が従来と大きく異なりますが、それによってゲームが簡単になり過ぎてしまうことはないのでしょうか?
是角氏:
ご質問のとおり、「視認性が上がることで戦闘が容易になりすぎてしまうのではないか」という懸念はありました。そのため、敵兵の視力やダメージ量、スタミナの減り方などを細かく調整し、オリジナル版同様の緊張感が保てるように工夫をしています。

また、銃の挙動や射程についても、LEGACY STYLE(レガシースタイル)とNEW STYLE(ニュースタイル)で別々に調整しています。攻撃判定については大きな変更は必要ありませんでしたが、プレイヤーへ違和感を与えないようにしています。
──本日の体験会ではNEW STYLE(ニュースタイル)での試遊をさせていただきましたが、作中に配置されているポスターが大きく変わっていたことが印象的でした。ポスターの変更にいたったきっかけはなんだったのでしょうか?
是角氏:
ポスターはLEGACY STYLE(レガシースタイル)とNEW STYLE(ニュースタイル)で異なった物が使用されているのですが、実はモデルになっている方々は同じです。
オリジナル作品から約20年経ち、当時ご協力いただいたモデルの方々に「今の素敵な写真を使わせていただけないか」とお願いしたところ、全員が快く協力してくださいましたので、こういった形で実装させていただきました。
──最近のゲームではミニマップを採用する作品も多いですが、『MGS3』をリメイクするにあたってミニマップを採用しなかった理由はなんでしょうか?
是角氏:
チーム内でもミニマップの導入は検討しましたが、「探索の緊張感が損なわれる」と判断して採用を見送りました。
そのかわりに、方角を示す「コンパス」を導入し、オリジナルの雰囲気を維持しつつも、向かうべき方向がわかりやすくするように調整しています。
シリーズ初のリメイク作品として『メタルギア ソリッド 3 スネークイーター』が選ばれた理由とは?
──今回のリメイクではレベルデザインをほとんど変更しなかったと伺いました。それはオリジナルの製作者への敬意からでしょうか?
岡村氏:
プロジェクトの最初にさまざまなリメイクの形を議論しました。オープンワールドにする案や追加マップを作る案も検討しました。
しかし、『MGS3』を遊んだときのあの感じはレベルデザインだけでなく、すべてがセットになった総合物として存在しているし、オリジナルスタッフの方々のやりたかったことだったと思っています。それを忠実に届けるためにこのような判断をしました。

是角氏:
昔のオリジナル作品がある中で、「本質を変えずに進化させる」というのは大きなチャレンジでした。
手を加えることでオリジナルの良さが失われないよう心掛けています。また、昔の挙動やバグを修正すべきかどうかも悩みどころで、「なにをどこまで残しているのか」という点に関してはプレイヤーの皆さんにも実際のプレイを通じて、楽しみながら確かめていただきたいですね。
その分、新モードの『FOX HUNT』に「新しい遊び」を追加していますので、新要素についてはそちらで楽しんでいただけると思います。
──大人気作品のリメイク版では大胆にゲームデザインを変えた例もありますが、『MGSΔ』ではオリジナルから新しい仕様を追加する案は検討されましたか?
岡村氏:
もちろん新しい仕様を入れる案もありましたよ。いろいろなリメイクのあり方を考えました。今後ほかの『メタルギア』をリメイクするなら作品によってやり方は変わると思います。ただ、『MGS3』についてはこのまま出したいという結論になりました。
やはり、余計なものを足す必要があるイメージがどうしても出てこなくてですね。『MGS3』は『MGS3』としてお話が成立していましたし、そのストーリーを楽しむためのUIとしてのゲーム。ユーザーさんが物語に触れるためのツールとしてのゲームデザインとして存在している印象が強かったんです。
この判断が正しかったかどうかという部分に関してはさまざまな議論もあるかと思いますが、個人的には変える意味があまりないのかもしれないと思いましたね。
──あたらしくリメイク版を作るにあたって初代『メタルギア ソリッド』を制作する選択肢もあったかと思います。あえてリメイクを『3』から始めた理由はあるのでしょうか?
岡村氏:
シリーズのリメイクを続ける場合、最初の作品は『MGS3』だろうと最初から考えてはいました。
若い方々を中心に最近『メタルギア』を知らない方も増えていると感じます。まずは現在でも評価が高く、ストーリー的にも歴史的に最も古い時系列の『MGS3』から『メタルギア』シリーズに触れていただきたいと考えました。
一作目・二作目と順番に体験したい方には『METAL GEAR SOLID:MASTER COLLECTION Vol.1』をご用意していますので、そちらをご利用いただけるかなと思います。
以上、イベントで試遊できた要素や、開発者への合同インタビューの内容をお伝えしました。自分はシリーズをすべて追ってきたわけではないですが、それでもこのリメイクはものすごく丁寧に、ものすごく大事に作られているなと感じます。
映像や操作性、遊びのテンポ。どこを切り取っても「現代の基準」にしっかり合っていて、それでいて当時の空気感のようなものもしっかり残っている。プレイヤーへの情報提示も自然で、古いゲームにありがちな説明不足による不親切さをあまり感じさせないのも印象的でした。
そして何より、ピポサルやボンバーマンとも全力で向き合うそのノリと熱意には、「あぁ、これは単なるHD化とかじゃない、ちゃんと手をかけたリメイクなんだな」と確信させられるものがありました。
20年という月日を経て、“伝説の作品”として現代に帰ってきた『メタルギア ソリッド 3 スネークイーター』という作品。初めての人にも、思い出のある人にも、“「メタルギア」ってこうだったんだ!”と感じさせてくれる、そんな作品に仕上がっているのではないでしょうか。
『METAL GEAR SOLID Δ: SNAKE EATER』は、2025年8月28日よりPS5、Xbox Series X|S、PC(Steam)向けに発売予定となっています。
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※画面は開発中のものです。